有価証券報告書-第10期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
気候変動は人々の生活や事業活動の基盤である地球環境自体の変化であり、自然災害の激甚化や異常気象など、地域や企業の持続的な発展を脅かすようなさまざまな影響が顕在化しているなかで、脱炭素社会への移行に向けた動きが急速に進んでおります。
脱炭素社会へ移行する過程において、カーボンニュートラルの実現に向けた各国の政策・規制の強化や気候変動を緩和するための技術革新、気候変動問題への関心度の高まりによる消費者・投資家の価値観の変化など、経済・社会環境には大きな変化が見込まれております。こうした変化は当社グループにリスクと機会をもたらすものと認識しており、その両面から気候変動に伴う脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響を検証するとともに、それらのリスクと機会に対処すべく、気候変動への対応に係る戦略を策定し実行しております。
A. リスク
a. 気候変動に関するリスクの把握・評価
当社グループには、気候変動に関するリスクとして、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と自然災害の激甚化や異常気象などに伴う物理的な被害が生じるリスク(物理的リスク)の2つのリスクがあり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿ったリスクの把握・評価に取り組んでおります。当社グループが分類・管理している「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナルリスク」「レピュテーショナルリスク」の区分で移行リスクおよび物理的リスクを整理すると以下のとおりであります。
(短期:1~3年程度、中期:3年~10年程度、長期:10年超)
b. 気候変動に関するリスクのシナリオ分析
TCFDの提言にもとづく一定のシナリオのもとで、移行リスクおよび物理的リスクについてシナリオ分析を実施しており、2026年3月末基準の分析結果は、以下のとおりであります。
B. 機会
a. お客さまのニーズ拡大に伴う事業機会に合わせた最適なソリューション提供
気候変動に伴い脱炭素社会へ移行する過程において、脱炭素に向けた設備投資の増加等に伴う資金需要の高まりに加え、新たな金融商品・サービス等のニーズが生じており、これが当社グループにとって新たな事業機会につながると認識しております。こうした認識から、当社グループは、お客さまとのエンゲージメントを通じてニーズに合わせた最適なソリューションを提供し、お客さまの気候変動への対応を積極的に支援することで、お客さまの事業基盤が強化され、当社グループ自身の成長機会の拡大や経営の安定等につながるものと考えております。
こうした考え方にもとづく事業機会と主なソリューションは以下のとおりであります。
(※) 主なサステナブルファイナンスのラインアップ
b. 投融資ポートフォリオ・ネットゼロに向けたエンゲージメント戦略
日本では、2050年のカーボンニュートラルの実現を目標として掲げ、企業や産業の脱炭素化の推進がはかられております。こうした目標の実現に向けて、当社グループは金融機関として、投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量ネットゼロの実現を通じて貢献していくことができると認識しております。
このような認識のもと、投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・開示にかかる取り組みを推進する国際イニシアティブPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟するとともに、PCAFの定める基準にもとづき、事業貸出を中心に投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(※)を算定しております。
こうした算定結果を踏まえ、お客さまのGHG排出量削減を支援するためのアクションプランを策定しております。具体的には、炭素強度が高い「電力」「石炭」および「石油・ガス」セクターを「GHG排出量削減の目標設定セクター」として選定し、個社ごとのきめ細かいエンゲージメントを通じてGHG排出量削減に向けた取り組みを支援しております。また、中小企業をはじめとしたサプライチェーンの裾野の広い「自動車・部品」セクターのほか、脱炭素に向けた取り組みに長期間を要することが見込まれる「金属・鉱業」セクターを「エンゲージメント重点セクター」として選定し、サプライチェーンへの影響度が高いお客さまからエンゲージメントを推進し、GHG排出量の可視化、削減に向けた目標設定および削減のための取り組みを支援しております。
