有価証券報告書-第19期(平成29年6月1日-平成30年5月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは次の「ミッション/経営理念」、「ビジョン/目指すべき企業の姿」及び「経営原則/レノバのコミットメント」を掲げています。
上記の達成のため、当社グループは現在、次の5点を重視した経営を行っています。
①再生可能エネルギーへ中長期的にフォーカスする
当社グループは「日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニーとなること」というビジョンの実現を目指しており、再生可能エネルギー市場に経営資源を集中的に投下しています。脱炭素化と再生可能エネルギーの導入拡大は世界の潮流であり、日本国政府も、2030年時点のエネルギーミックスとして国内発電量に占める再生可能エネルギー(水力除く)の割合を現在の2~3倍とする方針を持っています。当社グループは、この成長市場である再生可能エネルギー市場において、中長期的に事業を拡大させていきます。
②独立系企業としてマルチ電源開発を推進する
当社グループが現時点において保有する発電所は、大規模太陽光発電が大宗を占めます。しかし収益を安定化させるため、また、成長市場の恩恵を享受するために、大規模太陽光発電のみならず、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電及び地熱発電等の複数種類電源(マルチ電源)の発電所を開発することを志向しています。当社グループは独立系資本の特性を生かして多様なパートナーと連携することで、大型で先進的なマルチ電源開発を推進していきます。
③発電所開発における主要業務を内製化し、高い収益性を追求する
発電所開発の成功確度向上と同時に事業の高収益化を実現するため、当社は発電所開発における重要なプロセスにおいて各分野のスペシャリストを社内に擁し、高付加価値業務を内製化することを重視しています。また、より高い収益性の実現のため、発電所一件当たりの開発規模の極大化を追求しています。運転中・建設中の発電所の合計出力が約450MW(2018年7月末時点)となる再生可能エネルギー発電所の開発実績に裏付けられたプロジェクト統括力により、これらを推進していきます。
④安定したキャッシュ・フローを新規事業の開発及び既存事業の内部成長のため積極的に再投資する
当社グループは既存の発電所から長期に得られる強固なキャッシュ・フローを新規の発電所開発に積極的に再投資し、持続的成長を図ることで企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めていきます。
また、当社グループは借入れを活用したハイレバレッジのファイナンススキームを開発事業ごとに組成し、各事業における必要出資額を抑えています。さらに、ファイナンス組成の初期において複数の共同出資者を募ることにより当社の出資持分を抑制して、少ない投下資本で数多くの事業を手掛けられる投資モデルを採用しています。これによって建中リスクの低減を実現させることは、リスク分散の一助となっています。また、運転開始後には、コール・オプションの行使や共同出資者との出資交渉により出資持分を向上させており、FIT期間を通じて得られるリターンの最大化を図っています。
⑤地域との共生・共創により、長期的な発展を目指す
当社グループは、全国に広がる再生可能エネルギー発電所を長期に亘って所有・運営していきます。また、再生可能エネルギーとは本来それが存在する地域の資源であり、発電所はその資源を活用させて頂いているという視点を、当社グループは大事にしています。今後も、当社グループの各発電所がそれぞれの地域に根ざし、地域関係者との長期的な共生・共創の関係を構築・維持出来るよう尽力していきます。
(2) 目標とする経営指標
①EBITDAを重視した経営管理
当社グループの再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費が全体の費用に占める割合は大きい傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは経営指標としてEBITDA(経常利益+純支払利息+減価償却費+長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)+のれん償却額+繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却))を重視し、その持続的な増大を目指していきます。
下記の図は、最近の大規模太陽光発電開発の計画に基づき、FIT期間における再生可能エネルギー発電所の売上高、EBITDA、経常利益の推移イメージを図示したものです。当該期間においては、全発電量につき固定価格による売電契約を締結していることから、予見性の高い売上高を見込むことが可能です。売上高水準が漸減しているのは、下図が太陽光発電事業の長期収支をモデルにしているためであり、時間経過に伴う設備発電効率の低下(主にパネルの劣化)に起因しています。なお、パネルの劣化率の水準は、メーカーによる保証を受けていることから、比較的高い予見性があるものと考えられます。また、費用項目に関しては、償却年数の定まった償却性費用及び金利が固定化され返済スケジュールの定まった支払金利が主要項目であり、経常利益に支払金利と償却費を加算したEBITDA水準は、FIT適用期間を通じて比較的安定しています。
なお、FIT期間満了後の事業性が認められる場合の売電収入、EBITDA及び経常利益は、売電市場の状況、新規設備導入の状況及び土地賃料の水準等により変動します。
バイオマス発電所においても、基本的な傾向は大規模太陽光発電所と同様ですが、発電効率は長期間に亘り一定であることが見込まれることから、FIT期間内の売上高水準の漸減がない一方で、スポット燃料価格の変動に伴いEBITDAや経常利益は変動します。当社グループでは、長期に亘る安定的な事業運営を目的として、燃料供給会社との間で長期の固定価格、固定数量の燃料購入契約を締結することで、前述のEBITDAや経常利益の変動を低減しています。
(再生可能エネルギー事業(SPC)の売上高、EBITDA及び経常利益の推移イメージ(大規模太陽光発電を想定))
再生可能エネルギー発電所を所有する当社グループのSPCでは、発電主要設備に係る減価償却費(主な償却期間約17年)を計上しておりますが、開業までに要した費用についても「開業費」として5年間で償却しています。下記の図で示すとおり、事業化開始のための先行投資が発生し(時点A)、SPC設立後に発生する費用は開業費に振り分け運転開始後に償却を開始しています(時点B)。そのため、開業から5年間(時点B~C)は開業費の償却負担が相応に大きく、事業によっては経常損益段階で損失が計上される場合があります。運転開始5年後以降(時点C~)においては、開業費償却負担が終了し、負債元本の返済により支払利息負担も減少していきます。運転開始後17年後以降(時点D~E)においては、主要発電設備の減価償却も終了します。なお、この間、経常利益は上記の影響を受けて変動しますが、EBITDAはこれらの影響を受けずほぼ一定の水準で推移します。
