訂正有価証券報告書-第19期(2024/04/01-2025/03/31)
(3) 戦略
当社では、社会的使命を果たし、サステナビリティをめぐる諸課題に取り組むため、以下の5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、マテリアリティに沿った各取り組みを推進しております。
なお、本マテリアリティは、外部環境の変化等を踏まえ、2024年3月に見直しを行ったものであり、見直しに当たっては、サステナビリティ委員会及び経営会議で協議・決定し、取締役会へ報告しております。

(各マテリアリティの取り組み)
マテリアリティ1 郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供
当社は、前身である簡易生命保険事業の創業以来、郵便局ネットワーク等を通じて全国のお客さまに基礎的な保険商品・サービスをご提供してまいりました。現在も、人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えし、お客さまの人生を保険の力でお守りすることが当社の社会的使命であると認識しており、この使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)をめぐる社会課題の解決に貢献するとともに、当社の持続的な成長を目指しております。そのため、常にお客さまのニーズにお応えする保険サービスをご提案するとともに、お客さまの万が一の際に迅速かつ確実に保険金をお支払いする態勢を整備してまいります。
なお、将来にわたってお客さまに保険サービスを提供する基盤を維持するため、保有契約件数(個人保険)を指標及び目標として設定しております。また、保険サービスに関するお客さまからの評価を把握し、より良いサービスの提供に活かしていくことを目的に、お客さま満足度及びネットプロモータースコア(NPS®)を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
マテリアリティ2 人々の笑顔と健康を守るWell-being向上のためのソリューションの展開
当社は、生命保険会社としてお客さまの万が一を支えるだけでなく、日々の健康づくりのサポートやサステナブル投資の推進に取り組むことにより、人々の毎日の暮らしを元気で笑顔に満ちたものにすることに貢献してまいります。当社がこうした取り組みを推進し、人々の健康で豊かな人生を支えることは、生命保険会社である当社の持続的な成長にも資するものと考えております。
具体的には、当社は、当社発祥のラジオ体操の普及推進等を通じて日々の健康づくりをサポートしたいと考えており、ラジオ体操の普及推進の進捗を把握する指標及び目標として、ラジオ体操実施率を設定しております。また、サステナブル投資の推進については、「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重点取り組みテーマとしており、これらの取り組みの進捗を把握する指標及び目標として、インパクト“K”プロジェクト※認証ファンドの累計件数及び金額を設定しております。本指標及び目標は、マテリアリティ3及び4にも関連するものです(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
※ 「インパクト“K”プロジェクト」とは、インパクト投資に関わる国内外の基準や考え方に加え、当社として重視する事項を包摂した社内認証制度です。
マテリアリティ3 多様性と人権が尊重される安心・安全で暮らしやすい地域と社会の発展への貢献
当社は、多様性や人権尊重に関する社会的要請が高まる中、これらを侵害することのない企業活動を行っていく必要があると認識しております。そのため、人々が将来にわたって安心・安全に生活できるよう、多様性や人権を尊重した地域と社会の持続的な発展に資する取り組みを行うことで、誰もが生きがいをもって豊かに暮らせる共生社会の実現に貢献いたします。
なお、地域と社会の持続的な発展に資する取り組みの進捗を把握する指標及び目標として、社会貢献活動の実施を設定しております。また、マテリアリティ2に記載のインパクト“K”プロジェクト認証ファンドの累計件数及び金額も、指標及び目標として設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
マテリアリティ4 豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献
当社は、持続的な地球環境があってこそ、当社の持続的な成長が実現できるという考えの下、気候変動への対応を行っております(詳細は、「① 気候変動に関する取り組み」を参照)。加えて、社会的要請が高まっている生物多様性・自然資本への取り組みも進めており、「自然資本への依存と影響」、「リスクと機会」の分析を実施しております。
