有価証券報告書-第56期(2024/10/01-2025/09/30)

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2025/12/10 11:38
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165項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「100億人・100歳時代」の豊かで持続可能な社会の実現を目標に、事業を通じた社会価値の創出、社会課題解決を目指しています。
豊かで持続可能な社会の実現に向けて、社会価値・非財務価値・財務価値、これら3つの価値を循環・拡大させながら、社会課題を解決していきます。社会価値は、事業活動による顧客価値拡大や、様々なパートナーとの共創による社会課題の解決により創出・向上を図ります。この社会課価値の実現を支えているのが、当社グループの競争力の源泉である人的基盤、知的・共創基盤、社会信頼基盤からなる非財務価値です。財務価値は、お客
様への価値提供、社会価値の創出によって得られる対価であり、次なる成長に向けて継続的に投資します。
以上の循環によって当社グループ自身が持続的に成長し、社会と自社のサステナビリティを両立させてまいります。
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以上の経営方針に基づき、当社グループでは、事業を通じた豊かで持続可能な社会の構築、当社グループの持続的成長の2つの側面から、計6項目のマテリアリティを設定しています。
[事業を通じた豊かで持続可能な社会の構築]
マテリアリティ当社グループの取り組みテーマ
個人のウェルビーイング健康・自己実現・つながりの確保・ヘルスケア
・人材
・地域・コミュニティ
社会の持続可能性安全安心と地球の持続可能性の確保・金融・カード ・食農
・情報通信 ・レジリエンス(*)
・エネルギー・循環
技術による社会変革革新技術の社会実装と企業・社会の変革・DX ・先端技術研究
・社会実装事業の注力展開

(*)レジリエンス:「回復力」「弾力性」を意味し、災害時など危機に直面した際の対応能力や、被害からの速やかな回復力(強靭さ)などを指す。
[当社グループの持続的成長]
マテリアリティ当社グループの取り組みテーマ
人的基盤人と組織の持続的成長・人材確保・育成、FLAPサイクル(*)運用
・ワークライフバランス、健康経営
・DE&I ・組織風土改革
知的・共創基盤知の統合と共創基盤としての価値発揮・研究・提言、知財蓄積、AI活用
・顧客・ビジネスパートナーネットワークの形成
・グループ経営
社会信頼基盤社会的信頼性の維持・向上・リスク管理・情報セキュリティ
・コーポレートガバナンス
・脱炭素

(*)FLAPサイクル:自らの適性や業務に必要な要件を知り(Find)、スキルアップに必要な知識を学び(Learn)、目指す方向へと行動し(Act)、新たなステージで活躍する(Perform)という一連のサイクルのこと。個々の能力・適性・志向性を踏まえたオーダーメイドのキャリア形成を支援する仕組みを指す。
(2)経営戦略
(中期経営計画2026)
当社グループは社会課題解決企業を標ぼうし、差別化を図ることで市場での存在感を確保することを目指しています。そのために、2030年にありたい姿を描いたうえで、実現に向けた「中期経営計画2026」(以下「中計2026」)を2023年10月に策定し、同計画に基づき取り組みを進めてきました。
「中計2026」での成長は、当社グループの経営理念のもと、財務、非財務、社会の3価値の拡大とともに、DX事業の成長による規模拡大と基幹事業の質の改革による収益性向上、次世代事業の育成・拡大による事業ポートフォリオ転換の加速などによって実現する計画とし、そのうえで、基本方針として、①事業戦略、②基盤戦略、③価値創造戦略を定めました。
一方、変化の激しい情報・通信並びにコンサルティング業界において、「中計2026」開始から2会計年度を経て、これら業界の好調な市場環境を当社グループに十分取り込めておらず、戦略・事業の見直しの必要性を認識するに至っております。
そのため、「中計2026」の最終年度である2026年9月期にあたり、「中計2026」の戦略及び目標を一部見直すとともに、事業再構築を含め、2027年9月期に開始予定の次期中期経営計画(以下「次期中計」)の策定に向けた検討を推進いたします。
①事業戦略
シンクタンク・コンサルティングサービス(TTC)セグメントでは、調査・コンサルティング事業を再強化し、研究・提言機能から調査、実証等を経て社会実装に至る価値連鎖強化に注力してまいります。なかでも、集中領域を電力・エネルギー、医療・介護、ビジネスアナリティクス(BA)・AI等に定めるとともに、総合シンクタンクとしての幅広い分野への対応も強みとして継続します。
ITサービス(ITS)セグメントでは、大手メガバンクを中心とし、その内外の金融ビジネスパートナーや中核的な強みを持つDXパートナーとしての地位確立を目指します。
②基盤戦略
セグメント別に、それぞれ以下の観点から整備・高度化します。
・人的資本経営:
競争力の源泉としての人的資本を拡充し、エンゲージメントを強化しつつ、事業戦略と連動した人材ポートフォリオの実現を目指します。
・グループ連携:
連携を強化すべき領域(公共DX、電力DX、データ分析(DA)・AI等)にリソースを集中し、コンサルティングと社会実装のシナジーを追求します。
・先行投資:
継続的な成長に向けた人的投資(人材確保・育成)、研究開発(研究・提言、新事業開発)、設備投資等を計画的に実施します。
・生産性:
生成AI社内活用の適用範囲をバックオフィスを含む全社に拡大します。また、ミドルオフィス改革による事業部門の支援機能を向上させます。
・リスクマネジメント:
当社グループの業容拡大、AI等を活用した事業などの展開に伴い、リスク管理システムのさらなる高度化、システム開発におけるプロジェクト管理体制、法務機能、情報システムセキュリティについても、グループ全体で機能発揮・強化していきます。
・技術基盤:
クラウド及び運用の両側面から技術力を強化するとともに、AIを適用して開発生産性の向上を目指します。
・事業基盤:
営業力、外部連携、コンサルティング、ワンストップ商材、地域戦略の5つの観点から基盤を強化します。
・経営基盤:
本社移転及び新社内システム導入を機とした働き方改革・生産性向上の実践、コーポレート業務の生産性向上を図ります。
③価値創造戦略
上記事業及び基盤戦略に基づき顧客に提供する価値を高め、ひいては財務、非財務、社会の3価値の好循環・拡大によって、当社グループのサステナビリティ経営を推進いたします。ステークホルダーに対するグループ広報・IR活動を通じ、社会価値及び保有する非財務資本・価値を積極的に説明・訴求し、社会課題解決企業グループとしての認知・信頼を獲得し、当社グループ全体のブランドイメージを確立させます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
①財務価値
経常利益及びROEを重要な経営指標としております。計画2年目にあたる当連結会計年度の実績を踏まえ、「中計2026」最終年度の目標を以下のとおり修正しました。2026年9月期中に「次期中計」を策定し、今後の中長期的な成長戦略を検討しつつ、企業価値並びに資本効率の向上を図ってまいります。
「中計2026」最終年度(2026年9月期)の目標水準
(当初)(修正後)
売上高1,350億円1,220億円
経常利益140億円90億円
ROE12%8%

