有価証券報告書-第21期(2025/01/01-2025/12/31)
③ 人的資本経営の推進に関する戦略
当社グループでは、2024年11月14日に公表した2025年中期経営計画「GLM100」(対象期間:2025年12月期から2027年12月期)及びグループ方針「GLM1000」の策定を踏まえ、人的資本経営の推進に関する基本的な考え方に基づき、「人材戦略」を策定いたしました。
当社グループは、創業以来、コンパクトマンション市場においてシェアを伸ばすことで成長してまいりました。2025年以降は、昨今のコンパクトマンションを取り巻く環境変化を踏まえ、高い成長性が見込まれる土地企画事業及び再生事業を一層強化するとともに、多様な不動産事業領域において成長強化を図っております。さらに、DXと不動産のシナジー創出を目的としてAtPeak株式会社をはじめグループ会社との連携を強化し、複数の事業ポートフォリオを展開することで成長の実現を目指しております。
こうした成長戦略のもと、中期経営計画「GLM100」はオーガニック成長で達成する戦略であり、その実現に向けて、必要なポスト及びスキルを可視化し、現状とのギャップを解消することが重要な課題であると考えております。一方、人的資本を取り巻く経営環境は大きく変化しており、中でも人手不足の深刻化や労働人口構成の変化は、当社グループにとって重要な戦略リスクであると同時に機会でもあると認識しております。
これらの社内外の環境変化を踏まえ、「人材戦略」のKGIとして「平均給与業界ランキング」を設定しております。具体的には、有価証券報告書ベースで業界上位5位以内に入り、これを維持することを目指すとともに、新事業の成長及び既存事業や業務プロセスの生産性向上を通じて、持続的な企業価値向上を図ってまいります。また、スキルマネジメント、従業員エンゲージメントを重要施策事項と位置付け、各種施策を展開してまいります。
なお、こうした取組みの結果、当社における当事業年度の平均年間給与額は、業績拡大に伴う賞与・インセンティブ報酬とあわせ、13,218千円となり、前事業年度の8,908千円から金額ベースで4,309千円の大幅増加(前事業年度対比+48.4%)となっております
<「人的資本経営における人材戦略」>
現在、次の施策を同時に進めております。
イ.女性、外国籍、異業種経験者等、様々なバックグランドを持つ人材の採用及び起用を積極的かつ継続的に実施
ロ.それぞれが自分らしく、個々の特性や能力を最大限に発揮できるよう、人材育成、職場環境の整備、公平公正な人事評価制度の見直し
ハ.従業員のスキルの可視化と拡充・研鑽を目指した各種施策の企画提案及び運用
ニ.従業員エンゲージメントの向上を目的とするプロジェクトチーム設置による改善施策
今後も引き続き、「マテリアリティ」として定めた「人的資本経営の推進」を実現するため、「成長意欲がある人材に選ばれる企業になり、多様性に富んだ組織である」ことを目指し、取組んでまいります。
<人的資本経営の推進のための取組み>イ.「人材採用育成方針」と「社内環境整備方針」
当社グループは、多様な従業員一人ひとりがスキルを磨き生き生きと活躍できる環境を整えることが、事業価値創造や生産性の向上をもたらし、成長意欲がある人材に選ばれる企業となり、また多様性に富んだ組織となるうえで、最も重要であると考えております。
こうした考えのもと「Value」に掲げる「No.1」「挑戦」「共創」を体現するため、2023年12月に「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を策定いたしました。
その後、2024年11月にグループ理念を新たに策定したことを受け、当社グループが求める人材像について執行役員ミーティング及び経営会議等にて議論を重ね、育成以前の段階である「採用」の在り方が極めて重要であるとの認識が共有されました。
この結果、当社グループは従来の「人材育成方針」を、採用と育成を一体で捉える「人材採用育成方針」へと改称し、グループ理念に基づく人材戦略として刷新いたしました。
ロ.人材育成
当社グループにおける事業の成長には、「人材」が必要不可欠と考えております。
従業員が目指すキャリアプランを実現することが、モチベーション向上、早期成長に繋がると考え、2021年度より、従業員自らが希望する職務/部署へ挑戦できる「キャリアチャレンジ制度」を導入しております。現在の部署で培ったスキル・経験を活かしながら、他部署でのキャリアアップを継続的に支援する取組みを進めており、それぞれ新たな部署にて活躍しております。