なお、気候変動への対応として、温室効果ガス排出量の削減に向けて、当該排出量に関する指標及び目標を設定しており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。また、マテリアリティ2に記載のインパクト“K”プロジェクト認証ファンドの累計件数及び金額も、指標及び目標として設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
マテリアリティ5 サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築
当社では、1~4のマテリアリティの達成のためには、社員一人ひとりが力を発揮できる職場環境や、会社の健全な経営基盤が欠かせないものと認識しております。そのため、社員のエンゲージメントの向上や多様な人材の活躍を進める人的資本経営の推進を図るとともに、特に、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題 (適正な業務運営・法令遵守等に関して)」に記載したとおり、法令遵守等の課題を克服すべく、コンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでまいります(人的資本経営の詳細は、「② 人的資本経営の推進」を参照)。
なお、人的資本経営の進捗を把握する指標及び目標として、ES調査(エンゲージメントスコア調査)結果や、本社における女性管理職比率、育児休業取得率、障がい者雇用率(日本郵政グループ全体)を設定しております。加えて、コンプライアンスの徹底のため、具体的な実践計画であるコンプライアンス・プログラムに基づき、重点的に取り組むべき事項を選定し、推進しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
以降は、5つのマテリアリティのうち、「4 豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献」の取り組みの一つである「気候変動に関する取り組み」及び「5 サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築」の取り組みの一つである「人的資本経営の推進」について、詳細を記載いたします。
① 気候変動に関する取り組み
当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に、2019年4月に賛同を表明しており、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識し、取り組みを進めております。具体的には、TCFD提言の内容を踏まえ、気候変動関連のリスクと機会を特定するとともに、それらが当社の生命保険事業や資産運用に及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。引き続き、当社ではカーボンニュートラルの実現に向けて、低炭素社会への移行に関する取り組みを実践し、事業の持続可能性を高めてまいります。
(気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会)
生命保険事業
資産運用
※1 上記リスクと機会の特定に当たっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しております。
※2 影響の時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しております。
(主なシナリオ分析の実施内容※1)
※1 気候変動が生命保険事業及び資産運用に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。引き続き、調査・分析等を通じた影響把握に取り組んでまいります。
※2 NGFSとは、Network for Greening the Financial Systemの略語で、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行及び金融監督当局の国際的なネットワークのことです。
(低炭素社会への移行に関する取り組み)
② 人的資本経営の推進
ア.人的資本経営の考え方
当社は、お客さまから信頼され選ばれる企業になること及びお客さまに感動いただける保険サービスの提供を通じた持続的な成長を目指しており、そのためには、主体的に行動して付加価値の高い成果を発揮できる多様な人材の確保が必要不可欠であると考えております。一方で、当社では、優秀な専門人材の採用ができない可能性や、魅力的な労働条件や職場環境を提供できない場合に人材の流出、不足等を招く可能性があることを重要なリスクとして認識しております。
