有価証券報告書-第3期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営理念
当社グループは、SBIグループの「顧客中心主義」の徹底という基本的な経営観を踏襲し、事業を運営しております。保険分野において様々な付加価値を創造し、顧客基盤の更なる拡大を続けることで、持続的な企業価値の向上を実現したいと考えており、以下の4項目をグループ経営理念として掲げております。
(全てにおいてお客様を中心に考える)
当社の定める「顧客中心主義の業務運営方針」に則り、常にお客様の立場に立って、お客様にとって真に必要なものは何かを考え、弛まぬ創意工夫により顧客満足・利便性の向上、企業努力による顧客還元を追求し続けること。また、業務全般において細部に亘りフィデューシャリー・デューティーの原則に則った運営を徹底すること。
(保険業界におけるイノベーターたれ)
常に既成概念に囚われないチャレンジ精神をもつこと。FinTech(※1)やブロックチェーン(※2)のような技術革新を敏感に捉え、これらを活用したより付加価値の高い商品やサービスの開発を追求し続けるとともに、高齢化やシェアリングエコノミーの進展など人々の生活様式や社会の変化に迅速かつ柔軟に対応する企業文化を持ち続けること。
(正しい倫理的価値観をもつ)
常にお客様の資産を預かる金融機関としての高い倫理的価値観を持ち業務を遂行すること。
(社会的責任を全うする)
保険事業者としてまた一企業として、社会の一構成要素であるという社会性を十分認識し、さまざまなステークホルダーの要請に応えつつ、社業を通じ社会の維持・発展に貢献していくこと。
(※1)FinTechとは、FinanceとTechnologyを組み合わせた概念で、金融領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
(※2)ブロックチェーンとは、仮想通貨の中核技術として発明された、ピア・ツー・ピア方式によるデータ処理の基盤技術のことをいいます。複数のコンピューターが分散合意形成を行い、暗号署名をしながらブロック単位で複数データを処理する点が特徴です。
(2) 経営戦略等
当社グループの強みである以下の3項目を軸とした経営戦略によって、単独の保険会社では成し得ない企業成長の実現を目指しております。
① 当社グループの強み
(高い価格競争力)
インターネット等を駆使した効率的な顧客アプローチやコストの最適化を実施することで、非常に低い事業費率を実現し、圧倒的な価格競争力を獲得しております。また、そのメリットをお客様に還元することで「顧客中心主義」の徹底というSBIグループの基本的な経営観を体現しております。
(SBIグループのシナジーネットワーク)
インターネットリテラシーの高い顧客層で構成されているSBIグループの顧客基盤や、全国の地域金融機関とのリレーション、SBIグループの投資先である先進技術を保有するベンチャー企業など、SBIグループが有する事業ネットワークに即時にアクセスできる優位性を活用することで、高い効率性をもって当社グループの顧客基盤を拡充しております。
(最先端テクノロジーの活用)
AI・ビッグデータなどの最先端テクノロジーを導入することで、より顧客の利便性に資する商品やサービスの開発を行うと同時に、事業費の削減を加速し更なる保険料の引き下げを実現するなどの取組みを行っております。
② 経営戦略
当社グループでは、急速な技術革新や不透明な経済情勢等の経営環境の変化に適切に対応するため、中期経営計画をローリング方式にて策定しております。現中期経営計画では、重点取組項目として、InsurTech(※3)等の先端技術を商品開発や業務効率化に活用し保険業に新たな価値を創造していくこと、グループシナジーを高めて経営効率を一層向上させていくこと、M&A等によるニッチ市場の継続的開拓に取組み事業基盤を拡大していくことを経営戦略に据えております。特に、第4次産業革命とも言われるIoTやビッグデータ、AIなどの技術革新が急速に進展する現在において、革新的な技術を積極的に採用し、顧客の便益を高めていくことが当社グループの成長に不可欠であると認識しており、先端技術を保険商品・サービスの向上に活かす取組みを進めております。
(※3)InsurTechとは、保険(Insurance)と技術(Technology)を組み合わせた概念で、金融領域のうちとりわけ保険業界におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、主な経営指標として、全社及び各事業の経常利益、保有契約件数等のKPI(Key Performance Indicator)を重視しております。顧客中心主義の体現、SBIのグループシナジー、テクノロジーの活用等により顧客基盤の更なる拡充を図りつつ、株主に対して安定的な利益配当を実現していくための収益性の確保を目指してまいります。