(各時点でのEBITDA内訳イメージ)
②事業の現在価値を重視した投資
再生可能エネルギー発電所の事業開発においては、地権者との開発合意、資源量の調査、各種許認可取得、ファイナンス関連契約及びプロジェクト関連契約の締結、工事・建設といった段階を踏みます。
下記の図は、大規模太陽光発電開発を例にとり、開発マイルストーンの経過に伴い、各再生可能エネルギー事業の事業価値が変化するイメージを図示したものです。運転開始の前段階においては、各マイルストーンを達成し、事業化の実現可能性が向上するに従い、事業価値が向上します。特に、融資団との間でファイナンス契約を締結し、着工に至って設備の建設が進む段階では、事業価値は急速に顕在化し、運転開始時において理論的には将来の予定獲得キャッシュの現在価値に達していきます。
運転開始後の発電事業はFIT期間を通じて出資者に対する金銭の分配を行い、当該分配に伴って発電事業の価値はFIT期間を通じて減少していきます。買取期間が満了しFITの適用外となった再生可能エネルギー発電事業においては、FITに依らない売電に事業性が認められた場合は一定の事業の価値が残存するところ、FIT期間満了後の事業性が認められない場合は当該事業の価値は残存しません。当社グループはかかる事業性判断において、FIT期間満了時における売電市場、卸電力取引所、地域、地権者及び事業関係者との状況等を踏まえた検討を行う方針です。なお、当社グループの再生可能エネルギー発電所はFIT期間満了後に事業継続判断が成されない場合に備え、設備撤去費用をFIT期間中に積み立てています。
(再生可能エネルギー発電所の事業価値向上イメージ)
(3) 中期的な会社の経営戦略
当社グループは再生可能エネルギーによるマルチ電源化を推進しており、運転開始済み発電所及び建設中発電所の合計発電容量が5年程度で1.5GW超となることを中期的な通過点として捉えています。これに向けて、当社グループでは現在、次の経営戦略を実行しています。
①当面は先行投資を継続する
事業開発の人員を増強し、費用を投下し、優良事業に対して積極的な投資を実行しています。
②太陽光発電は保有事業を着実に仕上げる
FITによる買取価格の下がった太陽光発電については積極的な新規事業開拓を行わず、 保有事業を収益性高く着実に仕上げるフェーズと位置づけています。
③大型のバイオマス発電の開発を強化する
ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社におけるバイオマス発電所の運営で培ったノウハウと、苅田バイオマスエナジー株式会社における大型バイオマス発電事業の開発モデル及び当社の有する優良なネットワークを梃子に新規大型バイオマスの開発を加速させます。
④大型の洋上風力発電及び海外事業により中長期的成長を実現する
再生可能エネルギーの中でも最先進領域である大型洋上風力発電に経営資源を投入し、更なる株式価値の向上を実現していきます。また、アジアを中心とした海外における事業開発を推進し、長期的な成長を実現していきます。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、再生可能エネルギー市場に参入した2012年から、安定的な収益獲得が見込め、保有開発事業の着実な開発による収益成長が期待できる大規模太陽光発電を中心とした開発を行ってきました。この結果、当社グループの大規模太陽光発電は、運転開始済み及び現在開発中の事業を合算すると国内有数の規模を有する事業に成長しました。
現在、当社グループでは太陽光以外の再生可能エネルギー電源開発を推進し、バイオマス発電及び洋上風力発電を注力領域と位置づけ、経営資源を集中的に投下して開発を行っています。2016年5月より、当社グループの子会社であるユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が秋田県に所有する木質バイオマス発電所が運転を開始し、2017年7月より連結化しています。また、2018年6月には、福岡県京都郡苅田町における大型バイオマス発電所の建設に着工しています。さらに、将来に向けた布石として、アジアを中心とした海外での事業開拓や、国内の地熱発電に対する先行投資を行っており、長期的な視点に立った新規開発事業の調査及び開拓を進めています。
以上のとおり、当社グループでは再生可能エネルギー電源開発の多様化(マルチ電源化)と更なる開発事業の拡大を推進しています。
新たな事業領域での開発に係る各課題への適切な対処に加え、事業規模の拡大に伴いより高度な経営管理体制の構築が求められる中、当社グループでは以下の項目に取り組んでいきます。
①発電事業の持続的な拡大と株式価値の創出
a.新規の再生可能エネルギー発電事業の開拓
再生可能エネルギー発電所の新規事業を開拓することは、当社グループの持続的な成長のために重要です。
当社グループは、これまで大規模太陽光発電を中心に「再生可能エネルギー発電事業」の展開を進めてきました。しかしながら、太陽光発電市場が成熟する中、当社グループは事業環境の変化に対応するべく、バイオマス発電事業及び洋上風力発電事業を当面の注力領域として経営リソースを重点的に配分しています。また、将来の布石として、アジアを中心とした海外における事業の開拓や、地熱発電事業の開発を行っています。
多様化した電源にて同時に複数の新規事業を検討するためには、事業情報の収集及び開発可能性の見極めを効率的かつ効果的に行う必要があります。
取り組みの具体例としては、各電源や地域毎における電源開発の専門人材の採用及び育成に加え、省庁・自治体、学術機関、業界団体、工事会社、メーカー及び金融機関等との幅広いネットワークの強化や、共同事業を行うパートナー候補企業との積極的な情報交換等があります。
今後も、収益拡大に貢献する新規の再生可能エネルギー発電事業の開拓のために、各種施策の展開を図っていきます。
b.再生可能エネルギー発電事業の確実な開発
一定の事業性が認められた事業の開発を、着実かつ迅速に推進することは、当社グループの持続的な成長を実現する上で重要です。
