有価証券報告書-第19期(令和1年6月1日-令和2年5月31日)

【提出】
2020/08/31 12:31
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

当社グループの本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下のとおりです。また、将来に関する事項につきましては別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
(1)会社の経営方針
当社グループは、「インターネットを活用し 健康と生活の質を向上させることにより 笑顔を増やします。」を経営理念としております。
特に、当社グループでは、歯科医療業界において事業を展開していることから、歯科医療業界並びに歯科医療環境の発展と消費者の皆様の歯及び口腔の健康と美に資するよう、歯科治療の「理解」と「普及」をテーマとしております。
生活者・事業者に革新的なサービスを提供し続け、歯科医療プラットフォームビジネス・領域特化型プラットフォームビジネスにおいて国内外でトップ企業を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性を重視しており、成長性については売上高の対前期増加率、収益性については売上高営業利益率を重要な経営指標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「からだ」・「健康」・「美」を事業ドメインとしており、メディア・プラットフォーム事業を中心としたウェブマーケティングや、クライアントのホームページ制作、SEMサービスの提供に加え、歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐリサーチやコンベンション運営受託サービス等の医療BtoB事業を展開しております。
今後は、スマートフォンやタブレット端末の更なる普及によるインターネットの利用環境の向上により、歯科医療の現場においても仕入等の発注、予約管理、カルテ等のICT(情報通信技術)化が予想されます。当社グループは、これまで培ってきたICTを活かし、歯科医療業界全体をつなぐハブとなる歯科医療バリューチェーンの構築に努めてまいります。
また2018年12月に株式取得により連結子会社化いたしました株式会社オカムラにおいて営んでおります歯科器械材料・医薬品の卸売事業の事業規模拡大を目指します。また、2019年5月に資本・業務提携契約を締結いたしましたBiolux Research Holdings,Inc.と、歯科矯正治療期間を短縮させ、より効率的に治療をおこなうOrthoPulse®の普及に努めてまいります。このような新たな取組みを進め、当社グループが歯科分野で獲得した顧客網を活用し、ICT以外の分野においてもサービスを展開する歯科医療業界のリーディングカンパニーを目指してまいります。
さらに、デンタルトリビューンジャパンの運営、タイにおける歯科医院運営を始めとして海外諸国において日本の先進歯科医療の普及に努め、事業化を行い新たなマーケットの拡大を図るとともに、歯科医療環境の健全な発展を通じ世界中の生活者の笑顔を増やします。
そして、株式会社ミルテルとの資本・業務提携を通じて、予防医療領域、未病領域の分野への進出を目指します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが関連するインターネット広告市場における広告費は、増加傾向が継続すると予想されます。その一方、当社グループの事業領域である歯科市場においては、歯科診療医療費の伸び悩みや歯科医院の過当競争の進展により厳しい状況が続いていくと予想されます。
そのような経営環境のなか、当社グループは、持続的かつ安定的な発展と強固な経営基盤を確保すべく、以下の事項を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と認識しております。
① 既存事業の拡大
当社グループは、歯科分野、美容・エステ分野において、専門ポータルサイト運営を中心にウェブマーケティングを提供しており、提供するサービスの付加価値向上と当社グループ運営サイトのメディア価値向上が課題であると認識しております。
当社グループが、持続的かつ安定的に発展するためには、インターネットの急速に進化する利用環境や多様化する活用手段に対応しながら、サイトの機能及びコンテンツの拡充を進めていくことが不可欠であります。
また、PC、スマートフォン及びタブレット等のあらゆる端末に対応し、有料契約数の拡充とサイト集客力の向上により、サイトのメディア価値ひいては収益力の向上に努め、既存事業の拡大を図ってまいります。
② 収益モデルの多様化
現在の当社グループの収益モデルは歯科分野、美容・エステ分野における広告収入モデルであります。2019年のインターネット広告市場における広告費は、前年比19.7%増の2兆1,048億円と増加傾向が続いておりますが(株式会社電通「2019年日本の広告費」)、一般的に広告市場は景気の影響を受けやすく、また、昨今のインターネットの利用環境及び活用手段の変化により、インターネット広告サービスのビジネスモデルは急速に変化しております。
このため、当社グループでは、従来の収益モデルに加え、インターネット関連企業又は歯科関連企業との提携等も含め新たな収益モデルへの取り組みとして、連結子会社であったブランネットワークス株式会社において歯科医療従事者と歯科関連企業等をつなぐBtoBポータルサイトの運営を行っており、会員を基盤としたリサーチやコンベンション運営受託サービス等を営んでおりましたが、2020年2月に同社を吸収合併し事業拡大を目指してまいります。