こうした中で、2024年5月に見直しを行った中計(2021年度~2025年度)においても、サステナビリティ経営の重要な課題として「人的資本経営・企業風土改革」を位置づけております。そして、以下に記載する「『人的資本経営』3つの基本理念」の下、人材育成及び社内環境整備の取り組みを進めることで、全役員・社員が会社とともに成長し、自信と誇りをもって堂々と仕事ができる会社を目指しております。
(「人的資本経営」3つの基本理念)
1.社員が主体的に行動する企業風土の定着
2.戦略的な人材確保
3.多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進
イ.「人的資本経営」3つの基本理念とその取り組み
a.(基本理念1)社員が主体的に行動する企業風土の定着
経営陣と社員が将来のビジョンを共有して共感することや、社員の主体性を引き出すマネジメント、多様なキャリアにチャレンジできる機会の提供、並びに、若手主体のプロジェクトの導入を通じて、社員のエンゲージメント※1の向上と主体的に行動する企業風土の定着を目指しております。
具体的には、会社が直面している課題やその取り組み等に対して、社長から全社員への定期的なメッセージ発信を行う「社長通信」や経営陣等と社員が定期的に意見交換する「フロントラインミーティング」、社員が社長に直接提案を行う制度の「かんぽ目安箱」を実施しております。これらにより、会社の将来のビジョンや方針等の理解を促進するとともに、経営陣と社員が同じ方針に基づいて全社一体となって課題等に取り組んでおります。
また、社員の主体性を引き出す取り組みとして、キャリアに関する社員本人の希望を踏まえて各社員の育成方針などの議論を行う人材育成会議を実施しております。これにより、社員一人ひとりが自身の強みや弱みに気づき、その改善等に社員自らが取り組むことで、能力やモチベーションの向上を図っております。加えて、管理職の人事評価の中で、部下社員が能力を最大限発揮できる環境の構築が役割であることを明確化するとともに、各拠点の管理職等を対象にコーチング※2研修を実施し、マネジメント手法の改善に取り組んでおります。これらにより、部下社員との定期的な対話等によるコミュニケーションを活性化するとともに、主体的に行動する社員の育成や組織力の強化を図っております。
さらに、社員の自律的な成長等を目的に、現在と異なる職務や環境で新たな業務へ自ら挑戦することができるキャリアチャレンジ制度を導入しております。これにより、社員自らが新たな業務に挑戦し、その領域でのスキル向上や視野を広げることで新たな発想等による課題解決力の向上を図るとともに、人事交流の活性化による組織間の相互理解も促進しております。
このほか、新たな取り組みとして、若手社員が組織を超えてチームを組み、自分達の裁量で重要なミッションを遂行する若手主体のプロジェクトも導入しております。
これらの取り組み等を通じた社員のエンゲージメントを客観的に把握するため、年2回ES調査を実施しており、その調査結果を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。2024年度は、各種コミュニケーション施策の継続的な取り組み等により、社員の将来への期待・自信が高まり、社員のエンゲージメントにも大きな向上が見られました。今後も、会社の理念・方向性の社員への浸透と相互尊重を中心としたコミュニケーション改革に加え、管理職へのコーチング研修等によるマネジメント力強化や、社員の主体性をさらに引き出す人材育成、社員がやりがいをもって仕事に活き活きと取り組める環境作り等、企業風土改革の取り組みを強化することで、さらなるエンゲージメント向上を目指してまいります。
※1 エンゲージメントとは、会社との深い関わり合いや関係性を意味する言葉です。
※2 コーチングとは、管理職等が部下社員とともに達成したいことを明確にすることで、考え方や行動の選択肢を増やし、社員が主体的に行動するように促すコミュニケーション・スキルです。
b.(基本理念2)戦略的な人材確保
現状及び将来必要な人材の「量」と「質」を把握し、経営戦略に合った人材の採用や強化領域への配置とリスキルの促進、各階層及び領域に応じた育成の実施により、会社の持続的な成長を支える人材を確保してまいります。
具体的には、組織及び人事面から各部門の事業拡大や変革をサポートするツールとして、現状及び将来必要な人材の「量」と「質」を可視化する人材ポートフォリオの策定を進めており、各領域別の将来的な構想を踏まえた必要要員数の整理を行うとともに、強化領域への人事異動を推進しております。これにより、当社において、重点的に強化すべき組織や今後各領域で必要となる人材を特定し、現状とのギャップ分析を実施することで、ギャップを踏まえて戦略的に採用や配置、育成を行ってまいります。その一環として、新卒採用では会社説明会やインターンシップの強化、積極的なリクルーター活動等に取り組んでまいります。経験者採用では、営業、アクチュアリー※、資産運用・リスク管理、IT・デジタル分野における専門人材等を確保するために、人材紹介会社を経由した採用や、社員からの紹介を通じた採用等を進めてまいります。これらの取り組みを測る指標として、新規採用者数に関する目標を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。また、書類審査等のバックオフィス業務の削減を進め、こうした業務に従事していた人材をリスキルし、お客さま対応を行う部門等の当社の強化領域へシフトしてまいります。