当社グループは2018年7月末時点で、関連会社である軽米西ソーラー匿名組合事業、軽米東ソーラー匿名組合事業、四日市ソーラー匿名組合事業、那須烏山ソーラー匿名組合事業及び軽米尊坊ソーラー匿名組合事業において、合計出力210.5MW(モジュールベースの設備容量)の大規模太陽光発電所の建設を推進しています。また、福岡県京都郡苅田町において、出力75MWの大型バイオマス発電所の建設を推進しています。更に、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ②推進中事業)・(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、大規模太陽光発電のみならずバイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電といったマルチ電源開発に向け積極的に取り組んでいます。
当社グループは今後も地域社会や環境に配慮しつつ、当社の開発基準に見合った収益性を確保した上で、地権者協議、発電所設計、電力会社協議及び許認可取得等、事業化に向けて着実かつ迅速に開発を進めていきます。また、建設工程においても、工程管理やコスト管理を徹底し、運転開始までのスケジュールを順守していきます。
c.既存発電所による安定的キャッシュ・フローの創出
当社グループの所有する大規模太陽光発電所を中心とした既存発電所による予見性の高い安定的なキャッシュ・フローの創出は、当社グループが長期的かつ持続的な事業開発を行う上で重要です。
当社グループは2018年7月末時点で、総出力約350MWの大規模太陽光発電所(運転開始済み及び建設中の発電所を含む)に加え、約95MWのバイオマス発電所の事業化実績を有しており、これらの発電所において適切なメンテナンス及びモニタリング体制を構築することで、安定的な稼働を実現していきます。また、天候発生確率は統計的に一定の割合に収束すると見込まれることから、当社グループの大規模太陽光発電において事業期間を通した想定日射量及び総発電量は比較的予見可能性が高いものと見込まれます。当社グループの大規模太陽光発電所の所在地は、日本各地に地理的に分散しており、当社グループ全体では局地的な異常気象に左右されにくい安定的なキャッシュ・フローを創出する構造となっています。また、当社グループの所有する大規模太陽光発電はFITに基づき全て40円/kWh又は36円/kWhでの買取価格を確保しており、FIT期間に亘り高い収益性を有しています。
さらに、当社グループでは、当社グループの事業基盤をより強固にするべく電源の多様化を進めています。当社グループの連結子会社であるユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が秋田県にてバイオマス発電所の運転を開始し、また福岡県京都郡苅田町における大型バイオマス発電所の建設に着手したことで、複数種類電源化(マルチ電源化)が進んでいます。
当社グループでは引き続き、予見性の高い安定的なキャッシュ・フローを創出するべく、既存発電所の適切な運営及び開発中事業の開発推進と、更なるマルチ電源化に取り組んでいきます。
d.事業パートナーシップの拡大
今後の持続的な成長のためには、有力なパートナー企業と協力し、大型事業や先進的事業への取り組みを実行することが必要です。
当社グループは2018年7月末時点で、約450MW(運転開始済み及び建設中の太陽光発電所及びバイオマス発電所の合計出力)の再生可能エネルギー発電所の事業化実績を有しています。豊富な実績に裏打ちされた当社グループへの信頼及び評判は、再生可能エネルギー業界における自治体や学術機関、有力企業とのネットワークの構築に貢献してきました。特に近年では、再生可能エネルギー業界における有力企業との戦略的事業パートナーシップを拡大しています。2016年5月には、住友林業株式会社と再生可能エネルギー事業(バイオマス、風力及び海外市場等)にかかる業務提携契約を締結しています。2016年10月には、ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(秋田県秋田市において当社が出資するバイオマス発電事業)の共同出資者であるユナイテッド計画株式会社と、バイオマス発電事業開発にかかる業務提携契約を締結しています。更に、複数の開発中事業において、有力企業と共同で事業開発を推進しています。
当社グループは、有力パートナー企業との連携を一層強化し、再生可能エネルギー事業の新たなノウハウと実績を蓄積し、更なる事業の好循環を目指して経営を行っていきます。
②高い成長性と、高い資本効率の両立
a.発電所SPC持分の追加取得による内部成長
当社は、資金制約がある中でより多くの再生可能エネルギー発電所の事業を早期に事業化するべく、開発段階における投資資金の配分を各発電所SPCへ分散化させることを志向しています。そのため、事業成立時点で当社が所有する発電所SPCの出資持分比率は原則として持分法適用水準としており、当該SPCの出資持分の追加取得による連結化及び内部成長の実現は当社グループの持続的な成長のために重要です。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (2) ファイナンスに関する事項 ②各発電所SPCに対する出資持分」に記載のとおり、当社は共同出資者との出資者間合意の定めにより、一定期間の経過後に一定の価格にて当社が他共同出資者の出資持分を買い取る権利(コール・オプション)を有し、また、他共同出資者がその出資持分を当社に売り渡す権利(プット・オプション)を有している場合があります。なお、共同出資者とオプション契約を締結していない場合においても、共同出資者との合意が得られた場合には、当社は再生可能エネルギー発電所の出資持分を追加取得する可能性があります。
なお、出資持分追加取得の判断は当該時点における当社の経営方針、資金状況、その他状況等を総合的に勘案の上で決定します。
b.事業投資及び経営に関する指標設定と運営
当社グループでは、経営原則の一つとして株式価値の持続的な向上を掲げています。これに関連し、当社グループは、新規再生可能エネルギー事業への投資判断を行うに際しては、出資金額に対する内部収益率(IRR)の見込み値が一定水準を上回ることを原則としています。また、IRR水準を満たす事業候補の中で、株式価値の向上がより大きく見込まれる事業への投資を優先的に行うために、事業の正味現在価値(NPV)を重視しています。加えて、事業投資を決定した後も、事業毎にIRR水準、NPV及び予実差異を管理分析し、収益性の管理を強化していきます。
また、当社グループの再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは引き続き経営指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視し、その持続的な増大を目指していきます。
c.大型資金調達の実施及び資本効率の向上
