有価証券報告書-第17期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 16:30
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は下記の3つのCを企業理念とし、「FX取引を通じて世界中の人々に平等な投資のチャンスを提供する為、低価格戦略及びフルラインアップ戦略を共に採用し挑戦し続けマーケットリーダーを目指します。」を会社経営の基本方針としております。
人と世界をつなぐ
Customer satisfaction
サポート体制の強化、顧客ニーズの早期実現など、常にお客様に期待以上のサービスを提供するよう尽力します。
Challenge
誰も経験したことのない、利用価値の高い取引環境を低コストで提供するため、あらゆる可能性を信じ挑戦し続けます。
Compliance
法令遵守はもとより顧客から高い信頼を得られるよう、コンプライアンスの概念を全社員が受容し、推進し続けるよう徹底した社員教育を行います。

(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、顧客ニーズの素早い把握・実現、取引システムの安定稼働、他社との差別化を図ったブランディング力の強化及びホワイトラベルの提供等による収益源の多様化等により安定した収益の確保を図りつつ、顧客が投資を行いやすいように、厳選されたキャンペーンの実施をしてまいります。更に、海外子会社を中心に世界市場の開拓を行い、世界的にも顧客基盤の拡充を図ってまいります。また、内部管理体制の強化や社内コンプライアンス研修の充実により、顧客ニーズを反映させたサービス提供ができる社内体制を構築してまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、財務の健全性を図る指標として、国内においては金融商品取引法により金融商品取引業者に一定水準以上に保つことが義務付けられている自己資本規制比率を掲げており、英国においては金融商品取引業者に一定基準以上に保つことが義務付けられているSolvency Ratioを掲げております。また、同業他社と比較するに当たり口座数、預り証拠金等を重視し、業績管理に活用しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、証券取引等他の金融商品と比べ近年急成長している事業といえます。その背景には、オンラインによる24時間取引が可能であること、少額からの投資が可能であること、取り扱う商品が外国為替という身近なものであるということ等、金融商品として魅力的であることが要因になっていると考えております。そのような中、当社グループでは、既存事業の一層の拡大及び安定的な収益計上への取組みが課題であると認識しており、今後の更なる成長のため、以下の内容を優先的に対処すべき課題ととらえ、対応に取り組んでまいります。
① 顧客ニーズの実現
当社グループは、競争が激化する外国為替証拠金取引事業において、競争優位性を確保するためには、顧客ニーズの把握及び実現が、重要な課題の一つであると認識しております。
そのため、当社グループは、取引システムの操作性、スプレッドの縮小等による取引コストの削減、顧客の取引収益向上につながる情報の配信、キャンペーンの継続・条件の向上等顧客ニーズを素早く把握するとともに、これらを早いサイクルで実現するための社内関係部門との連携及びシステム会社との連携を強化しております。今後もこれらの取組みについて、一層のスピードアップを図ることにより、顧客ニーズの実現に努めてまいります。
② 取引システムの安定稼働
当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、100%オンラインシステムにより運営しており、取引システムの安定稼働が、重要な課題の一つであると認識しております。
そのため、当社グループは、取引システムに関する保守・運用面の継続的な改善の他、災害や大規模なシステム障害等の有事に備えた「事業継続計画」の強化にも努めてまいります。
③ ブランディング力の強化
当社グループは、競争が激化する外国為替証拠金取引事業において、競争優位性を確保するためには、ブランディング力の強化による同業他社との差別化が、重要な課題の一つであると認識しております。
そのため、当社グループは、顧客ニーズを反映した取引アプリケーションの改善、スプレッド等の取引条件の最適化、ユニークなキャンペーンの実施及び社会貢献活動等を通じて当社グループの地位を明確化し、マス広告やWeb広告等を用いて認知度向上に努めてまいります。
④ 収益源の多様化
当社グループは、営業収益の大部分を外国為替証拠金取引事業に依存しており、外国為替市場の環境に影響を受ける可能性が高いため、外国為替市場の環境による収益面の不安定要素を軽減するとともに、安定した営業収益を確保するため、収益源の多様化を図ることが、重要な課題の一つであると認識しております。
当社グループでは、外国為替証拠金取引業者向けにホワイトラベルサービスの提供、カウンターパーティとしてカバー取引を行うなど国内外の金融商品取引業者を対象とした取引(BtoB)にも取り組んでおります。
また、外国為替証拠金取引で蓄積したノウハウをもとに、バイナリーオプションなど外国為替証拠金取引以外の金融商品の顧客向けサービス提供にも取り組んでまいります。
⑤ 海外事業の拡大
当社グループは、更なる収益基盤の拡大を図るため、海外において事業を拡大することが、重要な課題の一つであると認識しております。
そのため、2010年10月に、英国に連結子会社HIROSE FINANCIAL UK LTD.を設立しました。また、発展が目覚ましいアジア市場の開拓のため、2012年10月に香港に連結子会社HIROSE TRADING HK LIMITEDを、2014年10月にマレーシアに連結子会社Hirose Financial MY Limitedを設立しました。国内の外国為替証拠金取引事業で蓄積したノウハウを強みとし、各国の慣習、海外における金融商品の状況の把握、各国の顧客ニーズに対応したサービスの提供、低コストサービスの提供等により、海外での競争力の向上及び収益の増加に取り組んでまいります。
⑥ 優秀な人材の確保と育成
顧客への適切なサービスの提供、顧客満足度の向上を図るためには、金融商品取引業者の社員として、適切な知識、認識、サービス精神を持った優秀な人材の確保と継続的な社員育成が、重要な課題の一つであると認識しております。
そのため、当社グループの中心的存在として業務に取り組む意欲ある人材の採用・育成を積極的に行っております。また、経営理念、コンプライアンスプログラム、規程等に基づく研修をはじめ、顧客満足度向上への取組みとして、カスタマーサポート担当社員はもとより、全社員に対して育成を図ってまいります。
⑦ コンプライアンス体制の確立
当社グループの取り扱う外国為替証拠金取引は、「金融商品取引法」、「金融商品の販売等に関する法律」及び「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等により、顧客の適合性の審査、広告掲載内容の審査、リスク説明、商品説明、疑わしい取引の防止等が義務付けられており、コンプライアンス体制の確立が、重要な課題の一つであると認識しております。
当社グループでは、「コンプライアンス管理規程」、「コンプライアンスマニュアル」等の制定を行い、コンプライアンス体制を強化し、高い倫理観をもって企業活動に取り組んでおります。また、役職員に対してコンプライアンスの周知徹底を目的とした研修等を定期的に実施し、グループ全体でコンプライアンスに対する意識向上に努めております。更に、個人情報について適切な保護措置が重要であると考え、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営するプライバシーマーク取得企業として個人情報保護体制の適切な整備・運用を確保し、個人情報保護に対する意識向上を図っております。
今後においても、役職員に対するコンプライアンスの周知徹底、教育、啓蒙活動を通じ、企業情報の適時開示体制を含めたコンプライアンス体制の確立を図ってまいります。
(5) 新型コロナウイルス感染症の影響
当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、すべての取引がインターネットを通したオンラインによるものであるため、新型コロナウイルス感染症対策の外出自粛等による事業への影響については限定的であります。
そのため、新型コロナウイルス感染症による当社グループの経営環境等に与える影響は軽微であると判断しております。