また、従業員の能力開発を促進するため、これまで、階層別研修、コンプライアンス研修、eラーニング研修、従業員の希望テーマに基づく任意研修、サステナビリティに関する研修等、社内研修制度を通じた育成に取組んでまいりました。これらに加え、管理職候補者を対象とした他社との合同研修や、次世代を担う幹部育成を目的とした外部研修の導入も進め、社員の専門性向上と視野の拡大を図っております。外部の受講者との議論を通じて多様な価値観に触れることで、自社だけでは得られない気づきや刺激が生まれ、より高い視座で判断・行動できる人材の育成につながっております。
業務に関係する資格につきましては、資格取得者へ一時金の支給や登録料・更新料の会社負担等の支援を行ってまいりました。2025年度に設置した「従業員エンゲージメント向上施策プロジェクトチーム」による提言をもとに、資格取得支援の対象範囲の支給金額の大幅な見直しを実施いたしました。また、難関国家資格等に合格し、専門性を有する従業員については、合格後も継続的にその専門性を発揮してもらうことを目的として、毎月資格手当を支給する「資格手当」を新設しております。本制度は、難易度の高い資格取得への挑戦を評価するとともに、高度な専門性を持つ人材の定着とモチベーション向上を図るものです。
今後も、従業員一人ひとりの専門性向上と主体的なキャリア形成を支援するため、人的資本への投資を継続して強化してまいります。
ハ.職場環境の整備
当社グループは、社内環境整備方針に基づき、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、仕事とプライベートを両立できる環境づくりを重視しております。
ワークライフバランスの実現は、従業員の幸福度とモチベーションの向上のみならず、生産性向上やイノベーション創出にもつながると考え、フレックスタイム制や在宅勤務の導入、有給休暇取得の推奨、長時間労働の削減、育児・介護支援等、多様な働き方を支援する施策・制度を積極的に推進しております。
さらに、より良い職場環境の実現に向け、全社員を対象に年2回実施している「働き方に関する調査」を通じて従業員の声を定期的に把握し、寄せられた意見をもとに制度や運用の改善に取組んでおります。
また、内部通報窓口(常勤監査等委員及び人事総務部長による社内窓口並びに外部弁護士による社外窓口)を設置し、ハラスメント研修の実施や、ハラスメントに関する調査を外部弁護士に委託して年2回行う等、ハラスメントのない環境づくりの整備に努めております。
これらの取組みに加えて、従業員のコンディションや職場環境に関する状況を把握する目的で、毎月1回、パルスサーベイ(モチベーション調査)を実施しております。サーベイでは、直近1ヶ月の健康状態や職場の人間関係等に関する複数の質問項目を設けているほか、人事担当者との面談希望の有無についても確認しております。これらの結果については月次で推移を確認し、必要に応じて人事担当者による面談を実施するなど、従業員に関する課題の把握及び対応に活用しております。
ニ.ダイバーシティ&インクリュージョン
当社グループでは、人的資本経営の推進には、ダイバーシティの実現が重要であると考えており、女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進に基づく行動計画を策定・公表し、従業員がともに仕事と子育てを両立しながら働きやすい環境を整備することで、一人ひとりがその能力を十分に発揮できるよう取組んでまいりました。
また、2022年4月に従業員の育児休業の取得の促進等を目的に「育児休業等に関する相談窓口」を設置し、2025年度には、育児休職者の業務をサポートする従業員へ手当を支給する「休職者サポート制度」を導入しました。当制度は、休職者を温かく送り出すと同時に、業務を支える側の負担や貢献にも配慮し、チームで支え合える職場環境を整えることを目的としています。このように、継続的にサポート体制の充実を図っております。
今回の計画期間(2025年1月~2027年12月)におきましては、公表している以下の3つの目標に対して、次のような施策を実施しております。
◎一般事業主行動計画目標達成に向け実施した主な施策について
さらに、当社は、女性活躍推進に関する取組みが評価され、厚生労働省が推進する「えるぼし」認定(2段階目)を2025年2月6日に取得し、3段階目の取得を目指して取組みの充実を進めてまいりました。その結果、2025年12月12日に、5つの評価項目「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の全てにおいて基準を満たし、「えるぼし」3段階目の認定を取得いたしました。
今後も、女性活躍推進を含め、より多様な人材が活躍できる職場環境の実現に向け、施策の更なる拡充に努めてまいります。
ホ.従業員インセンティブの充実