②非財務価値
当社グループとして設定したマテリアリティに基づき、「社会課題解決力」を表現する具体的な非財務価値の指標を定め、その達成を目指しています。具体的には、「人的基盤」「知的共創基盤」「社会信頼基盤」の3要素に区分のうえ、女性採用比率や特許出願数・登録数、再生可能エネルギー比率などを指標として設定し、これらの達成状況を社内取締役の変動報酬(株式報酬)の算定要素の一部に採用し、役員報酬に反映させています。
③社会価値
当社グループとして設定したマテリアリティに基づき、創出を目指す社会価値や当社グループの強みが生み出す社会価値について、当社グループが遂行する関連事業に結び付けて「人材・ヘルスケア事業規模」「GX(*)関連事業規模」「育成したベンチャー企業数」などの指標を定め、社会価値の明確化を図ります。
(*)GX:グリーン・トランスフォーメーション(Green Transformation)の略。再生可能エネルギー中心の産業・社会構造への転換や温室効果ガスの削減を成長戦略に据え、環境保全と経済成長の両立を目指す取り組み。
(4)経営環境
当社グループはTTCの官公庁向け事業、ITSの金融・カード向け事業を基盤事業と位置づけ、これらを強みとしています。TTCでは株式会社三菱総合研究所が、ITSでは三菱総研DCS株式会社が各セグメントの中核を担い、2社が連携しながら安定的な事業基盤を維持・拡大し、成長してきました。
社会課題が一層複雑化・高難度化するなかで、課題解決を図るための政策立案や制度設計において、幅広く、かつ、高度な専門性や緊急性、機動力がますます求められるようになりました。TTCでは多彩な専門性と総合力で、特に社会的影響や解決の優先度が高い環境・エネルギー、ヘルスケア、交通・移動、通信等の課題に先駆的に対応してきました。その結果、多くの官公庁事業を安定的に受託しております。加えて、社会課題解決には、調査・研究や制度設計のみならず、実際に機能する具体的な解決策の提示や、その効果の実証的な確認、さらには実社会への適用・事業化など、これまで以上に踏み込んだ関与が求められています。こうした変化は、投入する要員による制約が大きい事業モデルから、人的リソースを過度に制約としない事業モデルへの転換という、新しい事業展開の可能性を示すものでもあります。
金融業界では、ICTの急速な普及・発展とともにフィンテックなどの新たな技術への対応が喫緊の課題となっています。加えて、グローバル化の進展とともに顕在化したマネーロンダリングや各種市場リスク管理等の課題に対処するため、新たな国際的金融規制やこれに応じたシステム対応が求められています。ITSでは、こうした金融業界の変化を捉えつつ、重要な基幹的システムに係る開発需要等を捉え、安定的に拡大してきました。一方で、AIやクラウドコンピューティングによる柔軟で低コストのシステムや、フィンテックを活かしたスマートフォン決済など、従来とは異なるシステム要件も急速に求められるようになりました。顧客ニーズに応えるには、よりコンサルティング的な機能を強化することが期待されています。
こうした環境変化に対応し、さらなる成長を実現するために、ポートフォリオ改革を推進し、重要な事業への重点的かつ効率的なリソース配分を進めます。これまで蓄積した強みを礎として、より市場規模の大きな民間企業分野における変化を予測・見通し、生成AIなど最先端ICTによる解決策を実現する「実装」をさらに推進します。加えて、当社グループの強みの源泉たる人材並びに情報発信力を高め、グループ内外の様々なパートナーとの連携を拡大してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①事業戦略の再構築
「中計2026」の事業及び目標の一部見直しを踏まえ、事業戦略の再構築を急ぎます。まず、2026年9月期中はTTCにおける調査・コンサルティング事業の再強化、ITSにおける金融分野を中心とした事業を推進しつつ、2027年9月期に開始する「次期中計」を策定し、中長期的な成長戦略を練り上げてまいります。