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー事業の開発投資を行うために、長期及び短期借入金を組み合わせた財務レバレッジの活用を重視しています。
当社グループは2018年7月末までに、再生可能エネルギー発電所の事業化に係るプロジェクトファイナンス関連契約を締結し、銀行を中心とする金融機関より累計約1,700億円(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)の長期のプロジェクトファイナンスを組成しています。なお、2018年5月期末時点において当社グループの連結有利子負債残高の6割以上となる32,486百万円については、SPCにおけるプロジェクトファイナンスにより調達されており、リミテッドリコース又はノンリコースの仕組みに基づいた借入金(第5 経理の状況における「ノンリコース長期借入金」)であるため、当社へのリコース義務は限定されています。
当社グループは、引き続き好条件での資金調達を実施するために、資本市場における情報収集及び分析に努める他、調達先の多様化、先進的な調達手法の検討や金融機関との関係性強化を行っていきます。また、グループ全体の資金管理や調達管理の充実、SPCからの資金回収の早期化を進め、受領した配当資金等により新たな事業の再投資を行うことで、資本効率の向上に一層取り組んでいきます。
③事業の成長を促す強い組織とガバナンス体制の構築
a.専門性の高い人材の確保と育成
新たな市場において更なる事業の拡大を図り、変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、当社グループの強みとなる専門性を高め差別化を図っていくためには、多様な人材の確保と育成が重要です。
当社グループでは、優秀で専門性の高い人材にとって魅力ある会社づくりを行うために、組織構成や人事考課制度の見直しを図るとともに、公正な評価基準設定と目標達成度に応じた評価及びフォローアップ、教育研修の充実等に引き続き取り組んでいきます。また、人材採用においては、今後の当社グループの軸となる人材を育てるために新卒採用を行いながら、一方で即戦力となる人材を中途採用することで効率的に人員体制の拡充を図っていきます。特に、マルチ電源化の方針を踏まえた人員拡充や、事業拡大に伴う管理部門の強化・育成、今後のアジア展開を見据えた海外経験の豊富な人材の拡充と社内人材育成を引き続き行っていきます。
b.関係会社の事業運営状況のモニタリング強化
当社グループにおいては業績に占める関係会社の貢献割合が高いため、当社によるグループ経営管理体制を整備し、適切に運用することが重要です。
当社は、関係会社の継続的なモニタリング活動を通じて、各社の直近の運営状況を適時に把握する仕組みを講じています。また、関係会社の事業計画の策定支援及び予実分析を実施しています。さらに、関係会社と連携して、各社の業務プロセスや各種規程の定期的な見直しを行うとともに、安全衛生管理や労務管理等含め、グループ一体となった管理体制の構築にも取り組んでいます。
今後も引き続き、関係会社のモニタリングを一層強化し、より良い経営管理体制の整備及び運用を推進していきます。
c.内部統制及びガバナンスの強化
社会的に内部統制の重要性が増大し、また事業拡大に伴い関係会社を含めた当社グループの売上規模も拡大していく中、持続的に健全な成長を果たすためには、当社及び関係会社の内部統制及びガバナンスの一層の強化が不可欠であると考えています。2017年5月期より経営の監督と執行の分離を行っており、経営のモニタリングレベルが更に向上しています。また、内部統制レベルの向上を継続的に図るとともに、事業推進に必要な意思決定の迅速化にも邁進しています。今後も、コーポレートガバナンス・コードの精神に則った実効的なコーポレートガバナンスの実現を目指していきます。
d.コンプライアンス対応
当社グループにおいては、当社グループのコンプライアンス憲章に則って社内遵法体制の整備を行ってきました。事業に関連する法令、会社法、労働法への対応等、コンプライアンス管理体制の一層の強化と厳格な運用が重要な経営課題と認識しています。当社グループでは代表取締役社長CEOを委員長とするコンプライアンス推進委員会を設置しており、当該委員会の充実を図ることでコンプライアンス意識の浸透を徹底し、一層のコンプライアンス管理体制の強化を図っていきます。さらに、連結子会社内におけるコンプライアンス意識向上のための教育・指導にも継続して取り組んでいきます。
e.発電事業者を取り巻く法令規則等への対応
事業に関連する法令の制定や改正が行われた場合、新たなルールに迅速かつ適切に対応することは、当社グループの競争力の維持強化に資するものです。
当社グループでは、関連法規等の改正の状況を常時モニタリングする従業員を配置し早期の情報収集に努めるとともに、必要に応じ他の電気事業者や業界団体と協力して政策提言を実施していきます。
④ 共存共栄の追求
a.地域との共存・共生・協調
当社グループが手掛ける再生可能エネルギー発電所の開発と長期に亘る運転においては、地域との良好な関係が重要です。当社グループは独立系資本として再生可能エネルギー事業に専念しており、経営原則においても地域の歴史と文化を尊重し新たな価値を共に創ることを掲げ、常に地域に根ざした事業開発を推進しています。開発プロジェクトが地域に貢献することは当社グループの評判の向上に加え、次なる事業の開拓にも繋がります。当社グループは今後も地域との共存・共生・協調を尊重しながら開発を進めていきます。
b.知名度及び評判の一層の向上
当社グループが再生可能エネルギー事業におけるリーディング・カンパニーとしての地位を確立し、更なる事業展開・拡大を加速していくためには、当社グループの知名度と評判を一層向上させることが重要です。
当社グループの事業領域は、大規模太陽光発電のみならず、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電といった再生可能エネルギー全般に広がっています。これらの電源を開発する上で、地域に根ざした質の高い開発を実施すること、誠実な経営を行うこと、そしてビジョンや経営理念を制定し、経営陣と社員にてこれらの遵守を徹底することは当社グループの知名度と評判の向上に不可欠です。
今後も地球・地域・顧客・株主・社員に対して誠実な経営と事業運営を行うと同時に、積極的な広報活動、適時適切なIR活動、各種団体が主催する講演会への出演、ウェブサイトの更なる有効活用等により、知名度と評判の向上を目指していきます。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは次の「ミッション/経営理念」、「ビジョン/目指すべき企業の姿」及び「経営原則/レノバのコミットメント」を掲げています。
