有価証券報告書-第18期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/23 11:19
【資料】
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【項目】
135項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他の投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、以下に記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
1.ネットリサーチ事業環境に関するリスク
(1)ネットリサーチ市場の拡大について
リサーチ事業のうち、当社グループの主力市場である国内ネットリサーチ市場は、2001年頃にインターネットの普及とともに立ち上がり、手軽さと低コストが顧客から支持されております。既存の調査手法からネットリサーチへの切替えや、従来、調査を利用していなかった潜在顧客層の顕在化など、将来の国内のネットリサーチ市場の成長を前提にした事業計画を立てておりますが、一方でその国内市場規模を正確に予測することは困難です。国内市場が当社の予測どおりに成長しない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)他社との競合について
当社グループの手がけるネットリサーチ事業において、当社グループと類似する事業を提供している事業者の事業拡大や他業種などの新規参入も予想されます。かかる状況は当社グループの事業において大きな参入障壁がないことが一因になっており、当社の強みや実行の早さを活かした改善を継続して行わないと激しい競争環境におかれ価格の下落、シェア低迷が予想されます。当社グループの目論見どおり業績が推移しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
2.事業内容に関するリスク
(1)サービスの陳腐化について
当社グループの手がけるネットリサーチ事業は、商業活動に関連する技術及び業界基準、ネットリサーチ手法の急速な変化に左右される状況にあります。また、それに伴いユーザーニーズが変化、多様化することが予想されます。これらの状況変化に対し、当社グループが適時適切に対応できなくなった場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(2)特定サービスへの依存について
当社グループの売上高の殆どは、調査会社(マーケティングリサーチ会社)からの売上が占めております。調査会社からは定期的に調査依頼を受け、効率化された実査工程のもと高い作業効率を維持できることから、当社の収益に大きく貢献しております。しかしながら、調査業界の環境変化、当社グループの顧客である調査会社間の競争激化、顧客ニーズや競合環境変化等の外的要因、当社グループ保有商品、システム障害等の内的要因に拠るところもあり、必ずしも盤石であるとは言えません。したがって、特定業界・顧客への依存は、当社グループの将来の業績に不確実性を与える要因であると考えられます。
(3)業績の季節的な変動について
当社グループの業績は下期(7月~12月)に偏重する傾向にあります。これは一般企業様における次年度のマーケティング計画の策定のための調査や年末のクリスマス商戦に向けた事前調査が下期(7月~12月)に集中することが要因と考えております。そのため年度末に計上予定の売上高が翌期にずれこむ場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)個人情報流出の可能性及び影響について
当社グループでは自社パネル会員の個人情報に加え、Cloud Panelとして他社から委託を受けたアンケート配信先情報(暗号化されたメールアドレス)を保有しております。万が一流出した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)システム開発について
当社グループは、システムに関する投資を積極的に行っており、システム開発の遅延やトラブルが発生した場合は、開発コストの増大や営業機会の損失など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)システム障害について
当社グループの事業はインターネットを利用しているため、自然災害や不正アクセス等の影響によるシステム障害が発生する可能性があります。その場合は、当社グループ及びクライアントの営業活動が停止し、当社に直接的な損害が生じる可能性があります。
(7)人材の確保及び育成について
当社グループでは、本年策定した中期経営計画を実現するために必要な人材を定義し、現状との差分を教育研修と採用で埋めていくべく、人事施策を充実させておりますが、教育研修がメインだと、人材の成長が中期経営計画実現に求められるスピードに追いつかないことや、そもそも教育研修では習得することが難しい能力もあると想定されます。そういった場合に、多くの人材を中途採用で補うとなると、人材紹介会社への成功報酬の支払いなど、採用コストが増加する可能性があります。
(8)知的財産権について
当社グループはこれまで、著作権を含めた知的財産権に関しては、他社の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止の請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。現状は商標登録のみではありますが、「知的財産管理規程」を制定しており、当社グループの知的財産権を守り、また他者の権利を侵害しない様、注意を払ってまいります。損害賠償や使用差止等があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)海外事業について
海外における予期せぬ法律・規則等の変更、政情の悪化、商慣習の相違等により事業の推進が困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクと取引リスクという形で、為替変動が当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)企業買収と戦略的提携について
当社グループは、事業拡大の手段の一つとして企業買収や戦略的提携も視野に入れ、積極的に推進してゆこうと考えています。企業買収や戦略的提携の実施に際しては十分な検討のもとに実行してまいりますが、実施した企業買収や戦略的提携が、当初期待した成果をあげられない場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)新規事業について
