有価証券報告書-第9期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 10:01
【資料】
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【項目】
159項目
②戦略
≪気候変動(TCFD)関連≫
当社グループでは、事業活動に影響を及ぼすと想定される気候変動のリスクと機会を特定したうえで、財務インパクトの評価を実施しております。また、評価結果を踏まえ、当社グループの事業活動におけるCO2排出量削減やグループ会社による再生可能エネルギー発電事業への参入、お客さまへの資金やコンサルティング提供を通じた積極的な気候変動対策支援など、リスクの軽減ないし機会の獲得に向けた対応を進めています。
(ⅰ)機会
[機会認識]
当社グループが認識する気候変動に伴う主な機会は以下のとおりです。
詳細時間軸※
ビジネス機会の増加・脱炭素化に向けた気候変動関連ビジネス(コンサルティング、商品・サービスの提供等)需要の増加
・再生可能エネルギー関連融資をはじめとするサステナブルファイナンス等の取引拡大
・異常気象災害へ備えるインフラ投資、被害(事業所や住宅の毀損等)を低減させるための設備投資等への資金需要の増加
短期~長期
コスト削減・省資源、省エネルギー化等による当社グループの事業コストの低下短期~長期
社会的評価の向上・気候変動対応強化と積極的な開示による企業価値・社会的評価の向上中期~長期

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度
(ⅱ)リスク
[リスク認識]
当社グループが認識する気候変動に伴う主なリスクは以下のとおりです。
リスク詳細時間軸
物理的リスク・地球温暖化の進行による台風・洪水等の急性的な自然災害の激甚化や降水量増加等の慢性的な気候変化・お客さまの業績悪化や担保物件毀損の発生による当社グループの与信関係費用の増加
・当社グループの拠点が被災することにより事業が継続できないリスクや事業継続にかかる対策・復旧によるコスト増加
短期~長期
移行リスク・CO2排出削減目標の厳格化や炭素税の導入・引き上げなどの法規制強化、産業構造の変化・お客さまの業績悪化による当社グループの与信関係費用の増加やそれに伴う投融資方針(セクター別方針)などの事業戦略の見直し等中期~長期
・気候変動問題への取り組み不足や情報開示不足等によるレピュテーション悪化・当社グループの資金調達環境の悪化等短期~長期

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度
[シナリオ分析]
当社グループでは、気候変動シナリオを考慮した当社グループのレジリエンス(強靭性)を評価するとともに、お取引先との対話(エンゲージメント)を強化することを目的として「物理的リスク」、「移行リスク」のシナリオ分析を実施しています。なお、今年度から物理的リスクのリスク事象に「洪水による自社拠点の毀損」を追加しました。今回の分析手法により算出した当社グループへの影響額は、いずれも限定的であるとの結果になりました。分析結果はお客さまとのエンゲージメントに活用し、お客さまの気候変動対応、脱炭素化に向けた取り組みを支援し、当社グループとお客さまの機会の最大化及びリスクの最小化に努めるとともに、引き続き分析の高度化に努めてまいります。
(物理的リスク)
リスク事象洪水による
・不動産担保の毀損
・お客さまの事業停止に伴う財務悪化
・自社所有拠点の毀損
シナリオIPCCによるRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)
分析対象国内に事業拠点を有するお客さま国内の全所有建物
分析期間2050年まで
リスク指標増加が想定される与信関係費用(信用コスト)浸水被害が発生する拠点数及び毀損額
リスク量与信関係費用の増加額:最大150億円程度拠点数:111拠点(全拠点の内16.6%)
毀損額:最大15億円程度

(移行リスク)
リスク事象脱炭素社会への移行に伴うお客さまの財務悪化
シナリオ・IEAによるNZEシナリオ(1.5℃シナリオ)
・IPCCによるRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)
分析対象「電力」「石油化学」「自動車」「金属・鉱業」セクター
分析期間2050年まで
リスク指標増加が想定される与信関係費用(信用コスト)
リスク量与信関係費用の増加額:最大187億円程度

