有価証券報告書-第15期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの事業展開上、リスク要因となりうる主な事項を記載しております。また、当社グループは、リスク管理委員会におけるリスクアセスメントの結果のうち投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性のある事項について積極的に開示していく方針であり、透明性を重視しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスクマネジメント方針
(a) リスクマネジメントに対する基本方針
当社グループはパーパスである「社会的負債を、次世代の可能性に。」を実現するため、そしてグロース企業として、持続的な成長を実現するため、積極的なリスクテイクが必要であると考えており、事業投資、人的資本投資、M&A等、投資活動を継続して行っております。
今後も果敢な挑戦を継続するためには、単なるリスクの回避・排除にとどまらず、適切なリスク管理を通じてリスクとリターンのバランスを見定め、リターンに対してリスクを最小化していくこと、また、経営戦略と連動した攻めと守りのガバナンスを両立させることが不可欠であると認識しております。
そのため、当社グループでは「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」を策定し、当社グループのリスク管理に関する基本方針として、以下の内容を定めております。
(ⅰ) リスクとリターンのバランスを考慮し、リスクの最小化に向けた努力を徹底すること
(ⅱ) 実効性のある対処を追求すること
(ⅲ) 透明性あるディスクロージャーを心がけること
また、上記基本方針の実行性をグループ全体で客観的に担保するため、当社グループは2026年4月に「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」及び「リスク管理規程」の改訂を実施いたしました。本改訂により、経営戦略上積極的に引き受けるリスクの範囲であるリスクアペタイトと、グループの経営基盤に重大な支障をきたす許容限度であるリスクトレランスの基本概念を明文化し、実効性の高いリスクマネジメント体制へと刷新しております。
(b) リスク管理体制における基本方針
「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」では、具体的な実務指針として、グループ全体のリスク管理を行うリスク管理委員会を設置し、当該委員会において実施されたリスクアセスメントの結果をステークホルダーへ透明性高くディスクローズすることを定めております。加えて、グループ各社においても毎年定期的にリスクアセスメントを実施し、リスク管理委員会に報告することとしております。また、リスク管理委員会には社外取締役が構成員として関与し、取締役会による監督機能を確保しております。
(2) リスク管理の実効性と透明性を確保するための体制
(a) リスク情報を適時適切に収集する情報集約システム
実効性の高いリスク管理のためには、リスク事項、インシデント等の情報を迅速に集約し、適時適切にリスク管理及び内部統制システムを再構築し運用することが肝要であると認識しております。
特に当事業年度においては、ガバナンスの高度化およびグループ全社における自浄作用の強化を目的として、グループ各社を包括的に網羅する「グループ共通ホットライン窓口」への一元化・設置を完了し、グループ全体での自浄作用及び情報集約システムの強化を実施いたしました。
本対応をうけ、当社グループの内部統制システムを再構築するための軸となる取組は以下の5つとなります。
1.グループ共通ホットライン窓口の設置・拡充・統合的な運用
2.リスク管理委員会・コンプライアンス委員会・内部監査室の量的質的な基準に基づく情報連携
3.インシデント発見者による委員会等への報告の義務化
4.内部監査室から内部統制委員会への、コントロールの運用状況・評価の情報連携
5.内部監査室から、取締役会・監査等委員会へのデュアルレポートラインの確保
これにより当社のあらゆるインシデント情報が目詰まりなく集約され、リスク事案の把握、具体的なコントロールの実施、コントロールの効果の評価を一貫して適時適切に実施できるものと考えております。

(b) リスク評価及びディスクロージャーの透明性を確保するためのプロセス
当社ではリスク管理委員会において、グループ全体のリスク分類表を作成し、少なくとも年に1度、各リスク項目、その評価及びコントロールの見直しを行いリスク分類表を更新しております。2026年5月現在では事業環境や社会情勢を踏まえ、172のリスク項目を抽出し、「発生頻度」と「影響度」の2軸による評価を行っております。これら各項目に対する評価実務および有価証券報告書開示への抽出プロセスにおいては、COSO ERMフレームワークに準拠した期待値モデルをベースとしつつ、グロース企業としての実効性を担保するため、以下の通り評価スケールの精緻化、影響度重視へのシフト、および開示掲載順の客観化を徹底しております。
1.評価スケールの精緻化と多角的測定
リスクの「発生頻度」および「影響度」の評価スケールを従来の4段階から5段階へ拡張し、よりきめ細やかなアセスメントを可能にしました。また、影響度の測定にあたっては、財務インパクトなどの定量面だけでなく、レピュテーションリスク等の定性面から図る多角的な評価基準を再定義しております。
2.影響度重視のスコア算定ロジック(テールリスクの捕捉)
従来の単純な積(発生頻度×影響度)では、「発生頻度は低いが、万が一発生した際に企業存続を脅かす重大なリスク(テールリスク)」が、高頻度かつ軽微なリスクの陰に埋没してしまう課題がありました。これに対処するため、2026年4月より影響度側の係数に強い重み付けを行う独自のスコア算定ロジックへ刷新し、重大リスクが必ず最終スコアの上位へ動的に抽出される仕組みを構築しております。本ロジックにより算出されたスコアに基づき、最終的なリスク格付けを行い、明確なリソース配分と開示方針を定めております。
3.ディスクロージャーにあたっての恣意性の排除と透明性の確保
有価証券報告書等の各種ディスクロージャー媒体における情報開示について、恣意性を徹底して排除し、客観的かつ投資家視点に立ったディスクロージャーを担保するため、当社グループでは、各カテゴリに含まれる個別リスクのうち「最も潜在的リスクスコアが高い(最悪のシナリオを想定した)個別項目」の評価値をそのカテゴリ全体の代表値として自動的に採用する編成基準へと刷新いたしました。これにより、企業経営に重大な影響を与え得るリスク(テールリスク)を開示上埋没させることなく、ステークホルダーにとって真に重要度の高い情報から順に、透明性高くディスクローズする体制を確立しております。
また、インシデント管理との統合実務として、原則として半期ごとにリスク評価基準の変更や新たなリスク項目の追加検討を行うほか、万が一、評価ランクSまたはAに相当する重大なインシデントが発生した場合には、直ちに緊急のリスクアセスメント見直しを実施したうえで、再発防止策の策定とともにリスク分類表等の妥当性を検証・修正し、継続的にリスクマネジメント体制を高度化する仕組みを運用しております。
