有価証券報告書-第10期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 13:14
【資料】
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【項目】
69項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度におけるサイバー・セキュリティ業界は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)により毎年発表される情報セキュリティ10大脅威によると、法人におけるサイバー脅威として多くの被害が生じている標的型攻撃が引き続き第1位となる中で、ランサムウェアによる被害が大きく順位を上げております。ランサムウェアによるサイバー攻撃は攻撃者にとって経済的なインセンティブが大きく、法人・個人問わず攻撃の対象となることもあり、被害が急拡大しております。標的型攻撃もランサムウェアによる攻撃も共にシステムの脆弱性やマルウェアが用いられ、これらの脅威に対処可能な製品又はサービスが注目されております。
このような環境の中、当事業年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
セキュリティ・プロダクトにおきましては、法人向けでは主力製品である「FFRI yarai」及び「FFRI yarai analyzer」を中心に販売が順調に推移しました。当事業年度の販売動向としましては、「FFRI yarai」では主に標的型攻撃対策を目的とする大手企業・中央省庁のニーズが拡大している他、これまで標的型攻撃対策へのモチベーションが必ずしも高くなかった中堅規模以下の層において、ランサムウェア被害の拡大を契機に当社の「FFRI yarai」のような対策製品の導入を検討する企業の増加の兆しが見え、販売が好調に推移しました。「FFRI yarai analyzer」については、SOCやCSIRTといった情報セキュリティ部門を抱える企業からの引き合いや、官公庁におけるセキュリティシステムの構築プロジェクトでの利用が売上に貢献しました。
個人向けではAndroidモバイル端末向け「FFRI安心アプリチェッカー」の販売が引き続き順調に進捗しました。
この結果、当事業年度におけるセキュリティ・プロダクトの売上高は1,294,329千円(前年同期比76.5%増)となりました。
セキュリティ・サービスにおきましては、セキュリティ技術者向けの教育・研修サービスや、車載セキュリティに関する案件等のコンサルティングサービスを中心に実施いたしました。なお、セキュリティ・サービスによる当社技術の提供には、拡大するに比例して人的リソースが必要になり、サービスの提供に限界があることから、当社では成長余地の大きいセキュリティ・プロダクトへリソースを投入しております。
この結果、当事業年度におけるセキュリティ・サービスの売上高は177,455千円(前年同期比17.7%減)となりました。
また、当社は日々拡大するサイバー脅威に対抗するため、当社製品の強化及び車載セキュリティを始めとするIoTなど新たな分野の研究開発及びこれらの製品・サービスを広くユーザーの皆様にお届けするための営業活動の強化を目的に採用を行った結果、前事業年度末に比べて17名増加し、79名となりました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,471,785千円(前年同期比55.1%増)、営業利益257,218千円(前年同期は営業損失343,837千円)、経常利益258,318千円(前年同期は経常損失343,371千円)、当期純利益271,616千円(前年同期は当期純損失341,990千円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,062,205千円増加し、1,754,260千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は1,046,786千円(前年同期は317,086千円の支出)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益257,686千円、売上増加に伴う前受収益及び長期前受収益の増加534,287千円、未払消費税等の増加59,521千円、未払金の増加45,724千円、法人税等の還付額33,883千円、売上債権の減少額37,441千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は15,590千円(前年同期は49,967千円の支出)となりました。この要因は、販売用ソフトウェアの開発および自社利用ソフトウェア購入等による無形固定資産の取得による支出8,014千円、有形固定資産の取得による支出3,936千円、敷金の差入による支出3,640円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は31,010千円(前年同期は26,726千円の収入)となりました。増加の要因は、新株予約権行使による株式の発行による収入31,010千円によるものです。