当社グループは、2024年11月14日に2025年中期経営計画「GLM100」を発表し、この中期経営計画における業績目標の達成に向けて、当社又は当社子会社の取締役及び執行役員並びに従業員のコミットメントを更に高め、当社の業績向上と企業価値向上への貢献意欲や士気を一層向上させることを目的として、新株予約権(ストック・オプション)を発行いたしました。行使条件を、中期経営計画における業績目標の達成としていることから、当社グループの企業価値・株主価値の向上に資するものと考えております。
また、従業員の資産形成及び経営参画意識向上のため、従業員持株会制度(毎月の給与の一定額から当社株式を購入する制度)を導入しており、持株会への加入を推奨しております。定期的な制度の周知及び加入者に会社が購入費用の一部を奨励金として補助しておりますが、この奨励金付与率の見直しを行うことで、加入の推進とエンゲージメント向上に努めております。
ヘ.公平公正な処遇
当社グループでは、年齢、社歴、性別、新卒・異業種経験者等を問わず、高い成果を出した従業員に、より報いることができる仕組みをつくるべく、2024年度に引き続き、2025年度においても「人事制度改定プロジェクトチーム」を設置いたしました。同チームでは、毎年2回の「働き方に関する調査」等を通じて明らかになった人事評価制度に関する課題をもとに議論を踏まえ、主に若手従業員(下位等級)層の社内外の競争力が担保できるための給与レンジの見直しを始めとする制度改定を行っております。
また、半期毎にMBO(業績)評価とコンピテンシー(行動)評価を実施しており、評価者会議による評価基準のすり合わせを通じて、公平公正な評価の実現に努めております。
2025年度には、新たに策定した「人材採用育成方針」に基づき、当社グループが大切にしているコンピテンシー評価の評価項目を、当社グループの「Value(No.1・挑戦・共創)及び「Culture(Respect・Speed・Open・Clean)」を評価軸として反映させるよう、コンピテンシー評価項目の見直しを行いました。新たな評価項目は2026年度の評価から運用を開始する予定です。
さらに、2024年度から課長代理以上を対象に、上司だけでなく同僚や部下も評価を行う「多面的調査」を導入しており、昇降格の判断や、本人への課題認識につながるフィードバックに活用しております。
今後も、本制度に基づき納得感の高い評価や適材適所の抜擢を推進することで、人事制度に対する従業員満足度の一層の向上を目指してまいります。
ト.エンゲージメント向上施策の実施
当社グループでは、重要な人材戦略の一つとして「従業員エンゲージメントの向上」を掲げております。
2025年には、ミーティング等で議論を重ね、当社グループが目指すエンゲージメントの高い状態を、「(役員・従業員が)グループ理念に共感し、共に未来を実現したいと思っている状態」と定義いたしました。
従業員のエンゲージメントの向上を継続的に把握することを目的として、2024年10月よりエンゲージメント調査を導入し、2025年以降は年2回の実施に運用しております。同調査は、「心理的安全性」「働く環境」「人事評価制度」「企業理念やValueの浸透」「ダイバーシティ&インクリュージョン(以下「D&I」」等、12カテゴリー×各5問=合計60問について、5段階(5が最高評価)で回答を得るものです。
2024年10月調査における平均スコア3.8点に対し、2025年7月は3.8点、2025年11月は3.9点と高い水準を維持しております。また、評価4及び5の高評価回答率は、2024年10月の68.5%から、2025年7月は71.2%、2025年11月は73.0%へ上昇しました。
◎カテゴリー別高評価回答率の推移(%)
(注)直近の2025年11月調査と2024年10月調査とを比較した差異となります。
直近の2025年11月の調査結果では、項目別に「法令遵守」カテゴリーの「コンプライアンスに関する研修はしっかり行われている」が94.6%と最も高く、同カテゴリーの「社内ルールをしっかり遵守している」が93.8%、「心理的安全性:話しやすさ・助け合い」カテゴリーの「問題やリスクに気づいた瞬間・感じた時に声をあげられるチームか」が92.2%、「知らないことや、わからないことがある時、それをフラットに尋ねられるか」及び「挑戦・成長の機会」カテゴリーの「年功序列ではなく若手にもチャンスがある会社である」がそれぞれ89.1%と続いております。
これらの結果から、当社グループにおいては法令遵守と透明性を重視した組織運営が行われていること、また心理的安全性が高く、若手を含めた挑戦機会が提供される環境が醸成されていることが確認できます。
一方で、「企業理念やValueへの共感」カテゴリーにおいて、「当社の企業理念、Vision、Valueにマッチした人材が採用できている」は41.1%と最も低く、「働く環境」カテゴリーの「福利厚生が充実している」が50.4%、「人事評価制度」カテゴリーの「当社の評価制度に満足している」及び「D&I」カテゴリーの「当社はダイバーシティ&インクルージョンの取組みが進んでいる」がいずれも51.2%と、比較的低い評価となりました。
