有価証券報告書-第14期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当行グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)日本国政府の政策等について
当行は、当行法により、政府が当行の発行済株式の総数を常時保有する旨が定められているほか、前述(第1 企業の概況 3 事業の内容)のとおり、政府の監督や財務面の関与を受ける旨等が定められております。また、当行の業務運営は国の政策に基づき行われており、民間金融機関では対応が困難な分野を補完し、政策金融を機動的に実施する役割を有しております。今後においても、当行の業務運営、経営成績及び財政状態は、日本国政府の政策に影響を受けることとなります。
なお、以下の点についても留意が必要となります。
① 経済対策等への対応による影響について
当行は、2025年10月、新たに「日本戦略投資ファシリティ」を創設し、我が国が経済・国家安全保障上利益を得られるような強靱なサプライチェーンの構築等に係る案件の支援に取り組むとともに、2025年9月26日に閣議決定された「株式会社国際協力銀行法施行令の一部を改正する政令」に基づき、先進国向けの輸出金融及び先進国事業に対する投資金融につき対象分野を拡充しております。
また、2025年9月、日米両政府は、経済安全保障の強化及び持続可能な成長の実現を目的として、日本による総額5,500億ドル規模の対米投資を柱とする投資イニシアティブに関する了解覚書を取り交わしました。当行は、本イニシアティブに関する対応の実施に向けて、2025年11月にインフラ・環境ファイナンス部門に戦略投融資室を新設し、2026年5月、同室を改組する形で、日米戦略投融資部門及び日米戦略投融資部を新設しました。
更に、2026年5月、当行は「日本戦略投資ファシリティ」の下で「『アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ』に係る迅速かつ安全な取引のための金融支援ウインドウ(以下「パワー・アジアウインドウ」という。)」を創設・開始しました。パワー・アジアウインドウは、2026年4月の「エネルギー強靱化に関するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)+オンライン首脳会合」において日本政府が発表した「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」の一環で実施するものであり、現在の中東情勢の影響を踏まえ、エネルギーや重要物資のサプライチェーンの強靱化等に資する案件を支援するものです。また、「日本戦略投資ファシリティ」へのパワー・アジアウインドウ創設・開始に伴い、「パワー・アジアウインドウ」以外の案件に適用される「日本戦略投資ウインドウ」を創設・開始しています。
なお、出資の分野では、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(2013年1月11日閣議決定)を踏まえ、2013年2月26日に創設した海外展開支援出資ファシリティを実施しております。
当行は、2023年4月14日に公布、2023年10月1日に施行された「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」を踏まえ、スタートアップ投資体制を強化すべく、スタートアップ投資戦略を策定しました。また、これを受けて、2024年10月1日にスタートアップ投資委員会を新設しました。当行は、スタートアップ投資戦略に基づく投資活動や投資先の支援を通じて、日本発スタートアップの海外展開や海外スタートアップと日本企業の協業等を支援し、日本のスタートアップ・エコシステムの育成に資することを目指します。
こうした経済対策等の実施に伴う予算措置等により、日本国政府による出資の受入や政府借入、政府保証債等の発行による多額の資金調達等を行うことがあり、当行の財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
② 法的規制等について
当行は、会社法及び当行法に基づく特殊会社であり、その運営においては当該法律及び関連法令等の規制を受けております。また、当行を当事者とする合併、会社分割、株式交換、株式交付、事業の全部又は一部の譲渡及び譲受け並びに当行の解散については、会社法の規定にかかわらず、当行が独自に決定することはできず、別に法律において定めることになっております。したがって、将来において、当該法的規制等に変化が生じた場合には当行の運営その他に影響を及ぼす可能性があります。
③ 株式会社日本政策金融公庫との連帯債務について
当行の成立時までに株式会社日本政策金融公庫が発行した社債については、分離後の当行及び同公庫が連帯して債務を負い、当該社債の保有者は、当行及び同公庫の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することになります。
(2)各業務におけるリスクについて
