有価証券報告書-第11期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/28 15:15
【資料】
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【項目】
131項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,012,483千円となり、前連結会計年度に比べ461,622千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が452,060千円減少したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定資産は478,651千円となり、前連結会計年度に比べ39,937千円減少いたしました。これは主に減価償却費33,734千円及びのれん償却額9,830千円を計上したことによるものであります。
この結果、資産合計は2,491,134千円となり、前連結会計年度に比べ501,559千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は76,554千円となり、前連結会計年度に比べ99,134千円減少いたしました。これは主に、未払金が40,868千円、前受金が39,391千円減少したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定負債は112,770千円となり、9,649千円減少いたしました。これは、繰延税金負債が9,649千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は189,325千円となり、前連結会計年度に比べ108,783千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,301,809千円となり、前連結会計年度に比べ392,776千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失933,416千円を計上したものの、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ271,661千円増加したことによるものであります。なお、2023年3月29日開催の第10期定時株主総会決議に基づき、欠損填補として2,678,169千円を資本剰余金から利益剰余金へ振替えております。
この結果、自己資本比率は92.4%(前連結会計年度末は89.9%)となりました。
② 経営成績の状況
医薬品業界では新薬の研究開発の難易度が上昇しており、製薬会社は、従来の主役であった低分子医薬に加え、抗体医薬品、遺伝子医薬品、細胞医薬品・再生医療等の新しいタイプの創薬シーズ・モダリティ(創薬技術)を創薬系ベンチャー等から導入して研究開発パイプラインの強化を図っております。
当社グループが取り組んでいる抗体誘導ペプチド等の機能性ペプチドも新しいタイプの創薬シーズ・モダリティであり、当社グループは、大学等のシーズをインキュベーションして製薬会社に橋渡しすることで、医薬品業界における大学発創薬系ベンチャーの役割を果たしていきたいと考えております。この役割を担うため、当社グループは、大阪大学をはじめとする大学等の研究機関との間で、共同研究等により連携を図り、大学の技術シーズを生かした基礎研究を実施しております。更に、当社グループは、開発品の開発規模(試験規模及び必要資金規模)を踏まえ、医薬品の研究開発プロセスのうち、基礎研究から、一定段階の臨床試験や薬事承認までを実施して技術シーズのインキュベーションを行う方針です。
一方、医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいことから、当社グループは、研究開発段階から製薬会社等との提携体制を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針です。医薬品の研究開発段階においては、契約一時金、研究開発協力金及び開発マイルストーンを受け取り、当社グループの開発品が将来上市に至った場合には、提携製薬会社からのロイヤリティー収入等によって本格的な利益拡大を実現する計画です。
このような業界環境及びビジネスモデルのもと、当社グループは、大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である機能性ペプチド「AJP001」を強みとして展開する抗体誘導ペプチドプロジェクトと機能性ペプチド「SR-0379」を中心に研究開発を進めております。
(A)抗体誘導ペプチドプロジェクト
当社グループの創薬活動の強みは、機能性ペプチド「AJP001」を利用した抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術「STEP UP(Search Technology of EPitope for Unique Peptide vaccine)」を保有していることです。機能性ペプチド「AJP001」は、通常は免疫反応が起こらない体内の疾患関連タンパク質(自己タンパク質)に対して免疫反応を引き起こして抗体を産生させる機能をもっており、当社グループは、この機能を活用して、慢性疾患に対するペプチド治療ワクチン「抗体誘導ペプチド」の研究開発を進めています。
難治性の慢性疾患に対しては、バイオテクノロジーを活用した抗体医薬品が有効な治療薬として臨床の現場で広く使用されています。体外で人工的に製造する抗体医薬品と異なり、体内で抗体を産生させる抗体誘導ペプチドは、(抗薬物抗体を原因とする)効果の減弱が起こらず、長期にわたって治療効果を維持することが期待されます。さらに免疫細胞が一定期間抗体を産生するため、薬剤の投与間隔(数ヶ月に1回の注射)が長くなり投薬の頻度が少なくなるため、服薬アドヒアランス(服薬遵守)及び利便性の改善により患者様のQOL(Quality of life)の向上が見込まれます。また当社グループは、化学合成で製造可能な抗体誘導ペプチドを、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制する代替医薬品として開発することで、先進国で深刻化する医療財政問題の改善にも貢献できるものと考えております。