(4) 経営環境
今後の経済動向につきましては、海外経済の不確実性や消費税率引き上げによる影響等はあるものの、政府による追加景気対策の実施や雇用・所得情勢の改善などを受け、国内景気は穏やかな回復傾向が継続するものと見込んでおります。
(損害保険市場)
損害保険市場は、少子高齢化やシェアリングエコノミーの拡大に伴う運転者の減少や、自動車安全技術の向上による損害率低下を受けた保険料の引き下げなどにより、中長期的には自動車保険市場が緩やかに縮小していくと考えられます。一方で、これまでの自動車保険中心の市場構成は補償ニーズの多様化により変化し、新たな保険市場の創出により、市場全体は今後も緩やかな拡大が続くものと当社グループでは見込んでおります。
こうした市場環境の中、損害保険市場における保険料収入の半分を占めている自動車保険分野においては、大手3メガ損保がその8割超のシェアを占める市場構造となっております。今後、リアルな代理店網を主たる販売チャネルとする高コスト構造のビジネスモデルは競争上の足枷となることから、インターネットの駆使や最先端テクノロジーを活用したローコスト・オペレーションに強みを持つダイレクト型損保にとって、シェア拡大の商機であると当社では考えております。現状においても、ダイレクト損保業界全体は堅調な成長を続けており、今後もこのトレンドは継続するものと捉えております。
(生命保険市場)
生命保険市場は、2025年に「団塊の世代」層すべてが後期高齢者(75歳以上)となることや平均寿命の延伸、生命保険の加入中核層である働き盛り世代(30~40歳代)の人口減少などを受けて、伝統的な死亡保障関連のニーズが緩やかに縮小していくものと考えられます。一方で、健康寿命への関心の高まりなどを受け、医療保険やがん保険、就業不能保障保険などいわゆる「第三分野」商品市場の拡大が見込まれることから、個人保険市場全体は今後も一定規模が維持されるものと当社グループでは考えております。また、団体信用生命保険については、引き続き住宅ローン市場の変動の影響は受けるものの、借り換え需要を背景に市場が大きく縮小するリスクは少ないと考えております。
日本経済は家計の実収入が伸びない中において、消費税率の引き上げの影響や働き方改革関連法の施行に伴う収入低下等が懸念され、今後、家計における保険料支出割合の一層の低下が見込まれます。こうした環境を受け、“保険のリストラ”が必要となる顧客の比率は高まり、自分のリスクに見合った保険商品をインターネット等で検索し、能動的に選択する顧客が増加することが予想されます。そのため、このような顧客に効率的にアクセスできる事業ネットワークやグループ顧客基盤を有することは、今後の生命保険市場における競争力の源泉となると捉えております。
(少額短期保険市場)
少額短期保険市場は、損害・生命保険業と比較して法令上の参入規制が緩やかであることから、異業種による参入も多く見受けられ、2019年3月末現在で登録事業者は100社に達しました。また、損害・生命保険業と比較すると、その市場規模は相対的に小規模であるものの、毎年順調な市場拡大を続けており、現在では年間の収入保険料が900億円を超える規模へと成長しております。一方で、少額短期保険の登録事業者の多くは小規模であることから、M&Aなどによる再編が生じやすい環境にあります。また、今後は、多様化する顧客の保障ニーズに応える形で保険のニッチ市場が拡大すると見込まれ、FinTech活用等によるオーダーメイド型保険などの新商品開発によって新市場が開拓されていくものと考えております。
(5) 対処すべき課題
このようなわが国経済や業界の将来展望を踏まえ、今後も継続的に保険事業を成長させ、より多くのお客様の便益を高めるために、当社グループは次の課題に取組んでまいります。
① 業界内における差別化と顧客利便性の追求
インターネットを駆使したローコスト・オペレーションにより実現する価格競争力は当社グループの競争力の源泉となっておりますが、今後、これを一層高めるべく、最先端テクノロジーの活用を積極的に行い、同業他社との更なる差別化を推進してまいります。具体的には、事業費の削減を図る目的で、RPA(Robotic Process Automation)(※4)の導入を重点的に推進し、間接部門の生産性向上及びコスト削減に引き続き取組んでまいります。また、AI・ビッグデータを活用し、損害率の改善を目的とした不正検知モデルの構築や、マーケティングにおける効率的な顧客アプローチモデルの構築等を進めてまいります。加えて、SBIグループの投資先である先進技術を保有するベンチャー企業などからも積極的に技術を導入することで、顧客利便性を高めたサービスの提供を追求してまいります。