| ■ミッション/経営理念 グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築し枢要な社会的課題を解決する ■ビジョン/目指すべき企業の姿 日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニーとなること ■経営原則/レノバのコミットメント 地球:人類と地球の、永遠の共生に貢献します 地域:歴史と文化を尊重し、新たな価値を共に創ります 顧客:経済的で環境にやさしいエネルギーを供給します 株主:株式価値を持続的に創出します 社員:有能な人材を集結し、エキサイティングな自己実現の機会を提供します |
上記の達成のため、当社グループは現在、次の5点を重視した経営を行っています。
①再生可能エネルギーへ中長期的にフォーカスする
当社グループは「日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニーとなること」というビジョンの実現を目指しており、再生可能エネルギー市場に経営資源を集中的に投下しています。脱炭素化と再生可能エネルギーの導入拡大は世界の潮流であり、日本国政府も、2030年時点のエネルギーミックスとして国内発電量に占める再生可能エネルギー(水力除く)の割合を現在の2~3倍とする方針を持っています。当社グループは、この成長市場である再生可能エネルギー市場において、中長期的に事業を拡大させていきます。
②独立系企業としてマルチ電源開発を推進する
当社グループが現時点において保有する発電所は、大規模太陽光発電が大宗を占めます。しかし収益を安定化させるため、また、成長市場の恩恵を享受するために、大規模太陽光発電のみならず、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電及び地熱発電等の複数種類電源(マルチ電源)の発電所を開発することを志向しています。当社グループは独立系資本の特性を生かして多様なパートナーと連携することで、大型で先進的なマルチ電源開発を推進していきます。
③発電所開発における主要業務を内製化し、高い収益性を追求する
発電所開発の成功確度向上と同時に事業の高収益化を実現するため、当社は発電所開発における重要なプロセスにおいて各分野のスペシャリストを社内に擁し、高付加価値業務を内製化することを重視しています。また、より高い収益性の実現のため、発電所一件当たりの開発規模の極大化を追求しています。運転中・建設中の発電所の合計出力が約450MW(2018年7月末時点)となる再生可能エネルギー発電所の開発実績に裏付けられたプロジェクト統括力により、これらを推進していきます。
④安定したキャッシュ・フローを新規事業の開発及び既存事業の内部成長のため積極的に再投資する
当社グループは既存の発電所から長期に得られる強固なキャッシュ・フローを新規の発電所開発に積極的に再投資し、持続的成長を図ることで企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めていきます。
また、当社グループは借入れを活用したハイレバレッジのファイナンススキームを開発事業ごとに組成し、各事業における必要出資額を抑えています。さらに、ファイナンス組成の初期において複数の共同出資者を募ることにより当社の出資持分を抑制して、少ない投下資本で数多くの事業を手掛けられる投資モデルを採用しています。これによって建中リスクの低減を実現させることは、リスク分散の一助となっています。また、運転開始後には、コール・オプションの行使や共同出資者との出資交渉により出資持分を向上させており、FIT期間を通じて得られるリターンの最大化を図っています。
⑤地域との共生・共創により、長期的な発展を目指す
当社グループは、全国に広がる再生可能エネルギー発電所を長期に亘って所有・運営していきます。また、再生可能エネルギーとは本来それが存在する地域の資源であり、発電所はその資源を活用させて頂いているという視点を、当社グループは大事にしています。今後も、当社グループの各発電所がそれぞれの地域に根ざし、地域関係者との長期的な共生・共創の関係を構築・維持出来るよう尽力していきます。
(2) 目標とする経営指標
①EBITDAを重視した経営管理
当社グループの再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費が全体の費用に占める割合は大きい傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは経営指標としてEBITDA(経常利益+純支払利息+減価償却費+長期前払費用償却(電力負担金償却及び繰延消費税償却)+のれん償却額+繰延資産償却額(開業費償却及び創立費償却))を重視し、その持続的な増大を目指していきます。
下記の図は、最近の大規模太陽光発電開発の計画に基づき、FIT期間における再生可能エネルギー発電所の売上高、EBITDA、経常利益の推移イメージを図示したものです。当該期間においては、全発電量につき固定価格による売電契約を締結していることから、予見性の高い売上高を見込むことが可能です。売上高水準が漸減しているのは、下図が太陽光発電事業の長期収支をモデルにしているためであり、時間経過に伴う設備発電効率の低下(主にパネルの劣化)に起因しています。なお、パネルの劣化率の水準は、メーカーによる保証を受けていることから、比較的高い予見性があるものと考えられます。また、費用項目に関しては、償却年数の定まった償却性費用及び金利が固定化され返済スケジュールの定まった支払金利が主要項目であり、経常利益に支払金利と償却費を加算したEBITDA水準は、FIT適用期間を通じて比較的安定しています。
なお、FIT期間満了後の事業性が認められる場合の売電収入、EBITDA及び経常利益は、売電市場の状況、新規設備導入の状況及び土地賃料の水準等により変動します。
バイオマス発電所においても、基本的な傾向は大規模太陽光発電所と同様ですが、発電効率は長期間に亘り一定であることが見込まれることから、FIT期間内の売上高水準の漸減がない一方で、スポット燃料価格の変動に伴いEBITDAや経常利益は変動します。当社グループでは、長期に亘る安定的な事業運営を目的として、燃料供給会社との間で長期の固定価格、固定数量の燃料購入契約を締結することで、前述のEBITDAや経常利益の変動を低減しています。
(再生可能エネルギー事業(SPC)の売上高、EBITDA及び経常利益の推移イメージ(大規模太陽光発電を想定))