当行は、政策金融機関として政策目的実現のための金融を業務としており、業務に伴うリスクの内容や大きさ、あるいは対処の方法は民間金融機関とは異なりますが、金融機関として適切なリスク管理を行うことの重要性を認識し、各業務においては、信用リスク、市場リスク、流動性リスク及びオペレーショナルリスクを含む業務ごとの特性を考慮したリスク管理方針及び手続を策定し、これを円滑に実施する体制を構築しております。
しかしながら、リスク管理においてすべての予期せぬリスクを管理することは困難であり、当行の各業務において何らかの想定外の事象が生じた場合には、当行の業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当行では、一般業務勘定及び特別業務勘定ごとにリスク管理を行っており、各業務において主たるリスクと認識している事項は、以下のとおりであります。
① 信用リスク
出融資保証等の業務を行っている当行においては、与信先の信用状態の悪化等により、債権の回収が不可能又は困難になり、損失を被る可能性があります。
当行の信用リスクとしては、ソヴリンリスク、カントリーリスク、コーポレートリスク及びプロジェクトリスクが挙げられます。当行が行っている対外経済取引の支援等のための金融はその性格上、外国政府・政府機関や外国企業向けのものも多く、したがって与信に伴う信用リスクとしてソヴリンリスクあるいはカントリーリスクの占める割合が比較的大きいことが特徴となっております。
したがって、与信先である各国・各地域の政治・経済等の動向や、それらに伴う個別与信先の財務状況等につき大幅に悪化した場合には、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。
当行では、外国政府等向け融資又は外国企業向け融資に関しては、当行の公的金融機関としての性格を活用して、相手国政府関係当局や国際通貨基金(IMF)・世界銀行等の国際機関あるいは地域開発金融機関並びに先進国の類似機関や民間金融機関との意見交換を通じて、与信先となる外国政府・政府機関や相手国の政治経済に関する情報を幅広く収集し、外国政府等向け与信に伴うソヴリンリスクあるいは外国企業向け与信に伴うカントリーリスクを評価しております。
信用リスク管理においては、与信決定に当たっての与信先信用力等の評価を通じた個別与信管理を行っており、細分化されたリスクカテゴリーごとの行内信用格付制度を整備し、個別与信の判断等に利用しております。また、資産自己査定により、その資産の特徴を適切に査定結果に反映し、適時の与信管理を行い、定期的に「統合リスク管理委員会」を開催し与信管理の状況をマネジメントに対して報告を行う体制としております。さらに、与信管理の状況については、独立した内部監査部門がチェックを行っております。当行では、前述の個別与信管理に加えて、ポートフォリオ全体のリスク量把握のため、長期の貸出や、ソヴリンリスクあるいはカントリーリスクを伴った融資の占める割合が大きいという当行のローン・ポートフォリオの特徴等を考慮した当行独自の信用リスク計量化モデルにより、信用リスクの計量化を行い、与信管理に活用しております。
(注)ソヴリンリスクとは外国政府等向け与信に伴うリスク、カントリーリスクとは外国企業及び外国に所在するプロジェクト向け与信に伴うリスク(コーポレートリスク及びプロジェクトリスクに付加される企業所在国及びプロジェクト所在国に起因するリスク)、コーポレートリスクとは企業向け与信に伴うリスク、プロジェクトリスクとは与信対象プロジェクトが生むキャッシュ・フローを主たる返済原資とするプロジェクトファイナンス等の場合において対象プロジェクトが計画されたキャッシュ・フローを生まないリスクを指しております。
なお、ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢による影響については、下記「(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク」に記載しております。
② 市場リスク
当行が負う市場リスクは、主に為替リスクと金利リスクで構成されております。
市場の混乱等、市場が変動した場合には、当該リスクに起因した損失を被る可能性があります。当行は、ALMにより為替リスク及び金利リスクを管理しております。市場リスク管理規則等においてリスク管理方法や手続等の詳細を規定しており、ALM委員会を設置の上、ALMの実施状況の把握・確認、今後の対応等の審議を行っております。また、金融資産及び負債の金利や期間を総合的に把握し、ギャップ分析や金利感応度分析、VaR等によりモニタリングを行い、定期的にALM委員会に報告しております。
具体的には、以下の対応を推進することにより、為替リスク及び金利リスクが顕在化した場合の影響を極小化しております。
(為替リスク)
当行では、外貨貸付業務に伴う為替変動リスクに関して、外貨貸付・調達に当たり通貨スワップ等を利用し、為替レートの変動により損失を被るリスクを原則としてフルヘッジする方針をとっております。
(金利リスク)
市場金利の変動により損失を被る金利リスクに関して、円貨貸付業務、外貨貸付業務それぞれ以下のとおりとなっております。