リスク評価およびディスクロージャーまでのプロセス
リスク評価マトリックス

(3) 経営・事業等を取り巻くリスクとその分析
当社のリスク管理委員会が主導するリスクアセスメントプロセスに基づき、影響度および発生可能性等の観点から総合的に評価し、開示すべき重要なリスクとして識別したリスク項目は以下のとおりです。なお、各リスク項目は当事業年度において相対的に重要度が高いと評価した順に記載しており、各項目には前事業年度の記載順位(相対的な重要度)からの変動状況(上昇・低下など)を併記しております。
1.情報セキュリティに関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、成約支援事業において個人情報を含む多くの重要な情報資産を保有しており、事業運営における最も重要な資源の一つであると認識し、情報セキュリティの確保は経営上の最重要課題の一つと位置付け、その強化に継続的に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループの役職員や委託先関係者による不注意や不正行為、あるいは近年のランサムウェア等のサイバー攻撃の高度化や、DX推進・クラウド化・AI技術の進展に伴い脅威に晒される領域が拡大している背景からも、悪意を持った第三者によるサイバー攻撃などにより、情報資産が外部に流出する可能性は依然として存在します。特に、個人情報や機密情報が漏洩した場合、お客様や関係者からの損害賠償請求、監督官庁からの行政指導、社会的信用の失墜によるメディア集客力の低下、「有料職業紹介事業者」等の当社の事業基盤に関わる法的許認可の維持への重大な悪影響につながり、当社グループの事業継続や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>これらの情報資産を適切に管理し、セキュリティリスクを低減するため、情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティ対策への積極的な投資を行うとともに、リスク管理委員会の配下に情報セキュリティに関するワーキンググループを設置し、定期的なリスク評価と対策の見直しを実施し、情報セキュリティ体制の適正化を図っております。特に、個人情報の管理については、漏洩、不正利用、改ざん等の防止を事業運営上の最重要事項と捉え、個人情報保護規程及び情報システム管理規程に基づき厳格に管理しております。プライバシーマークの維持に加え、全従業員を対象とした定期的なセキュリティ研修を実施し、「個人情報の保護に関する法律」及び関連法令、並びに当社グループに適用される関連ガイドラインの遵守を徹底しております。
2.景気の動向等のマクロ環境に関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>昨今、地政学的リスクの長期化、急激なインフレ、為替・金利変動など、世界経済の先行き不透明感が一層強まっております。当社グループの人材領域、エネルギー領域をはじめとする事業活動は、景気の動向をはじめとする外部環境の変動から大きな影響を受ける可能性があると認識しております。例えば、景気悪化による企業の採用意欲減退と個人消費の冷え込みが同時に発生し、グループ全体のポートフォリオが大きく毀損する可能性や、金利上昇に伴う割引率の上昇や自社株価の変動による多額ののれん・無形資産の減損リスク、原油・資材価格の高騰により主要な送客先である新電力会社等が逆ざや状態に陥り、新規顧客獲得の停止や倒産に至る可能性など、マクロ環境の変動により様々なリスクが顕在化し、当社グループの事業継続や売上収益、EBITDA等の経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。加えて、インターネット広告市場や関連サービス市場全体の成長が鈍化したり、市場ニーズが急速に変化したりする中で、当社グループが適切な対応を取れなければ、競争力の低下や新たな事業機会の逸失につながる可能性があります。技術革新による新たな競合の出現も、市場シェアの低下や収益性の悪化を招く要因となり得ます。
<リスクへの対応策>このようなリスクに対応するため、当社グループでは人材、エネルギー、不動産等、景気感応度やサイクルの異なる事業を展開することで、特定市場の低迷リスクをグループ全体で補完・緩和する事業基盤を確立しております。事業計画の進捗や将来キャッシュ・フローを定期的に精査し、厳格な減損テストを実施することで、投資規律の維持と財務健全性の確保に努めております。また、サステナビリティ委員会の配下に外部環境リスク分析ワーキンググループを新設し、マクロ市場や地政学等の動向を中長期的に観測し、経営判断に反映する体制を構築しております。このように市場動向や景気変動に関する情報を注視し、事業ポートフォリオの多様化やコスト構造の最適化を図るとともに、リスク分散の観点からグローバル展開なども視野に入れ、外部環境の変化に柔軟に対応できる経営体制の構築に努めてまいります。
3.買収・投資活動及びのれんの減損に関わるリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、事業領域の拡大、新規事業への参入、技術力・ノウハウの獲得、事業シナジーの創出などを目的として、M&Aや資本提携、事業投資などの投資活動を積極的に行っております。今後も、これらの活動を継続していく方針です。積極的な投資活動の裏返しとして、当社グループの連結財政状態計算書においてのれん及び無形資産の占める割合が高い状態にあります。当社グループは国際会計基準を適用しているため、のれんの規則的な償却は行われませんが、買収した事業の収益性が計画を下回った場合や、金利上昇に伴う割引率の変動が生じた場合には、多額ののれん・無形資産の減損損失を計上するリスクがあり、当社の財務状況や経営成績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。また、未上場企業を対象とした買収においては、事前の調査で完全に把握しきれない偶発債務や未認識の法的リスクが買収後に顕在化する可能性があります。さらに、買収後の統合プロセス(PMI)が計画通りに進捗せず、組織文化の衝突、キーマンや従業員の離職、システム統合の遅延等が生じた場合、当初期待したシナジー効果や事業成長が実現できず、当社グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>最大級の財務リスクと認識しているのれんの減損リスクに対しては、日本会計基準・国際会計基準に基づく「PORT減損テスト・公正価値評価ガイドライン」を策定し、事業計画の進捗状況や将来キャッシュ・フローを定期的に精査し厳格な減損テストを実施しております。これにより、業績低迷の兆候を早期に把握し、必要な経営指導や事業戦略の軌道修正を迅速に行うことで、投資規律の維持とグループ全体の財務健全性の確保に努めてまいります。また、買収・投資の検討段階においては、ビジネスモデル、財務、法務等に関する多角的なデューデリジェンスを厳格に実施することで、潜在的なリスクの極小化に努めております。買収後においては、対象企業の経営陣との対話を深め、当社の事業ノウハウやガバナンス体制を速やかに導入することで、早期のPMI完遂とキーマンリテンションを図る体制を構築しております。