再生可能エネルギー発電所を所有する当社グループのSPCでは、発電主要設備に係る減価償却費(主な償却期間約17年)を計上しておりますが、開業までに要した費用についても「開業費」として5年間で償却しています。下記の図で示すとおり、事業化開始のための先行投資が発生し(時点A)、SPC設立後に発生する費用は開業費に振り分け運転開始後に償却を開始しています(時点B)。そのため、開業から5年間(時点B~C)は開業費の償却負担が相応に大きく、事業によっては経常損益段階で損失が計上される場合があります。運転開始5年後以降(時点C~)においては、開業費償却負担が終了し、負債元本の返済により支払利息負担も減少していきます。運転開始後17年後以降(時点D~E)においては、主要発電設備の減価償却も終了します。なお、この間、経常利益は上記の影響を受けて変動しますが、EBITDAはこれらの影響を受けずほぼ一定の水準で推移します。
(各時点でのEBITDA内訳イメージ)
②事業の現在価値を重視した投資
再生可能エネルギー発電所の事業開発においては、地権者との開発合意、資源量の調査、各種許認可取得、ファイナンス関連契約及びプロジェクト関連契約の締結、工事・建設といった段階を踏みます。
下記の図は、大規模太陽光発電開発を例にとり、開発マイルストーンの経過に伴い、各再生可能エネルギー事業の事業価値が変化するイメージを図示したものです。運転開始の前段階においては、各マイルストーンを達成し、事業化の実現可能性が向上するに従い、事業価値が向上します。特に、融資団との間でファイナンス契約を締結し、着工に至って設備の建設が進む段階では、事業価値は急速に顕在化し、運転開始時において理論的には将来の予定獲得キャッシュの現在価値に達していきます。
運転開始後の発電事業はFIT期間を通じて出資者に対する金銭の分配を行い、当該分配に伴って発電事業の価値はFIT期間を通じて減少していきます。買取期間が満了しFITの適用外となった再生可能エネルギー発電事業においては、FITに依らない売電に事業性が認められた場合は一定の事業の価値が残存するところ、FIT期間満了後の事業性が認められない場合は当該事業の価値は残存しません。当社グループはかかる事業性判断において、FIT期間満了時における売電市場、卸電力取引所、地域、地権者及び事業関係者との状況等を踏まえた検討を行う方針です。なお、当社グループの再生可能エネルギー発電所はFIT期間満了後に事業継続判断が成されない場合に備え、設備撤去費用をFIT期間中に積み立てています。
(再生可能エネルギー発電所の事業価値向上イメージ)
(3) 中期的な会社の経営戦略
当社グループは再生可能エネルギーによるマルチ電源化を推進しており、運転開始済み発電所及び建設中発電所の合計発電容量が5年程度で1.5GW超となることを中期的な通過点として捉えています。これに向けて、当社グループでは現在、次の経営戦略を実行しています。
①当面は先行投資を継続する
事業開発の人員を増強し、費用を投下し、優良事業に対して積極的な投資を実行しています。
②太陽光発電は保有事業を着実に仕上げる
FITによる買取価格の下がった太陽光発電については積極的な新規事業開拓を行わず、 保有事業を収益性高く着実に仕上げるフェーズと位置づけています。
③大型のバイオマス発電の開発を強化する
ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社におけるバイオマス発電所の運営で培ったノウハウと、苅田バイオマスエナジー株式会社における大型バイオマス発電事業の開発モデル及び当社の有する優良なネットワークを梃子に新規大型バイオマスの開発を加速させます。
④大型の洋上風力発電及び海外事業により中長期的成長を実現する
再生可能エネルギーの中でも最先進領域である大型洋上風力発電に経営資源を投入し、更なる株式価値の向上を実現していきます。また、アジアを中心とした海外における事業開発を推進し、長期的な成長を実現していきます。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループは、再生可能エネルギー市場に参入した2012年から、安定的な収益獲得が見込め、保有開発事業の着実な開発による収益成長が期待できる大規模太陽光発電を中心とした開発を行ってきました。この結果、当社グループの大規模太陽光発電は、運転開始済み及び現在開発中の事業を合算すると国内有数の規模を有する事業に成長しました。
現在、当社グループでは太陽光以外の再生可能エネルギー電源開発を推進し、バイオマス発電及び洋上風力発電を注力領域と位置づけ、経営資源を集中的に投下して開発を行っています。2016年5月より、当社グループの子会社であるユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が秋田県に所有する木質バイオマス発電所が運転を開始し、2017年7月より連結化しています。また、2018年6月には、福岡県京都郡苅田町における大型バイオマス発電所の建設に着工しています。さらに、将来に向けた布石として、アジアを中心とした海外での事業開拓や、国内の地熱発電に対する先行投資を行っており、長期的な視点に立った新規開発事業の調査及び開拓を進めています。
以上のとおり、当社グループでは再生可能エネルギー電源開発の多様化(マルチ電源化)と更なる開発事業の拡大を推進しています。
新たな事業領域での開発に係る各課題への適切な対処に加え、事業規模の拡大に伴いより高度な経営管理体制の構築が求められる中、当社グループでは以下の項目に取り組んでいきます。
①発電事業の持続的な拡大と株式価値の創出
a.新規の再生可能エネルギー発電事業の開拓
再生可能エネルギー発電所の新規事業を開拓することは、当社グループの持続的な成長のために重要です。
当社グループは、これまで大規模太陽光発電を中心に「再生可能エネルギー発電事業」の展開を進めてきました。しかしながら、太陽光発電市場が成熟する中、当社グループは事業環境の変化に対応するべく、バイオマス発電事業及び洋上風力発電事業を当面の注力領域として経営リソースを重点的に配分しています。また、将来の布石として、アジアを中心とした海外における事業の開拓や、地熱発電事業の開発を行っています。
多様化した電源にて同時に複数の新規事業を検討するためには、事業情報の収集及び開発可能性の見極めを効率的かつ効果的に行う必要があります。
取り組みの具体例としては、各電源や地域毎における電源開発の専門人材の採用及び育成に加え、省庁・自治体、学術機関、業界団体、工事会社、メーカー及び金融機関等との幅広いネットワークの強化や、共同事業を行うパートナー候補企業との積極的な情報交換等があります。
今後も、収益拡大に貢献する新規の再生可能エネルギー発電事業の開拓のために、各種施策の展開を図っていきます。
b.再生可能エネルギー発電事業の確実な開発
一定の事業性が認められた事業の開発を、着実かつ迅速に推進することは、当社グループの持続的な成長を実現する上で重要です。