加えて、営業社員一人ひとりの能力や成長度合いを総合的かつ定量的に評価する制度を導入しており、中長期的な視点で営業社員の育成を進めてまいります。このほか、会社の成長を支えていく経営リーダーを、長期的な計画の中で戦略的に育成していくことを目的に、次世代リーダー育成プログラムを策定しており、将来を見据えて、各領域・階層に応じた社員育成を実施してまいります。
※ アクチュアリーとは、確率や統計等の手法を用いて、将来の不確実な事象の評価を行い、保険数理業務、リスクマネジメント等を行う専門職です。
c.(基本理念3)多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進
多様な人材が互いの「個」を尊重し、それぞれの役割を果たして成果を上げることや時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる環境の整備により、多様化する社会のニーズに応え、社員・お客さまの満足度の向上を目指しております。
具体的には、多様な人材の活躍の一環として、将来管理職として活躍することが期待される女性社員に向けたキャリア形成支援研修などの実施により女性活躍を推進しており、進捗を把握する指標及び目標として、本社における女性管理職比率を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
加えて、育児や介護をしながらでも安心して社員が働き続けられるよう、育児休業取得社員に対する職場復帰プログラムの実施の徹底や、仕事と育児の両立支援セミナーの開催等に取り組んでおり、進捗を把握する指標及び目標として、育児休業取得率を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。2024年度は男女ともに育児休業取得率100%となっており、これを継続するために、引き続き各種取り組みを実施いたします。
また、障がいのある方の就労能力を正しく評価し、就業機会を提供することは企業の社会的責任の一環であると考え、当社を含む日本郵政グループ各社において、障がい者雇用の推進に積極的に取り組んでおり、日本郵政グループ全体の障がい者雇用率を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。当社の主な取り組みとしては、障がいのある社員との定期的な対話や座談会の実施、専用相談窓口の設置を行うとともに、採用業務を行う拠点にこれらの取り組みを牽引する「障がい者雇用促進リーダー」を配置し、障がいのある社員の職場定着を支援しております。加えて、新たな雇用領域の創出として、本社では障がいのある社員が社内カフェ業務に従事し、コーヒーや焼き立てのパンなどを提供しております。その美味しさだけでなく、障がいのある社員の笑顔は、多くの社員から大変好評であり、ノーマライゼーション意識の浸透にも繫がる取り組みに発展しております。
当社では、社会的使命を果たし、サステナビリティをめぐる諸課題に取り組むため、以下の5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しており、マテリアリティに沿った各取り組みを推進しております。
なお、本マテリアリティは、外部環境の変化等を踏まえ、2024年3月に見直しを行ったものであり、見直しに当たっては、サステナビリティ委員会及び経営会議で協議・決定し、取締役会へ報告しております。

(各マテリアリティの取り組み)
マテリアリティ1 郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供
当社は、前身である簡易生命保険事業の創業以来、郵便局ネットワーク等を通じて全国のお客さまに基礎的な保険商品・サービスをご提供してまいりました。現在も、人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えし、お客さまの人生を保険の力でお守りすることが当社の社会的使命であると認識しており、この使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)をめぐる社会課題の解決に貢献するとともに、当社の持続的な成長を目指しております。そのため、常にお客さまのニーズにお応えする保険サービスをご提案するとともに、お客さまの万が一の際に迅速かつ確実に保険金をお支払いする態勢を整備してまいります。