4.許認可等に関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、積極的な新規事業の展開や事業領域を拡大する中、許認可等を要する事業の範囲が年々拡大しており、本リスクの重要性が高まっていると認識しております。現在、当社の主力事業である人材領域をはじめとした事業の運営においては、「有料職業紹介事業者」「宅地建物取引事業者」等の各種法的許認可や登録に依拠しております。本書提出日現在において、事業主としての欠格事由やこれらの許認可・登録の取消事由に該当する事実はないものと認識しております。しかしながら、将来において事業関連法令の予期せぬ新設・改正が行われた場合や、当社グループの役職員および委託先による法令違反等が発生し、許認可の取消しや事業停止命令等の厳格な行政処分を受けた場合、対象事業の継続そのものが困難となり、当社グループの経営成績および財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>このようなリスクを未然に防ぐため、当社グループはコンプライアンス委員会を定期的に開催し、事業遂行に関連する職業安定法、金融商品取引法等の各種法令等や監督官庁のガイドラインの動向を常時モニタリングする全社的な法務・コンプライアンス体制を構築しております。また、各事業部門に対する定期的な法令遵守研修の実施や、内部監査を通じた業務プロセスの牽制により、全役職員の規範意識の向上に努めております。さらに、新規事業への参入やM&Aの実施時においては、必要となる許認可や法的規制に関する事前の厳格なリーガルチェックを徹底し、適法かつ適切な事業運営が継続的に担保される強固なガバナンス体制の維持・強化に努めてまいります。
当社グループが取得している許認可等の一例
5.事業プラットフォーム及び技術革新に関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループの主力事業である人材領域やエネルギー領域における集客活動は、主要な検索エンジンや、これらが提供する運用型ウェブ広告プラットフォームに対する依存度が高い状態にあります。そのため、これらプラットフォーム事業者による検索アルゴリズムの大幅な変更や広告掲載基準の予期せぬ厳格化が行われた場合、当社グループが運営する各種メディアへのアクセス数が急減し、ユーザー獲得コストが著しく高騰する可能性があります。加えて、昨今急速に進展している生成AI技術の台頭によるユーザーの検索行動の抜本的な変化や、画期的な代替サービスの出現等の劇的な技術革新に対して、当社グループが適時適切に対応できなかった場合、既存のビジネスモデルが陳腐化し、当社グループの事業継続や売上収益等の経営成績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>このような事業プラットフォーム依存リスクに対しては、特定の集客チャネルへの過度な依存を脱却すべく、SNSや大学等との連携を通じたリアルチャネルをはじめとする多様な集客経路の開拓や自社メディアのブランド力強化を進め、マルチチャネルマーケティングを推進することで安定的なユーザー流入基盤の確立を図っております。また、生成AI等の劇的な技術革新やマクロ環境の変化に対しては、専門チームとして外部環境リスク分析ワーキンググループを立ち上げ、市場や技術の変化を多角的に分析し迅速な経営判断を遂行できる環境を整備しております。技術革新の活用については、豊富なアクセスログ等の独自データを活用して新たな価値創造を図る事業開発と、業務効率化の断行等により成長基盤を強化する組織力の向上の二つの軸で推進しております。具体的には、AIを活用したサービスのローンチに加え、管理部門におけるコーポレートAIシステム「ENGINE」の本格展開等を通じて各業務プロセスでのAI活用を推し進め、組織規模の拡大に対する人員増員率の大幅な抑制といった成果を既に実現しております。今後も技術革新を機敏に捉え、事業環境の変化を新たな成長機会へと転換する強固な経営体制の構築に努めてまいります。
6.財務バランス・健全性及び市場変動に関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、事業規模の拡大やM&A等を推進するにあたり、自己資金に加えて金融機関からの借入金等の有利子負債を活用しており、連結資産合計に対して一定の比率を占めております。今後の市場動向により金利水準が急上昇した場合、利息負担の増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の借入金には財務制限条項が付されており、事業環境の急変によりこれに抵触するリスクが存在します。さらに、積極的なM&A等に伴い、連結財政状態計算書においてのれん及び無形資産が高い割合を占めているほか、グリーンエネルギー事業の拡大による太陽光発電・蓄電池等の固定資産も増加しております。これらの資産について、事業計画の未達や金利変動が生じた場合、減損損失の計上が発生し、財政状況及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループでは余剰資金を活用した外貨建て債券等の金融資産運用を行っているため、為替レートや市場金利の変動が直接的に評価損益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の株価は、マクロ経済の動向、同業他社の状況等の当社が直接コントロールできない外部要因により変動するリスクがあり、これが当社の機動的な資金調達能力に影響を与える可能性があります。
<リスクへの対応策>これらの財務および市場リスクに対し、当社グループは金融機関との良好な関係を維持し、安定的な資金調達基盤の確保に努めております。投資やM&Aを実行する際には、事前の厳格なデューデリジェンスと財務シミュレーションを実施し、のれんや無形資産の肥大化によるリスクを慎重に評価したうえで資金使途を精査しております。
また、事業計画の定期的なモニタリングを実施しており、減損の兆候が認められた場合には、日本会計基準・国際会計基準に基づいた厳格な減損テストを実施する体制を構築しております。余剰資金の運用にあたっては、過度なリスクを避け、市場動向や為替変動を注視した適切なポートフォリオ管理を徹底しております。
