有価証券報告書-第9期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 16:46
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社は経営理念(ビジョン)として「VALUE CREATION」を掲げております。当社は、創業以来、人類の共通語ともいえる音楽の理想的な再生装置の開発を目指してきました。そういった長年のものづくりで培ってきた技術やノウハウに “新しい何かを加えること(+Something NEW)” で、新たな価値提案を行い、驚きと感動を提供していくことを目標とし、下記の「経営方針」の達成に向けて真剣な取り組みを続けてまいります。
①世界の市場で最高水準の品質と性能を維持し、心の琴線に触れる商品・サービスを提供し続けます。
②環境との共生、調和をスローガンとし、広く社会から信頼される企業活動を行います。
③グループ全体で経営効率の向上を図り、利益を創出することで、企業価値の向上に努めます。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるグローバル経済は、米国や国内では雇用環境の改善や堅調な個人消費を背景に緩やかな回復基調が続いておりますが、米中間の貿易摩擦の深刻化に伴う金融資本市場への影響、中国や欧州経済の減速などにより、世界経済や個人消費の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような事業環境の下、当社グループは事業の構造改革を実施し、AV事業とデジタルライフ事業の業務統合による設計・生産・販売までのプロセスの最適化や、事業拡大を見込むOEM事業、及びAI/IoT分野の強化に適した技術の部門編成を行い、効率的かつ機動性の高い組織体制への変革に取り組んでまいりました。また、「あらゆる生活シーンにオンキヨーを」として新たな企業価値を創造するべく様々な業界との協業を進めており、OEM事業では「Sound by Onkyo」、「Onkyo Speakers Installed」などのサブブランドを付したブランド展開を強化しております。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、キャッシュ・フローの最大化を目指して経営を進め、当面の目標として有利子負債から現金及び現金同等物を控除したネットデットをゼロとすることを目標といたします。この目標を実現するため、グループ全体での的確な市場予測に基づく生産・販売・在庫計画の精度向上を推進するとともに、他社との協業をさらに深化させることによる新しい価値提案と固定費の削減を両立させるべく目標達成に取り組んでまいります。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの主力事業をとりまく外部環境及び市場は、ここ数年で激変しており、もはや独自技術に頼った自社生産・自社販売という従来の製造業の経営活動のみでは、変化と競争の激しい世界市場では生き残ることが困難となってきております。当社グループは、従来の日本の製造業の枠組みを取り払い、独自の技術は保持育成する中で、他社とのアライアンスを積極的に進めており、テレビ業界のリーディングカンパニーであるTCL Multimedia Technology Holdings Limited(以下、TCL Multimedia)との業務提携では、TCL製テレビの音質強化のための協業や、TCL Multimediaの販売チャネルを活用したオンキヨーブランドのヘッドホン等の販売拡大を推進してまいります。
デジタルライフ事業では、ワイヤレスイヤホンに代表される高付加価値製品や、補聴器や集音器をラインナップする聴こえサポート商品、人気アニメやファッションとのコラボレーションモデル等の販売強化に取り組み、ゲーミングをはじめとする新規分野へのビジネス展開や、ショールーム「ONKYO BASE」とのクロスマーケティングを駆使した幅広い顧客層に対してのブランド発信を進めてまいります。
OEM事業では、インド合弁会社の生産体制の整備による操業度ロスの解消、及びインドビジネスにおける新規受注の進行により、生産規模の向上と売上規模の拡大を推進してまいります。車載スピーカーや「Sound by Onkyo」などのサブブランドを付したテレビ用スピーカーを成長軌道に乗せ、加振器と音声技術の優位性を活かしたAI/IoT化するクルマ・商業設備・生活用品・家電製品等へのソリューション開発に取り組み、中長期的な事業の拡大を図ってまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
グローバル経済はより複雑な市場構造へと変化し、国内市場も少子高齢化や生活ニーズの多様化等を背景に、一段と変化の激しさが増してきております。
このように企業を取り巻く環境が大きく変化する中、多様な事業展開を進める当社グループは、経営資源の最適化によって、各事業セグメントにおける設計・生産・販売プロセスを常に適正な体制に刷新し続け、新規事業に特化した機動性を保持していくことが経営上の重要な課題となっております。
他社とのアライアンスを通じて、当社の強みであるスピーカーや音質チューニングの価値提供をグローバルに展開することや、他社技術と当社のオーディオ技術を融合させたAI関連製品やAIソリューション開発は、その重要課題に対する実践的な取り組みとなります。生産拠点の最適化によりコスト競争力を強化することも、事業拡大に向けた重要な施策となります。
また当社グループでは、従来のオーディオ商品と異なる聴こえサポートの商品群をはじめ、周囲の環境に左右されにくい音声認識技術や、音の再生方法に自由度が広がる加振器技術など、研究開発上の飛躍が見込める要素技術を保有しており、この音の入口と出口の部分での技術をさらに高めていくことが、継続して取り組むべき重要課題と認識しております。
AIやIoTの次世代の世界は、住宅、家電、クルマなど、その活用分野が広がっており、スマートホームやスマートタウン、クルマとの連携など、当社が従来取り組んでこなかった分野に技術の強みを結び付け、また多様な企業とコラボレーションを進めて当社の技術も磨き、既成概念に捉われない新たな価値提案を進めてまいります。