有価証券報告書-第12期(2022/09/01-2023/08/31)

【提出】
2023/11/27 15:51
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針
当社グループは、事業だけではなく地球環境も含めた持続可能性を高め、中長期的な競争優位性を確立するため、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに定め、「Circular Design Company」の実現を目指しております。顧客とパートナーとの関係を通じてValuenceを中心にモノが循環する世界を実現するため、顧客やパートナーに対して様々な選択肢を提供することで、当社が保有するモノだけではなく、顧客やパートナーが保有するモノの循環を促進し、新たな収益機会を創出してまいります。
(2)経営環境
当社グループが属するリユース業界においては、フリマアプリの拡大・浸透をはじめとして市場が活性化しており、サステナビリティへの関心もあってリユースの注目度は更に高まっております。また、今後も継続的な成長が見込まれており、2022年のリユース市場規模は前年比7.4%増の2兆8,976億円となり、2030年にはその市場規模は4兆円に到達すると見込まれております。(出所:株式会社リフォーム産業新聞社「リユース業界の市場規模推計2023(2022年版)」(2023年9月))
このような状況の中、一般消費者からの買取は依然として競争が激しく、販売面においても、小規模なものも含めると数多くの事業者向けオークションが乱立しております。今後も、新規参入やM&Aなどによる企業再編の動きが加速するものと予想されます。
一方で、海外においては組織的にCtoBtoBのビジネスモデル(一般消費者から買取を行い、リユース事業者に販売するモデル)を展開する事業者は不在であると認識しております。
上記の認識に基づき、当社グループは、現状のビジネスモデルのITを活用した効率化(DX化の推進)に加え、エンゲージメントを高める施策を通じてグループ全体で顧客との長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換を図ります。また、グローバル展開を加速していくことで、更なる成長を目指してまいります。
(3)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上の課題
当社グループは、2025年8月期を最終年度とする中期経営計画「VG1000」を2022年10月に「VG1000 ver2.0」として見直しを行いました。現中期経営計画においては一般消費者から買取を行い、買取した商品を主に当社グループが運営しているオークションを通じて国内外パートナーに販売するという既存事業をベースに、toB及びtoCのそれぞれにおいて新規領域への投資を行う計画としております。
[ビジネスモデル]
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既存のCtoBtoBモデルのグローバル展開、グローバルも含めた小売の強化、顧客・パートナーとの関係強化によるリカーリング型ビジネスへの転換を戦略とし、事業を推進しております。なお、現中期経営計画の対象期間は、2026年8月期以降の飛躍に必要なあらゆる機能の実装・充実を進める投資期と位置付けておりますが、投資は行いつつも利益成長も遂げていく計画としております。
[重点投資領域]
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事業戦略は次のとおりであります。
① 仕入拡大に向けた取組
当社グループの仕入は店頭買取が中心であり、店舗数の増加が仕入拡大に寄与すると考えており、当事業年度においては国内10店舗、海外10店舗の新規出店を行いました。
国内においては新規出店に加え、他業種とのアライアンス強化による仕入拡大も図ってまいります。海外においては、当社グループとしてリスクの少ない出店形態であるパートナーとの協業による出店を中心に、スピード感を持った出店を行ってまいります。
マーケティング施策としては、当社グループの強みであるSEO対策をはじめとしたWEBマーケティングに注力することにより集客拡大を図ってまいります。また、国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを海外で展開することにより、海外での更なる仕入拡大を目指します。加えて、CRM強化によりリピーターを獲得することで、効率的な集客を行ってまいります。