また、将来を担う事業を育成し、事業ポートフォリオの転換を急ぐことも重要な課題と捉えています。具体的には人的リソースを過度に制約としないサービス提供型の事業規模の拡大・収益化を含め、多様なパートナーとの連携(出資等を含む)や、PROSRVやmiraicompassなどの既存有力サービスに続く新サービスの開発、海外事業の展開など様々な手段により事業拡大に取り組んでまいります。
②人的資本経営の強化
人材は、当社グループの競争力や成長の源泉となる重要な資産です。成長シナリオを実現するため、当社グループ全体の事業戦略の視点から必要な人材を確保し、最適な人材ポートフォリオの実現を目指します。人材ギャップ解消のための採用・育成戦略を立案するとともに、処遇改善や成長領域に対応した人材の重点的な強化を行います。
人材育成に当たっては、社員個々の志向に応じた育成・成長を支援する当社独自の「FLAPサイクル」を導入しています。
2026年9月期初から、TTCでは、社会課題解決を志向する社員が中長期的なキャリア形成を実現できる制度設計とした人事制度改定を実施しています。その中では、年功的要素を撤廃し、役割やポストをこれまで以上に柔軟に設定可能なものとしました。複線型のキャリアパスを可能とする「連峰制」をさらに進め、異なる専門性で高位ポストに昇任できる仕組みとなっております。また、定年後の再雇用者(シニア・エキスパート)の活躍を期待して処遇の改善を図りました。従業員とのエンゲージメントをさらに深めながら、改定後の制度を円滑に運用し、実効性を高めてまいります。
また、人員規模の増大、人材の多様化に応じた、計画的かつ継続的な育成・キャリア形成支援研修の重要性の高まりから、TTCには「MRIアカデミー」、ITSでは「デジタルアカデミー」を設置し、経営理念を具現化する人材を輩出するための教育施策を実施しています。引き続き、働き方改革を推進して健康経営、社員活躍推進、ダイバーシティ向上、従業員のエンゲージメントを強化・向上させていきます。人材が当社グループ最大かつ最重要の資産との考え方にもとづき、優秀な人材が存分に能力を発揮・活躍できる一層魅力的な環境を備えた企業グループとして持続的成長を目指します。
あわせて、生産性向上や価格転嫁等にも継続して努めるとともに、品質の維持・向上への不断の取り組みによって顧客価値の増大も実現してまいります。
③研究・提言活動強化・積極的な生成AI活用
研究・提言活動は、当社グループにおける価値連鎖の起点であり、さらなる強化が必要と認識しています。研究・提言を通じて未来社会像の実現に向けた社会潮流を形成し、当社グループ全体の社会価値を高めます。具体的には、時機を捉えた自律的な取り組みと科学的知見(エビデンス)に基づく提言を実践し、官公庁の主要施策や企業の戦略立案に貢献していきます。
生成AIの登場や飛躍的発展・普及は、多くの産業・職業に影響を及ぼすとされていますが、当社業務も例外ではなく、事業モデルの根本的な転換、想定外の業界からの競合の登場などによる競争優位性の喪失など、様々な将来的リスクが考えられます。こうしたリスクをむしろ事業機会として活かすため、当社グループでは、案件の企画・提案から業務遂行、プロジェクト管理などの様々な場面で積極的に生成AIの活用を進めています。こうした取り組みを通じて、当社グループ全体の生産性向上を図り、さらに高度な顧客価値の提供を目指します。
④リスク対応力の強化
業容拡大に伴い、従来にない大型事業や事業形態の案件遂行機会が増加しており、プロジェクトマネジメントの重要性が高まっています。また、新事業の取り組みにおいては、当社グループにとって対応経験・知見の蓄積がないリスクに直面する可能性があり、リスクの早期把握・迅速な対応が求められます。
KRI(Key Risk Indicator)による予兆モニタリングを実施することでリスク増減傾向の把握と予兆管理を高度化するとともに、システム開発におけるプロジェクト管理機能や法務機能、情報セキュリティについてもグループ全体でさらに強化しています。

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