(ⅰ)円貨貸付業務においては、主として固定金利での資金管理を行っております。ただし、金利変動リスクの影響が大きいと考えられる部分では、スワップ等により金利リスク・ヘッジを行っており、金利リスクは限定的です。
(ⅱ)外貨貸付業務においては、原則として、貸付・調達ともに金利スワップを利用して変動金利での資金管理を行うことにより金利リスク・ヘッジを行っております。
また、ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢による影響については、下記「(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク」に記載しております。
③ 流動性リスク
当行では、預金受入を行っておらず、資金調達は財政融資資金、政府保証外債及び財投機関債などの長期・安定的な手段で実施しており、流動性リスクは限定的と考えます。また、資金繰り状況を把握し、日々の資金繰りに備えて複数の民間金融機関との間で短期借入枠を設定するなど、適切なリスク管理に努めていますが、今後の状況によっては市場の混乱又は不測の事態等において資金調達費用が増加する等の可能性があります。
また、ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢による影響については、下記「(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク」に記載しております。
④ オペレーショナルリスク
当行の業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であること、又は外生的な事象により損失を被るリスクとして、当行は、以下に掲げる事務リスク、システムリスク及び情報セキュリティリスクのほか、当行の業務に付随する直接的、間接的なさまざまなリスク(有形資産リスク、法務リスク、風評リスク、人的リスク)を負っております。当行ではこのようなリスクの把握、分析及び管理を行っており、オペレーショナルリスク事象の未然防止や再発防止に努めておりますが、不測の事態等により、それに応じた損失が発生する可能性があります。
(事務リスク)
当行は、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスクを負っております。
当行では、マニュアルの整備、事務手続におけるチェックの徹底、システム化推進などを通じ、適正な事務処理の確保に努めておりますが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。
(システムリスク)
当行は、コンピュータシステムのダウン又は誤作動等のシステムの不備等に伴い損失を被るリスク及びコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクを負っております。
当行では、①システム障害及び顧客情報の漏えい等の未然防止に努めるとともに、②緊急的なシステム停止への対応策としてコンティンジェンシープランを策定の上、訓練を実施するなど、緊急時対応の実効性向上にも努め、システムリスクの極小化を図っておりますが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。
(情報セキュリティリスク)
当行では、情報管理を含む情報セキュリティに関する内部規程及び体制の整備や役職員への教育の徹底等により、情報セキュリティに万全を期しております。しかしながら、サイバー攻撃、その他の不正アクセス、コンピュータウイルス感染等により、情報の流出、システム機能の停止等が生じ、それに対応するための費用や情報の流出に起因する損害賠償の負担等の損失を被るリスクを負っております。
(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク
当行は、我が国企業による海外事業展開や資源確保等を支援する観点からロシア向けに出融資保証業務を実施して参りました。こうした中、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵略を受けて、日本政府を含む各国政府等はロシアへの経済制裁等の各種措置を講じており、これによって、市場環境等の変化も生じております。また、2026年2月の米国・イスラエルによるイラン攻撃後、ホルムズ海峡の通行に支障が生じるなど中東情勢に混乱が生じており、原油や石油製品等のサプライチェーンは、世界的に影響を受けております。
このような状況を踏まえ、当行としても、ロシア関連の与信先や中東情勢の影響を受ける与信先について、債務者区分判定の過程で当該措置が与信先の事業や債務履行に与える影響を精査し、個別に信用リスクへの影響を評価することを通じて、こうした国際情勢の影響を貸倒引当金に反映する等、各国政府等による制裁動向を注視しつつ対応を進めております。現時点では未確定な要素もありますが、上記事象に関連して、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。また、今後の状況によって市場の混乱又は不測の事態等が生じた場合には、市場リスク等に起因する損失を被る可能性や資金調達費用が増加する等の可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)日本国政府の政策等について
