有価証券報告書-第72期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

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2019/03/28 10:27
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループを取巻く食のグローバル流通事業の外部環境は、新興国の所得水準向上やいわゆる米国ミレニアル世代の台頭に代表されるような食の多様化、供食形態の変化(外食・中食需要増)、人口増加による食料資源問題、為替変動等により激しく変化しております。他方、日本食を中心としたアジア食品のグローバル化の進行は未だその途上と考えられます。
このような状況のもと、当社グループでは、変化を先取りした施策の取り組みと既存事業における一層の収益性の向上の両立を目指します。具体的には、以下の戦略・方針を実現してまいります。
(1) 営業戦略
アジア食グローバル事業では、より強固な営業基盤を構築するとともに、引き続き新規顧客の開拓を推進することでシェアの拡大を図ります。北米での成長を維持しつつも、北米以外のエリアについても、より一層積極的に市場開拓に向けて取り組んでいく方針であります。平成30年度は、ベトナム(ホーチミン市)、韓国(ソウル特別市)に駐在員事務所を開設し、日本食販売の拡大・マーケティング活動及び水産品・農産物の仕入強化を図っております。
また、多様化する食のニーズをとらえ、新しい食材、新しいメニュー、新しい食の文化を探求・提供していくことが、当社グループの新たな使命と心得、各国において、より現地に根差した活動を行っております。現地のニーズをつぶさに汲み取り商品開発に結び付けられるよう、現地社員の採用(特に専門スキル保有者)を積極的に進めてまいります。
農水産商社事業では、サンキスト・グロワーズ社の日本輸入総代理元として柑橘類を中心に、生鮮青果の幅広い商品を全国の卸売市場、量販店及び外食産業へ販売してまいりました。今後はこれまでに培った知見・技術を活かし、アジア各国へ販路を拡大してまいります。一例をあげますと、すでに平成29年秋より地域JAと協働し、東南アジア向けに小玉りんごの販売を行っております。現地の高所得者に限られていた顧客層を中所得者層へ拡大することに成功し、平成30年は大きな成果をあげました。その他、各国より調達した水産物を日本国内に販売する等、複合的な販売活動を展開しております。
その他事業では、海外のユニークなブランド食品を日本市場に紹介する他、ハロウィン、クリスマス等のイベント商品やキャラクター商品の企画・販売を行っております。この他には通販ギフト、小売店舗展開、サプリメント販売の各事業にも取り組み、食が創り出す楽しさ・喜びを国内一般消費者にもお届けしております。
(2) 商品戦略
当社グループは、北米を中心に世界各国へ日本食を中心としたアジアの食品・食材を供給しております。そのため生産者やメーカーと協働し市場ニーズを的確に捉え、各地のマーケットに合わせた商品を企画・開発し提供してまいりました。大正10年に商標登録したプライベートブランド「Shirakiku」は、以来1世紀にわたり有数の日本食ブランドとして米国を中心に世界各地で親しまれています。今後もその商品ラインナップを拡充し、「健康・安全・美味」を象徴するブランドとして一層強化・育成してまいります。
当社グループの商品戦略は、既成の商品をそのまま販売するだけでなく、マーケットから求められている商品を開発していくことを基本方針としております。そのために各国の日本食レストラン経営者及び食品メーカーとの連携を密にし、商品開発にあたっては現場で収集した情報を生かし、資源動向、需給バランス等の変化に対応していくよう取り組んでおります。さらに、ベジタリアン・ビーガン等多様化する食のニーズに対応するため、新しい食材の開発も手がけています。平成30年3月には、ニューヨーク州のスタートアップ企業(Ocean Hugger Foods, Inc.)と業務提携を行い、トマトを原料とするマグロ風味の寿司商材を販売いたしました。
(3) 物流・システム戦略
当社グループでは、特にアジア食グローバル事業において自社で小口配送網を持ち、きめ細かな物流サービスを提供しております。これにより、大手の卸売会社を容易に参入させないアドバンテージを堅持する一方、一部の国・地域においては、在庫管理、流通加工及び配送業務において、人手に頼った非効率なオペレーションに依存している面があります。
世界的に物流人件費の上昇がトレンドとなっている現在、当社グループは次のような政策を推進し、在庫管理及び物流機能の効率化・強化に努めます。