これらの課題を受け、当社グループでは2024年10月調査を踏まえて課題を特定し、2025年5月に経営会議の審議を経て「従業員エンゲージメント向上施策プロジェクト」を設置いたしました。同プロジェクトは人事総務部が主管となり、各部署から選出されたメンバーにより2025年度は13回のミーティングを開催し、課題改善に向け検討を進めました。また、「人事評価制度」については「人事制度改定プロジェクトチーム」を設置し、制度の課題を整理したうえで見直しを実施いたしました。
その結果、2024年10月調査において低評価であったカテゴリーのうち、「挑戦・成長の機会」は67.2%から76.7%へ9.5ポイント、「D&I」は58.6%から67.6%へ9.0ポイント、「人事評価制度」は56.6%から64.7%へと改善が確認されております。
なお、具体的な低評価項目の改善状況は以下のとおりであります。
◎主要低評価項目の改善状況(2024年10月調査 → 2025年11月調査)
(注)直近の2025年11月調査と2024年10月調査とを比較した差異となります。
これらの結果は、当社グループが実施してきたエンゲージメント向上施策や人事制度の見直し等の取組みが、従業員の挑戦機会の拡大や多様性・公平性の確保といった基本方針に一定の効果をもたらしていることを示すものです。当社グループとしては、引き続き従業員の成長支援、公正で透明性の高い評価体制の整備に取組み、持続的な企業価値向上につなげてまいります。
チ.スキルの可視化と向上・研鑽機会の提供
当社グループでは、人材戦略の一環として、従業員のスキルの可視化と向上・研鑽の機会提供を推進しております。
2026年度より運用を開始した「スキルチャレンジ制度」は、従業員が異動を伴わずに現部署に所属したまま他部署の業務を経験できる制度であり、他部署理解の促進や全社的なスキル習得の機会提供を目的としております。
また、スキルの可視化を目的として、当社グループでは「スキルシート」を整備しております。スキルシートは、全社共通項目である「ポータブルスキル(17項目)」と、業務分掌表に基づき各部署の専門性に応じて設定した「テクニカルスキル」で構成されております。各項目は1〜4の4段階で上長が評価を行い、従業員一人ひとりのスキル向上度を定点的に把握できる仕組みとしております。
なお、スキルシートには「スキルシートA」と「スキルシートB」の2種類があり、Aは所属部署における専門性向上のために使用し、Bはスキルチャレンジ制度における評価専用として運用しております。両シートはテクニカルスキルの項目構成は同一ですが、スキルチャレンジの特性を踏まえ、Bの評価基準はAに比べて異なる水準を設定しております。スキルチャレンジ制度利用後は、受入部署長が「スキルシートB」により評価を行い、その結果を従業員のスキル把握・育成方針に反映していきます。
さらに、資格取得支援制度についても、同制度の趣旨に沿って大幅な見直しを行い、専門性向上を支援する体系を整備しております(詳細は「ロ.人材育成」の項目に記載)。従業員に対して多面的な成長機会を提供することで、当社グループ全体のスキル向上と人的資本の強化を図ってまいります。
当社グループでは、2024年11月14日に公表した2025年中期経営計画「GLM100」(対象期間:2025年12月期から2027年12月期)及びグループ方針「GLM1000」の策定を踏まえ、人的資本経営の推進に関する基本的な考え方に基づき、「人材戦略」を策定いたしました。
当社グループは、創業以来、コンパクトマンション市場においてシェアを伸ばすことで成長してまいりました。2025年以降は、昨今のコンパクトマンションを取り巻く環境変化を踏まえ、高い成長性が見込まれる土地企画事業及び再生事業を一層強化するとともに、多様な不動産事業領域において成長強化を図っております。さらに、DXと不動産のシナジー創出を目的としてAtPeak株式会社をはじめグループ会社との連携を強化し、複数の事業ポートフォリオを展開することで成長の実現を目指しております。
こうした成長戦略のもと、中期経営計画「GLM100」はオーガニック成長で達成する戦略であり、その実現に向けて、必要なポスト及びスキルを可視化し、現状とのギャップを解消することが重要な課題であると考えております。一方、人的資本を取り巻く経営環境は大きく変化しており、中でも人手不足の深刻化や労働人口構成の変化は、当社グループにとって重要な戦略リスクであると同時に機会でもあると認識しております。
