有価証券報告書-第19期(2023/07/01-2024/06/30)

【提出】
2024/09/27 13:47
【資料】
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【項目】
139項目
3.重要性がある会計方針
(1)連結の基礎
子会社は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで連結されています。子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動にさらされ、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて、当該子会社の財務諸表の調整を行っています。連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の内部取引高、内部取引によって発生した未実現損益及び債権債務残高を消去しています。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
(2)企業結合
企業結合は、取得法を用いて会計処理しています。取得に直接起因する取引費用は、発生した期に純損益として処理しています。また、認識の要件を満たす、被取得企業の識別可能な資産、負債及び偶発負債は、以下を除き、取得日の公正価値で測定しています。
・IAS第12号「法人所得税」に従った繰延税金資産・負債
・IAS第19号「従業員給付」に従った従業員給付に関連する資産・負債
のれんは、移転した企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しています。負ののれんは、直ちに純損益として認識しています。
非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理されているため、当該取引からのれんを認識していません。
(3)外貨換算
①外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算しています。期末日において再測定する外貨建資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しています。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、その公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しています。
再換算又は決済により発生した換算差額は、その期間の純損益として認識しています。ただし、非貨幣性項目の利益又は損失がその他の包括利益に計上される場合は、為替差額もその他の包括利益に計上しています。
②在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の為替レートで、収益及び費用はその期間の平均レートで機能通貨に換算しています。
在外営業活動体の財務諸表から発生した為替換算差額はその他の包括利益で認識し、為替換算差額の累積額は連結財政状態計算書の「その他の資本の構成要素」に計上しています。在外営業活動体の換算差額の累積額は、持分全体の処分あるいは支配の喪失を伴う持分の一部処分がされた場合に、処分にかかる損益の一部として当期利益に振り替えています。
(4)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、要求払預金及び取得日から3ヶ月以内に満期日又は償還日の到来する流動性の高い、容易に一定の金額に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期的な投資からなっています。
(5)金融資産の評価基準及び評価方法
①当初認識及び測定
金融資産は、金融商品の契約上の当事者になった時点で認識しています。
金融資産は、当初認識時に公正価値で測定しています。FVPLの金融資産を除いて、公正価値に取引コストを加算した金額で測定しています。
②償却原価で測定される金融資産
次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定される金融資産として分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
当該金融資産は、当初認識後は実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額で測定し、実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得又は損失は、純損益で認識しています。
③FVOCIの金融資産(資本性金融資産)
資本性金融資産は、一部を除いて公正価値の事後の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行っています。当該金融資産は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益はその他の包括利益で認識しています。FVOCIの金融資産の認識を中止した場合、その他の包括利益累計額を利益剰余金に直接振り替えており、純損益で認識していません。当該金融資産からの配当金については、金融収益として純損益で認識しています。
④FVPLの金融資産
償却原価で測定される金融資産及びFVOCIの金融資産に分類されない金融資産を、FVPLの金融資産として分類しています。当該金融資産は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益、受取配当金及び利息収益は、純損益として認識しています。
⑤金融資産の減損
償却原価で測定される金融資産は、予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しています。報告期間の各末日において、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以後に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定し、著しく増大していない場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を12ヶ月の予想信用損失と同額で測定しています。ただし、営業債権等については、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しています。減損損失認識後に、減損損失を減額する事象が発生した場合は、減損損失の戻入額を純損益で認識しています。
⑥金融資産の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値を実質的に全て移転した場合に、当該金融資産の認識を中止しています。
(6)金融負債の評価基準及び評価方法
①当初認識及び測定