当行は、当行法により、政府が当行の発行済株式の総数を常時保有する旨が定められているほか、前述(第1 企業の概況 3 事業の内容)のとおり、政府の監督や財務面の関与を受ける旨等が定められております。また、当行の業務運営は国の政策に基づき行われており、民間金融機関では対応が困難な分野を補完し、政策金融を機動的に実施する役割を有しております。今後においても、当行の業務運営、経営成績及び財政状態は、日本国政府の政策に影響を受けることとなります。
なお、以下の点についても留意が必要となります。
① 経済対策等への対応による影響について
当行は、2025年10月、新たに「日本戦略投資ファシリティ」を創設し、我が国が経済・国家安全保障上利益を得られるような強靱なサプライチェーンの構築等に係る案件の支援に取り組むとともに、2025年9月26日に閣議決定された「株式会社国際協力銀行法施行令の一部を改正する政令」に基づき、先進国向けの輸出金融及び先進国事業に対する投資金融につき対象分野を拡充しております。
また、2025年9月、日米両政府は、経済安全保障の強化及び持続可能な成長の実現を目的として、日本による総額5,500億ドル規模の対米投資を柱とする投資イニシアティブに関する了解覚書を取り交わしました。当行は、本イニシアティブに関する対応の実施に向けて、2025年11月にインフラ・環境ファイナンス部門に戦略投融資室を新設し、2026年5月、同室を改組する形で、日米戦略投融資部門及び日米戦略投融資部を新設しました。
更に、2026年5月、当行は「日本戦略投資ファシリティ」の下で「『アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ』に係る迅速かつ安全な取引のための金融支援ウインドウ(以下「パワー・アジアウインドウ」という。)」を創設・開始しました。パワー・アジアウインドウは、2026年4月の「エネルギー強靱化に関するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)+オンライン首脳会合」において日本政府が発表した「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」の一環で実施するものであり、現在の中東情勢の影響を踏まえ、エネルギーや重要物資のサプライチェーンの強靱化等に資する案件を支援するものです。また、「日本戦略投資ファシリティ」へのパワー・アジアウインドウ創設・開始に伴い、「パワー・アジアウインドウ」以外の案件に適用される「日本戦略投資ウインドウ」を創設・開始しています。
なお、出資の分野では、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(2013年1月11日閣議決定)を踏まえ、2013年2月26日に創設した海外展開支援出資ファシリティを実施しております。
当行は、2023年4月14日に公布、2023年10月1日に施行された「株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律」を踏まえ、スタートアップ投資体制を強化すべく、スタートアップ投資戦略を策定しました。また、これを受けて、2024年10月1日にスタートアップ投資委員会を新設しました。当行は、スタートアップ投資戦略に基づく投資活動や投資先の支援を通じて、日本発スタートアップの海外展開や海外スタートアップと日本企業の協業等を支援し、日本のスタートアップ・エコシステムの育成に資することを目指します。
こうした経済対策等の実施に伴う予算措置等により、日本国政府による出資の受入や政府借入、政府保証債等の発行による多額の資金調達等を行うことがあり、当行の財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
② 法的規制等について
当行は、会社法及び当行法に基づく特殊会社であり、その運営においては当該法律及び関連法令等の規制を受けております。また、当行を当事者とする合併、会社分割、株式交換、株式交付、事業の全部又は一部の譲渡及び譲受け並びに当行の解散については、会社法の規定にかかわらず、当行が独自に決定することはできず、別に法律において定めることになっております。したがって、将来において、当該法的規制等に変化が生じた場合には当行の運営その他に影響を及ぼす可能性があります。
③ 株式会社日本政策金融公庫との連帯債務について
当行の成立時までに株式会社日本政策金融公庫が発行した社債については、分離後の当行及び同公庫が連帯して債務を負い、当該社債の保有者は、当行及び同公庫の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することになります。
(2)各業務におけるリスクについて