7.特定人物への依存に関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>当社の代表取締役である春日博文は、設立以来当社グループ事業に深く関与する創業代表であり、当社のコアコンピタンスであるWebマーケティングや成約支援組織の運営に関する豊富な知見を有しております。さらに、持続的な成長を牽引するM&Aを用いたロールアップ戦略等の経営戦略の立案・遂行において極めて重要な役割を担っております。そのため、現時点で何らかの予期せぬ理由により同氏が長期間にわたり業務を遂行することが困難となった場合、当社グループの事業推進力や機動的な意思決定が滞り、経営成績及び事業計画の達成に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>この特定人物への過度な依存リスクを低減するため、当社グループは属人的な経営から組織的な経営体制への移行を推進しております。具体的には、経営判断ポリシー及びPORTグループ役員行動規範の運用に加え、取締役会規程等に基づく経営陣への定期的な役員研修を実施しております。さらに、経営陣の一角である執行役員及びグループ会社の役員を重要な使用人等と位置づけ、構成員に独立社外取締役を含む指名委員会においてその選任及び教育・育成方針を継続的に審議し、次世代の経営人材の輩出に注力しております。加えて、代表取締役に不測の事態が発生した場合に備えたエマージェンシー体制(権限代行順位の明確化等)を整備し、事業運営への影響を最小限に留めるよう策を講じております。
8.コンプライアンスに関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループの事業活動は、多岐にわたる重要な法的規制の適用を受けております。事業領域の拡大に伴い、インターネット広告やコンテンツ表示、知的財産権、景品表示等をはじめとしたマーケティング法務規制の遵守もますます重要性を増しております。これらの法令の予期せぬ新設や改正が行われた場合、あるいは当社の事業活動が新たに規制対象となった場合、ビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。また、従業員による法令違反や不適切な行為、ハラスメント等の労務問題が発生した場合、当社グループに対する事業運営の停止、厳格な行政処分、損害賠償請求、社会的信用の失墜を招き、経営成績および財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>これらのコンプライアンス・法的規制に関するリスクを未然に防ぐため、当社グループはリスク管理委員会配下に事業コンプライアンスワーキンググループを設置し、関連法令違反リスクの特定・評価と対応方針の策定を行っております。また、全社的なコンプライアンス教育徹底のための定期的な役職員向け研修を通じて、パワハラ防止法を含めた各種法令への理解を深め、全従業員の意識の向上を図っております。さらに、公益通報者保護法に基づくホットライン窓口の周知と拡充をグループ全体で行い、組織の自浄作用が早期かつ確実に見込める透明性の高い環境を整備しております。今後も外部専門家との連携を継続しつつ、コンプライアンス遵守を最優先とした強固なガバナンス体制の維持・強化に努めてまいります。
9.人材の確保及び育成のリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、持続的な成長の源泉として人材を最も重要な経営資源と位置づけ、新卒・中途採用を積極的に推進し、事業成長を牽引しております。今後も成長戦略を着実に実行し、企業価値を持続的に向上させていくためには、優秀な人材の確保と育成、そして人的資本の更なる拡充が不可欠であると考えております。当社グループは平均年齢が29.5歳と若年層中心の組織構造となっております。少子高齢化に伴う労働市場の需給逼迫が続く中、必要な人材を適切な時期に確保できない場合や、採用した若手人材の育成が計画通りに進捗しない場合、組織力の低下や事業計画の遅延を招く可能性があります。また、従業員のエンゲージメントが低下して離職率が高止まりした場合、当社グループの競争力の低下や事業拡大の制約要因となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>これらの人的資本に関するリスクに対し、当社グループは「人的資本マネジメント方針」を策定し、企業価値向上に直結する重要指標を設定して積極的な施策を展開しております。当事業年度においては、人事制度の大規模な刷新を実施し、一部営業部門におけるインセンティブ制度を含めた基本報酬体系の見直しや、シフト制等を取り入れた柔軟な働き方の推進を図りました。これらの施策により、従業員エンゲージメントの向上、優秀な人材の採用・定着の促進、および離職率の低下という具体的な成果を着実に上げております。また、リスク管理委員会配下の人事労務ワーキンググループを設置し、リスク事項の継続的なモニタリング、労働環境の最適化と次世代リーダーの育成を推進し、人的資本の拡充による強固な競争優位性の確立に努めております。これらを通して、人材の確保及び育成について優先的に推進していく体制を維持してまいります。
10.内部管理体制・ガバナンスに関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、持続的な企業価値の向上を目指し、M&Aや事業投資等による積極的な事業・組織規模の拡大を推進しております。特にM&A戦略においては、買収先の内部管理体制を迅速かつ適切に当社グループの水準へと統合することが求められます。事業規模や組織が急速に拡大する中で、グループ全体の内部統制システムの構築・運用が十分に機能しなかった場合、あるいは買収先において予期せぬリスクや管理上の不備が顕在化した場合、当社グループのコンプライアンス違反や社会的信用の低下を招き、事業運営や経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>このような内部管理体制の形骸化リスクを防ぐため、当社グループでは独立社外取締役で構成される監査等委員会を中心に、経営に対する客観的かつ実効性の高い監督機能を働かせております。また、取締役会の諮問機関として指名、報酬、コーポレート・ガバナンス、内部統制、サステナビリティといった複数の任意委員会を設置しており、当事業年度においてはこれらの各種委員会の実効性向上が組織内に定着し、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化が図られております。さらに、当事業年度に拡充したグループ内部通報制度の適切な運用と、内部監査部門によるグループ全体の網羅的なモニタリングを通じて、リスク情報の早期把握と是正を徹底しております。今後もM&A実行時における厳格なデューデリジェンスと買収後の迅速なガバナンス統合を推し進め、グループ全体で強固かつ自律的な内部管理体制の維持に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスクマネジメント方針
(a) リスクマネジメントに対する基本方針
当社グループはパーパスである「社会的負債を、次世代の可能性に。」を実現するため、そしてグロース企業として、持続的な成長を実現するため、積極的なリスクテイクが必要であると考えており、事業投資、人的資本投資、M&A等、投資活動を継続して行っております。