[炭素関連資産の状況]
当社グループの総与信残高※1に占める炭素関連業種※2の与信残高及び貸出金における割合は以下のとおりです。
エネルギー運輸素材・建物農業・食料・林産物
与信額1,826億円4,702億円31,228億円2,874億円40,629億円
割合1.5%3.7%24.9%2.3%32.4%

※1 貸出金、支払承諾、外国為替、私募債、コミットメントライン空枠等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く。
※2 TCFD提言における対象業種はGICS(世界産業分類)における業種分類を推奨していますが、当社では日銀業種分類に当てはめて集計しているため、差異が生じる場合があります。
≪自然資本(TNFD)関連≫
当社グループは、TNFD提言v1.0を参考に、当社グループの事業活動における自然への依存と影響、リスクと機会の分析を行いました。ただし、現時点では分析に着手した段階であり、更に精度を高めていく必要があると認識しております。今後も、調査・研究を重ね、分析の高度化に努めてまいります。
(ⅰ)依存と影響
当社グループでは、当社グループの事業活動による直接的な自然への依存と影響だけでなく、投融資活動を通じた間接的な自然への依存と影響を把握する必要があると考えています。そこで、ENCOREのデータを活用し、当社グループにおける投融資額の上位セクターについて、セクターごとの自然への依存と影響を分析・整理しました。
分析・整理の結果、自然への依存では、供給サービスの「地表水」「地下水」、調整サービスの植生による「気候調整(気温・湿度・風速などの調整)」「洪水・暴風被害抑制」、「土壌安定・浸食抑制(沿岸や砂丘等の安定化や浸食防止、雪崩や地滑りなどの防止)」に依存しているセクターが多いことが分かりました。また、自然への影響では、GHG(温室効果ガス)の排出による気候変動への影響が最も大きく、そのほか、水質・土壌の汚染に影響を与えるセクターが多いことが分かりました。
分析結果を踏まえ、当社グループでは、引き続き、お客さまの脱炭素化支援や、植樹活動などの自然保護活動に積極的に取り組むとともに、分析対象の拡大・分析内容の高度化に努めてまいります。
(ⅱ)機会
[機会認識]
TNFD提言の分類に沿った、当社グループが現時点で認識している機会は以下のとおりです。
TNFDの自然機会の分類事象例当社グループの事業活動における機会時間軸
企業業績に関する機会製品・
サービス
・自然へのポジティブな影響又はネガティブな影響の緩和効果を持つ製品・サービスの開発・拡大
・生物多様性の保全と持続可能な利用を促進する新技術の開発・普及
・競争優位性の確立
・自然関連のリスク・機会の分析や事業戦略策定を支援するコンサルティング機会の増加
・新たな投融資機会の増加
短期~中期
市場・新規市場・新興市場の広がり
・消費者の行動変化(持続可能性に配慮した製品・サービスに対する需要の増加)
・自然関連ビジネス、商品・サービスの開発中期~長期
資源の効率性・環境負荷の低い原材料への変更等の生産プロセスの転換
・自然に配慮した原材料の認証制度の広まり
・再生素材の活用とリサイクルの広まり
・水使用量と消費量の削減
・多様な原材料の活用(未利用資源の活用)
・汚染防止や廃棄の削減
・コンサルティング機会、ビジネスマッチング機会の増加
・新たな投融資機会の増加
中期~長期
資金フローと資金調達・自然関連のグリーン金融の広まり
・公的インセンティブの活用による環境保護
・新たな投融資機会の増加短期~中期
評判・ステークホルダーの理解促進・関係強化、協働の広まり
・ブランドイメージの向上、他社との差別化
・自然関連リスクへの対応やソリューション開発による評判向上
・ネイチャーポジティブへの貢献による評価の高まり・企業価値の向上
中期~長期
持続可能性のパフォーマンスに関する機会天然資源の持続可能な使用(資源の効率性と同じ)(資源の効率性と同じ)中期~長期
生態系の保護、修復、再生・自然の保全・再生活動
・地域におけるグリーンインフラの実装
・希少生物の保護
・コンサルティングニーズや投融資機会の増加中期~長期