なお、将来にわたってお客さまに保険サービスを提供する基盤を維持するため、保有契約件数(個人保険)を指標及び目標として設定しております。また、保険サービスに関するお客さまからの評価を把握し、より良いサービスの提供に活かしていくことを目的に、お客さま満足度及びネットプロモータースコア(NPS®)を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
| 主な 取り組み | ・地域密着の郵便局ネットワークを通じた基礎的な保障の提供 ・郵便局ネットワークとDX推進によるデジタル接点との融合 ・あらゆる世代の保障ニーズに応える商品開発 等 |
マテリアリティ2 人々の笑顔と健康を守るWell-being向上のためのソリューションの展開
当社は、生命保険会社としてお客さまの万が一を支えるだけでなく、日々の健康づくりのサポートやサステナブル投資の推進に取り組むことにより、人々の毎日の暮らしを元気で笑顔に満ちたものにすることに貢献してまいります。当社がこうした取り組みを推進し、人々の健康で豊かな人生を支えることは、生命保険会社である当社の持続的な成長にも資するものと考えております。
具体的には、当社は、当社発祥のラジオ体操の普及推進等を通じて日々の健康づくりをサポートしたいと考えており、ラジオ体操の普及推進の進捗を把握する指標及び目標として、ラジオ体操実施率を設定しております。また、サステナブル投資の推進については、「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重点取り組みテーマとしており、これらの取り組みの進捗を把握する指標及び目標として、インパクト“K”プロジェクト※認証ファンドの累計件数及び金額を設定しております。本指標及び目標は、マテリアリティ3及び4にも関連するものです(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
※ 「インパクト“K”プロジェクト」とは、インパクト投資に関わる国内外の基準や考え方に加え、当社として重視する事項を包摂した社内認証制度です。
| 主な 取り組み | ・ラジオ体操の普及推進 ・スマートフォンアプリでの健康応援サービスの提供 ・サステナブル投資の推進 等 |
マテリアリティ3 多様性と人権が尊重される安心・安全で暮らしやすい地域と社会の発展への貢献
当社は、多様性や人権尊重に関する社会的要請が高まる中、これらを侵害することのない企業活動を行っていく必要があると認識しております。そのため、人々が将来にわたって安心・安全に生活できるよう、多様性や人権を尊重した地域と社会の持続的な発展に資する取り組みを行うことで、誰もが生きがいをもって豊かに暮らせる共生社会の実現に貢献いたします。
なお、地域と社会の持続的な発展に資する取り組みの進捗を把握する指標及び目標として、社会貢献活動の実施を設定しております。また、マテリアリティ2に記載のインパクト“K”プロジェクト認証ファンドの累計件数及び金額も、指標及び目標として設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
| 主な 取り組み | ・人権を尊重した社会の実現に向けた取り組み (人権デュー・ディリジェンスの取り組み等) ・車いすテニスの支援や各拠点での社会貢献活動 ・サステナブル投資の推進 等 |
マテリアリティ4 豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献
当社は、持続的な地球環境があってこそ、当社の持続的な成長が実現できるという考えの下、気候変動への対応を行っております(詳細は、「① 気候変動に関する取り組み」を参照)。加えて、社会的要請が高まっている生物多様性・自然資本への取り組みも進めており、「自然資本への依存と影響」、「リスクと機会」の分析を実施しております。
なお、気候変動への対応として、温室効果ガス排出量の削減に向けて、当該排出量に関する指標及び目標を設定しており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。また、マテリアリティ2に記載のインパクト“K”プロジェクト認証ファンドの累計件数及び金額も、指標及び目標として設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
| 主な 取り組み | ・気候変動に関する取り組み ・生物多様性・自然資本に関する取り組み ・サステナブル投資の推進 等 |
マテリアリティ5 サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築
当社では、1~4のマテリアリティの達成のためには、社員一人ひとりが力を発揮できる職場環境や、会社の健全な経営基盤が欠かせないものと認識しております。そのため、社員のエンゲージメントの向上や多様な人材の活躍を進める人的資本経営の推進を図るとともに、特に、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び対処すべき課題 (適正な業務運営・法令遵守等に関して)」に記載したとおり、法令遵守等の課題を克服すべく、コンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでまいります(人的資本経営の詳細は、「② 人的資本経営の推進」を参照)。