これらの社内外の環境変化を踏まえ、「人材戦略」のKGIとして「平均給与業界ランキング」を設定しております。具体的には、有価証券報告書ベースで業界上位5位以内に入り、これを維持することを目指すとともに、新事業の成長及び既存事業や業務プロセスの生産性向上を通じて、持続的な企業価値向上を図ってまいります。また、スキルマネジメント、従業員エンゲージメントを重要施策事項と位置付け、各種施策を展開してまいります。
なお、こうした取組みの結果、当社における当事業年度の平均年間給与額は、業績拡大に伴う賞与・インセンティブ報酬とあわせ、13,218千円となり、前事業年度の8,908千円から金額ベースで4,309千円の大幅増加(前事業年度対比+48.4%)となっております
<「人的資本経営における人材戦略」>

現在、次の施策を同時に進めております。
イ.女性、外国籍、異業種経験者等、様々なバックグランドを持つ人材の採用及び起用を積極的かつ継続的に実施
ロ.それぞれが自分らしく、個々の特性や能力を最大限に発揮できるよう、人材育成、職場環境の整備、公平公正な人事評価制度の見直し
ハ.従業員のスキルの可視化と拡充・研鑽を目指した各種施策の企画提案及び運用
ニ.従業員エンゲージメントの向上を目的とするプロジェクトチーム設置による改善施策
今後も引き続き、「マテリアリティ」として定めた「人的資本経営の推進」を実現するため、「成長意欲がある人材に選ばれる企業になり、多様性に富んだ組織である」ことを目指し、取組んでまいります。
<人的資本経営の推進のための取組み>イ.「人材採用育成方針」と「社内環境整備方針」
当社グループは、多様な従業員一人ひとりがスキルを磨き生き生きと活躍できる環境を整えることが、事業価値創造や生産性の向上をもたらし、成長意欲がある人材に選ばれる企業となり、また多様性に富んだ組織となるうえで、最も重要であると考えております。
こうした考えのもと「Value」に掲げる「No.1」「挑戦」「共創」を体現するため、2023年12月に「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を策定いたしました。
その後、2024年11月にグループ理念を新たに策定したことを受け、当社グループが求める人材像について執行役員ミーティング及び経営会議等にて議論を重ね、育成以前の段階である「採用」の在り方が極めて重要であるとの認識が共有されました。
この結果、当社グループは従来の「人材育成方針」を、採用と育成を一体で捉える「人材採用育成方針」へと改称し、グループ理念に基づく人材戦略として刷新いたしました。
ロ.人材育成
当社グループにおける事業の成長には、「人材」が必要不可欠と考えております。
従業員が目指すキャリアプランを実現することが、モチベーション向上、早期成長に繋がると考え、2021年度より、従業員自らが希望する職務/部署へ挑戦できる「キャリアチャレンジ制度」を導入しております。現在の部署で培ったスキル・経験を活かしながら、他部署でのキャリアアップを継続的に支援する取組みを進めており、それぞれ新たな部署にて活躍しております。
また、従業員の能力開発を促進するため、これまで、階層別研修、コンプライアンス研修、eラーニング研修、従業員の希望テーマに基づく任意研修、サステナビリティに関する研修等、社内研修制度を通じた育成に取組んでまいりました。これらに加え、管理職候補者を対象とした他社との合同研修や、次世代を担う幹部育成を目的とした外部研修の導入も進め、社員の専門性向上と視野の拡大を図っております。外部の受講者との議論を通じて多様な価値観に触れることで、自社だけでは得られない気づきや刺激が生まれ、より高い視座で判断・行動できる人材の育成につながっております。
業務に関係する資格につきましては、資格取得者へ一時金の支給や登録料・更新料の会社負担等の支援を行ってまいりました。2025年度に設置した「従業員エンゲージメント向上施策プロジェクトチーム」による提言をもとに、資格取得支援の対象範囲の支給金額の大幅な見直しを実施いたしました。また、難関国家資格等に合格し、専門性を有する従業員については、合格後も継続的にその専門性を発揮してもらうことを目的として、毎月資格手当を支給する「資格手当」を新設しております。本制度は、難易度の高い資格取得への挑戦を評価するとともに、高度な専門性を持つ人材の定着とモチベーション向上を図るものです。
今後も、従業員一人ひとりの専門性向上と主体的なキャリア形成を支援するため、人的資本への投資を継続して強化してまいります。
ハ.職場環境の整備
当社グループは、社内環境整備方針に基づき、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、仕事とプライベートを両立できる環境づくりを重視しております。
