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有価証券報告書-第79期(2025/07/01-2026/06/30)

【提出】
2026/09/28 15:39
【資料】
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【項目】
163項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜し、事業成長を図りつつ競合他社との差別化に注力するとともに、収益性の向上に取り組み、企業価値を継続的に拡大させる方針であります。また中長期的には2028年の創業100年までの方針として「Moonshot Vision 2028」と定め、既存クラウドサービスの拡充を図りつつ、リアルなまちをデジタルとコミュニティのチカラで未来の社会システム(スマートシティ)の創造を目指して推進してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2026年8月に発表した中期経営計画(ローリング版)において、創業100周年を迎える2029年6月期に過去最高益を実現することを目標とし、KPI(経営指標)として以下の数値を掲げております。営業利益については、モビリティ・サービス、スマートベニューの両セグメントの収益性を統合的に示す指標として採用しております。モビリティ・サービスにおいては、クラウドサービスをさらに充実させていく上でMRR(月次経常収益)累計を、スマートベニューにおいてはGLION ARENA KOBEの貸館事業における稼働率及びパートナーアクティベーション契約の契約総額を重要な指標として考えております。これらをKPIと認識し、企業価値の向上に努めてまいります。
① KPI(連結):営業利益
2029年6月期(予想)
モビリティ・サービスセグメント285百万円
スマートベニューセグメント1,422 〃
全社費用△280 〃
連結全社1,427 〃

② KPI(連結):その他
2029年6月期(予想)
モビリティ・サービスセグメント(MRR累計)889百万円
スマートベニューセグメント(貸館稼働率)84.4%
スマートベニューセグメント(パートナーアクティベーション契約)2,535百万円