(a)抗体誘導ペプチド「FPP003」(標的タンパク質:IL-17A)
FPP003は、標的タンパク質IL-17Aに対する抗体誘導ペプチドの開発化合物です。先行する抗IL-17A抗体医薬品は、尋常性乾癬、強直性脊椎炎、関節症性乾癬及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等の幅広い薬事承認を取得しており、既に世界市場は数千億円規模まで拡大しております。
当社グループは、2019年4月からFPP003の尋常性乾癬を対象疾患とする第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験をオーストラリア(注)で進めました。本試験は当社グループの抗体誘導ペプチドをヒトに初めて投与する臨床試験(FIH (First in Human) 試験)です。本試験において、FPP003投与症例の約8割(高用量コホート、陽性率78%(9例中7例))で抗IL-17A抗体(標的タンパク質IL-17Aエピトープに対する抗体)の抗体価の持続的な上昇が確認されました。安全性に関しては、ワクチンで頻繁にみられる局所反応以外に特に臨床的に問題となるものはみられませんでした。本試験結果は、当社グループの抗体誘導ペプチドが慢性疾患の標的タンパク質である「自己タンパク質」(IL-17A)に対して抗体誘導することをヒトで初めて示したものです。
また、強直性脊椎炎を対象とする開発については、医師主導治験として第Ⅱa相臨床試験が開始されました。
なお、FPP003に関しては、住友ファーマ株式会社との間でオプション契約を締結しており、同社は、北米での全疾患に対する独占的開発・商業化権の取得に関するオプション権を保有しております。
(注)オーストラリアでの臨床試験データは米欧等での承認申請に使用可能であり、次相以降は米国等での臨床試験を想定しております。
(b)抗体誘導ペプチド「FPP004X」(標的タンパク質:IgE)
FPP004Xは、標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチドの開発化合物です。
IgEはアレルギー反応に重要な役割を担っており、アレルギー疾患の発症に関与しております。標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチドFPP004Xは、体内で免疫細胞が一定期間IgEに対する抗体を産生させることから、花粉症に対する持続的な効果が期待されます。この効果の持続期間が長いというワクチンの特長により、当社グループは、花粉症のシーズン(飛散時期)前に投与すればシーズンを通して症状を緩和できる、患者様にとって利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指してFPP004Xの医薬品開発を進めてまいります。
FPP004Xの前臨床試験は2023年6月から開始しております。
なお、FPP004Xは、2023年8月に株式会社メディパルホールディングスから、抗体誘導ペプチドの研究開発支援に関する提携契約に基づく有望な開発品として、利益分配等の対象開発品に選定されております。
(c)抗体誘導ペプチド「FPP005」(標的タンパク質:IL-23)
FPP005は、標的タンパク質IL-23に対する抗体誘導ペプチドの開発化合物です。
先行する抗IL-23抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の幅広い疾患を対象に開発が進んでおります。
FPP005は、開発品プロファイルのさらなる向上を目指し、株式会社メドレックスとの間で共同研究中のマイクロニードル技術を始めとする新規製剤技術の研究を進めております。
(d)抗体誘導ペプチドの研究テーマ
抗体誘導ペプチドの探索研究は、大阪大学大学院医学系研究科との共同研究により実施しております。
抗体医薬品の代替医薬品として、片頭痛、アレルギー性疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの研究を行っており、新たにアンメットメディカルニーズが高い疾患のアルツハイマー病を対象とする研究も開始いたしました。更に生活習慣病の高血圧及び抗血栓を対象とする抗体誘導ペプチドの研究、熊本大学との共同研究により脂質異常症を対象とする抗体誘導ペプチドの研究、東京大学大学院医学系研究科が採択されたAMEDの研究開発プログラムの研究テーマとして心不全を対象とする抗体誘導ペプチドの研究に取り組んでおります。
また、住友ファーマ株式会社との間で精神神経疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの研究契約を締結し、製薬会社とのアライアンスのもとでの探索研究にも取り組んでおります。
(B)新型コロナペプチドワクチン「FPP006」
FPP006は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するペプチドワクチンの開発化合物です。
当社グループは、大阪大学大学院医学系研究科との連携のもと、抗体誘導ペプチドの技術基盤を活用し、新型コロナペプチドワクチンの研究開発を行っております。
既存のワクチンはウイルス全体や標的タンパク質(mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン及び組換えタンパク質等)を抗原として用いて免疫を誘導するのに対し、FPP006は、ウイルスの変異の報告がないペプチド配列(エピトープ)を選択して効率的に免疫を誘導するのが特徴です。この特徴を活かして、高効率で副反応が少なくウイルスの変異の影響を受けないワクチンになることが期待されます。
(C)機能性ペプチド「SR-0379」
SR-0379は、皮膚潰瘍を対象疾患とする開発化合物です。皮膚のバリア機能が欠損して様々な細菌が創面に付着している皮膚潰瘍の治療には、細菌、感染のコントロールが重要です。SR-0379は、血管新生や肉芽形成促進による創傷治癒促進作用に加え、抗菌活性を併せ持つことが強みです。当社グループは、SR-0379の開発により、高齢化社会を迎え重要性が増している褥瘡等の皮膚潰瘍の早期回復を促進し、患者様のQOL向上に貢献することを目指しております。