② 販売拡大に向けた取組
当社グループは、これまでCtoBtoBモデルを中心に事業を成長させてまいりました。今後は既存のビジネスモデルを進化させることで更なる成長を目指してまいります。フルフィルメントサービス、おまかせ出品やSaaS型新機能の提供といった付加価値サービスを展開し、パートナーの利便性を向上させつつ参加パートナーの開拓も推進していくことで、当社グループの強みであるtoBプラットフォームを更に強化し、より魅力的なプラットフォームとしてまいります。
加えて、海外各拠点でのグローバルECの構築、出店を含む店舗強化などtoCチャネルを強化することにより、国内外の顧客との接点を拡大してまいります。また、toCチャネルをきっかけとし、買取や他サービスも利用していただくなど継続的な関係を構築し、当社グループ内でシナジーを創出することで収益の最大化を目指してまいります。
③ ジャンル拡大による収益機会の最大化
当社グループはブランド品、骨董品・美術品を中心とした商材を取り扱っております。加えて、既存領域のみならず、車や不動産なども含めた様々な実物資産の取扱いを広げております。2023年2月には自動車の買取・販売・整備に強みを持つ株式会社米自動車を連結子会社化いたしました。今後も実物資産におけるジャンル拡大を進め、顧客の抱える問題をワンストップで解決し、顧客のLTVを向上させることで収益機会の最大化を図ってまいります。
また、実物資産のみならず、心の豊かさを提供することを領域としてビジネスを拡大し、モノや思いをつなぐ新たな循環型経済圏をつくることで、企業価値の向上を目指してまいります。
④ サステナビリティへの取組
近年、サーキュラーエコノミーという言葉が広く一般に浸透し、企業にも環境問題や社会課題への対応が一段と求められてきております。当社グループの中核事業である「リユース」は、不要になったモノを廃棄するのではなく次に必要な方へとつなげる、循環型社会における重要な取組の一つであります。
事業だけではなく、地球環境も視野にサステナビリティの取組に注力することで、持続可能な社会の実現と当社の持続的な成長につなげてまいります。
(対処すべき課題)
① 集客の拡大と効率化
当社グループは、創業時よりWEBマーケティングを中心に集客を行っており、機能を内製化することで高い効果を発揮しております。一方で、競争環境の激化により顧客獲得コストが上昇していることから、CRM施策によるリピーター顧客の獲得や集客の効率化が必要であると認識しております。
今後もSEO対策をはじめとするWEBマーケティングを中心に、潜在顧客・顕在顧客の双方にアプローチしつつ、SNSなどのマス広告も活用し指名検索を増加させることで、顧客獲得単価の低減や、顧客とのエンゲージメント強化によるグループ内送客の体制構築と顧客のリピーター化による効率的な集客を実現できるものと考えております。
② 査定能力の標準化
リユース品は新品と異なり決まった価格が存在せず、相場も一定ではないことから、値付けが非常に難しいという特徴を持っております。当社グループにおいては、研修体制の整備や現場でのOJTを進めることで買取スタッフの能力向上に努めておりますが、これに加え、査定能力を標準化するための仕組みの構築が重要であると認識しております。
そのため、社内システムの機能改善やデータベースの整備、本部による店頭サポート体制の強化を継続しておりますが、今後はこれらに加え価格算出にAIを活用することで、更なる能力標準化と買取の効率化に努めてまいります。
③ オークションプラットフォームの拡大
当社グループの主力販路であるSBAは、オンラインで開催しており、海外の事業者も数多く参加するグローバルなブランドリユースオークションプラットフォームとして規模を拡大しております。
今後も更に多くの国内外パートナーが参加するプラットフォームとして魅力を高めるとともに、委託拡大に向けた取組も展開することで、GMV(流通取引総額)の拡大を図ってまいります。また、パートナーが落札した商品の保管・小売販売までを一気通貫で請け負うフルフィルメントサービスの構築や、パートナー企業が市場主となってオークション開催が出来るSaaS型新機能の提供により、更なる収益力向上を目指してまいります。
④ 小売販売の強化
当社グループは現在、実店舗3店舗とECサイトにて、一般消費者に向けた小売販売を行っております。