ワークライフバランスの実現は、従業員の幸福度とモチベーションの向上のみならず、生産性向上やイノベーション創出にもつながると考え、フレックスタイム制や在宅勤務の導入、有給休暇取得の推奨、長時間労働の削減、育児・介護支援等、多様な働き方を支援する施策・制度を積極的に推進しております。
さらに、より良い職場環境の実現に向け、全社員を対象に年2回実施している「働き方に関する調査」を通じて従業員の声を定期的に把握し、寄せられた意見をもとに制度や運用の改善に取組んでおります。
また、内部通報窓口(常勤監査等委員及び人事総務部長による社内窓口並びに外部弁護士による社外窓口)を設置し、ハラスメント研修の実施や、ハラスメントに関する調査を外部弁護士に委託して年2回行う等、ハラスメントのない環境づくりの整備に努めております。
これらの取組みに加えて、従業員のコンディションや職場環境に関する状況を把握する目的で、毎月1回、パルスサーベイ(モチベーション調査)を実施しております。サーベイでは、直近1ヶ月の健康状態や職場の人間関係等に関する複数の質問項目を設けているほか、人事担当者との面談希望の有無についても確認しております。これらの結果については月次で推移を確認し、必要に応じて人事担当者による面談を実施するなど、従業員に関する課題の把握及び対応に活用しております。
ニ.ダイバーシティ&インクリュージョン
当社グループでは、人的資本経営の推進には、ダイバーシティの実現が重要であると考えており、女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進に基づく行動計画を策定・公表し、従業員がともに仕事と子育てを両立しながら働きやすい環境を整備することで、一人ひとりがその能力を十分に発揮できるよう取組んでまいりました。
また、2022年4月に従業員の育児休業の取得の促進等を目的に「育児休業等に関する相談窓口」を設置し、2025年度には、育児休職者の業務をサポートする従業員へ手当を支給する「休職者サポート制度」を導入しました。当制度は、休職者を温かく送り出すと同時に、業務を支える側の負担や貢献にも配慮し、チームで支え合える職場環境を整えることを目的としています。このように、継続的にサポート体制の充実を図っております。
今回の計画期間(2025年1月~2027年12月)におきましては、公表している以下の3つの目標に対して、次のような施策を実施しております。
◎一般事業主行動計画目標達成に向け実施した主な施策について
| 目標 | 実施した主な施策 |
| (a) 女性管理職比率20%以上及び女性採 用比率40%以上 | ・採用におけるプロジェクトチーム設置、採用フロー・面接 方法の見直し ・女性管理職インタビューを社内外に配信し、ロールモデル を可視化 |
| (b) 男性の育児休業休暇取得率75%以上 | ・男性の育休取得者と、その上司のインタビューを社内外に 配信 ・育児休業取得者アンケートを実施し、課題・改善点を分析 |
| (c) 産前産後・育児休業取得前の相談と は別に、職場復帰時や復帰後の不安を低減するための施策の実施 | ・子育てと仕事を両立している社員へのヒアリングを実施 ・育児休業者の定期面談の検討・実施 ・復帰前面談・復帰後の情報共有会を企画・開催 |
さらに、当社は、女性活躍推進に関する取組みが評価され、厚生労働省が推進する「えるぼし」認定(2段階目)を2025年2月6日に取得し、3段階目の取得を目指して取組みの充実を進めてまいりました。その結果、2025年12月12日に、5つの評価項目「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の全てにおいて基準を満たし、「えるぼし」3段階目の認定を取得いたしました。
今後も、女性活躍推進を含め、より多様な人材が活躍できる職場環境の実現に向け、施策の更なる拡充に努めてまいります。
ホ.従業員インセンティブの充実
当社グループは、2024年11月14日に2025年中期経営計画「GLM100」を発表し、この中期経営計画における業績目標の達成に向けて、当社又は当社子会社の取締役及び執行役員並びに従業員のコミットメントを更に高め、当社の業績向上と企業価値向上への貢献意欲や士気を一層向上させることを目的として、新株予約権(ストック・オプション)を発行いたしました。行使条件を、中期経営計画における業績目標の達成としていることから、当社グループの企業価値・株主価値の向上に資するものと考えております。
また、従業員の資産形成及び経営参画意識向上のため、従業員持株会制度(毎月の給与の一定額から当社株式を購入する制度)を導入しており、持株会への加入を推奨しております。定期的な制度の周知及び加入者に会社が購入費用の一部を奨励金として補助しておりますが、この奨励金付与率の見直しを行うことで、加入の推進とエンゲージメント向上に努めております。