② 効率的な販路の拡充とグループ経営基盤の発展
インターネットリテラシーの高いSBIグループの顧客層へのアクセスや、グループの事業ネットワークの活用により、効率性を追求した販路の開拓を推進してまいります。また、当社グループ内における子会社各社の位置付け・役割の明確化、保険商品のクロスセリング(※5)の強化など、グループシナジーを最大化する営業力の強化に取組んでまいります。加えて、各社の重複業務を洗い出して集約・排除を進め、業務を効率化することで、収益力を強化してまいります。また、コンプライアンスやリスクに関する子会社各社の取組みや課題を集約し、企業価値向上に向けたコーポレート・ガバナンスの強化を図っていくとともに、戦略的パートナーとの提携促進など、当社グループ全体のシナジーを高める経営基盤への発展を図ってまいります。
③ ニッチ市場の開拓と商品開発力の強化
ニッチ市場の開拓にあたっては、新商品の開発及び市場への投入を継続して実施することが効果的であるため、保険商品を迅速かつ安価に開発できる商品開発体制の構築を目指してまいります。当連結会計年度内に出資を行ったドイツELEMENT社はモジュール式の保険商品設計・開発プラットフォームを用いることにより保険商品を短期間で開発するノウハウを有するベンチャー企業であり、当社グループは、このノウハウを取り入れることで商品開発力の向上に取組んでまいります。また、M&Aの見込先を安定的に確保し、少額短期保険市場を中心としたニッチ市場の開拓に継続的に取組むことで事業基盤の拡大を推進してまいります。なお、M&Aの候補先については、当社グループ各社とのシナジーを期待できる経営方針、商品性、販路等を有することを前提に、グループ全体の成長に資する取組みとなることを目指して検討してまいります。
(※4)RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務自動化の取組みを表す言葉です。人が行う作業をコンピューター上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を行う技術やシステムをいいます。
(※5)クロスセリングとは、ある商品の購入者や購入希望者に対し、関連する別の商品の購入を提案することをいいます。
(1) 経営理念
当社グループは、SBIグループの「顧客中心主義」の徹底という基本的な経営観を踏襲し、事業を運営しております。保険分野において様々な付加価値を創造し、顧客基盤の更なる拡大を続けることで、持続的な企業価値の向上を実現したいと考えており、以下の4項目をグループ経営理念として掲げております。
(全てにおいてお客様を中心に考える)
当社の定める「顧客中心主義の業務運営方針」に則り、常にお客様の立場に立って、お客様にとって真に必要なものは何かを考え、弛まぬ創意工夫により顧客満足・利便性の向上、企業努力による顧客還元を追求し続けること。また、業務全般において細部に亘りフィデューシャリー・デューティーの原則に則った運営を徹底すること。
(保険業界におけるイノベーターたれ)
常に既成概念に囚われないチャレンジ精神をもつこと。FinTech(※1)やブロックチェーン(※2)のような技術革新を敏感に捉え、これらを活用したより付加価値の高い商品やサービスの開発を追求し続けるとともに、高齢化やシェアリングエコノミーの進展など人々の生活様式や社会の変化に迅速かつ柔軟に対応する企業文化を持ち続けること。
(正しい倫理的価値観をもつ)
常にお客様の資産を預かる金融機関としての高い倫理的価値観を持ち業務を遂行すること。
(社会的責任を全うする)
保険事業者としてまた一企業として、社会の一構成要素であるという社会性を十分認識し、さまざまなステークホルダーの要請に応えつつ、社業を通じ社会の維持・発展に貢献していくこと。
(※1)FinTechとは、FinanceとTechnologyを組み合わせた概念で、金融領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
(※2)ブロックチェーンとは、仮想通貨の中核技術として発明された、ピア・ツー・ピア方式によるデータ処理の基盤技術のことをいいます。複数のコンピューターが分散合意形成を行い、暗号署名をしながらブロック単位で複数データを処理する点が特徴です。
(2) 経営戦略等
当社グループの強みである以下の3項目を軸とした経営戦略によって、単独の保険会社では成し得ない企業成長の実現を目指しております。
① 当社グループの強み
(高い価格競争力)