なお、人的資本経営の進捗を把握する指標及び目標として、ES調査(エンゲージメントスコア調査)結果や、本社における女性管理職比率、育児休業取得率、障がい者雇用率(日本郵政グループ全体)を設定しております。加えて、コンプライアンスの徹底のため、具体的な実践計画であるコンプライアンス・プログラムに基づき、重点的に取り組むべき事項を選定し、推進しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
| 主な 取り組み | ・人的資本経営の推進 ・コンプライアンスの徹底 ・コーポレートガバナンスの強化 等 |
以降は、5つのマテリアリティのうち、「4 豊かな自然を育む地球環境の保全への貢献」の取り組みの一つである「気候変動に関する取り組み」及び「5 サステナビリティ経営を支える経営基盤の構築」の取り組みの一つである「人的資本経営の推進」について、詳細を記載いたします。
① 気候変動に関する取り組み
当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に、2019年4月に賛同を表明しており、気候変動への対応を経営上の重要課題として認識し、取り組みを進めております。具体的には、TCFD提言の内容を踏まえ、気候変動関連のリスクと機会を特定するとともに、それらが当社の生命保険事業や資産運用に及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析を実施しております。引き続き、当社ではカーボンニュートラルの実現に向けて、低炭素社会への移行に関する取り組みを実践し、事業の持続可能性を高めてまいります。
(気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会)
生命保険事業
| タイプ | 当社の認識 | 影響の時間軸 |
| 物理的リスク | 自然災害などの被害が増加することによる保険金等支払額の増加 | 短期~長期 |
| 平均気温上昇や異常気象の健康への影響により中長期的な死亡率や罹患率が変化することによる保険金等支払額の増加 | 長期 | |
| 機会 | 健康維持等の商品・サービスに対するニーズの高まりなどの消費者の保険に対するニーズの変化 | 中期~長期 |
資産運用
| タイプ | 当社の認識 | 影響の時間軸 |
| 物理的リスク | 自然災害などの増加に伴う投資先企業の損失拡大による投融資資産の価値毀損 | 短期~長期 |
| 移行リスク | 低炭素社会への移行に伴う制度変更、規制強化、消費者選好の変化の影響による投融資先企業の価値毀損 | 短期~長期 |
| 機会 | 再生可能エネルギー事業(インフラ)への投資を含む、グリーンファイナンス市場の拡大と投資機会の増加 | 短期~中期 |
※1 上記リスクと機会の特定に当たっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しております。
※2 影響の時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しております。
(主なシナリオ分析の実施内容※1)
| 項目 | 分析内容 | 分析結果 |
| 気候変動が当社の生命保険事業に及ぼす影響分析 | 熱中症死亡の増加及び熱帯性の感染症被害拡大による保険金支払額の増加を定量的に分析 | いずれも保険金支払額の増加が見込まれるが、当社の財務健全性に与える影響は限定的であることを確認 |
| 気候変動が当社の資産運用に及ぼす影響分析① | 脱炭素社会への移行に伴う経済環境の変化による当社順ざや及び保有資産への影響について、NGFS※2が公開するシナリオを用いて分析(国内外の長期金利が緩やかに上昇するシナリオを使用) | ・順ざやについて、国債等の円金利資産を保有する当社では、国内外の長期金利が緩やかに上昇するシナリオにおいて増加の見込み ・保有資産について、特に10年超の債券において一定の下落額が見込まれたが、投資先企業の収益悪化や時価評価額下落は徐々に顕在化すると想定されること及び保有資産は途中売却が可能であること等を踏まえると、当社の財務健全性に与える影響は限定的であることを確認 |
| 気候変動が当社の資産運用に及ぼす影響分析② | 各国政府による炭素税の導入など炭素コストの増加が投資先企業の財務に及ぼす影響について、定量的に分析(国内外の株式及び社債ポートフォリオが対象) | エネルギー、素材、公益事業の3業種において、炭素コストが企業財務に及ぼす影響が大きいことを確認 <当社の対応>これらの業種を中心に引き続き下表のとおりスチュワードシップ活動の実施や社会の脱炭素化に資する投資を推進することで、ポートフォリオの気候変動リスク緩和を図る |