当社グループは2018年7月末時点で、関連会社である軽米西ソーラー匿名組合事業、軽米東ソーラー匿名組合事業、四日市ソーラー匿名組合事業、那須烏山ソーラー匿名組合事業及び軽米尊坊ソーラー匿名組合事業において、合計出力210.5MW(モジュールベースの設備容量)の大規模太陽光発電所の建設を推進しています。また、福岡県京都郡苅田町において、出力75MWの大型バイオマス発電所の建設を推進しています。更に、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ②推進中事業)・(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、大規模太陽光発電のみならずバイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電といったマルチ電源開発に向け積極的に取り組んでいます。
当社グループは今後も地域社会や環境に配慮しつつ、当社の開発基準に見合った収益性を確保した上で、地権者協議、発電所設計、電力会社協議及び許認可取得等、事業化に向けて着実かつ迅速に開発を進めていきます。また、建設工程においても、工程管理やコスト管理を徹底し、運転開始までのスケジュールを順守していきます。
c.既存発電所による安定的キャッシュ・フローの創出
当社グループの所有する大規模太陽光発電所を中心とした既存発電所による予見性の高い安定的なキャッシュ・フローの創出は、当社グループが長期的かつ持続的な事業開発を行う上で重要です。
当社グループは2018年7月末時点で、総出力約350MWの大規模太陽光発電所(運転開始済み及び建設中の発電所を含む)に加え、約95MWのバイオマス発電所の事業化実績を有しており、これらの発電所において適切なメンテナンス及びモニタリング体制を構築することで、安定的な稼働を実現していきます。また、天候発生確率は統計的に一定の割合に収束すると見込まれることから、当社グループの大規模太陽光発電において事業期間を通した想定日射量及び総発電量は比較的予見可能性が高いものと見込まれます。当社グループの大規模太陽光発電所の所在地は、日本各地に地理的に分散しており、当社グループ全体では局地的な異常気象に左右されにくい安定的なキャッシュ・フローを創出する構造となっています。また、当社グループの所有する大規模太陽光発電はFITに基づき全て40円/kWh又は36円/kWhでの買取価格を確保しており、FIT期間に亘り高い収益性を有しています。
さらに、当社グループでは、当社グループの事業基盤をより強固にするべく電源の多様化を進めています。当社グループの連結子会社であるユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社が秋田県にてバイオマス発電所の運転を開始し、また福岡県京都郡苅田町における大型バイオマス発電所の建設に着手したことで、複数種類電源化(マルチ電源化)が進んでいます。
当社グループでは引き続き、予見性の高い安定的なキャッシュ・フローを創出するべく、既存発電所の適切な運営及び開発中事業の開発推進と、更なるマルチ電源化に取り組んでいきます。
d.事業パートナーシップの拡大
今後の持続的な成長のためには、有力なパートナー企業と協力し、大型事業や先進的事業への取り組みを実行することが必要です。
当社グループは2018年7月末時点で、約450MW(運転開始済み及び建設中の太陽光発電所及びバイオマス発電所の合計出力)の再生可能エネルギー発電所の事業化実績を有しています。豊富な実績に裏打ちされた当社グループへの信頼及び評判は、再生可能エネルギー業界における自治体や学術機関、有力企業とのネットワークの構築に貢献してきました。特に近年では、再生可能エネルギー業界における有力企業との戦略的事業パートナーシップを拡大しています。2016年5月には、住友林業株式会社と再生可能エネルギー事業(バイオマス、風力及び海外市場等)にかかる業務提携契約を締結しています。2016年10月には、ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(秋田県秋田市において当社が出資するバイオマス発電事業)の共同出資者であるユナイテッド計画株式会社と、バイオマス発電事業開発にかかる業務提携契約を締結しています。更に、複数の開発中事業において、有力企業と共同で事業開発を推進しています。
当社グループは、有力パートナー企業との連携を一層強化し、再生可能エネルギー事業の新たなノウハウと実績を蓄積し、更なる事業の好循環を目指して経営を行っていきます。
②高い成長性と、高い資本効率の両立
a.発電所SPC持分の追加取得による内部成長
当社は、資金制約がある中でより多くの再生可能エネルギー発電所の事業を早期に事業化するべく、開発段階における投資資金の配分を各発電所SPCへ分散化させることを志向しています。そのため、事業成立時点で当社が所有する発電所SPCの出資持分比率は原則として持分法適用水準としており、当該SPCの出資持分の追加取得による連結化及び内部成長の実現は当社グループの持続的な成長のために重要です。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (2) ファイナンスに関する事項 ②各発電所SPCに対する出資持分」に記載のとおり、当社は共同出資者との出資者間合意の定めにより、一定期間の経過後に一定の価格にて当社が他共同出資者の出資持分を買い取る権利(コール・オプション)を有し、また、他共同出資者がその出資持分を当社に売り渡す権利(プット・オプション)を有している場合があります。なお、共同出資者とオプション契約を締結していない場合においても、共同出資者との合意が得られた場合には、当社は再生可能エネルギー発電所の出資持分を追加取得する可能性があります。
なお、出資持分追加取得の判断は当該時点における当社の経営方針、資金状況、その他状況等を総合的に勘案の上で決定します。
b.事業投資及び経営に関する指標設定と運営
当社グループでは、経営原則の一つとして株式価値の持続的な向上を掲げています。これに関連し、当社グループは、新規再生可能エネルギー事業への投資判断を行うに際しては、出資金額に対する内部収益率(IRR)の見込み値が一定水準を上回ることを原則としています。また、IRR水準を満たす事業候補の中で、株式価値の向上がより大きく見込まれる事業への投資を優先的に行うために、事業の正味現在価値(NPV)を重視しています。加えて、事業投資を決定した後も、事業毎にIRR水準、NPV及び予実差異を管理分析し、収益性の管理を強化していきます。
また、当社グループの再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは引き続き経営指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視し、その持続的な増大を目指していきます。