インターネット等を駆使した効率的な顧客アプローチやコストの最適化を実施することで、非常に低い事業費率を実現し、圧倒的な価格競争力を獲得しております。また、そのメリットをお客様に還元することで「顧客中心主義」の徹底というSBIグループの基本的な経営観を体現しております。
(SBIグループのシナジーネットワーク)
インターネットリテラシーの高い顧客層で構成されているSBIグループの顧客基盤や、全国の地域金融機関とのリレーション、SBIグループの投資先である先進技術を保有するベンチャー企業など、SBIグループが有する事業ネットワークに即時にアクセスできる優位性を活用することで、高い効率性をもって当社グループの顧客基盤を拡充しております。
(最先端テクノロジーの活用)
AI・ビッグデータなどの最先端テクノロジーを導入することで、より顧客の利便性に資する商品やサービスの開発を行うと同時に、事業費の削減を加速し更なる保険料の引き下げを実現するなどの取組みを行っております。
② 経営戦略
当社グループでは、急速な技術革新や不透明な経済情勢等の経営環境の変化に適切に対応するため、中期経営計画をローリング方式にて策定しております。現中期経営計画では、重点取組項目として、InsurTech(※3)等の先端技術を商品開発や業務効率化に活用し保険業に新たな価値を創造していくこと、グループシナジーを高めて経営効率を一層向上させていくこと、M&A等によるニッチ市場の継続的開拓に取組み事業基盤を拡大していくことを経営戦略に据えております。特に、第4次産業革命とも言われるIoTやビッグデータ、AIなどの技術革新が急速に進展する現在において、革新的な技術を積極的に採用し、顧客の便益を高めていくことが当社グループの成長に不可欠であると認識しており、先端技術を保険商品・サービスの向上に活かす取組みを進めております。
(※3)InsurTechとは、保険(Insurance)と技術(Technology)を組み合わせた概念で、金融領域のうちとりわけ保険業界におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、主な経営指標として、全社及び各事業の経常利益、保有契約件数等のKPI(Key Performance Indicator)を重視しております。顧客中心主義の体現、SBIのグループシナジー、テクノロジーの活用等により顧客基盤の更なる拡充を図りつつ、株主に対して安定的な利益配当を実現していくための収益性の確保を目指してまいります。
(4) 経営環境
今後の経済動向につきましては、海外経済の不確実性や消費税率引き上げによる影響等はあるものの、政府による追加景気対策の実施や雇用・所得情勢の改善などを受け、国内景気は穏やかな回復傾向が継続するものと見込んでおります。
(損害保険市場)
損害保険市場は、少子高齢化やシェアリングエコノミーの拡大に伴う運転者の減少や、自動車安全技術の向上による損害率低下を受けた保険料の引き下げなどにより、中長期的には自動車保険市場が緩やかに縮小していくと考えられます。一方で、これまでの自動車保険中心の市場構成は補償ニーズの多様化により変化し、新たな保険市場の創出により、市場全体は今後も緩やかな拡大が続くものと当社グループでは見込んでおります。
こうした市場環境の中、損害保険市場における保険料収入の半分を占めている自動車保険分野においては、大手3メガ損保がその8割超のシェアを占める市場構造となっております。今後、リアルな代理店網を主たる販売チャネルとする高コスト構造のビジネスモデルは競争上の足枷となることから、インターネットの駆使や最先端テクノロジーを活用したローコスト・オペレーションに強みを持つダイレクト型損保にとって、シェア拡大の商機であると当社では考えております。現状においても、ダイレクト損保業界全体は堅調な成長を続けており、今後もこのトレンドは継続するものと捉えております。
(生命保険市場)
生命保険市場は、2025年に「団塊の世代」層すべてが後期高齢者(75歳以上)となることや平均寿命の延伸、生命保険の加入中核層である働き盛り世代(30~40歳代)の人口減少などを受けて、伝統的な死亡保障関連のニーズが緩やかに縮小していくものと考えられます。一方で、健康寿命への関心の高まりなどを受け、医療保険やがん保険、就業不能保障保険などいわゆる「第三分野」商品市場の拡大が見込まれることから、個人保険市場全体は今後も一定規模が維持されるものと当社グループでは考えております。また、団体信用生命保険については、引き続き住宅ローン市場の変動の影響は受けるものの、借り換え需要を背景に市場が大きく縮小するリスクは少ないと考えております。
