有価証券報告書-第22期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/24 15:01
【資料】
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【項目】
158項目

研究開発活動

当社は、先進の発想を具体化し、人々の生活と文化発展に貢献することを目標にし、商品開発から基礎的な要素技術開発まで幅広い研究開発活動を行っています。
顧客からの要求に即した商品開発及びそのための技術開発は事業部が担当しています。生産プロセス及び生産技術開発は生産・品質本部、近い将来から次世代までの技術開発はR&D本部が担当しています。また、大学、公的研究機関、関連メーカー、技術ベンチャーとの研究開発活動も積極的に行っています。
当連結会計年度には、株式会社JOLEDよりOLEDディスプレイに関する人材、知的財産権およびノウハウを継承し、当社の成長戦略の加速を図っています。
当連結会計年度の研究開発費は11,474百万円となりました。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は、下記のとおりです。
・有機EL(OLED)ディスプレイ「eLEAP」のノートPC向け製品を開発
「eLEAP」は当社が世界で初めて開発した(当社調べ)マスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成するOLEDディスプレイです。eLEAPの量産開始準備と並行して、eLEAPの新たな用途開発にも取り組んでおり、顧客からの中型サイズへの要望に応え、14インチ型ノートPC用製品を開発し、サンプルの提供を開始しています。さらには、OLED層の生産プロセスが複雑なタンデム構造を使用せずにシングル構造で従来の同サイズのOLED製品の約3倍の輝度となる1600cd/m2品の開発を進めています。
当社は、OLEDに関連する登録特許をグローバルで8,000件以上保有し、500件以上のeLEAP固有特許を出願しております。さらに、生産設備やプロセスに関するノウハウを蓄積しており、強力な知的財産ポートフォリオを構築しております。
※ eLEAPはOLEDディスプレイの量産に使用されているファインメタルマスク(FMM)を用いた有機材料の蒸着方式と比較して、製品性能(発光領域の拡大による長寿命・省電力・高輝度、高精細化、フリーシェイプ)の優位性および生産性(製造時の基板の大型化、OLED材料効率など)の優位性があり、ディスプレイデバイスに革新的な飛躍をもたらすものと考えております。
・可視光を通過する透明な5Gミリ波対応液晶メタサーフェス反射板を開発
5G通信で利用するミリ波は、超高速・大容量・低遅延な通信サービスを提供可能である一方、電波の強い直進性により、ビルや樹木の影などに電波の届きにくい場所(カバレッジホール)を発生させやすい特徴を有します。このような場所へ5Gサービスを提供する方法として、基地局からの電波を特定方向に反射させるメタサーフェス反射板が注目を集めております。
開発したメタサーフェス反射板の試作品は、ミリ波を反射する一方で可視光を通過する特徴が確認されています。今回の成果により、窓ガラスや広告媒体上に透明な方向可変型液晶メタサーフェス反射板を設置することができ、様々なシーンにおいて、カバレッジホール対策ができるようになるものと期待されます。