※投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量に関する詳細な情報については、2026年7月に当社ウェブサイト(URL https://www.yokohamafg.co.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の「横浜フィナンシャルグループ統合報告書2026」をご参照ください。
気候変動は人々の生活や事業活動の基盤である地球環境自体の変化であり、自然災害の激甚化や異常気象など、地域や企業の持続的な発展を脅かすようなさまざまな影響が顕在化しているなかで、脱炭素社会への移行に向けた動きが急速に進んでおります。
脱炭素社会へ移行する過程において、カーボンニュートラルの実現に向けた各国の政策・規制の強化や気候変動を緩和するための技術革新、気候変動問題への関心度の高まりによる消費者・投資家の価値観の変化など、経済・社会環境には大きな変化が見込まれております。こうした変化は当社グループにリスクと機会をもたらすものと認識しており、その両面から気候変動に伴う脱炭素社会への移行が事業に及ぼす影響を検証するとともに、それらのリスクと機会に対処すべく、気候変動への対応に係る戦略を策定し実行しております。
A. リスク
a. 気候変動に関するリスクの把握・評価
当社グループには、気候変動に関するリスクとして、脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と自然災害の激甚化や異常気象などに伴う物理的な被害が生じるリスク(物理的リスク)の2つのリスクがあり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿ったリスクの把握・評価に取り組んでおります。当社グループが分類・管理している「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナルリスク」「レピュテーショナルリスク」の区分で移行リスクおよび物理的リスクを整理すると以下のとおりであります。
| 想定される事例(移行リスク) | 時間軸 | 想定される事例(物理的リスク) | 時間軸 | |
| 信用 リスク | ・GHG排出に関する規制の強化や炭 素税導入により取引先の財務が悪化 するリスク ・脱炭素社会への移行に伴う技術の進 歩等により取引先の事業が座礁資産 化するリスク ・取引先における各種気候変動への対 応が不十分なため、取引先のブランド 価値が毀損し、財務が悪化するリスク ・上記の影響により与信関係費用が増 加するリスク | 中期~長期 | ・異常気象によって深刻化する洪水 等の急性的な自然災害や、降雨や 気象パターンの変化によるリスク ・慢性的な気候変化によって、建物 の毀損や事業が中断するリスク ・上記のリスクによっておこる洪水 にて取引先の社屋や工場が被災 し、担保物件の毀損や売上の減少 等、財務が悪化することにより与 信関係費用が増加するリスク | 短期~長期 |
| 市場 リスク | ・脱炭素社会への移行に影響を受ける取 引先の収益減少や既存資産等の減少 により、関連する有価証券や金融派生 商品等の価値が変動するリスク | 短期~長期 | ・異常気象等により市場が混乱した ことによって、有価証券、金融派 生商品等の価格が変動するリスク | 短期~長期 |
| 流動性 リスク | ・気候変動への対応不足に伴い、当社の 信用悪化による資金調達力の低下、預 金が流出し資金繰りが悪化するリスク | 短期~長期 | ・自然災害により被災した取引先の 資金需要の高まり・復旧復興など による資金流出が増加し資金繰り が悪化するリスク | 短期~長期 |
| オペレーショナルリスク | ・提携先・委託先も含めた不適切な 商品・サービスの販売により、損害が 発生するリスク | 短期~長期 | ・自然災害による本支店被災に伴う 有形資産の損傷や業務中断により 損害が発生するリスク | 短期~長期 |
| レピュテーショナルリスク | ・気候変動への対応不足やステークホルダーから不適切または不十分と評価されることにより当社のレピュテーションが悪化するリスク | 短期~長期 | ||