今後も果敢な挑戦を継続するためには、単なるリスクの回避・排除にとどまらず、適切なリスク管理を通じてリスクとリターンのバランスを見定め、リターンに対してリスクを最小化していくこと、また、経営戦略と連動した攻めと守りのガバナンスを両立させることが不可欠であると認識しております。
そのため、当社グループでは「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」を策定し、当社グループのリスク管理に関する基本方針として、以下の内容を定めております。
(ⅰ) リスクとリターンのバランスを考慮し、リスクの最小化に向けた努力を徹底すること
(ⅱ) 実効性のある対処を追求すること
(ⅲ) 透明性あるディスクロージャーを心がけること
また、上記基本方針の実行性をグループ全体で客観的に担保するため、当社グループは2026年4月に「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」及び「リスク管理規程」の改訂を実施いたしました。本改訂により、経営戦略上積極的に引き受けるリスクの範囲であるリスクアペタイトと、グループの経営基盤に重大な支障をきたす許容限度であるリスクトレランスの基本概念を明文化し、実効性の高いリスクマネジメント体制へと刷新しております。
(b) リスク管理体制における基本方針
「PORTグループリスクマネジメントガイドライン」では、具体的な実務指針として、グループ全体のリスク管理を行うリスク管理委員会を設置し、当該委員会において実施されたリスクアセスメントの結果をステークホルダーへ透明性高くディスクローズすることを定めております。加えて、グループ各社においても毎年定期的にリスクアセスメントを実施し、リスク管理委員会に報告することとしております。また、リスク管理委員会には社外取締役が構成員として関与し、取締役会による監督機能を確保しております。
(2) リスク管理の実効性と透明性を確保するための体制
(a) リスク情報を適時適切に収集する情報集約システム
実効性の高いリスク管理のためには、リスク事項、インシデント等の情報を迅速に集約し、適時適切にリスク管理及び内部統制システムを再構築し運用することが肝要であると認識しております。
特に当事業年度においては、ガバナンスの高度化およびグループ全社における自浄作用の強化を目的として、グループ各社を包括的に網羅する「グループ共通ホットライン窓口」への一元化・設置を完了し、グループ全体での自浄作用及び情報集約システムの強化を実施いたしました。
本対応をうけ、当社グループの内部統制システムを再構築するための軸となる取組は以下の5つとなります。
1.グループ共通ホットライン窓口の設置・拡充・統合的な運用
2.リスク管理委員会・コンプライアンス委員会・内部監査室の量的質的な基準に基づく情報連携
3.インシデント発見者による委員会等への報告の義務化
4.内部監査室から内部統制委員会への、コントロールの運用状況・評価の情報連携
5.内部監査室から、取締役会・監査等委員会へのデュアルレポートラインの確保
これにより当社のあらゆるインシデント情報が目詰まりなく集約され、リスク事案の把握、具体的なコントロールの実施、コントロールの効果の評価を一貫して適時適切に実施できるものと考えております。

(b) リスク評価及びディスクロージャーの透明性を確保するためのプロセス
当社ではリスク管理委員会において、グループ全体のリスク分類表を作成し、少なくとも年に1度、各リスク項目、その評価及びコントロールの見直しを行いリスク分類表を更新しております。2026年5月現在では事業環境や社会情勢を踏まえ、172のリスク項目を抽出し、「発生頻度」と「影響度」の2軸による評価を行っております。これら各項目に対する評価実務および有価証券報告書開示への抽出プロセスにおいては、COSO ERMフレームワークに準拠した期待値モデルをベースとしつつ、グロース企業としての実効性を担保するため、以下の通り評価スケールの精緻化、影響度重視へのシフト、および開示掲載順の客観化を徹底しております。
1.評価スケールの精緻化と多角的測定
リスクの「発生頻度」および「影響度」の評価スケールを従来の4段階から5段階へ拡張し、よりきめ細やかなアセスメントを可能にしました。また、影響度の測定にあたっては、財務インパクトなどの定量面だけでなく、レピュテーションリスク等の定性面から図る多角的な評価基準を再定義しております。
2.影響度重視のスコア算定ロジック(テールリスクの捕捉)
従来の単純な積(発生頻度×影響度)では、「発生頻度は低いが、万が一発生した際に企業存続を脅かす重大なリスク(テールリスク)」が、高頻度かつ軽微なリスクの陰に埋没してしまう課題がありました。これに対処するため、2026年4月より影響度側の係数に強い重み付けを行う独自のスコア算定ロジックへ刷新し、重大リスクが必ず最終スコアの上位へ動的に抽出される仕組みを構築しております。本ロジックにより算出されたスコアに基づき、最終的なリスク格付けを行い、明確なリソース配分と開示方針を定めております。
3.ディスクロージャーにあたっての恣意性の排除と透明性の確保
有価証券報告書等の各種ディスクロージャー媒体における情報開示について、恣意性を徹底して排除し、客観的かつ投資家視点に立ったディスクロージャーを担保するため、当社グループでは、各カテゴリに含まれる個別リスクのうち「最も潜在的リスクスコアが高い(最悪のシナリオを想定した)個別項目」の評価値をそのカテゴリ全体の代表値として自動的に採用する編成基準へと刷新いたしました。これにより、企業経営に重大な影響を与え得るリスク(テールリスク)を開示上埋没させることなく、ステークホルダーにとって真に重要度の高い情報から順に、透明性高くディスクローズする体制を確立しております。
また、インシデント管理との統合実務として、原則として半期ごとにリスク評価基準の変更や新たなリスク項目の追加検討を行うほか、万が一、評価ランクSまたはAに相当する重大なインシデントが発生した場合には、直ちに緊急のリスクアセスメント見直しを実施したうえで、再発防止策の策定とともにリスク分類表等の妥当性を検証・修正し、継続的にリスクマネジメント体制を高度化する仕組みを運用しております。
リスク評価およびディスクロージャーまでのプロセス
| フェーズ | 主要プロセス・アクション |
| 1 ボトムアップ評価・情報集約 | ・リスク管理委員会ワーキンググループによる重要領域ごとのリスクアセスメントの実施 ・グループ会社によるリスクアセスメントの実施 ・インシデント発生報告および社内ホットライン(内部通報)事案の集計・分類 |
| 2 全社リスクの特定・基礎評価 | ・ワーキンググループ、グループ会社のリスクアセスメント結果と全社リスクアセスメントの統合 ・最新の実態データを勘案した発生頻度と影響度の5段階評価の確定 |
| 3 スコア算定 | ・テールリスクを動的に捕捉するためのスコア算出 |