c.大型資金調達の実施及び資本効率の向上
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー事業の開発投資を行うために、長期及び短期借入金を組み合わせた財務レバレッジの活用を重視しています。
当社グループは2018年7月末までに、再生可能エネルギー発電所の事業化に係るプロジェクトファイナンス関連契約を締結し、銀行を中心とする金融機関より累計約1,700億円(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)の長期のプロジェクトファイナンスを組成しています。なお、2018年5月期末時点において当社グループの連結有利子負債残高の6割以上となる32,486百万円については、SPCにおけるプロジェクトファイナンスにより調達されており、リミテッドリコース又はノンリコースの仕組みに基づいた借入金(第5 経理の状況における「ノンリコース長期借入金」)であるため、当社へのリコース義務は限定されています。
当社グループは、引き続き好条件での資金調達を実施するために、資本市場における情報収集及び分析に努める他、調達先の多様化、先進的な調達手法の検討や金融機関との関係性強化を行っていきます。また、グループ全体の資金管理や調達管理の充実、SPCからの資金回収の早期化を進め、受領した配当資金等により新たな事業の再投資を行うことで、資本効率の向上に一層取り組んでいきます。
③事業の成長を促す強い組織とガバナンス体制の構築
a.専門性の高い人材の確保と育成
新たな市場において更なる事業の拡大を図り、変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、当社グループの強みとなる専門性を高め差別化を図っていくためには、多様な人材の確保と育成が重要です。
当社グループでは、優秀で専門性の高い人材にとって魅力ある会社づくりを行うために、組織構成や人事考課制度の見直しを図るとともに、公正な評価基準設定と目標達成度に応じた評価及びフォローアップ、教育研修の充実等に引き続き取り組んでいきます。また、人材採用においては、今後の当社グループの軸となる人材を育てるために新卒採用を行いながら、一方で即戦力となる人材を中途採用することで効率的に人員体制の拡充を図っていきます。特に、マルチ電源化の方針を踏まえた人員拡充や、事業拡大に伴う管理部門の強化・育成、今後のアジア展開を見据えた海外経験の豊富な人材の拡充と社内人材育成を引き続き行っていきます。
b.関係会社の事業運営状況のモニタリング強化
当社グループにおいては業績に占める関係会社の貢献割合が高いため、当社によるグループ経営管理体制を整備し、適切に運用することが重要です。
当社は、関係会社の継続的なモニタリング活動を通じて、各社の直近の運営状況を適時に把握する仕組みを講じています。また、関係会社の事業計画の策定支援及び予実分析を実施しています。さらに、関係会社と連携して、各社の業務プロセスや各種規程の定期的な見直しを行うとともに、安全衛生管理や労務管理等含め、グループ一体となった管理体制の構築にも取り組んでいます。
今後も引き続き、関係会社のモニタリングを一層強化し、より良い経営管理体制の整備及び運用を推進していきます。
c.内部統制及びガバナンスの強化
社会的に内部統制の重要性が増大し、また事業拡大に伴い関係会社を含めた当社グループの売上規模も拡大していく中、持続的に健全な成長を果たすためには、当社及び関係会社の内部統制及びガバナンスの一層の強化が不可欠であると考えています。2017年5月期より経営の監督と執行の分離を行っており、経営のモニタリングレベルが更に向上しています。また、内部統制レベルの向上を継続的に図るとともに、事業推進に必要な意思決定の迅速化にも邁進しています。今後も、コーポレートガバナンス・コードの精神に則った実効的なコーポレートガバナンスの実現を目指していきます。
d.コンプライアンス対応
当社グループにおいては、当社グループのコンプライアンス憲章に則って社内遵法体制の整備を行ってきました。事業に関連する法令、会社法、労働法への対応等、コンプライアンス管理体制の一層の強化と厳格な運用が重要な経営課題と認識しています。当社グループでは代表取締役社長CEOを委員長とするコンプライアンス推進委員会を設置しており、当該委員会の充実を図ることでコンプライアンス意識の浸透を徹底し、一層のコンプライアンス管理体制の強化を図っていきます。さらに、連結子会社内におけるコンプライアンス意識向上のための教育・指導にも継続して取り組んでいきます。
e.発電事業者を取り巻く法令規則等への対応
事業に関連する法令の制定や改正が行われた場合、新たなルールに迅速かつ適切に対応することは、当社グループの競争力の維持強化に資するものです。
当社グループでは、関連法規等の改正の状況を常時モニタリングする従業員を配置し早期の情報収集に努めるとともに、必要に応じ他の電気事業者や業界団体と協力して政策提言を実施していきます。
④ 共存共栄の追求
a.地域との共存・共生・協調
当社グループが手掛ける再生可能エネルギー発電所の開発と長期に亘る運転においては、地域との良好な関係が重要です。当社グループは独立系資本として再生可能エネルギー事業に専念しており、経営原則においても地域の歴史と文化を尊重し新たな価値を共に創ることを掲げ、常に地域に根ざした事業開発を推進しています。開発プロジェクトが地域に貢献することは当社グループの評判の向上に加え、次なる事業の開拓にも繋がります。当社グループは今後も地域との共存・共生・協調を尊重しながら開発を進めていきます。
b.知名度及び評判の一層の向上
当社グループが再生可能エネルギー事業におけるリーディング・カンパニーとしての地位を確立し、更なる事業展開・拡大を加速していくためには、当社グループの知名度と評判を一層向上させることが重要です。
当社グループの事業領域は、大規模太陽光発電のみならず、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電といった再生可能エネルギー全般に広がっています。これらの電源を開発する上で、地域に根ざした質の高い開発を実施すること、誠実な経営を行うこと、そしてビジョンや経営理念を制定し、経営陣と社員にてこれらの遵守を徹底することは当社グループの知名度と評判の向上に不可欠です。
今後も地球・地域・顧客・株主・社員に対して誠実な経営と事業運営を行うと同時に、積極的な広報活動、適時適切なIR活動、各種団体が主催する講演会への出演、ウェブサイトの更なる有効活用等により、知名度と評判の向上を目指していきます。