金融負債は、金融商品の契約上の当事者になった時点で認識しています。
金融負債は、当初認識時に公正価値で測定しています。
②償却原価で測定される金融負債
FVPLの金融負債以外の金融負債を、償却原価で測定される金融負債として分類しています。当該金融負債は、当初認識後は実効金利法による償却原価で測定し、実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得又は損失は、純損益で認識しています。
③FVPLの金融負債
FVPLの金融負債として指定した金融負債及び企業結合において認識した条件付対価を、FVPLの金融負債として分類しています。当該金融負債は、当初認識後は公正価値で測定し、事後的な変動は純損益で認識しています。
④金融負債の認識の中止
金融負債の契約が消滅した場合、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消又は失効となった場合に、金融負債の認識を中止しています。
(7)有形固定資産
有形固定資産は、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しています。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用及び将来に発生すると見込まれる資産除去費用が含まれています。
これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始され、見積耐用年数にわたって、主として定額法により行っています。
主要な有形固定資産の見積耐用年数は、以下のとおりです。
建物及び構築物 3年~15年
工具器具及び備品 3年~10年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末に見直しを行い、必要に応じて改定しています。
(8)リース(借手)
当社グループは、契約時に契約がリース又はリースを含んだものであるかどうかを、契約の実質に基づき判断しています。リース期間は、行使することが合理的に確実な解約不能期間に延長するオプションと解約するオプションを加えて決定しています。
使用権資産については、リース負債の当初測定額に前払リース料等を調整し、当初の測定を行っており、リース期間にわたり定額法で減価償却を行っています。
リース負債は、リースの開始日より認識し、支払われていないリース料の現在価値で当初の測定を行っており、リース負債を算定するにあたり使用すべき割引率は、借手の追加借入利子率を用いています。
なお、当社グループは、以下の実務上の便法を使用しています。
・短期及び少額資産のリースに関し、使用権資産及びリース負債の免除規定を適用し、原則として、リース料をリース期間にわたり定額法で費用として認識しています。
(9)無形資産
無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しています。企業結合により取得した無形資産は、当初認識時にのれんとは区別して認識し、取得日の公正価値で測定しています。耐用年数が確定できないものを除き、当初認識後、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しています。償却は、耐用年数が確定できないものを除き、使用可能となった時点から開始され、見積耐用年数にわたって、定額法により行っています。
主要な無形資産の見積耐用年数は、以下のとおりです。
ソフトウェア 5年
顧客関連資産 3年~10年
なお、自己創設の無形資産はありません。
償却方法、耐用年数及び残存価額は、毎期末に見直しを行い、必要に応じて改定しています。
(10)のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「注記3.重要性がある会計方針(2)企業結合」に記載しています。その後は、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上しています。のれんは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は、減損損失を計上しています。
(11)非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く非金融資産については、報告日ごとに減損の兆候の有無を判定しています。減損の兆候がある場合には、その資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行っています。
資金生成単位は、継続的に使用することにより、他の資産又は資金生成単位から概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしています。
回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のいずれか高い金額としています。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率により、現在価値に割り引いて算定しています。
のれんの資金生成単位は、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定しています。
全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候があった場合には、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しています。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、純損益で認識しています。資金生成単位について認識した減損損失は、まずその資金生成単位に関連したのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額に比例的に配分しています。
過去に認識した減損損失については、報告日ごとに減損損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判定しています。減損損失の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合には、減損損失を戻し入れています。減損損失の戻し入れについては、過去の期間において当該資産について認識した減損損失がなかった場合の償却又は減価償却控除後の帳簿価額を超えない額としています。また、のれんに関する減損損失は、戻し入れを行っていません。
(12)従業員給付
①退職後給付
当社及び一部の子会社において、確定拠出年金制度を採用しています。確定拠出年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出年金制度への拠出は、従業員がサービスを提供した期間に純損益として認識しています。なお、一部の子会社において、確定給付制度として退職一時金制度を採用しています。
