有価証券報告書-第29期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/30 16:56
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【項目】
144項目

有報資料

当社グループの対処すべき課題は、以下のとおりであると認識しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは「私たちチエルは、子供たちの未来のために世界中の先生をICTで支えます」という経営理念の下、学校現場で子供たちを教える先生方の立場に寄り添い、ICTを活用した教材やシステムを開発・提供することによってICTだからこそできる学びの促進を実現することを使命と認識しております。
(2)経営環境及び戦略
当社グループを取り巻く経営環境は、GIGAスクール構想を経て、「学校DX」の加速、教員の働き方改革、そして生成AIの急速な普及といった歴史的な転換期にあります。学校現場では単なるICT機器の導入にとどまらず、教員の業務負担軽減や、個別最適な学びを支えるデータ利活用といった、本質的な学校運営の変革が強く求められております。あわせて、学校市場においては限られた予算の中で幅広いソリューションをワンストップで提供することが求められるようになってきております。当社グループは教育専業メーカーとして長年にわたり現場に寄り添うなかで培った深い現場理解と、自社の開発力を組み合わせることで、機器・ソフトウエア・運用支援までを一貫して提供できる体制を有しており、これらの強みを最大限に活かし、授業にとどまらず、働き方改革・学校DX・AI活用までを含めた領域で、先生方と学校をワンストップで支えるパートナーを目指してまいります。このような環境変化を捉え、当社は2026年4月21日付で経営理念を「私たちチエルは、子供たちの未来のために世界中の先生をICTで支えます」へと改訂いたしました。支援対象を「授業」から「先生の仕事・学校運営そのもの」へと拡張し、以下の施策に取り組んでまいります。あわせて、2026年3月には相模原市教育委員会と、同4月には鎌倉女子大学と、それぞれチエル製品の実証を伴う連携協定を締結し、現場の声を活かした製品・サービスの提供に努めてまいります。
また、学校市場における端末整備の更新需要の波が強まる中、当社グループが中長期的な成長軌道を確かなものにするため、全国に広がる強固な販売パートナー網を活かし、学校市場で培ったノウハウや製品群を地方自治体や民間企業へと横展開していくことで、企業・官公庁市場におけるストック性のある収益の拡大と業績の安定性を確立することが重要な課題であると認識しております。
(3)対処すべき課題等
当社が対処すべき主な課題は以下のとおりです。
① 小学校・中学校市場における「学校DX」の推進
小学校・中学校市場に向けては、Chromebook活用支援ツール「InterCLASS」シリーズ及び無線通信可視化・安定化ソリューション「Tbridge」などの既存製品の収益を最大化するとともに、ポストGIGAスクール期における新製品として学校DXソリューション「TeachGear」シリーズを新たに立ち上げ、先生方の働き方改革・学校DXに貢献してまいります。第17回EDIX(教育総合展)でも、AIを活用し、公用スマホで撮影した写真の管理や内線機能を提供する「公用スマホツール」、学校で決まった行事や時間割等から週案を自動で作成し、先生間で状況の共有ができる新しい情報共有ツールである「週案ツール」を提示し、これを含めたシリーズ新製品の拡充と展開を積極化します。また、同展示会にて、統合通信可視化ソリューション「Tbridge T-Manager」にネットワーク機器の死活監視機能を追加したモデルを発表し、これによりネットワークトラブル箇所を遠隔で可視化し、各校のネットワーク速度だけではなく故障機器等の判別に役立つデータを提供、現場教員やICT支援員の現場到着前に対策の検討が可能になることで負担軽減を目指します。
② 高校・大学市場における生成AI技術の組み込みと運用・保守・監視事業の拡大
高校・大学市場に向けては、語学分野における強みを活かした製品開発に取り組み、語学演習システム「CaLabo」シリーズに生成AI技術(LLM)を組み込むことで、AIエージェントによる効率的で実践的な語学学習を実現するとともに、先生の働き方改革に寄与いたします。また、統合ID管理システム「ExtraConsole」シリーズにおけるシングルサインオン製品の収益を拡大させてまいります。このほか、大手SIerと連携した大学等のシステム構築・保守、運用管理プロジェクトを展開しているなかで、導入後のサーバー、ネットワークの運用・保守・監視を24時間365日体制で実施する事業も開始しており、この大手SIerとの事業が大きく拡大しております。
また、チエルコミュニケーションブリッジ株式会社の進路事業部を会社分割形式で譲渡した先である株式会社ジンジブとは、チエルグループの所有する学校ICT事業の知見やプロダクト、及び株式会社ジンジブの有する企業・教育機関向けキャリア支援の知見やネットワークを活かしビジネス協業していく形の覚書を交わし連携を開始しました。当社グループの学習プラットフォームであるGLEXAを活用したOEM提供や、株式会社ジンジブのシステム開発に関する連携においては、すでに実績が生まれ始めております。加えて、私立高校や通信制高校向けの製品販売面での連携についても、今後さらに協業を深化させ、売上を伸ばしていく方針です。
③ 企業・官公庁市場における収益の拡大
企業・官公庁の市場について、トラストコミュニケーション株式会社及び株式会社オキジムが連結の範囲に加わったことによって当該市場の比重が増えておりますが、この市場向けの利益率を大幅に高めることが必要と考えております。まずはM&A後のPMI実施により、チエルグループ共通の事業計画、目標管理など様々な制度を導入して効率化を図り、高利益率かつ安定的なストック型のビジネスモデルへの転換を強力に推進します。
昨今、「企業内教育」や「リスキリング」が社会的にニーズとして高まる中、企業や病院・介護施設向けの従業員のリスキリングや研修のためのLMS拡販、ネットワークやセキュリティ遠隔監視の仕組みを提供することによるチエル製品販売やサービス手数料の拡大を目指します。また、学校市場において実績のあるクラウド型ニュース教材「ABLish」の仕組みを活用した、9言語に対応した多言語対応日本語学習システム「ABLish 日本へGO!」の提供を開始することで、日本の深刻な労働力不足を背景に急速に市場が拡大している「外国人労働者向けの日本語研修・定着支援ニーズ」を取り込み、地方自治体や民間企業向けの売上・利益を拡大させます。
さらに、学校市場で培ったノウハウや製品群を地方自治体や民間企業へと横展開していく取り組みを、株式会社オキジム及び四国チエルクリエイト株式会社において先行的に行ってまいりましたが、同様に当社の保有する全国の強力な販売パートナー網を通じて学校市場以外へ横展開することで、今後企業・官公庁市場の収益を拡大し、グループ全体の業績の安定性を高めてまいります。
④ グループのコンプライアンスに関するガバナンス強化
当社の子会社において法令に違反する疑義が生じたため、当社と利害関係を有さない外部専門家を含めた特別調査委員会を設置し、事実関係の解明及び決算関係手続きの早期完了のため、特別調査委員会による調査に協力をしておりました。2026年6月24日に特別調査委員会より、同日現在までの調査プロセスにより得られた結果として、当社の会計上に重要な影響を及ぼすような新たな事実は確認されていない旨が示されております。
なお、当社は引き続き特別調査委員会による調査に最大限の協力をし、調査結果につきましては、特別調査委員会の最終報告書を受領次第、速やかに公表いたします。
⑤ 海外販路の再構築
海外での売上拡大を目指してまいります。CALLシステムをいち早く取り入れ展開したイノベーターとして、コロナ前は北米、アジア圏、中東圏など、世界20か国余に自社開発製品を販売しながら現在は1カ国まで減少した海外との取引を再拡大し、過去取引のあった販売パートナーとの関係再構築を図り語学関連システムを中心とした海外への販路拡大を図ります。

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