(短期:1~3年程度、中期:3年~10年程度、長期:10年超)
b. 気候変動に関するリスクのシナリオ分析
TCFDの提言にもとづく一定のシナリオのもとで、移行リスクおよび物理的リスクについてシナリオ分析を実施しており、2026年3月末基準の分析結果は、以下のとおりであります。
| 移行リスク | 物理的リスク | |
| リスク イベント | ・炭素税導入、エネルギーコストの増加 ・脱炭素社会への移行に伴う需要の変動や追加 の設備投資、研究開発費の発生 | 洪水による ・事業の中断や事業拠点の直接被害に伴う財務 悪化 ・担保物件の毀損 |
| シナリオ | ・NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局 ネットワーク)のシナリオのうち、Net Zero 2050、Below 2℃、Current Policies | ・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)に よるRCP(代表的濃度経路)シナリオ (RCP2.6:2℃シナリオ、RCP8.5:4℃シナリオ) |
| 分析手法 | ・移行シナリオにもとづき、個社別に2050年ま での財務内容を推計する手法と、セクターレ ベルに拡大した手法を組み合わせて影響を分 析し、分析結果から債務者区分の変遷をもと に、与信関係費用の増加額を算出 | ・ハザードマップのデータから洪水発生時の取引 先の財務への影響、担保への影響を算出したう えで、シナリオを踏まえ推計した2100年までの 洪水発生確率を勘案し、与信関係費用の増加額 を算出 |
| 分析対象 | 貸出のある国内事業法人(金融機関などは含まれない) うち ・「電力」セクター(再エネは除く) ・「石油・ガス」セクター・「自動車」および「自動車関連」セクター ・「鉄鋼」セクター ・「運輸」セクター ・「化学」セクター ・「非鉄金属」セクター | 貸出のある国内事業法人(金融機関などは含まれない)および個人事業主、住宅ローン、プロジェクトファイナンス |
| 分析期間 | 2050年まで | 2100年まで |
| 分析結果 | 与信関係費用:508億円~1,130億円※ Net Zero 2050:2,636億円 Below 2℃:2,014億円 ※Current Policiesシナリオとの差額 | 与信関係費用:211億円~562億円 |
B. 機会
a. お客さまのニーズ拡大に伴う事業機会に合わせた最適なソリューション提供
気候変動に伴い脱炭素社会へ移行する過程において、脱炭素に向けた設備投資の増加等に伴う資金需要の高まりに加え、新たな金融商品・サービス等のニーズが生じており、これが当社グループにとって新たな事業機会につながると認識しております。こうした認識から、当社グループは、お客さまとのエンゲージメントを通じてニーズに合わせた最適なソリューションを提供し、お客さまの気候変動への対応を積極的に支援することで、お客さまの事業基盤が強化され、当社グループ自身の成長機会の拡大や経営の安定等につながるものと考えております。
こうした考え方にもとづく事業機会と主なソリューションは以下のとおりであります。
| 事業機会 | 主なソリューション |
| 脱炭素に向けた設備投資の増加に伴う 投融資機会の拡大 | お客さまの脱炭素経営を支援するサステナブルファイナンス(※)の提供 |
| 再生可能エネルギー発電施設の増加に伴う 投融資機会の拡大 | 再生可能エネルギー関連のプロジェクトファイナンスの投融資 |
| 脱炭素に関するコンサルティング支援 ニーズの拡大 | 脱炭素関連コンサルティングサービスの提供 ・GHG排出量算定支援 ・削減計画策定支援 ・サステナビリティ開示支援 など |
| 環境に配慮した運用商品に対する ニーズの拡大 | サステナブル預金等の運用商品の提供 ・グリーン外貨定期預金 ・⦅はまぎん⦆サステナブル定期預金 など |
(※) 主なサステナブルファイナンスのラインアップ
| 取扱 金融機関 | 商品 | 内容 | |
| 横浜 銀行 | 国内外原則等にもとづいた商品 | SDGsグリーンローン/ソーシャルローン | 資金使途をグリーン・ソーシャルに関する適格プロジェクトに特定した融資 |
| SDGsサステナビリティ・リンク・ローン | 環境問題や社会課題の解決への貢献に向けたサステナビリティ活動の目標値として、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)をお客さまが設定し、達成度合いに応じて借入条件が変動する融資 | ||