| 4 ディスクロージャー | ・抽出されたスコア上位から順に開示配列を客観的に確定 ・有価証券報告書等のディスクロージャー媒体への掲載 |
リスク評価マトリックス

(3) 経営・事業等を取り巻くリスクとその分析
当社のリスク管理委員会が主導するリスクアセスメントプロセスに基づき、影響度および発生可能性等の観点から総合的に評価し、開示すべき重要なリスクとして識別したリスク項目は以下のとおりです。なお、各リスク項目は当事業年度において相対的に重要度が高いと評価した順に記載しており、各項目には前事業年度の記載順位(相対的な重要度)からの変動状況(上昇・低下など)を併記しております。
1.情報セキュリティに関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、成約支援事業において個人情報を含む多くの重要な情報資産を保有しており、事業運営における最も重要な資源の一つであると認識し、情報セキュリティの確保は経営上の最重要課題の一つと位置付け、その強化に継続的に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループの役職員や委託先関係者による不注意や不正行為、あるいは近年のランサムウェア等のサイバー攻撃の高度化や、DX推進・クラウド化・AI技術の進展に伴い脅威に晒される領域が拡大している背景からも、悪意を持った第三者によるサイバー攻撃などにより、情報資産が外部に流出する可能性は依然として存在します。特に、個人情報や機密情報が漏洩した場合、お客様や関係者からの損害賠償請求、監督官庁からの行政指導、社会的信用の失墜によるメディア集客力の低下、「有料職業紹介事業者」等の当社の事業基盤に関わる法的許認可の維持への重大な悪影響につながり、当社グループの事業継続や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>これらの情報資産を適切に管理し、セキュリティリスクを低減するため、情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティ対策への積極的な投資を行うとともに、リスク管理委員会の配下に情報セキュリティに関するワーキンググループを設置し、定期的なリスク評価と対策の見直しを実施し、情報セキュリティ体制の適正化を図っております。特に、個人情報の管理については、漏洩、不正利用、改ざん等の防止を事業運営上の最重要事項と捉え、個人情報保護規程及び情報システム管理規程に基づき厳格に管理しております。プライバシーマークの維持に加え、全従業員を対象とした定期的なセキュリティ研修を実施し、「個人情報の保護に関する法律」及び関連法令、並びに当社グループに適用される関連ガイドラインの遵守を徹底しております。
2.景気の動向等のマクロ環境に関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>昨今、地政学的リスクの長期化、急激なインフレ、為替・金利変動など、世界経済の先行き不透明感が一層強まっております。当社グループの人材領域、エネルギー領域をはじめとする事業活動は、景気の動向をはじめとする外部環境の変動から大きな影響を受ける可能性があると認識しております。例えば、景気悪化による企業の採用意欲減退と個人消費の冷え込みが同時に発生し、グループ全体のポートフォリオが大きく毀損する可能性や、金利上昇に伴う割引率の上昇や自社株価の変動による多額ののれん・無形資産の減損リスク、原油・資材価格の高騰により主要な送客先である新電力会社等が逆ざや状態に陥り、新規顧客獲得の停止や倒産に至る可能性など、マクロ環境の変動により様々なリスクが顕在化し、当社グループの事業継続や売上収益、EBITDA等の経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。加えて、インターネット広告市場や関連サービス市場全体の成長が鈍化したり、市場ニーズが急速に変化したりする中で、当社グループが適切な対応を取れなければ、競争力の低下や新たな事業機会の逸失につながる可能性があります。技術革新による新たな競合の出現も、市場シェアの低下や収益性の悪化を招く要因となり得ます。
<リスクへの対応策>このようなリスクに対応するため、当社グループでは人材、エネルギー、不動産等、景気感応度やサイクルの異なる事業を展開することで、特定市場の低迷リスクをグループ全体で補完・緩和する事業基盤を確立しております。事業計画の進捗や将来キャッシュ・フローを定期的に精査し、厳格な減損テストを実施することで、投資規律の維持と財務健全性の確保に努めております。また、サステナビリティ委員会の配下に外部環境リスク分析ワーキンググループを新設し、マクロ市場や地政学等の動向を中長期的に観測し、経営判断に反映する体制を構築しております。このように市場動向や景気変動に関する情報を注視し、事業ポートフォリオの多様化やコスト構造の最適化を図るとともに、リスク分散の観点からグローバル展開なども視野に入れ、外部環境の変化に柔軟に対応できる経営体制の構築に努めてまいります。
3.買収・投資活動及びのれんの減損に関わるリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、事業領域の拡大、新規事業への参入、技術力・ノウハウの獲得、事業シナジーの創出などを目的として、M&Aや資本提携、事業投資などの投資活動を積極的に行っております。今後も、これらの活動を継続していく方針です。積極的な投資活動の裏返しとして、当社グループの連結財政状態計算書においてのれん及び無形資産の占める割合が高い状態にあります。当社グループは国際会計基準を適用しているため、のれんの規則的な償却は行われませんが、買収した事業の収益性が計画を下回った場合や、金利上昇に伴う割引率の変動が生じた場合には、多額ののれん・無形資産の減損損失を計上するリスクがあり、当社の財務状況や経営成績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。また、未上場企業を対象とした買収においては、事前の調査で完全に把握しきれない偶発債務や未認識の法的リスクが買収後に顕在化する可能性があります。さらに、買収後の統合プロセス(PMI)が計画通りに進捗せず、組織文化の衝突、キーマンや従業員の離職、システム統合の遅延等が生じた場合、当初期待したシナジー効果や事業成長が実現できず、当社グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>最大級の財務リスクと認識しているのれんの減損リスクに対しては、日本会計基準・国際会計基準に基づく「PORT減損テスト・公正価値評価ガイドライン」を策定し、事業計画の進捗状況や将来キャッシュ・フローを定期的に精査し厳格な減損テストを実施しております。これにより、業績低迷の兆候を早期に把握し、必要な経営指導や事業戦略の軌道修正を迅速に行うことで、投資規律の維持とグループ全体の財務健全性の確保に努めてまいります。また、買収・投資の検討段階においては、ビジネスモデル、財務、法務等に関する多角的なデューデリジェンスを厳格に実施することで、潜在的なリスクの極小化に努めております。買収後においては、対象企業の経営陣との対話を深め、当社の事業ノウハウやガバナンス体制を速やかに導入することで、早期のPMI完遂とキーマンリテンションを図る体制を構築しております。