また、2018年12月に連結子会社化いたしました株式会社オカムラにおいて、歯科医院向けに歯科器械材料・医薬品の卸売事業を開始しデジタルとの融合を目指します。今後は株式会社オカムラのすでに取引のあるクライアントに加え、当社グループのクライアントである歯科医院に対しても歯科器材や器具・薬品一式の販売をすることにより事業を拡大、当社グループがインターネットを活用し培ってきたサービスと融合させ、より良い歯科医療環境の実現を目指してまいります。
さらに、当社グループの収益モデルの多様化並びに継続的な成長を図るため、これら新たな取り組み以外にも新規事業の開発を積極的に推し進めてまいります。
③ 国際展開への取り組み
持続的かつ安定的な事業成長を遂げていくためには、既存の事業の拡大に加え、海外での事業展開、新規事業を創出していくことが重要であります。
当社グループは、既存ビジネスで培ってきた「強み」を活用した事業領域の拡大に努めるとともに、積極的な投資を実行し新たな事業を創出していくことで、事業拡大を図ってまいります。
当社グループの売上の大半を占める歯科業界において世界的なネットワークを持つデンタルトリビューンインターナショナル(以下、DTI)と業務提携をしております。DTIは、世界をリードする歯科業界向けの複数のメディアで構成されております。ラインナップは印刷物とデジタル・教育媒体を中心に、現在130以上の印刷出版物と複数のデジタルメディアと併せ、90か国、25言語以上、65万人以上の歯科医師に対してアプローチしております。DTIの活動には、生涯研修プログラムをはじめ学術大会及び展示会の運営も行っております。
FDIや、APDF、APCD、ERO、ICOI、IDM及びIFDEAなどの主要国の歯科組織のオフィシャル・メディア・パートナーとして、DTIは真にグローバルな歯科ネットワークの拡大を推進しサポートしております。歯科専門家の結束を図り、その知識と構想を世界に広めることによって、DTIは歯科医学界の進歩と研究を積極的に推進することを目指しております。
本提携により、当社グループは、DTIの世界戦略のなかで重要視している日本の総代理店としてデンタルトリビューンジャパンを運営し、DTIのグローバルネットワークを活用し、日本のみならず世界に対して情報を発信、また、海外の著名な先生を講師としたeラーニング事業やデンタルトリビューンブランドを活用したシンポジウム事業も行っていくことで、国際展開に取り組んでまいります。
また、連結子会社であるMedical Net Thailand Co., Ltd.において、タイ・バンコクで歯科医院を運営しております。タイでの歯科医院運営を皮切りに、海外諸国において日本の先進歯科治療の普及に努めると同時に、事業化を行い新たなマーケットの拡大に取り組んでまいります。
(注)FDI:Fédération dentaire internationale
APDF:Asia Pacific Dental Federation
APCD:Asia Pacific Dental Congress
ERO:European Regional Organisation of the World Dental Federation
ICOI:International Congress of Oral Implantologists
IDM:International Dental Manufactures
IFDEA:International Federation of Dental Educators and Associations
④ 経営管理の強化
当社グループは、小規模な組織であり、管理体制も規模に応じたものとなっております。今後、事業を拡大し、継続的に企業価値を高めていくためには、事業規模に相応しい管理体制と情報管理の強化及び人材の確保・育成が重要課題であると認識しております。
そのため、内部統制システムを含む管理体制の一層の強化及び事務所への入退出管理やコンピューターネットワークのセキュリティ強化等の情報管理の徹底並びに幅広い人材採用活動や人事制度、教育研修制度の充実による高い専門性を有する人材の確保・育成に取り組んでまいります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症に関するリスクの認識
新型コロナウイルス感染症の再拡大により、再び政府から「緊急事態宣言」が発出されるなど、営業自粛や移動の制限がなされることにより、営業活動に制限を受けるとともに、役職員に感染リスクが発生する可能性があります。
今般の新型コロナウイルス感染症において、歯科医療業界及び美容・エステ業界においては患者が減少するなどの影響を受け、当社グループの広告受注にも影響を受ける可能性があります。
新型コロナウイルス感染症は再び感染拡大の兆候が見られますが、当社グループとしては引き続きマスクの着用やこまめな手洗い・消毒、テレワークの実施など、顧客及び役職員の安全を第一に考えた対応を継続してまいります。しかしながら、今後新型コロナウイルスのさらなる感染拡大が生じたり、新たな感染症が発生した場合、事業遂行上、多大な影響を受け、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 財務状況
当社グループは事業拡大を図るための先行投資を継続的に行っておりますが、運転資金の大部分は人件費関連コスト及び連結子会社である株式会社オカムラの商品仕入コストであります。そのようななか、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行3行と総額880,000千円の当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結していることもあり、当面の資金繰りについての懸念はございません。