当社グループは、永続的な事業成長の基盤をネットリサーチ以外の分野においても創出すべく、新規事業としてマーケティング支援業務の拡大を進めています。しかしながら、インターネット業界は急速な進化・拡大をつづけており、競合他社が当社に先駆けて完成度の高いサービスの提供を開始した場合等には、当該事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。
(12)ネット調査用パネルの活用について
日本においては自社運営のinfoQに加え、複数の提携パネルを管理し、Cloud Panelを構築しております。海外においては全て提携パネルを利用しCloud Panelを構築しております。日本、海外ともに順調にCloud Panelの拡大を続けておりますが、何らかの事情により、提携パネルの利用が困難な状況に陥った場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)ネット調査用パネルの確保について
当社グループは、Cloud Panelという「提携戦略」でアンケートのパネル確保を進めてきておりますが、①昨今のスマートフォン・タブレットの台頭によるPC離れが加速し回収数がダウントレンドに入っていること、②現在の提携パネルは重複が多くなってきていること、の2点が課題と考えております。その為、重複の少ないスマホ・タブレットの会員組織との提携を早急に実現しないと必要十分なパネル確保ができず売上増加の制約要因及び、原価の上昇要因になる可能性があります。
(14)ネット調査用パネルの回答品質管理について
当社グループは、回答品質を向上させるため、当社独自の品質管理基準を作成しその改善に努めております。しかしながら、案件内容によっては回答品質を確保することができず追加調査が発生し原価の上昇要因になる可能性があります。
(15)訴訟等に関するリスクについて
当社グループの事業において、金額的にも事業継続性の観点からも、個人情報漏洩が最も大きなリスクの一つであると考えております。そのリスクの発生を低減するために、当社ではプライバシーマークを取得し、JISQ 15001に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを運用しております。また同時に、個人情報漏洩保険に加入し、賠償金額についてもリスクの移転を図っております。個人情報漏洩の他にも、業務遂行上で訴訟等に発展する可能性があるため、事業総合賠償責任保険に加入し、リスクの移転を図っております。
3. その他
(1)配当政策について
当社グループは、今後も財務状況と経営成績のバランスを考慮しながら安定的な配当の実施を行ってまいります。しかしながら、本リスク情報に記載されていないことも含め、当社グループの事業が計画通り進展しない等、当社グループの業績が悪化した場合、継続的に配当を行えない可能性があります。
(2)親会社グループとの関係について
当社グループは親会社であるGMOインターネット株式会社を中心とした企業集団(以下、GMOインターネットグループ)に属しており、同社は当社の議決権の54.59%(2019年12月31日現在)を保有する筆頭株主であり、「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、仮想通貨事業及びインキュベーション事業を行っております。
① GMOインターネットグループにおける当社グループの位置付けについて
当社は、GMOインターネットグループのインターネット広告・メディア事業に属しており、その中で、ネットリサーチ事業を担う会社と位置付けられております。また、同グループ内に類似事業会社は存在しておりません。
② GMOインターネットグループとの取引について
2019年12月期における、当社グループのGMOインターネットグループとの取引につきましては、当社グループの収益に係る取引総額は10,141千円、費用に係る取引総額は255,410千円であります。
③ 親会社等との役員の兼務関係について
a.親会社との役員の兼務関係について
2019年12月31日現在における当社役員11名のうち、親会社であるGMOインターネット㈱の役員を兼ねる者は2名であり、氏名、当社における役職及び同社における役職は以下のとおりであります。
氏名当社における役職GMOインターネット㈱における役職
熊谷 正寿取締役会長(非常勤)代表取締役会長兼社長 グループ代表
安田 昌史取締役(非常勤)取締役副社長 グループ代表補佐 グループ管理部門統括

GMOインターネットグループ代表者である熊谷正寿氏は、当社事業に関する助言を得ることを目的として当社会長の兼任を継続しておりますが、当社の経営執行に与える影響は限定的であると認識しております。
GMOインターネットグループ代表補佐グループ管理部門統括である安田昌史氏は、当社事業に関する助言を得ることを目的として当社取締役の兼任を継続しておりますが、当社の経営執行に与える影響は限定的であると認識しております。
b.兄弟会社との役員の兼務関係について
非常勤役員である当社取締役会長の熊谷正寿氏は、GMOクラウド㈱取締役会長、GMOペパボ㈱取締役会長、GMOペイメントゲートウェイ㈱取締役会長、GMO TECH㈱取締役会長、GMOメディア㈱取締役会長、GMOアドパートナーズ㈱取締役会長その他の兼務を行っております。
非常勤役員である当社取締役の安田昌史氏は、GMOクラウド㈱取締役、GMOペイメントゲートウェイ㈱取締役、GMOアドパートナーズ㈱取締役、GMOフィナンシャルホールディングス㈱取締役、GMOメディア㈱取締役、GMOペパボ㈱取締役、GMO TECH㈱取締役、GMOあおぞらネット銀行㈱社外取締役その他の兼務を行っております。
非常勤役員である当社監査役の橘弘一氏は、GMOメディア㈱非常勤監査役の兼務を行っております。
非常勤役員である当社監査役の浜谷正俊氏は、GMOペパボ㈱取締役(監査等委員)の兼務を行っております。
④ 親会社からの独立性の確保について
当社の事業展開にあたっては、親会社等の指示や事前承認に基づいてこれを行うのではなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員、及び過半数を占める専任役員を中心とする経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。また、当社の営業取引における親会社等のグループへの依存度は低く、一部を除いては、そのほとんどは当社と資本関係を有しない一般企業との取引となっております。
当社が企業価値の向上などの観点から、親会社等のグループと営業取引を行う場合には、新規取引開始時及び既存取引の継続時も含め少数株主の保護の観点から取引条件等の内容の適正性を、その他第三者との取引条件と比較しながら慎重に検討して実施しております。取引を実施した後は、取締役会に報告することとしております。