(注)1.上記KPIについては、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2.MRR(月次経常収益)は、月次で固定的に得るクラウドサービス利用料収入を指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略
新しい公の概念を踏まえ民間企業がより社会システムを担う時代を見据え、当社におきましてはまちづくりを担う主体者として、民設民営での大規模多目的アリーナの運営を2025年4月よりスタートし、大きな事業転換を迎えた1年となりました。
2020年から開始した事業ポートフォリオの転換は、スマートベニュー事業の本格開業をもって投資フェーズから、安定回収および成長フェーズへと移りさらに加速させていく方針です。
このスマートベニューセグメントにおいては、神戸を舞台として大規模多目的アリーナの運営を踏まえ、スポーツやエンターテイメント需要を取り込んで162万人もの交流人口を生み出し、回遊性を高め、経済活性に寄与してきたと自負しております。またこの来訪者データの利活用から、スマートシティ神戸モデルの社会実装を協業企業との連携で推進しており、民間企業がまちづくりの主体者として機能していくモデルを実践しております。さらに今後はこのモデルを地方創生の戦略と位置づけ、全国への展開を模索してまいります。
今後も全国に多数計画されているスタジアム・アリーナ改革の流れの中で、ベニューを軸としたスポーツやエンターテイメントによる共感と賑わい創出を前提とし、交流人口増、まちの回遊性を高める施策などデータを利活用することで効率的に推進を図ってまいります。まち全体をマーケティングしていくという視点で、都市の社会的、経済的な価値向上を目指し、人口減少時代の特に地方におけるまちづくりインフラ事業者として全国に展開してまいります。
他方もう一つのセグメントとなるモビリティ・サービスセグメントにおきましては、引き続き自動車や建設機械などのモビリティをコネクティッドすることでデータを取得し、あらゆる社会課題に向き合ってまいります。具体的には運輸、建設などの業界における2024年問題に端を発する人材不足に対応し、建設機械やレンタカーなどの無人化、省人化ソリューション、さらに運送車両の動態管理などの全国展開を推進しております。また交通事故防止、法人車両台数の最適化、アルコールチェック点検の効率化など、社用車管理における課題に対するテレマティクスサービスも引き続き提供してまいります。
さらに今後は神戸でのスマートシティモデルに次世代モビリティを社会実装していく動きも加速させ、陸海空での移動の多様化およびデータプラットフォームの一元化やID統合などを推進すべく、すでに発表しているeVTOL(空飛ぶクルマ)のポート事業など回遊性を高めストレスのない移動を都市の機能として実装してまいります。
当社グループにおいては、業績の拡大及び収益の向上と、社会課題の解決の両立を図るとともに、スマートベニューセグメントでの貸館、パートナーアクティベーションなどの安定収益と、モビリティ・サービスセグメントでは売上高の57%を占める月次経常収益(MRR)で足元を固め、引き続き経営基盤を強固にしてまいります。さらに、大きな可能性としてスマートシティモデルの全国展開や、全国で隆盛を極めるスタジアム・アリーナ建設計画における運営支援など、よりこの領域でのポジションニングを確固たるものとしていくことで、中長期的な視座でのさらなる成長に向けて邁進してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
情報通信サービス業界の事業環境は、大きな環境変化が短期間で次々とやってきております。所有から利用へのクラウドシフトはもちろんのこと、IoTやSNSメディアなどの進化は目覚ましく、生成AI(注1)の利用が当たり前になっており、知識が無くともアプリ開発が可能となる等社会に大きな変革をもたらしていると考えられています。
また消費の傾向が体験価値へ変化し、推し活に代表されるような消費行動が拡大する中、スポーツやエンターテイメント、そしてそのためのベニュービジネスは成長領域として捉えられています。
一方、世界経済は不安定な地政学情勢の長期化、エネルギー価格を筆頭とした物価上昇、急激な為替変動、米国における関税政策の動向などの想定を超えた経営環境の変化などは、経済活動や国民生活に大きな影響が及んでおり、国内においても日本銀行の利上げ局面への移行による金利上昇等、今後も多方面にわたって先行きが不透明な状況になることが懸念されます。
当社グループはこのような環境下において、以下の項目を対処すべき重要課題として取り組んでまいります。
① 高品質なクラウドサービスの提供
社会課題の解決に資するクラウドIoTサービスの提供を推進している当社グループにとっては、安心・安全で高品質なサービスを提供することが重要な課題であると認識しております。
そのためには、技術力の向上をベースとして、システム障害やサイバー攻撃への対応、急激なトラフィック増への対処や、デバイス特性を把握した安定的なサービスをご提供するなど、あらゆる面で安心・安全なサービス運営が必要不可欠であります。
当社グループといたしましては、安定的に稼働が見込まれるクラウド環境の利用により、信頼性・可用性・保守性を踏まえた高品質なクラウドサービスの実現に向けて取り組んでまいります。
② 積極的な営業展開とアライアンス戦略
2025年4月に開業した新規事業であるスマートベニュー(注2)においては、大規模多目的アリーナの民設民営という新たな市場を切り開き価値を創造できるパートナーアクティベーションの推進が求められており、体制強化を図ってまいります。
またスマートシティモデルの他地域への水平展開や、モビリティ・サービスなどの事業において、市場やサービス提供領域の拡大への対応に向け、固有の強みやアセットを有する他社とのアライアンス戦略にも取り組んでまいります。
③ イノベーションの創出
当社グループ事業は、大きな時代の転換点において20世紀までの社会システムをデジタルのチカラで改革していくことを根幹に据えております。常に社会実装を意識して実質的な課題を念頭に置き、CASE(注3)時代の新たなモビリティ・サービスの創造、GLION ARENA KOBEを軸としたデータの利活用を踏まえたまちづくりを推進するスマートベニューなど、フィジカルとデジタルが融合する21世紀以降の社会インフラになりえる事業を推進してまいります。
このように、当社グループにおいて引き続き創造的にイノベーションを育むことが重要であると認識しております。
④ 内部管理体制の強化
内部統制システムの適正な維持は、当社グループにおいて重要な課題と認識しております。財務報告をはじめ、業務全般における適正なプロセスの整備と運用を徹底してまいります。
⑤ 人的資本への投資及び働く環境の整備
人的投資の重要性が叫ばれ、賃金増なども踏まえつつ働く環境の整備は急務であると認識しております。
競合が多数存在する当社事業領域において、イノベーションを創出し、競争優位で高品質なクラウドIoTサービスを提供するためには技術力・営業力及び組織で働く上での魅力などの裏付けが不可欠となります。
引き続き人材採用・育成・人事評価体系の整備運用及びその他の人材育成計画を策定し、知識の習得などの技術的研修と働く上での納得感を踏まえ、健康経営優良法人を継続するなど環境整備を強化するとともに、遠隔地採用など含めた多様な働き方への対応に向けた環境整備にも注力し、長く創造的な業務ができる環境を整えてまいります。
また管理職層の充実も急務であり、組織維持運営におけるマネジメントエラーなども散見される中、外部採用や多様な働き方での当社事業への参画など、より高いスキルを有し人間的魅力に富む管理職層の登用を目指してまいります。
⑥ 安定的な収益基盤の確立
2019年より事業ポートフォリオの入れ替えを進めており、2024年7月には祖業の流れをくむカーソリューション事業におけるリース車両向け物販事業を、2025年6月にはデジタルガバメント事業の一部を譲渡いたしました。スマートベニューにおけるGLION ARENA KOBEは開業一周年を迎え営業赤字は解消されましたが、4期連続で経常赤字という状況になっており、今後3ヵ年の中期経営計画を達成させることを含め、安定的な収益基盤を早期に確立することが必要だと考えております。
[用語解説]
注1.生成AI:データのパターンや関係を学習し、新しいコンテンツを生成することを目的とするAI。
注2.スマートベニュー:周辺のエリアマネジメントを含む、複合的な機能を組み合わせたサステナブル な交流施設であり、スタジアム・アリーナを核としたまちづくりを定義する言葉。
注3.CASE:Connected(つながる車)・Automatic(自動運転)・Sharing(カーシェアリング)・Electric(電気自動車)の頭文字を取った造語で、100年以上続いた内燃機関における既存自動車の概念を覆す新たな時代を表現する言葉。

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