有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/09/05 15:00
【資料】
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【項目】
74項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、“「がん」だけを見ることなく、「がん患者」の全体を診ることにより、安心して身内のがん患者に勧められる治療法を提供すること”を企業理念としております。
この企業理念の実現のため、当社は、独自の「モジュール創薬」に基づく、抗がん剤の研究開発を行います。モジュール創薬は、既存の抗がん剤等を「モジュール」(構成単位)として利用し、創意工夫(用法用量・結合様式等)を加えて「アセンブリ」(組み立て)することで臨床上の有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を創製する方法です。
当社は、「モジュール創薬」に基づき創製した新規抗がん剤の上市により、がん患者のQOL(Quality Of Life)向上に寄与することを目指しております。
(2)目標とする経営指標
当社は、新規抗がん剤の上市を目指して研究開発を先行して行う創薬ベンチャー企業であり、現時点では製品売上により利益を安定的に計上するステージにはありません。
当面の経営管理上の課題は、抗がん剤の早期上市に向けて、開発パイプラインを計画通り推進することと、新規開発化合物の探索により開発パイプラインを充実することです。
従いまして、当社は、ROAやROEといった経営指標を目標とはせず、開発パイプラインの進捗等に目標をおいた事業活動を推進しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社の中長期における最重要課題は、新規抗がん剤の研究開発を着実に推進して承認を取得し、製品販売による安定的な収益源を確保することです。
当社の開発パイプラインは、DFP-10917、DFP-11207及びDFP-14323が臨床試験段階にあり、日本国内やアジア、欧米などの各地域での承認を取得していく予定です。また、開発パイプライン充実に向けた探索研究も継続的に実施してまいります。創薬ベンチャーである当社にとっては、これらの研究開発を並行して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。
従いまして、当社は、日本の提携先に留まらず、グローバルの製薬会社等の新規提携パートナーの確保に努めるとともに、必要に応じて、投資家からの資金調達を行いながら、研究開発を推進していく方針です。
(4)会社の対処すべき課題
当社は、「モジュール創薬」により、安心して身内のがん患者に勧められる治療法を提供することを目指しています。このような背景の下で、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
① DFP-10917の開発推進
DFP-10917については、日本新薬㈱との間で、日本における独占的開発及び独占的販売のライセンス契約を締結しております。本書提出日現在、当社が米欧における臨床第Ⅲ相比較試験の治験実施計画書を提出しておりますが、早期に米欧での医薬品の製造承認を取得するために、米欧の提携パートナーの確保を目指してまいります。
② DFP-14323の開発推進
既存薬からなるDFP-14323については、協和化学工業㈱との間で、日本国内の独占的ライセンス契約を締結しております。現在、臨床第Ⅱ相試験を日本国内で開始しました。
③ DFP-10917及びDFP-14323以外の開発推進
当社は、DFP-10917及びDFP-14323以外に、DFP-11207、DFP-14927及びDFP-10825などの複数の開発品を保有しています。
DFP-11207については、米国における臨床第Ⅰ相試験に引き続き、食事の影響試験を終了しました。その結果に基づき、米欧において臨床第Ⅱ相試験、次いで臨床第Ⅲ相比較試験を進め、早期に米欧での医薬品の製造承認を取得することを計画しており、日米欧の提携パートナーの確保を目指してまいります。
DFP-14927については、三洋化成工業㈱との共同開発契約に基づき、平成30年12月までに臨床第Ⅰ相試験の開始を目指し、DFP-10825についても、臨床第Ⅰ相試験の開始に向けた準備を進めました。これら複数の開発品を世界の主要国において承認を取得するためには、臨床試験を実施するための開発体制の強化と開発資金の確保が課題となります。このため、当社は提携パートナーの獲得を目指しながら、そこから調達した資金により開発の推進を図ってまいります。
④ 開発パイプラインの充実
当社は、「モジュール創薬」により新しい抗がん剤候補化合物の探索研究を行っており、これらの候補化合物を開発パイプラインに載せられる段階まで推進するためには、開発資金の確保が課題となります。
⑤ 財務体質の強化
当社は、多額の研究開発費用が先行して必要となるため、継続的な営業損失が発生するとともに営業キャッシュ・フローもマイナスとなる傾向があります。そのため、財務体質の強化が課題となります。今後は、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携、研究開発活動の適切なコントロールに加え、株式市場や金融機関からの資金調達等により、更なる財務体質の強化に努める方針です。なお、平成30年3月期に第三者割当増資を行い、総額3億円の資金を獲得し、更に協和化学工業㈱との間でライセンス契約に基づくマイルストーン1.5億円を獲得し、総額4.5億円の資金を獲得しております。
⑥ 人材の獲得
当社は、研究開発のマネジメント業務に特化し、外注会社を有効活用することにより、小規模な組織で効率的な運営を行っております。しかしながら、上記のとおり、今後開発品の増加が見込まれるため、適切な人材確保を図っていく方針です。