当行は、政策金融機関として政策目的実現のための金融を業務としており、業務に伴うリスクの内容や大きさ、あるいは対処の方法は民間金融機関とは異なりますが、金融機関として適切なリスク管理を行うことの重要性を認識し、各業務においては、信用リスク、市場リスク、流動性リスク及びオペレーショナルリスクを含む業務ごとの特性を考慮したリスク管理方針及び手続を策定し、これを円滑に実施する体制を構築しております。
しかしながら、リスク管理においてすべての予期せぬリスクを管理することは困難であり、当行の各業務において何らかの想定外の事象が生じた場合には、当行の業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当行では、一般業務勘定及び特別業務勘定ごとにリスク管理を行っており、各業務において主たるリスクと認識している事項は、以下のとおりであります。
① 信用リスク
出融資保証等の業務を行っている当行においては、与信先の信用状態の悪化等により、債権の回収が不可能又は困難になり、損失を被る可能性があります。
当行の信用リスクとしては、ソヴリンリスク、カントリーリスク、コーポレートリスク及びプロジェクトリスクが挙げられます。当行が行っている対外経済取引の支援等のための金融はその性格上、外国政府・政府機関や外国企業向けのものも多く、したがって与信に伴う信用リスクとしてソヴリンリスクあるいはカントリーリスクの占める割合が比較的大きいことが特徴となっております。
したがって、与信先である各国・各地域の政治・経済等の動向や、それらに伴う個別与信先の財務状況等につき大幅に悪化した場合には、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。
当行では、外国政府等向け融資又は外国企業向け融資に関しては、当行の公的金融機関としての性格を活用して、相手国政府関係当局や国際通貨基金(IMF)・世界銀行等の国際機関あるいは地域開発金融機関並びに先進国の類似機関や民間金融機関との意見交換を通じて、与信先となる外国政府・政府機関や相手国の政治経済に関する情報を幅広く収集し、外国政府等向け与信に伴うソヴリンリスクあるいは外国企業向け与信に伴うカントリーリスクを評価しております。
信用リスク管理においては、与信決定に当たっての与信先信用力等の評価を通じた個別与信管理を行っており、細分化されたリスクカテゴリーごとの行内信用格付制度を整備し、個別与信の判断等に利用しております。また、資産自己査定により、その資産の特徴を適切に査定結果に反映し、適時の与信管理を行い、定期的に「統合リスク管理委員会」を開催し与信管理の状況をマネジメントに対して報告を行う体制としております。さらに、与信管理の状況については、独立した内部監査部門がチェックを行っております。当行では、前述の個別与信管理に加えて、ポートフォリオ全体のリスク量把握のため、長期の貸出や、ソヴリンリスクあるいはカントリーリスクを伴った融資の占める割合が大きいという当行のローン・ポートフォリオの特徴等を考慮した当行独自の信用リスク計量化モデルにより、信用リスクの計量化を行い、与信管理に活用しております。
(注)ソヴリンリスクとは外国政府等向け与信に伴うリスク、カントリーリスクとは外国企業及び外国に所在するプロジェクト向け与信に伴うリスク(コーポレートリスク及びプロジェクトリスクに付加される企業所在国及びプロジェクト所在国に起因するリスク)、コーポレートリスクとは企業向け与信に伴うリスク、プロジェクトリスクとは与信対象プロジェクトが生むキャッシュ・フローを主たる返済原資とするプロジェクトファイナンス等の場合において対象プロジェクトが計画されたキャッシュ・フローを生まないリスクを指しております。
なお、ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢による影響については、下記「(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク」に記載しております。
② 市場リスク
当行が負う市場リスクは、主に為替リスクと金利リスクで構成されております。
市場の混乱等、市場が変動した場合には、当該リスクに起因した損失を被る可能性があります。当行は、ALMにより為替リスク及び金利リスクを管理しております。市場リスク管理規則等においてリスク管理方法や手続等の詳細を規定しており、ALM委員会を設置の上、ALMの実施状況の把握・確認、今後の対応等の審議を行っております。また、金融資産及び負債の金利や期間を総合的に把握し、ギャップ分析や金利感応度分析、VaR等によりモニタリングを行い、定期的にALM委員会に報告しております。
具体的には、以下の対応を推進することにより、為替リスク及び金利リスクが顕在化した場合の影響を極小化しております。
(為替リスク)
当行では、外貨貸付業務に伴う為替変動リスクに関して、外貨貸付・調達に当たり通貨スワップ等を利用し、為替レートの変動により損失を被るリスクを原則としてフルヘッジする方針をとっております。
(金利リスク)
市場金利の変動により損失を被る金利リスクに関して、円貨貸付業務、外貨貸付業務それぞれ以下のとおりとなっております。