今後は、グローバルEC構築に向けた海外拠点でのECサイト開設、国内における小売店舗の出店など、グローバルも含めた小売強化に注力してまいります。小売販売の強化はビジネスモデルをリカーリング型に転換するための重要施策と位置付けております。顧客との接点を拡大し、買取をはじめとした当社グループサービスの利用につなげることでエンゲージメント強化を図るほか、「ALLU」ブランド強化によりフルフィルメントサービスにおける小売委託をより多く獲得できるようになり、パートナーとのエンゲージメント強化にも貢献すると考えております。
⑤ 顧客とのエンゲージメント強化
当社グループの事業は、顧客からの買取がビジネスモデルの起点にあるため、より多くの顧客と接点を持つことが事業を拡大する上で重要と考えております。
今後は、買取のみならず、小売販売をはじめとするtoCサービスの拡大、取扱いジャンルの拡充やグループ内送客の体制強化などにより、顧客とのエンゲージメントを高めてまいります。これによりグループ全体で顧客との長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換していく方針です。
⑥ グローバル展開の加速
当社グループは、香港をはじめ欧米や東南アジアに子会社を設け、現地におけるSBAパートナーの開拓と、買取店舗の展開を進めております。買取においては直営のみならず、パートナーとの協業による出店に注力し、当社グループとしてリスクを最小限にした店舗展開をしております。国内リユース市場における競争が依然として激しい現状において、海外へとビジネスを拡大していくことが重要であると認識しております。
WEBマーケティングのノウハウを海外でも活かすことにより、国内で培ったCtoBtoBのビジネスモデルのグローバル展開と、グローバルも含めた小売強化を行うことで、更なる規模拡大を図ってまいります。
⑦ サステナビリティの取組強化
当社グループのメイン事業である「リユース」は、循環型社会における重要な取組の一つであり、リユース事業をグローバルに展開していくことが、持続可能な社会の実現、ひいては当社グループの持続的な成長につながると考えております。TCFD提言に基づく情報開示をはじめ、リユースによる環境フットプリントの削減貢献量を可視化した「Resale Impact」の事業ブランドへの展開や、カーボンニュートラル達成に向けた国際的イニシアチブの認証取得などの取組を行っております。
今後も循環型社会の実現を牽引する存在として、サステナビリティを経営戦略の中核に据え、環境や社会に配慮した取組を積極的に行っていくことで、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「VG1000 ver2.0」において、以下のとおり重要経営目標と主要KPIを定めております。
2030年に「Circular Design Company」の実現を目指すにあたり、現中期経営計画期間は投資期と位置づけておりますが、利益成長も確り達成すべく成長性指標として2022年8月期の営業利益を基準とし、2025年8月期まで営業利益の年平均成長率は40%、また資本収益性指標としてROE20%を目標として設定しております。なお、株主の皆様への利益還元については最も重要な経営課題の一つと考え、株主還元指標として配当性向30%以上を定めております。主要KPIにつきましては、国内外における買取店舗網の拡大が当社グループの事業成長に直結するため、2025年8月期に国内170店舗、海外100店舗の出店を計画しております。また、既存のCtoBtoBモデルのグローバル展開にあたり、海外パートナー数の拡大及び売上高比率の向上を目標に設定しております。
中期経営計画の推進及び経営目標の達成を通じて更なる成長を実現し、企業価値の向上を図ってまいります。
<中期経営計画の重要経営目標(2022年8月期~2025年8月期)>
成長性指標目標値
営業利益成長率CAGR40%
(2022年8月期を起点とする)
収益性指標目標値
ROE20%
(2025年8月期時点)
株主還元指標目標値
配当性向30%以上

<目標とする数値(主要KPI)>
2025年8月期(目標)2023年8月期(実績)
売上高1,000億円761億円
国内店舗数170店舗135店舗
海外店舗数100店舗38店舗
海外パートナー数1,000社892社
海外売上高比率30.0%22.3%

※詳細は、当社コーポレートサイト(https://www.valuence.inc/ir/investor/plan/)をご覧ください。