| ポジティブ・インパクト・ファイナンス | お客さまの事業活動が経済・環境・社会に与える影響を包括的に分析した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書」を作成し、KPI設定とモニタリングを通じて、社会へのポジティブな貢献をめざす融資 | ||
| ⦅はまぎん⦆サステナビリティ・リンク・ローン フレームワーク型 | 横浜銀行が策定したフレームワークにもとづき提供する中堅・中小企業向けのサステナビリティ・リンク・ローンで、 「GHG排出量の算定・報告」および「SBT認定取得」の達成状況に応じて適用金利が変動する融資 | ||
| ⦅はまぎん⦆マテリアリティ・サポートローン | 自社やステークホルダーにおける重要度を踏まえたマテリアリティの特定を、横浜銀行と浜銀総合研究所がサポートし、サステナビリティ経営のステップ向上を支援する融資 | ||
| 銀行の独自商品 | ⦅はまぎん⦆トランジション・サポートローン | 電動化に伴う事業転換や、CASE・カーボンニュートラルなどの経営課題に対して、横浜銀行と神奈川産業振興センターが連携して、相談から計画策定、資金調達までサポートする融資 | |
| ⦅はまぎん⦆震災時元本免除特約付き融資 | お客さまの震災に伴うリスクをヘッジするため、大規模地震発生時に借入元本を免除する特約の付いた融資 | ||
| 生物多様性私募債 | お客さまによる私募債発行を記念して、横浜銀行が発行金額の0.1%相当額を、神奈川県の生物多様性保全の取り組みに寄付する商品 | ||
| 東日本 銀行 | 銀行の 独自商品 | 寄付型SDGs私募債 | SDGs達成に向けて取り組むお客さまとともに、私募債の発行を通じて地域のSDGs達成へ貢献する資金調達スキーム |
| SDGsステップローン2nd | 「SDGsチェックシート」の作成を通じて、具体的な施策・KPIを設定し、お客さまのSDGs経営向上を支援する融資 | ||
| 神奈川 銀行 | 銀行の独自商品 | SDGsフレンズローン | 「SDGsチェックシート」を作成して、お客さまの事業活動とSDGsの紐付けをおこない、SDGsの「ゴール」に向けて新たな取り組みを始めるお客さまを応援する融資 |
b. 投融資ポートフォリオ・ネットゼロに向けたエンゲージメント戦略
日本では、2050年のカーボンニュートラルの実現を目標として掲げ、企業や産業の脱炭素化の推進がはかられております。こうした目標の実現に向けて、当社グループは金融機関として、投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量ネットゼロの実現を通じて貢献していくことができると認識しております。
このような認識のもと、投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測・開示にかかる取り組みを推進する国際イニシアティブPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)に加盟するとともに、PCAFの定める基準にもとづき、事業貸出を中心に投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量(※)を算定しております。
こうした算定結果を踏まえ、お客さまのGHG排出量削減を支援するためのアクションプランを策定しております。具体的には、炭素強度が高い「電力」「石炭」および「石油・ガス」セクターを「GHG排出量削減の目標設定セクター」として選定し、個社ごとのきめ細かいエンゲージメントを通じてGHG排出量削減に向けた取り組みを支援しております。また、中小企業をはじめとしたサプライチェーンの裾野の広い「自動車・部品」セクターのほか、脱炭素に向けた取り組みに長期間を要することが見込まれる「金属・鉱業」セクターを「エンゲージメント重点セクター」として選定し、サプライチェーンへの影響度が高いお客さまからエンゲージメントを推進し、GHG排出量の可視化、削減に向けた目標設定および削減のための取り組みを支援しております。
※投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量に関する詳細な情報については、2026年7月に当社ウェブサイト(URL https://www.yokohamafg.co.jp/shareholder/ir/disclosure/index.html)において公表予定の「横浜フィナンシャルグループ統合報告書2026」をご参照ください。