(ⅰ)円貨貸付業務においては、主として固定金利での資金管理を行っております。ただし、金利変動リスクの影響が大きいと考えられる部分では、スワップ等により金利リスク・ヘッジを行っており、金利リスクは限定的です。
(ⅱ)外貨貸付業務においては、原則として、貸付・調達ともに金利スワップを利用して変動金利での資金管理を行うことにより金利リスク・ヘッジを行っております。
また、ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢による影響については、下記「(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク」に記載しております。
③ 流動性リスク
当行では、預金受入を行っておらず、資金調達は財政融資資金、政府保証外債及び財投機関債などの長期・安定的な手段で実施しており、流動性リスクは限定的と考えます。また、資金繰り状況を把握し、日々の資金繰りに備えて複数の民間金融機関との間で短期借入枠を設定するなど、適切なリスク管理に努めていますが、今後の状況によっては市場の混乱又は不測の事態等において資金調達費用が増加する等の可能性があります。
また、ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢による影響については、下記「(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク」に記載しております。
④ オペレーショナルリスク
当行の業務の過程、役職員の活動若しくはシステムが不適切であること、又は外生的な事象により損失を被るリスクとして、当行は、以下に掲げる事務リスク、システムリスク及び情報セキュリティリスクのほか、当行の業務に付随する直接的、間接的なさまざまなリスク(有形資産リスク、法務リスク、風評リスク、人的リスク)を負っております。当行ではこのようなリスクの把握、分析及び管理を行っており、オペレーショナルリスク事象の未然防止や再発防止に努めておりますが、不測の事態等により、それに応じた損失が発生する可能性があります。
(事務リスク)
当行は、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスクを負っております。
当行では、マニュアルの整備、事務手続におけるチェックの徹底、システム化推進などを通じ、適正な事務処理の確保に努めておりますが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。
(システムリスク)
当行は、コンピュータシステムのダウン又は誤作動等のシステムの不備等に伴い損失を被るリスク及びコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスクを負っております。
当行では、①システム障害及び顧客情報の漏えい等の未然防止に努めるとともに、②緊急的なシステム停止への対応策としてコンティンジェンシープランを策定の上、訓練を実施するなど、緊急時対応の実効性向上にも努め、システムリスクの極小化を図っておりますが、不測の事態等においてそれに応じた損失が発生する可能性があります。
(情報セキュリティリスク)
当行では、情報管理を含む情報セキュリティに関する内部規程及び体制の整備や役職員への教育の徹底等により、情報セキュリティに万全を期しております。しかしながら、サイバー攻撃、その他の不正アクセス、コンピュータウイルス感染等により、情報の流出、システム機能の停止等が生じ、それに対応するための費用や情報の流出に起因する損害賠償の負担等の損失を被るリスクを負っております。
(3)ロシア・ウクライナ及び中東をめぐる国際情勢に関するリスク
当行は、我が国企業による海外事業展開や資源確保等を支援する観点からロシア向けに出融資保証業務を実施して参りました。こうした中、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵略を受けて、日本政府を含む各国政府等はロシアへの経済制裁等の各種措置を講じており、これによって、市場環境等の変化も生じております。また、2026年2月の米国・イスラエルによるイラン攻撃後、ホルムズ海峡の通行に支障が生じるなど中東情勢に混乱が生じており、原油や石油製品等のサプライチェーンは、世界的に影響を受けております。
このような状況を踏まえ、当行としても、ロシア関連の与信先や中東情勢の影響を受ける与信先について、債務者区分判定の過程で当該措置が与信先の事業や債務履行に与える影響を精査し、個別に信用リスクへの影響を評価することを通じて、こうした国際情勢の影響を貸倒引当金に反映する等、各国政府等による制裁動向を注視しつつ対応を進めております。現時点では未確定な要素もありますが、上記事象に関連して、当行の不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。また、今後の状況によって市場の混乱又は不測の事態等が生じた場合には、市場リスク等に起因する損失を被る可能性や資金調達費用が増加する等の可能性があります。