4.許認可等に関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、積極的な新規事業の展開や事業領域を拡大する中、許認可等を要する事業の範囲が年々拡大しており、本リスクの重要性が高まっていると認識しております。現在、当社の主力事業である人材領域をはじめとした事業の運営においては、「有料職業紹介事業者」「宅地建物取引事業者」等の各種法的許認可や登録に依拠しております。本書提出日現在において、事業主としての欠格事由やこれらの許認可・登録の取消事由に該当する事実はないものと認識しております。しかしながら、将来において事業関連法令の予期せぬ新設・改正が行われた場合や、当社グループの役職員および委託先による法令違反等が発生し、許認可の取消しや事業停止命令等の厳格な行政処分を受けた場合、対象事業の継続そのものが困難となり、当社グループの経営成績および財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>このようなリスクを未然に防ぐため、当社グループはコンプライアンス委員会を定期的に開催し、事業遂行に関連する職業安定法、金融商品取引法等の各種法令等や監督官庁のガイドラインの動向を常時モニタリングする全社的な法務・コンプライアンス体制を構築しております。また、各事業部門に対する定期的な法令遵守研修の実施や、内部監査を通じた業務プロセスの牽制により、全役職員の規範意識の向上に努めております。さらに、新規事業への参入やM&Aの実施時においては、必要となる許認可や法的規制に関する事前の厳格なリーガルチェックを徹底し、適法かつ適切な事業運営が継続的に担保される強固なガバナンス体制の維持・強化に努めてまいります。
当社グループが取得している許認可等の一例
| 取得年月 | 2012年10月1日 |
| 許認可等の名称 | 有料職業紹介事業 |
| 所管官庁等 | 厚生労働省 |
| 許認可等の内容 | 13-ユ-305645 |
| 有効期限 | 2030年9月30日(5年ごとの更新) |
| 取得年月 | 2023年7月28日 |
| 許認可等の名称 | 宅地建物取引事業者免許 |
| 所管官庁等 | 東京都 |
| 許認可等の内容 | 東京都知事(1)第109570号 |
| 有効期限 | 2028年7月28日(5年ごとの更新) |
5.事業プラットフォーム及び技術革新に関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループの主力事業である人材領域やエネルギー領域における集客活動は、主要な検索エンジンや、これらが提供する運用型ウェブ広告プラットフォームに対する依存度が高い状態にあります。そのため、これらプラットフォーム事業者による検索アルゴリズムの大幅な変更や広告掲載基準の予期せぬ厳格化が行われた場合、当社グループが運営する各種メディアへのアクセス数が急減し、ユーザー獲得コストが著しく高騰する可能性があります。加えて、昨今急速に進展している生成AI技術の台頭によるユーザーの検索行動の抜本的な変化や、画期的な代替サービスの出現等の劇的な技術革新に対して、当社グループが適時適切に対応できなかった場合、既存のビジネスモデルが陳腐化し、当社グループの事業継続や売上収益等の経営成績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>このような事業プラットフォーム依存リスクに対しては、特定の集客チャネルへの過度な依存を脱却すべく、SNSや大学等との連携を通じたリアルチャネルをはじめとする多様な集客経路の開拓や自社メディアのブランド力強化を進め、マルチチャネルマーケティングを推進することで安定的なユーザー流入基盤の確立を図っております。また、生成AI等の劇的な技術革新やマクロ環境の変化に対しては、専門チームとして外部環境リスク分析ワーキンググループを立ち上げ、市場や技術の変化を多角的に分析し迅速な経営判断を遂行できる環境を整備しております。技術革新の活用については、豊富なアクセスログ等の独自データを活用して新たな価値創造を図る事業開発と、業務効率化の断行等により成長基盤を強化する組織力の向上の二つの軸で推進しております。具体的には、AIを活用したサービスのローンチに加え、管理部門におけるコーポレートAIシステム「ENGINE」の本格展開等を通じて各業務プロセスでのAI活用を推し進め、組織規模の拡大に対する人員増員率の大幅な抑制といった成果を既に実現しております。今後も技術革新を機敏に捉え、事業環境の変化を新たな成長機会へと転換する強固な経営体制の構築に努めてまいります。
6.財務バランス・健全性及び市場変動に関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、事業規模の拡大やM&A等を推進するにあたり、自己資金に加えて金融機関からの借入金等の有利子負債を活用しており、連結資産合計に対して一定の比率を占めております。今後の市場動向により金利水準が急上昇した場合、利息負担の増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の借入金には財務制限条項が付されており、事業環境の急変によりこれに抵触するリスクが存在します。さらに、積極的なM&A等に伴い、連結財政状態計算書においてのれん及び無形資産が高い割合を占めているほか、グリーンエネルギー事業の拡大による太陽光発電・蓄電池等の固定資産も増加しております。これらの資産について、事業計画の未達や金利変動が生じた場合、減損損失の計上が発生し、財政状況及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社グループでは余剰資金を活用した外貨建て債券等の金融資産運用を行っているため、為替レートや市場金利の変動が直接的に評価損益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の株価は、マクロ経済の動向、同業他社の状況等の当社が直接コントロールできない外部要因により変動するリスクがあり、これが当社の機動的な資金調達能力に影響を与える可能性があります。
<リスクへの対応策>これらの財務および市場リスクに対し、当社グループは金融機関との良好な関係を維持し、安定的な資金調達基盤の確保に努めております。投資やM&Aを実行する際には、事前の厳格なデューデリジェンスと財務シミュレーションを実施し、のれんや無形資産の肥大化によるリスクを慎重に評価したうえで資金使途を精査しております。
また、事業計画の定期的なモニタリングを実施しており、減損の兆候が認められた場合には、日本会計基準・国際会計基準に基づいた厳格な減損テストを実施する体制を構築しております。余剰資金の運用にあたっては、過度なリスクを避け、市場動向や為替変動を注視した適切なポートフォリオ管理を徹底しております。