SR-0379の開発は、複数のアカデミア主導の医師主導治験、更に企業治験を経て、現在、塩野義製薬株式会社と当社グループの共同開発により日本での開発を進めております。2022年11月に公表した第Ⅲ相臨床試験の速報結果において、SR-0379群はプラセボ群と比較して、統計学的に有意な差には至らなかったものの、主要評価項目(「簡単な外科的措置に至るまでの日数」)を改善する傾向がみられました。安全性に関しては、治験薬と因果関係がある有害事象はなく、SR-0379の高い安全性が確認されました。当社グループは、現在、本試験の事後解析の部分集団解析で効果がみられた特定の皮膚潰瘍患者を対象とする開発について、提携先の塩野義製薬株式会社との間で開発方針の協議を進めております。
(D)医薬品以外の事業分野
(a)機能性ペプチドの販売
医薬品以外の事業分野においては、2018年3月に株式会社ファンケルから「マイルドクレンジングシャンプー」、更に2020年4月に株式会社SMV JAPANから「携帯アルコール除菌スプレー」等が発売され、当社グループの機能性ペプチドを含有する商品が販売されております。
これらの商品販売に関し、当社グループは化粧品原料商社又は販社に対して機能性ペプチドを販売しております。
(b)機能性ペプチド配合製品の共同開発
当社グループは、事業会社との間で機能性ペプチド配合製品の共同開発に取り組んでおります。
2022年2月に株式会社サイエンスとの間で創傷用洗浄器の共同開発契約、2022年12月に株式会社ASメディカルサポート及び株式会社N3との間で幹細胞化粧品の共同開発契約、2023年2月に株式会社サンルイ・インターナッショナルとの間でフェムテック化粧品の共同開発契約を締結しました。
以上の事業を進めた結果、当連結会計年度の業績は、事業収益530千円(前年同期は事業収益1,067千円)、営業損失994,108千円(前年同期は営業損失1,169,069千円)、経常損失940,420千円(前年同期は経常損失1,175,229千円)、親会社株主に帰属する当期純損失933,416千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,172,515千円)となりました。
なお、当社グループは医薬品等の研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。
・事業収益
化粧品分野向け等の機能性ペプチド販売額530千円を計上いたしました。
・事業費用、営業損失、経常損失及び当期純損失
事業費用は、前連結会計年度に比べ175,497千円減少し、994,638千円となりました。
研究開発費はSR-0379の臨床試験費用等の減少により、前連結会計年度に比べ231,537千円減少の680,817千円、その他の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ56,039千円増加の313,820千円を計上いたしました。
この結果、営業損失は994,108千円(前年同期は営業損失1,169,069千円)、経常損失は940,420千円(前年同期は経常損失1,175,229千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は933,416千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,172,515千円)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ452,060千円減少し、当連結会計年度末には1,793,378千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は988,815千円(前年同期は1,053,151千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失940,420千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,055千円(前年同期は19,141千円の使用)となりました。これは、ネットワーク機器1,055千円の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は537,810千円(前年同期は245,125千円の獲得)となりました。これは主に、新株式の発行による収入によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは研究開発を主体としており、受注生産を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当社グループは医薬品等の研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
医薬品等の研究開発事業530△50.3

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
アリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス株式会社52549.231258.9
株式会社ReBeage (注)2--14727.7
株式会社SMV JAPAN48945.87113.4

2.前連結会計年度の金額及び割合は、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「② 経営成績の状況」に記載しております。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、医薬品等の創出のための研究開発費やその他の販売費及び一般管理費等の事業費用であり、これら事業上必要な資金は、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場等からの増資資金の獲得や補助金等の活用により調達しております。また、手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、銀行預金により流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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