※1 気候変動が生命保険事業及び資産運用に及ぼす影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えております。引き続き、調査・分析等を通じた影響把握に取り組んでまいります。
※2 NGFSとは、Network for Greening the Financial Systemの略語で、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行及び金融監督当局の国際的なネットワークのことです。
(低炭素社会への移行に関する取り組み)
| 事業会社として の取り組み | ・施設や車両の省エネ化 ・再生可能エネルギーの使用 |
| 機関投資家として の取り組み | ・投資判断における気候変動要素の組み込み ・気候変動への対応を重視したスチュワードシップ活動の実施 ・投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量計測及び管理 ・社会の脱炭素化に資する投資の推進 |
② 人的資本経営の推進
ア.人的資本経営の考え方
当社は、お客さまから信頼され選ばれる企業になること及びお客さまに感動いただける保険サービスの提供を通じた持続的な成長を目指しており、そのためには、主体的に行動して付加価値の高い成果を発揮できる多様な人材の確保が必要不可欠であると考えております。一方で、当社では、優秀な専門人材の採用ができない可能性や、魅力的な労働条件や職場環境を提供できない場合に人材の流出、不足等を招く可能性があることを重要なリスクとして認識しております。
こうした中で、2024年5月に見直しを行った中計(2021年度~2025年度)においても、サステナビリティ経営の重要な課題として「人的資本経営・企業風土改革」を位置づけております。そして、以下に記載する「『人的資本経営』3つの基本理念」の下、人材育成及び社内環境整備の取り組みを進めることで、全役員・社員が会社とともに成長し、自信と誇りをもって堂々と仕事ができる会社を目指しております。
(「人的資本経営」3つの基本理念)
1.社員が主体的に行動する企業風土の定着
2.戦略的な人材確保
3.多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進
イ.「人的資本経営」3つの基本理念とその取り組み
a.(基本理念1)社員が主体的に行動する企業風土の定着
経営陣と社員が将来のビジョンを共有して共感することや、社員の主体性を引き出すマネジメント、多様なキャリアにチャレンジできる機会の提供、並びに、若手主体のプロジェクトの導入を通じて、社員のエンゲージメント※1の向上と主体的に行動する企業風土の定着を目指しております。
具体的には、会社が直面している課題やその取り組み等に対して、社長から全社員への定期的なメッセージ発信を行う「社長通信」や経営陣等と社員が定期的に意見交換する「フロントラインミーティング」、社員が社長に直接提案を行う制度の「かんぽ目安箱」を実施しております。これらにより、会社の将来のビジョンや方針等の理解を促進するとともに、経営陣と社員が同じ方針に基づいて全社一体となって課題等に取り組んでおります。
また、社員の主体性を引き出す取り組みとして、キャリアに関する社員本人の希望を踏まえて各社員の育成方針などの議論を行う人材育成会議を実施しております。これにより、社員一人ひとりが自身の強みや弱みに気づき、その改善等に社員自らが取り組むことで、能力やモチベーションの向上を図っております。加えて、管理職の人事評価の中で、部下社員が能力を最大限発揮できる環境の構築が役割であることを明確化するとともに、各拠点の管理職等を対象にコーチング※2研修を実施し、マネジメント手法の改善に取り組んでおります。これらにより、部下社員との定期的な対話等によるコミュニケーションを活性化するとともに、主体的に行動する社員の育成や組織力の強化を図っております。
さらに、社員の自律的な成長等を目的に、現在と異なる職務や環境で新たな業務へ自ら挑戦することができるキャリアチャレンジ制度を導入しております。これにより、社員自らが新たな業務に挑戦し、その領域でのスキル向上や視野を広げることで新たな発想等による課題解決力の向上を図るとともに、人事交流の活性化による組織間の相互理解も促進しております。
このほか、新たな取り組みとして、若手社員が組織を超えてチームを組み、自分達の裁量で重要なミッションを遂行する若手主体のプロジェクトも導入しております。
これらの取り組み等を通じた社員のエンゲージメントを客観的に把握するため、年2回ES調査を実施しており、その調査結果を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。2024年度は、各種コミュニケーション施策の継続的な取り組み等により、社員の将来への期待・自信が高まり、社員のエンゲージメントにも大きな向上が見られました。今後も、会社の理念・方向性の社員への浸透と相互尊重を中心としたコミュニケーション改革に加え、管理職へのコーチング研修等によるマネジメント力強化や、社員の主体性をさらに引き出す人材育成、社員がやりがいをもって仕事に活き活きと取り組める環境作り等、企業風土改革の取り組みを強化することで、さらなるエンゲージメント向上を目指してまいります。