7.特定人物への依存に関するリスク(重要度:上昇)
<リスクの内容と発生時の影響>当社の代表取締役である春日博文は、設立以来当社グループ事業に深く関与する創業代表であり、当社のコアコンピタンスであるWebマーケティングや成約支援組織の運営に関する豊富な知見を有しております。さらに、持続的な成長を牽引するM&Aを用いたロールアップ戦略等の経営戦略の立案・遂行において極めて重要な役割を担っております。そのため、現時点で何らかの予期せぬ理由により同氏が長期間にわたり業務を遂行することが困難となった場合、当社グループの事業推進力や機動的な意思決定が滞り、経営成績及び事業計画の達成に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>この特定人物への過度な依存リスクを低減するため、当社グループは属人的な経営から組織的な経営体制への移行を推進しております。具体的には、経営判断ポリシー及びPORTグループ役員行動規範の運用に加え、取締役会規程等に基づく経営陣への定期的な役員研修を実施しております。さらに、経営陣の一角である執行役員及びグループ会社の役員を重要な使用人等と位置づけ、構成員に独立社外取締役を含む指名委員会においてその選任及び教育・育成方針を継続的に審議し、次世代の経営人材の輩出に注力しております。加えて、代表取締役に不測の事態が発生した場合に備えたエマージェンシー体制(権限代行順位の明確化等)を整備し、事業運営への影響を最小限に留めるよう策を講じております。
8.コンプライアンスに関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループの事業活動は、多岐にわたる重要な法的規制の適用を受けております。事業領域の拡大に伴い、インターネット広告やコンテンツ表示、知的財産権、景品表示等をはじめとしたマーケティング法務規制の遵守もますます重要性を増しております。これらの法令の予期せぬ新設や改正が行われた場合、あるいは当社の事業活動が新たに規制対象となった場合、ビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。また、従業員による法令違反や不適切な行為、ハラスメント等の労務問題が発生した場合、当社グループに対する事業運営の停止、厳格な行政処分、損害賠償請求、社会的信用の失墜を招き、経営成績および財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>これらのコンプライアンス・法的規制に関するリスクを未然に防ぐため、当社グループはリスク管理委員会配下に事業コンプライアンスワーキンググループを設置し、関連法令違反リスクの特定・評価と対応方針の策定を行っております。また、全社的なコンプライアンス教育徹底のための定期的な役職員向け研修を通じて、パワハラ防止法を含めた各種法令への理解を深め、全従業員の意識の向上を図っております。さらに、公益通報者保護法に基づくホットライン窓口の周知と拡充をグループ全体で行い、組織の自浄作用が早期かつ確実に見込める透明性の高い環境を整備しております。今後も外部専門家との連携を継続しつつ、コンプライアンス遵守を最優先とした強固なガバナンス体制の維持・強化に努めてまいります。
9.人材の確保及び育成のリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、持続的な成長の源泉として人材を最も重要な経営資源と位置づけ、新卒・中途採用を積極的に推進し、事業成長を牽引しております。今後も成長戦略を着実に実行し、企業価値を持続的に向上させていくためには、優秀な人材の確保と育成、そして人的資本の更なる拡充が不可欠であると考えております。当社グループは平均年齢が29.5歳と若年層中心の組織構造となっております。少子高齢化に伴う労働市場の需給逼迫が続く中、必要な人材を適切な時期に確保できない場合や、採用した若手人材の育成が計画通りに進捗しない場合、組織力の低下や事業計画の遅延を招く可能性があります。また、従業員のエンゲージメントが低下して離職率が高止まりした場合、当社グループの競争力の低下や事業拡大の制約要因となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>これらの人的資本に関するリスクに対し、当社グループは「人的資本マネジメント方針」を策定し、企業価値向上に直結する重要指標を設定して積極的な施策を展開しております。当事業年度においては、人事制度の大規模な刷新を実施し、一部営業部門におけるインセンティブ制度を含めた基本報酬体系の見直しや、シフト制等を取り入れた柔軟な働き方の推進を図りました。これらの施策により、従業員エンゲージメントの向上、優秀な人材の採用・定着の促進、および離職率の低下という具体的な成果を着実に上げております。また、リスク管理委員会配下の人事労務ワーキンググループを設置し、リスク事項の継続的なモニタリング、労働環境の最適化と次世代リーダーの育成を推進し、人的資本の拡充による強固な競争優位性の確立に努めております。これらを通して、人材の確保及び育成について優先的に推進していく体制を維持してまいります。
10.内部管理体制・ガバナンスに関するリスク(重要度:低下)
<リスクの内容と発生時の影響>当社グループは、持続的な企業価値の向上を目指し、M&Aや事業投資等による積極的な事業・組織規模の拡大を推進しております。特にM&A戦略においては、買収先の内部管理体制を迅速かつ適切に当社グループの水準へと統合することが求められます。事業規模や組織が急速に拡大する中で、グループ全体の内部統制システムの構築・運用が十分に機能しなかった場合、あるいは買収先において予期せぬリスクや管理上の不備が顕在化した場合、当社グループのコンプライアンス違反や社会的信用の低下を招き、事業運営や経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
<リスクへの対応策>このような内部管理体制の形骸化リスクを防ぐため、当社グループでは独立社外取締役で構成される監査等委員会を中心に、経営に対する客観的かつ実効性の高い監督機能を働かせております。また、取締役会の諮問機関として指名、報酬、コーポレート・ガバナンス、内部統制、サステナビリティといった複数の任意委員会を設置しており、当事業年度においてはこれらの各種委員会の実効性向上が組織内に定着し、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化が図られております。さらに、当事業年度に拡充したグループ内部通報制度の適切な運用と、内部監査部門によるグループ全体の網羅的なモニタリングを通じて、リスク情報の早期把握と是正を徹底しております。今後もM&A実行時における厳格なデューデリジェンスと買収後の迅速なガバナンス統合を推し進め、グループ全体で強固かつ自律的な内部管理体制の維持に努めてまいります。