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度
(ⅲ)リスク
[リスク認識]
TNFD提言の分類に沿った、当社グループが現時点で認識しているリスクは以下のとおりです。
事象例社会や経済への影響例当社グループの事業活動におけるリスク時間軸当社グループの主な対応策
(リスク軽減策)
物理的リスク急性・自然災害の増加
・少雨や干ばつ等の気象の変化
・病虫害の発生
・自然災害被害の増大に伴う事業停止・管理コスト増加
・農林水産物の収穫量の低下
・感染症の発生
・取引先の業績悪化による信用コストの増加
・投融資先による自然資本毀損が発生した場合のレピュテーション悪化
短期・取引先への情報提供・啓発、コンサルティング
・提携先の拡充等によるソリューションメニューの充実
慢性・土地及び海洋利用の変化
・湿地や森林の荒廃
・生態系の変化
・汚染
・農林水産資源の枯渇化
・水等資源供給の減少
・伝染病媒介生物の生息地の変化
・侵略的外来種の増加
・生産プロセス及びバリューチェーンの毀損
・渇水による操業停止
・事業のリロケーション及び調整
・原材料等の調達コスト増加
・受粉や水資源涵養等の生態系サービスの低下
中期~
長期


事象例社会や経済への影響例当社グループの事業活動におけるリスク時間軸当社グループの主な対応策
(リスク軽減策)
移行
リスク
政策/
規制
・規制・基準の導入・強化
・生産量規制の変化
・訴訟の増加
・規制・基準への対応コストの発生・増加
・調達量の減少、価格上昇によるコストの増加
・訴訟対応コストの増加
・取引先の業績悪化による信用コストの増加
・変化に対応できないことによる収益機会の逸失
・競争力の低下
中期・継続的な情報収集と動向把握に基づく対応策の策定
・取引先への情報提供・啓発、コンサルティング
・提携先の拡充等によるソリューションメニューの充実
市場/業界・消費者行動の変化
・商品・サービスに対する需要と供給の変化
・サプライチェーンからの要請拡大(トレーサビリティ、認証など)
・売上機会・顧客の喪失
・対応コストの増加(例:認証取得費用)
・自然資本・生物多様性に配慮した調達に伴うコストの増加
・業界勢力図の変化
短期~中期
技術・自然資本・生物多様性に配慮した技術の開発・普及・産業構造・事業競争力の変化
・技術開発・導入コストの増加
中期~長期
評判・自然資本の毀損への関与や対応の遅れ・不十分な場合の批判や評価の低下・ブランド価値の毀損、抗議行動、不買運動
・投資家・金融機関からの評価の低下に伴う資金調達の困難化
・従業員エンゲージメントの低下
・レピュテーションの悪化
・顧客離れや企業イメージ・ESG評価の低下
中期~
長期
・適切な情報発信とステークホルダーとの対話の実施
訴訟/
賠償
責任
・法規制、判例法の発展による賠償責任の発生
・既存法規制の強化や新たな法規制の導入に伴う賠償責任・行政処分
・生態系影響に対する反対運動による賠償責任
・自然資本・生物多様性への認識が高まり、企業活動における対応が広範となり、スキルを有する人材確保が課題となる。・自然資本・生物多様性の知見を有する人材の確保
・投融資先による自然資本毀損が発生した場合のレピュテーション悪化
短期~中期・継続的な情報収集と動向把握に基づく対応策の策定
システミックリスク生態系

安定性
リスク
・自然の喪失により、自然が重要な生態系サービスを提供できなくなることによる、連鎖的な自然破壊
・人獣共通感染症の発生(例:COVID-
19)
・複数の業種で同時に大きな財務的な損失が発生(例:乱獲による漁業の崩壊、原材料の調達困難化等)
・パンデミックが発生し、社会・経済活動が停滞する
・取引先の業績悪化による信用コストの増加
・営業活動が停滞することによる収益機会の逸失
短期~
長期
・シナリオ分析の高度化
・コンティンジェンシープランの定期的な見直し
金融
安定性
リスク
・複数の政策、法律、技術的対応、社会的対応が同時に発生・多くのセクターや個人の生活に多大な財務的・社会的影響が発生

※ 短期:5年程度、中期:10年程度、長期:30年程度

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