※1 エンゲージメントとは、会社との深い関わり合いや関係性を意味する言葉です。
※2 コーチングとは、管理職等が部下社員とともに達成したいことを明確にすることで、考え方や行動の選択肢を増やし、社員が主体的に行動するように促すコミュニケーション・スキルです。
b.(基本理念2)戦略的な人材確保
現状及び将来必要な人材の「量」と「質」を把握し、経営戦略に合った人材の採用や強化領域への配置とリスキルの促進、各階層及び領域に応じた育成の実施により、会社の持続的な成長を支える人材を確保してまいります。
具体的には、組織及び人事面から各部門の事業拡大や変革をサポートするツールとして、現状及び将来必要な人材の「量」と「質」を可視化する人材ポートフォリオの策定を進めており、各領域別の将来的な構想を踏まえた必要要員数の整理を行うとともに、強化領域への人事異動を推進しております。これにより、当社において、重点的に強化すべき組織や今後各領域で必要となる人材を特定し、現状とのギャップ分析を実施することで、ギャップを踏まえて戦略的に採用や配置、育成を行ってまいります。その一環として、新卒採用では会社説明会やインターンシップの強化、積極的なリクルーター活動等に取り組んでまいります。経験者採用では、営業、アクチュアリー※、資産運用・リスク管理、IT・デジタル分野における専門人材等を確保するために、人材紹介会社を経由した採用や、社員からの紹介を通じた採用等を進めてまいります。これらの取り組みを測る指標として、新規採用者数に関する目標を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。また、書類審査等のバックオフィス業務の削減を進め、こうした業務に従事していた人材をリスキルし、お客さま対応を行う部門等の当社の強化領域へシフトしてまいります。
加えて、営業社員一人ひとりの能力や成長度合いを総合的かつ定量的に評価する制度を導入しており、中長期的な視点で営業社員の育成を進めてまいります。このほか、会社の成長を支えていく経営リーダーを、長期的な計画の中で戦略的に育成していくことを目的に、次世代リーダー育成プログラムを策定しており、将来を見据えて、各領域・階層に応じた社員育成を実施してまいります。
※ アクチュアリーとは、確率や統計等の手法を用いて、将来の不確実な事象の評価を行い、保険数理業務、リスクマネジメント等を行う専門職です。
c.(基本理念3)多様な人材の活躍と柔軟な働き方の推進
多様な人材が互いの「個」を尊重し、それぞれの役割を果たして成果を上げることや時間や場所にとらわれない柔軟な働き方ができる環境の整備により、多様化する社会のニーズに応え、社員・お客さまの満足度の向上を目指しております。
具体的には、多様な人材の活躍の一環として、将来管理職として活躍することが期待される女性社員に向けたキャリア形成支援研修などの実施により女性活躍を推進しており、進捗を把握する指標及び目標として、本社における女性管理職比率を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。
加えて、育児や介護をしながらでも安心して社員が働き続けられるよう、育児休業取得社員に対する職場復帰プログラムの実施の徹底や、仕事と育児の両立支援セミナーの開催等に取り組んでおり、進捗を把握する指標及び目標として、育児休業取得率を設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。2024年度は男女ともに育児休業取得率100%となっており、これを継続するために、引き続き各種取り組みを実施いたします。
また、障がいのある方の就労能力を正しく評価し、就業機会を提供することは企業の社会的責任の一環であると考え、当社を含む日本郵政グループ各社において、障がい者雇用の推進に積極的に取り組んでおり、日本郵政グループ全体の障がい者雇用率を指標及び目標に設定しております(詳細は、「(4) 指標及び目標」を参照)。当社の主な取り組みとしては、障がいのある社員との定期的な対話や座談会の実施、専用相談窓口の設置を行うとともに、採用業務を行う拠点にこれらの取り組みを牽引する「障がい者雇用促進リーダー」を配置し、障がいのある社員の職場定着を支援しております。加えて、新たな雇用領域の創出として、本社では障がいのある社員が社内カフェ業務に従事し、コーヒーや焼き立てのパンなどを提供しております。その美味しさだけでなく、障がいのある社員の笑顔は、多くの社員から大変好評であり、ノーマライゼーション意識の浸透にも繫がる取り組みに発展しております。