ヘ.公平公正な処遇
当社グループでは、年齢、社歴、性別、新卒・異業種経験者等を問わず、高い成果を出した従業員に、より報いることができる仕組みをつくるべく、2024年度に引き続き、2025年度においても「人事制度改定プロジェクトチーム」を設置いたしました。同チームでは、毎年2回の「働き方に関する調査」等を通じて明らかになった人事評価制度に関する課題をもとに議論を踏まえ、主に若手従業員(下位等級)層の社内外の競争力が担保できるための給与レンジの見直しを始めとする制度改定を行っております。
また、半期毎にMBO(業績)評価とコンピテンシー(行動)評価を実施しており、評価者会議による評価基準のすり合わせを通じて、公平公正な評価の実現に努めております。
2025年度には、新たに策定した「人材採用育成方針」に基づき、当社グループが大切にしているコンピテンシー評価の評価項目を、当社グループの「Value(No.1・挑戦・共創)及び「Culture(Respect・Speed・Open・Clean)」を評価軸として反映させるよう、コンピテンシー評価項目の見直しを行いました。新たな評価項目は2026年度の評価から運用を開始する予定です。
さらに、2024年度から課長代理以上を対象に、上司だけでなく同僚や部下も評価を行う「多面的調査」を導入しており、昇降格の判断や、本人への課題認識につながるフィードバックに活用しております。
今後も、本制度に基づき納得感の高い評価や適材適所の抜擢を推進することで、人事制度に対する従業員満足度の一層の向上を目指してまいります。
ト.エンゲージメント向上施策の実施
当社グループでは、重要な人材戦略の一つとして「従業員エンゲージメントの向上」を掲げております。
2025年には、ミーティング等で議論を重ね、当社グループが目指すエンゲージメントの高い状態を、「(役員・従業員が)グループ理念に共感し、共に未来を実現したいと思っている状態」と定義いたしました。
従業員のエンゲージメントの向上を継続的に把握することを目的として、2024年10月よりエンゲージメント調査を導入し、2025年以降は年2回の実施に運用しております。同調査は、「心理的安全性」「働く環境」「人事評価制度」「企業理念やValueの浸透」「ダイバーシティ&インクリュージョン(以下「D&I」」等、12カテゴリー×各5問=合計60問について、5段階(5が最高評価)で回答を得るものです。
2024年10月調査における平均スコア3.8点に対し、2025年7月は3.8点、2025年11月は3.9点と高い水準を維持しております。また、評価4及び5の高評価回答率は、2024年10月の68.5%から、2025年7月は71.2%、2025年11月は73.0%へ上昇しました。
◎カテゴリー別高評価回答率の推移(%)
| カテゴリー | 2024年10月 | 2025年7月 | 2025年11月 | 差異(注) |
| 心理的安全性:話しやすさ・助け合い | 77.3 | 78.1 | 79.2 | +1.9 |
| 心理的安全性:挑戦・新奇歓迎 | 64.8 | 67.5 | 69.6 | +4.8 |
| 働く環境 | 75.4 | 73.6 | 74.6 | -0.8 |
| 人事評価制度 | 56.6 | 63.7 | 64.7 | +8.0 |
| 法令遵守(コンプライアンス) | 82.4 | 81.8 | 84.0 | +1.6 |
| 会社・仕事に対する誇り | 65.1 | 70.6 | 69.9 | +4.8 |
| 企業理念やValueへの共感 | 63.7 | 63.4 | 66.0 | +2.4 |
| ワークライフバランスの実践 | 73.3 | 74.6 | 74.7 | +1.4 |
| 社内コミュニケーション:日常業務 | 70.6 | 74.9 | 75.3 | +4.8 |
| 社内コミュニケーション:会議 | 67.7 | 72.8 | 73.2 | +5.5 |
| D&I | 58.6 | 63.0 | 67.6 | +9.0 |
| 挑戦・成長の機会 | 67.2 | 70.1 | 76.7 | +9.5 |
| 平均点 | 68.5 | 71.2 | 73.0 | +4.4 |
(注)直近の2025年11月調査と2024年10月調査とを比較した差異となります。
直近の2025年11月の調査結果では、項目別に「法令遵守」カテゴリーの「コンプライアンスに関する研修はしっかり行われている」が94.6%と最も高く、同カテゴリーの「社内ルールをしっかり遵守している」が93.8%、「心理的安全性:話しやすさ・助け合い」カテゴリーの「問題やリスクに気づいた瞬間・感じた時に声をあげられるチームか」が92.2%、「知らないことや、わからないことがある時、それをフラットに尋ねられるか」及び「挑戦・成長の機会」カテゴリーの「年功序列ではなく若手にもチャンスがある会社である」がそれぞれ89.1%と続いております。