日本経済は家計の実収入が伸びない中において、消費税率の引き上げの影響や働き方改革関連法の施行に伴う収入低下等が懸念され、今後、家計における保険料支出割合の一層の低下が見込まれます。こうした環境を受け、“保険のリストラ”が必要となる顧客の比率は高まり、自分のリスクに見合った保険商品をインターネット等で検索し、能動的に選択する顧客が増加することが予想されます。そのため、このような顧客に効率的にアクセスできる事業ネットワークやグループ顧客基盤を有することは、今後の生命保険市場における競争力の源泉となると捉えております。
(少額短期保険市場)
少額短期保険市場は、損害・生命保険業と比較して法令上の参入規制が緩やかであることから、異業種による参入も多く見受けられ、2019年3月末現在で登録事業者は100社に達しました。また、損害・生命保険業と比較すると、その市場規模は相対的に小規模であるものの、毎年順調な市場拡大を続けており、現在では年間の収入保険料が900億円を超える規模へと成長しております。一方で、少額短期保険の登録事業者の多くは小規模であることから、M&Aなどによる再編が生じやすい環境にあります。また、今後は、多様化する顧客の保障ニーズに応える形で保険のニッチ市場が拡大すると見込まれ、FinTech活用等によるオーダーメイド型保険などの新商品開発によって新市場が開拓されていくものと考えております。
(5) 対処すべき課題
このようなわが国経済や業界の将来展望を踏まえ、今後も継続的に保険事業を成長させ、より多くのお客様の便益を高めるために、当社グループは次の課題に取組んでまいります。
① 業界内における差別化と顧客利便性の追求
インターネットを駆使したローコスト・オペレーションにより実現する価格競争力は当社グループの競争力の源泉となっておりますが、今後、これを一層高めるべく、最先端テクノロジーの活用を積極的に行い、同業他社との更なる差別化を推進してまいります。具体的には、事業費の削減を図る目的で、RPA(Robotic Process Automation)(※4)の導入を重点的に推進し、間接部門の生産性向上及びコスト削減に引き続き取組んでまいります。また、AI・ビッグデータを活用し、損害率の改善を目的とした不正検知モデルの構築や、マーケティングにおける効率的な顧客アプローチモデルの構築等を進めてまいります。加えて、SBIグループの投資先である先進技術を保有するベンチャー企業などからも積極的に技術を導入することで、顧客利便性を高めたサービスの提供を追求してまいります。
② 効率的な販路の拡充とグループ経営基盤の発展
インターネットリテラシーの高いSBIグループの顧客層へのアクセスや、グループの事業ネットワークの活用により、効率性を追求した販路の開拓を推進してまいります。また、当社グループ内における子会社各社の位置付け・役割の明確化、保険商品のクロスセリング(※5)の強化など、グループシナジーを最大化する営業力の強化に取組んでまいります。加えて、各社の重複業務を洗い出して集約・排除を進め、業務を効率化することで、収益力を強化してまいります。また、コンプライアンスやリスクに関する子会社各社の取組みや課題を集約し、企業価値向上に向けたコーポレート・ガバナンスの強化を図っていくとともに、戦略的パートナーとの提携促進など、当社グループ全体のシナジーを高める経営基盤への発展を図ってまいります。
③ ニッチ市場の開拓と商品開発力の強化
ニッチ市場の開拓にあたっては、新商品の開発及び市場への投入を継続して実施することが効果的であるため、保険商品を迅速かつ安価に開発できる商品開発体制の構築を目指してまいります。当連結会計年度内に出資を行ったドイツELEMENT社はモジュール式の保険商品設計・開発プラットフォームを用いることにより保険商品を短期間で開発するノウハウを有するベンチャー企業であり、当社グループは、このノウハウを取り入れることで商品開発力の向上に取組んでまいります。また、M&Aの見込先を安定的に確保し、少額短期保険市場を中心としたニッチ市場の開拓に継続的に取組むことで事業基盤の拡大を推進してまいります。なお、M&Aの候補先については、当社グループ各社とのシナジーを期待できる経営方針、商品性、販路等を有することを前提に、グループ全体の成長に資する取組みとなることを目指して検討してまいります。
(※4)RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務自動化の取組みを表す言葉です。人が行う作業をコンピューター上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いて、主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を行う技術やシステムをいいます。
(※5)クロスセリングとは、ある商品の購入者や購入希望者に対し、関連する別の商品の購入を提案することをいいます。