有価証券報告書-第14期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 10:51
【資料】
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【項目】
78項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境について
①インターネット関連市場の動向について
当社のソーシャル・ウェブメディア事業、ビジネス・ウェブアプリケーション事業が属するインターネット関連市場におきましては、サービスの革新、業界環境等の変化が速く、頻繁に新しいサービスの開発、サービスの提供が行われております。当社では、顧客ニーズの把握、対応等を行っておりますが、顧客ニーズの変化に対応ができない場合には、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について
当社のソーシャル・ウェブメディア事業で展開している求人情報等を取り扱う働く人のための情報プラットフォーム「キャリコネ」は、インターネット・メディアをビジネスドメインとしており、比較的容易に参入が可能であるため、他社との差別化が必要な事業であると考えております。当社は、他社との差別化強化に努めてサービスを展開しておりますが、競争力のある新規参入企業により当社グループの優位性が薄れた場合には、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)技術革新について
当社のビジネス・ウェブアプリケーション事業におきましては、インターネット技術を活用したクラウド型の業務用ソフトウェアの開発を行っております。当社のビジネス・ウェブアプリケーション事業が属する業界は、新しいテクノロジーを基盤とした新サービスの導入、技術革新が速いサイクルで行われております。
当社では、特定の技術に依存することなく、業界の変化や技術革新に柔軟に対応しておりますが、新規技術に関する技術習得やノウハウの蓄積に何らかの困難が生じた場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)システム障害について
当社は、ソーシャル・ウェブメディア事業でのサービス提供等、主としてインターネット上でサービスを提供しております。また、ビジネス・ウェブアプリケーション事業におきましても、インターネット技術を活用したクラウド型の業務用ソフトウェアの提供を行っております。当社では、インターネットシステム、業務用ソフトウェア、サーバ等の管理に細心の注意を払い、システム障害等が発生することのないように運営を行っております。しかしながら、コンピューターウイルスやハッカーの侵入、不慮の事故等によりシステム障害が発生した場合には、サービスを提供することが困難になります。当社では、コンピューターウイルスやハッカーの侵入等を回避するために必要と思われるファイアーウォールの設置等の対策を行っておりますが、万一システムに障害が発生し、長時間にわたってサービスが停止した場合、当社サービスの信頼性の低下を招き、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)法的規制について
① インターネットメディアに関連する一般的な法的規制について
当社のソーシャル・ウェブメディア事業では、インターネットメディアを介してサービスを提供しております。これらインターネットメディアを規制する主な法的規制として、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」があります。
今後、インターネットメディアの利用及び事業者を規制対象とする新たな法的規制の制定や、既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材紹介について
当社のソーシャル・ウェブメディア事業では、職業紹介を行っており、職業安定法の適用を受けております。当社は手数料を徴収して職業紹介を行うことができる有料職業紹介事業許可証(厚生労働大臣許可13-ユ-300923、有効期間:平成25年11月1日~平成30年10月31日)を厚生労働大臣より取得しております。
職業安定法には、職業紹介の適正な運営を確保するために、職業紹介事業者に対し、欠格事由あるいは取消事由に該当した場合には、許可の取消しが行われ、事業の停止が命じられる旨が定められております。今後何らかの理由により上記に抵触した場合又は法的規制が変更になった場合等には、当社の事業活動に支障を来すとともに、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材派遣について
当社は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)」第8条に基づく一般労働者派遣事業許可証(厚生労働大臣許可 般13-301400、有効期間:平成26年1月1日~平成30年12月31日)を取得しております。
「労働者派遣法」では、一般労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法 第6条)及び当該許可の取消事由(同 第14条)に該当した場合には、事業の許可を取り消し又は期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めております。
なお、現時点において、当社においては、上記に抵触する事実はないものと認識しております。しかしながら、今後何らかの理由により上記に抵触した場合又は法的な規制が変更になった場合等には、当社の事業活動に支障を来すとともに、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報保護について
当社は、ソーシャル・ウェブメディア事業の会員情報など各種個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月成立)に定められる個人情報取扱事業者に該当します。当社では、個人情報保護規程等を制定し、個人情報の取り扱いを厳格に管理するとともに、個人情報の取り扱いに関する社内教育を徹底すること、内部監査による定期的な社内チェック等の実施を行うことで、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。また、情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度である「ISO/IEC 27001:2005(JIS Q 27001:2006)(通称:ISMS)」を認証取得しております。このように法令遵守に努めておりますが、当社や当社業務提携先等の故意又は過失による個人情報の漏えい、外部からの不正アクセスによる個人情報の漏えい等が生じた場合には、当社に対する社会的信用の低下を招き、当社の事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)取引依存度の高い相手先について
当社のビジネス・ウェブアプリケーション事業では、クラウド型業務用ソフトウェアの導入支援を行っており、特定の取引先への販売金額への依存度が高くなることがあります。最近2事業年度においては、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社への売上金額及び当該売上金額の総売上金額に対する割合は下表のとおり高い状況となっております。
ソーシャル・ウェブメディア事業における提携先求人情報掲載サイトからの提携課金収入の増加や、ビジネス・ウェブアプリケーション事業における顧客企業数の増加により、特定の開発案件への依存度を低下させていく方針であります。しかしながら、受注する開発案件の規模によっては一時的に特定の取引先に対する売上高の依存が生じ、当該取引先との取引量の変化が当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