また、当社グループは、本邦の公的年金制度に対して掛金を拠出しています。当該公的年金制度(確定拠出制度)への拠出は、発生時に費用処理され、従業員給付に含めて処理しています。
②その他の従業員給付
その他の従業員給付については、従業員が関連する勤務を提供した時点で費用として計上しています。賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的又は推定的な債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しています。
(13)引当金
過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を持つ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に、引当金を認識しています。
引当金は、現時点の貨幣の時間価値の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値として測定しています。時の経過による引当金の増加は、金融費用として認識しています。
資産除去債務引当金については、賃借事務所・建物等に対する原状回復義務に備え、過去の原状回復実績及び事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間等を基礎として、各物件の状況を個別具体的に勘案して見積り、認識及び測定しています。これらの費用は、主に1年以上経過した後に支払われることが見込まれていますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
受注損失引当金については、受注契約に係る将来の損失に備えるため、損失が発生する可能性が高いと見込まれ、かつ、当該損失額を見積ることが可能な受注契約について、損失見込額を計上しています。これらの損失は、主に1年以内に発生することが見込まれています。
(14)資本
①普通株式
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しています。
②自己株式
自己株式を取得した場合は、直接取引費用(税効果考慮後)を含む支払対価を、資本の控除項目として認識しています。自己株式を売却した場合、受取対価を資本の増加として認識しています。
(15)収益
当社グループは、以下の5ステップアプローチを適用することにより収益を認識(IFRS第9号「金融商品」に基づく利息及び配当収益を除く。)しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する。
当社グループは、主に派遣契約及び請負契約に基づき、R&Dアウトソーシング及び施工管理アウトソーシング等のサービス提供を行っています。
これらのサービスは、主に契約期間にわたりサービスに対する支配が顧客に移転することから、一定の期間にわたり履行義務が充足されると判断しており、当該サービスの進捗度に応じて収益を認識しています。なお、派遣契約の進捗度は、時の経過に基づき、請負契約の進捗度は、見積総原価に対する発生原価の進捗度の割合で測定しています。
(16)株式報酬
当社グループは、取締役及び執行役員に対する持分決済型の株式に基づく報酬として、業績連動型譲渡制限付株式報酬制度を採用しています。受領したサービスの対価は、付与日における当社株式の公正価値で測定しており、付与日から権利確定期間にわたって定額法により費用として認識し、同額を資本の増加として認識しています。
(17)金融収益及び金融費用
金融収益は、主として受取利息及び受取配当金から構成されています。受取利息は、実効金利法により発生時に認識しています。受取配当金は、配当を受ける権利が確定した時点で認識しています。
金融費用は、主として支払利息から構成されています。支払利息は、実効金利法により発生時に認識しています。
(18)政府補助金
政府補助金は、補助金を受領すること、及び補助金交付のための付帯条件が満たされることにつき合理的な保証が得られる時点で認識しています。補助金が費用支出に関連する場合には、補償される関連費用の発生と同じ期間に、収益として計上しています。
(19)法人所得税費用
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されており、その他の包括利益で認識されるもの、資本に直接認識されるものを除き、純損益で認識しています。
当期税金は、期末日において施行され、又は実質的に施行されている税率及び税法を使用して、税務当局に納付又は税務当局から還付されると見込まれる額で測定しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、資産又は負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との間に生じる一時差異に対して認識しています。ただし、以下の一時差異については、繰延税金資産及び繰延税金負債を認識していません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合でない取引で、取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異とを生じさせない取引から発生する資産又は負債の当初認識から生じる一時差異
・子会社に対する投資に関する一時差異のうち、予測可能な期間内に一時差異が解消されない可能性が高い場合
繰延税金資産及び繰延税金負債の算定には、期末日において施行され、又は実質的に施行されている法令に基づき、一時差異の解消見込時において適用されると予想される税率を使用しています。
繰延税金資産は、一時差異、税務上の繰越欠損金及び税額控除からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な期間内に一時差異の解消される可能性が高いと認められる範囲内で認識しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債の相殺が行われるのは、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、同一の納税事業体又は純額ベースでの決済を行うことを意図している異なる納税事業体に対して、同一の税務当局によって課税されている法人所得税に関連するものである場合です。
(20)1株当たり当期利益(親会社の所有者に帰属)
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均数で除して算定しています。希薄化後1株当たり当期利益は、全ての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、親会社の所有者に帰属する当期利益及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しています。