・受注から配送までの業務を一貫して効率運用できる物流システムの再構築
・グループ会社間での管理システムの共有化
・自動制御ロジスティックシステム等の先進技術の導入検討
(4) フードセーフティ・法令対応
当社グループは、世界各地を市場として「食」の向上に貢献する企業であります。したがって各国ごとに異なっている食品に関する法令・規制に漏れなく対応すると同時に、法令・規制対応に限定せず、取扱食品の安心・安全を担保するフードセーフティ(以下「FS」という。)活動は、必須かつ永続的な課題であります。
当社グループでは、情報収集とその分析・対応を迅速かつ正確に行う体制として、当社にホールディングカンパニーとしての総合的な統括部署を設置している他、各国の事業会社ごとにFS担当部署を設けています。また、事業部門にもFS部署との窓口担当者を配することで漏れの無い体制を構築しています。かかる組織体制により、まず事業部門の担当者が情報収集にあたり、その情報整理と対策に事業会社FS部があたり、さらに全体を当社統括部署が監修し、必要に応じて社外の専門家を活用しながら、課題の設定やスケジュール管理を行う体制が整っております。これにより、情報共有と業務連携が円滑に行われ、網羅的なFS管理を可能にしております。
(5) 財務戦略
当社グループでは、主要取引が米ドルを中心とした外貨取引であるため、為替リスク対応が重要な課題と認識しております。このため、グループ会社間における為替マリー(※)の活用や、三国間取引を行うことで為替リスクの極小化を図ってまいります。
また、当社グループの継続的成長を図るうえで、資金調達力の強化は重要な検討事項であると捉えております。今後は公募増資、社債発行等資本市場からの直接金融による資金調達力も考慮の上、安定した財務基盤の構築に取り組んでまいります。
(※)外国為替の売り持高と買い持高を結びつけることによって、為替持高を相殺することを指します。
(6) M&Aを活用した成長の追求
当社グループでは、これまでも成長性が高く、かつ、マーケット全体に占める割合の大きいアジア及び欧州において複数のM&Aを実施してまいりました。今後も将来の事業展開に向けた新規のM&Aを実施していくことが切要であると捉えております。特に、北米及び国内以外の海外拠点については、早期稼働に向けた事業基盤の構築と併せて必要によりM&Aも検討してまいります。
(7) 新技術、パラダイムシフトへの対応
食品業界においても、AI、IoT、ロボット等新技術の急速な進歩により、一次産業の都市化・工業化(養殖の自動化、野菜工場等)や、サプライチェーンの自動化(生産・在庫管理、不良品選別・異物検出、配送車の自動運転等)の実用化が進行しています。また、冷凍技術の進歩で、天然物を空輸するより美味しい冷凍食品が提供されるようになりました。
このような新技術は、現在大変な社会問題となっている食品廃棄の削減にも大きな貢献が期待されています。当社グループは、今後こうした食品に関する新技術への研究・投資を検討課題とし、食を通した社会への貢献を果たしてまいります。
(8) 目標とすべき経営指標
当社グループは、「北米事業のグループ内シェア」及び「ROWC」を目標とすべき主要な経営指標としております。
「北米事業のグループ内シェア」は、当社グループの事業基盤を支える北米事業を伸ばしながらもその構成比率を引き下げること、言い換えると、北米以外の事業で北米事業を上回る成長を実現することでグループとしての成長を加速させることを目指しているものです。
北米以外の事業の構成比率は、平成29年度は売上高で41.1%、営業利益で21.4%でありましたが、平成30年度は売上高では41.5%とほぼ横ばいながら、営業利益では33.6%と12.3ポイント伸長しました。この結果、平成30年度当社グループ全体の実績は、北米事業での営業利益の減少を他の事業でカバーし、売上高が前期比105.9%、営業利益が前期比106.2%となり、増収増益となりました。
ROWC(=Return on Working Capital)は、大きな設備をあまり必要としない当社グループの事業効率の指標として採用しており、営業利益(Return)が運転資本(Working Capital)に占める割合になります。運転資本とは日々営業活動を継続するための資金で、(売上債権+棚卸資産-買入債務)で求められます。ROWCの算出には一般に前期末と当期末の平均が用いられます。
ROWCの目標値は30.0%ですが、平成30年度の実績は、前期比プラス0.2ポイントの20.5%となりました。

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