相手先第13期事業年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社177,02617.3214,13517.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(6)特定の人物への依存について
創業者であり代表取締役社長である各務正人は、現在ソーシャル・ウェブメディア事業部長を兼任しており、同事業の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社は、経営会議におけるグループリーダーへの情報共有の強化を図るとともに、権限委譲を適宜行っていくことで、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかし、何らかの理由により同氏が当社の業務を行うことが困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7)内部管理体制について
当社は、本書提出日現在、取締役4名、監査役3名、従業員86名と小規模な組織であります。
今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制を充実・強化させていく方針であり、従業員の採用及び育成を都度行っていく予定でありますが、人材確保等が思うように進まない場合や人材の流出等が生じた場合、事業の拡大や人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合には、事業展開に影響が出るなどして、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害及び事故について
当社では、地震、水害等の自然災害、事故、火災等に備え、定期的なバックアップや冗長化されたクラウド型情報システムの採用によりシステムトラブルの事前防止に努めております。当社の本社は東京都内であり、当地域内において大規模災害や事故等が発生し、本社が被害を受けた場合は、当社の事業活動に支障が生じ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)検索エンジンへの対応について
「キャリコネ」の利用者の多くは、特定の検索エンジン(「Yahoo! JAPAN」、「Google」)を経由して訪問しており、今後につきましても検索エンジンからの集客をより強化すべくSEO(検索エンジン最適化)を実施していく予定でおります。しかし、検索エンジンが検索結果を表示するロジックについて変更する等の要因により、これまでのSEOが有効に機能しなかった場合、当社サイトへの集客に影響が生じ、当社の経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(10)受託開発案件の採算について
当社のビジネス・ウェブアプリケーション事業では、クラウド型業務用ソフトウェアの導入支援を行っております。当社は、見積り精度の向上、工数管理と品質管理の徹底に努めておりますが、顧客が要求する仕様の大幅な変更や不具合の発生等によって、想定以上の経費の負担が生じた場合、プロジェクトの採算が悪化する等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)検収時期による業績の変動について
当社のビジネス・ウェブアプリケーション事業では、顧客の予算執行のタイミングとの兼ね合いから3月(決算期末)に役務提供の完了及び売上計上が偏重する傾向があります。このため、作業進捗の遅れや検収の遅れにより役務提供の完了が決算期末を超えた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)サイト運営の健全性等について
「キャリコネ」では、登録会員が企業の年収や職務環境等についてのアンケート及び口コミを自由に投稿する事が可能ですが、当社ではサイト運営に関して利用規約を明示し、登録会員の適切な利用を促すよう努めております。また、システム上、投稿可能な最小文字数や一定の単語の規制をかけている他、投稿内容の事後検閲体制により、社会道徳に反するような誹謗中傷等の不適切な投稿を発見した場合には削除を行う等、利用者の当社サービスに対する便宜性・信頼性を失わないように規制・監視を行うことで健全なサイト運営を維持しております。
また、当社は、「キャリコネ」に付帯するサービスとして、社会人やリクルーターが情報交換を目的とする「メシトモ」というソーシャルサービスを無償提供しております。当該サービスは、警察庁が公表する「インターネット異性紹介事業」の定義には該当せず、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の適用を受けないものと認識しております。当社は「メシトモ」の利用者保護の観点から年齢制限を課し、Facebookの利用データを抽出する事で不適当な利用者を排除する仕組みを整えております。
上記のように、当社では提供するサービスの健全性を維持するために十分な体制を整えていると考えており、また、サービスの構築時においては外部の弁護士を通じて関連法令への該当性に関して検証しております。しかしながら、今後、不測の事態等により当社が何らかの法的責任を問われた場合、あるいは新たな規制法令の制定及び法令の改定が行われて当社サービスが制約を受けた場合等に、当社の対応の遅れや対応に過大なコストが生じることによって、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)その他のリスクについて
① 資金使途について
当社の公募増資による調達資金の使途については、ソーシャル・ウェブメディア事業における当社ウェブサイトの訪問者数増加のための広告宣伝費、ビジネス・ウェブアプリケーション事業における提携先ソフトウェア企業が主催するイベント・セミナーへの出展費用、人員増強に伴う人材の採用費、人件費及び管理基幹システム構築のための設備資金等に充当する予定であります。しかしながら、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化に対応するため、調達資金を予定以外の使途に充当する可能性があります。また、資金使途の効果が、当社の想定と異なった場合には、当社の事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当政策について
利益配分につきましては、財政状態及び経営成績並びに経営全般を総合的に判断し、利益配当を行っていくことを基本方針としております。しかしながら、当社は本書提出日現在、事業拡大過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先して、創業以来無配当としてまいりました。
現在は内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配分を検討する方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については現時点において未定であります。
③ 新株予約権について
当社では、株主価値の向上を意識した経営推進を図るとともに、役職員の士気を高めることを目的として、当社の役職員に対して新株予約権を付与しております。
当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は53,735株であり、発行済株式総数1,159,557株の4.6%に相当しております。新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合は、1株当たりの価値が希薄化する可能性があり、将来における株価形成へ影響を及ぼす可能性があります。