有価証券報告書-第13期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 11:11
【資料】
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【項目】
74項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度におけるわが国の経済は、政府や日銀による経済政策により企業収益や雇用情勢に改善傾向が見られ、緩やかな回復基調が続いております。一方で、新興国経済の減速、英国のEU離脱問題、米国の政権交代等に起因する金融市場の不安定な動きもあり、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
当社のソーシャル・ウェブメディア事業が属するインターネット関連市場を取り巻く環境につきましては、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、インターネット利用人口の拡大が続いております。これに伴い、インターネットを利用した企業の情報収集ニーズが活発化しており、当社サービスに対する需要は高まっております。
また、当社のビジネス・ウェブアプリケーション事業が属するクラウド市場を取り巻く環境につきましては、業務システムのモバイル対応やITコスト削減に向けたクラウドニーズの追い風を受けて、引き続き、当社サービスに対する需要は高まっております。
このような環境の中、当社の業績につきましては、ソーシャル・ウェブメディア事業の人材紹介サービスを行うリクルーティング・サービスの組織改編による一時的な売上減少、ビジネス・ウェブアプリケーション事業における新規領域での開発コスト増加、本社移転、上場関連費用及びM&A費用等の管理コスト増加により営業利益、経常利益は減少いたしました。また、M&A資金として用意した外貨の取り崩しにより21,519千円の為替差益を計上しております。なお、業績等を勘案して、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産を取り崩すこととしたため、法人税等調整額14,356千円を計上しております。
以上の結果、当事業年度における売上高は1,022,215千円(前年同期比14.0%減)、営業損失は127,661千円、経常損失は105,296千円、当期純損失は120,246千円となりました。
当社のセグメントの業績は次のとおりであります。
ソーシャル・ウェブメディア事業
ソーシャル・ウェブメディア事業では、インターネット上にて運営している働く人のための情報プラットホーム「キャリコネ」は、当事業年度の訪問者数は47,820千人(前年同期間は、43,951千人)となりました。訪問者数と売上高が強く相関する収益構造でありますが、その一方で、国内求職者向け転職Webサービス(キャリタス転職)と既存サービス(キャリコネ転職)との統合を視野に入れた採用成果報酬サービスの再構築を行い、新規営業活動を一時停止したことにより成果報酬売上が減少いたしました。また、リクルーティング・サービスにおいて、社内リソースの配分の最適化及び管理職の育成を目的とした組織改編を行い、売上貢献度の高かったキャリア・コンサルタントを管理職に登用し部下の教育に注力したことで、有料職業紹介成約件数の一時的な売上減少が発生しました。他社との資本・事業提携においては、C2C向けサービス(注1)及びシェアリング・エコノミー型サービス(注2)を展開する株式会社レレレから平成28年11月1日付けで個人の経験・スキルを売買することができる「TimeTicket(タイムチケット)」等の事業譲り受けを行いました。現時点においては、TimeTicketサービスユーザー数増加に重点を置いており、広告宣伝費の投資及びシステム改修のためシステムエンジニアの新規採用など、投資フェーズであるため利益貢献については期初に想定していたスケジュールより遅れ来期以降になります。
この結果、当事業年度におけるソーシャル・ウェブメディア事業の売上高は482,536千円(前年同期比22.6%減)、セグメント利益は60,088千円(同77.1%減)となりました。
ビジネス・ウェブアプリケーション事業
ビジネス・ウェブアプリケーション事業では、注力するクラウドサービス世界市場規模は引き続き高い成長率が継続すると予測されており、当社が開発するクラウド型業務用ソフトウェア及び導入支援サービスへの需要も大きく拡大し、Salesforce.com社との協業により継続的に引き合いはあるものの、一部のプロジェクトに想定以上に多くのリソースを投入する必要があったため、新規プロジェクトの引き合いに十分に対応できない状況が発生し、売上高が減少いたしました。また、新規領域であるクラウド型ERP(注3)ソリューション領域に注力しましたが、一部のプロジェクトで開発スケジュールの遅延や外注費の追加コストが増加し、利益率が低下しました。当社が開発するクラウド型ソフトウェア「Voxer」は、Salesforce.com社及びAmazon社の顧客が中心となるため、提携効果による自社製品販売機会の増大が予想され、これにより、利益率の高いライセンス課金モデルへの移行を目指しましたが、新規ライセンスの販売開始が遅れたため、売上は微増にとどまりました。期初にIoT(注4)やBigData(注5)、AI(注6)を活用した次世代のソフトウェア企業と資本・事業提携を行う予定と公表しましたが、当事業年度において、株式会社エモーションテック及びココン株式会社と資本・事業提携を行い、企業のデジタルマーケティングソフトウェアや、IoT機器のセキュリティサービスを提供することで、ソリューション領域の拡大に努めております。
この結果、当事業年度におけるビジネス・ウェブアプリケーション事業の売上高は539,679千円(前年同期比4.5%減)、セグメント損失は8,100千円となりました。
(注1)C2C向けサービスとは、商取引の形態のうち主に一般消費者どうしの売買・取引を扱う形態のサービス。
(注2)シェアリング・エコノミー型サービスとは、個人間で、個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス。
(注3)ERPとは、Enterprise Resource Planningの略称。企業にあるヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効に活用し、企業の経営をより効率的に行うためのソフトウェアのこと。
(注4)IoTとは、Internet of Thingsの略称。全ての「モノ」がインターネットを介して繋がり、モノ同士が人の操作・入力を介さず自律的に最適な制御が行われることを意味する。
(注5)BigDataとは、従来のデータ処理ソフトウェアで処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物を表す。センサーから生成されたデータやインターネット上のコンテンツ等、不特定多数によって生成された情報を含む。
(注6)AIとは、Artificial Intelligenceの略称。人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステム。
(2)キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ207,336千円増加し、当事業年度末には630,872千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は250,260千円(前事業年度は230,399千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、未払金の増加21,513千円であり、支出の主な内訳は、税引前当期純損失105,296千円の計上、法人税等の支払額50,886千円、未払費用の減少40,800千円、未払消費税の減少20,978千円、売上債権の増加11,469千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は155,725千円(前事業年度は14,870千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出86,947千円、無形固定資産の取得による支出38,347千円、有形固定資産の取得による支出32,594千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は591,801千円となりました。これは主に、株式の発行による収入326,808千円、金融機関からの借入300,000千円によるものであります。