これらの結果から、当社グループにおいては法令遵守と透明性を重視した組織運営が行われていること、また心理的安全性が高く、若手を含めた挑戦機会が提供される環境が醸成されていることが確認できます。
一方で、「企業理念やValueへの共感」カテゴリーにおいて、「当社の企業理念、Vision、Valueにマッチした人材が採用できている」は41.1%と最も低く、「働く環境」カテゴリーの「福利厚生が充実している」が50.4%、「人事評価制度」カテゴリーの「当社の評価制度に満足している」及び「D&I」カテゴリーの「当社はダイバーシティ&インクルージョンの取組みが進んでいる」がいずれも51.2%と、比較的低い評価となりました。
これらの課題を受け、当社グループでは2024年10月調査を踏まえて課題を特定し、2025年5月に経営会議の審議を経て「従業員エンゲージメント向上施策プロジェクト」を設置いたしました。同プロジェクトは人事総務部が主管となり、各部署から選出されたメンバーにより2025年度は13回のミーティングを開催し、課題改善に向け検討を進めました。また、「人事評価制度」については「人事制度改定プロジェクトチーム」を設置し、制度の課題を整理したうえで見直しを実施いたしました。
その結果、2024年10月調査において低評価であったカテゴリーのうち、「挑戦・成長の機会」は67.2%から76.7%へ9.5ポイント、「D&I」は58.6%から67.6%へ9.0ポイント、「人事評価制度」は56.6%から64.7%へと改善が確認されております。
なお、具体的な低評価項目の改善状況は以下のとおりであります。
◎主要低評価項目の改善状況(2024年10月調査 → 2025年11月調査)
| カテゴリー:項目 | 2024年10月 | 2025年7月 | 2025年11月 | 差異(注) |
| <企業理念やValueへの共感>当社の企業理念、Vision、Valueにマッチした人材が採用できている | 36.0 | 41.6 | 41.1 | +5.1 |
| <人事評価制度>当社の評価制度に満足している | 36.8 | 51.2 | 51.2 | +14.4 |
| 36.8 | 48.0 | 51.2 | +14.4 | |
| <話しやすさ・助け合い>このチームは減点主義ではなく、加点主義か | 45.6 | 54.4 | 52.7 | +7.1 |
| 47.2 | 54.4 | 57.4 | +10.2 |
(注)直近の2025年11月調査と2024年10月調査とを比較した差異となります。
これらの結果は、当社グループが実施してきたエンゲージメント向上施策や人事制度の見直し等の取組みが、従業員の挑戦機会の拡大や多様性・公平性の確保といった基本方針に一定の効果をもたらしていることを示すものです。当社グループとしては、引き続き従業員の成長支援、公正で透明性の高い評価体制の整備に取組み、持続的な企業価値向上につなげてまいります。
チ.スキルの可視化と向上・研鑽機会の提供
当社グループでは、人材戦略の一環として、従業員のスキルの可視化と向上・研鑽の機会提供を推進しております。
2026年度より運用を開始した「スキルチャレンジ制度」は、従業員が異動を伴わずに現部署に所属したまま他部署の業務を経験できる制度であり、他部署理解の促進や全社的なスキル習得の機会提供を目的としております。
また、スキルの可視化を目的として、当社グループでは「スキルシート」を整備しております。スキルシートは、全社共通項目である「ポータブルスキル(17項目)」と、業務分掌表に基づき各部署の専門性に応じて設定した「テクニカルスキル」で構成されております。各項目は1〜4の4段階で上長が評価を行い、従業員一人ひとりのスキル向上度を定点的に把握できる仕組みとしております。
なお、スキルシートには「スキルシートA」と「スキルシートB」の2種類があり、Aは所属部署における専門性向上のために使用し、Bはスキルチャレンジ制度における評価専用として運用しております。両シートはテクニカルスキルの項目構成は同一ですが、スキルチャレンジの特性を踏まえ、Bの評価基準はAに比べて異なる水準を設定しております。スキルチャレンジ制度利用後は、受入部署長が「スキルシートB」により評価を行い、その結果を従業員のスキル把握・育成方針に反映していきます。
さらに、資格取得支援制度についても、同制度の趣旨に沿って大幅な見直しを行い、専門性向上を支援する体系を整備しております(詳細は「ロ.人材育成」の項目に記載)。従業員に対して多面的な成長機会を提供することで、当社グループ全体のスキル向上と人的資本の強化を図ってまいります。