有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/16 15:00
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85項目

事業等のリスク

当社の事業展開上、リスク要因となり得る主な事項を記載しております。また、当社は、当社でコントロールできない外部要因や、事業上のリスクとして具体化する可能性が必ずしも高くないとみられる事項を含め、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については積極的に開示することとしております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努める方針でありますが、当社の経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① インターネット関連市場について
当社はインターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネット及び関連サービスの更なる発展が事業の成長を図る上で重要であると考えております。インターネットの普及、インターネットシーンの多様化、利用可能な端末の増加等は今後も継続していくと考えております。
しかしながら、インターネットの普及に伴う個人情報の漏洩、改ざん、不正使用等や、社会道徳又は公序良俗に反する行為等への対応としての新たな法的規制導入や、その他予期せぬ要因によって、インターネット及び関連サービス等の発展が阻害されるような状況が生じた場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② インターネット広告市場について
当社はインターネット広告等に係る売上高が一定の比率を占めておりますが、インターネット広告は市場の変化や景気動向の変動により広告主が出稿を増減する傾向にあり、そのような外部環境の変動により当初想定していた収益を確保することができず、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について
インターネット利用者数の増加に伴い、多くの企業がインターネット関連事業に参入し、商品カテゴリーやサービス形態も多岐に渡っております。当社は、今後においても顧客ニーズへの対応を図り、事業拡大に結び付けていく方針でありますが、これらの取り組みが予測通りの成果をあげられない可能性や、画期的なサービスを展開する競合他社の出現、その他の競合等の結果、当社の売上高が低下する可能性があるほか、サービス価格の低下や利用者獲得のための広告宣伝費等の費用の増加を余儀なくされる可能性もあり、そのような場合には当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新等について
当社が事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業者はその変化に柔軟に対応する必要があります。そのため当社は、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。
しかしながら、当社が技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 検索エンジンへの対応について
当社が運営するメディアは、Google等の検索エンジンから多くの利用者を集客しております。当社では、SEO(検索エンジン最適化)による集客力強化に加え、Web広告をはじめとする多様な集客施策によりリスク分散を図っております。
しかしながら、検索エンジンのロジックの変化等の要因により、これまでの当社の施策が有効でなくなった場合、当社メディアの集客力が低下し、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスクについて
① 事業領域の拡大について
当社は、「世界中に、アタリマエとシアワセを。」というコーポレート・ミッションのもと、新しい事業やサービスを創出し、新たな事業領域にスピード感をもって参入することにより事業成長を続けております。一方でこのような事業展開を実現するためには、その事業固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因でも、当社のリスク要因となる可能性があります。そして、新規事業の参入のため、新たな人材の採用、システムの購入や開発、営業体制の強化など追加的な投資が必要とされ、新規事業が安定的な収益を生み出すには長期的な時間が必要とされることがあります。
また、新規に参入した事業の市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができないことがあり、事業の停止、撤退等を余儀なくされ、当該事業用資産の処分や償却により損失が生じる可能性があります。このような場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 広告宣伝活動によるユーザー獲得について
当社の事業にとって、ユーザー数の増加は会員数の増加につながる重要な要素であるため、インターネット等を用いた広告宣伝活動だけに依存しない体制に必要と思われるセミナーなどのマーケティング活動に注力してきております。一定の成果を有しているものの、新規獲得では広告宣伝活動の影響を受ける部分もあるため、今後もユーザー獲得効果を勘案して最適な施策を実施してまいります。しかしながら、当社の想定通りユーザー数が増加しない場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業運営に関するリスクについて
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役である春日博文は、当社設立以来、当社事業に深く関与しており、またインターネットメディアビジネスに関する豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の立案や遂行に関して重要な役割を担っております。当社は、取締役会や事業運営のための重要会議等で役員及び幹部社員への情報共有を行うとともに、権限の委譲を適宜行っていくことで、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務を行うことが難しくなった場合は、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保及び育成について
当社の事業においては、今後の事業拡大や新規事業の展開に伴い、技術者をはじめメディア運営に不可欠な人材を適時に確保し、それら人材を育成のうえ有機的に連携させる必要があると考えております。
しかしながら、当社の必要とする人材が必要な時期に確保できない場合、又は、人材育成が計画通り進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) コンプライアンスに関するリスクについて
① 法的規制について
当社が提供しているサービスにおいては、個人のユーザーから個人情報を預かっているため、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。また、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」におけるアクセス管理者の立場から不正アクセス行為に対する必要な防御の措置を取る必要があります。当社はシステム開発等の一部を外注する場合があり、「下請代金支払遅延等防止法」の対応が求められます。
当社は、上記を含む各種法的規制などに関して法律を遵守するよう、社員教育を行うと共にそれらの遵守体制を構築して法令遵守体制を整備・強化しておりますが、今後これらの法令の改正や、当社の行う事業が規制の対象となった場合、当社の業績及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報保護について
当社は、インターネットメディア事業を通して各種の個人情報を保有しております。当社は、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉えております。個人情報保護規程及び情報システム管理規程を制定し、個人情報を厳格に管理するとともに、プライバシーマークの取得や全従業員を対象として社内教育を徹底する等、「個人情報の保護に関する法律」及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインの遵守に努めるとともに、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により個人情報が外部に流出した場合、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権について
当社は、当社が運営する事業に関する知的財産の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権侵害の可能性については可能な範囲で確認を行っております。
記事の盗用等により第三者の権利を侵害しないよう当社ガイドラインに基づき、事前確認及び著作物引用ルールの徹底等様々な対策を実施しております。
しかしながら当社の記事が何らかの不備により第三者の知的財産権等を侵害してしまう可能性、又は当社が使用する技術・コンテンツ等について侵害を主張され、それに対応するための費用又は損失が発生する可能性があります。また、将来当社による特定のコンテンツ又はサービスの提供若しくは特定の技術の利用に制限が課せられ、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 許認可について
当社が取得している以下の許認可(登録)につき、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないことを認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消等の事態が発生した場合には、当社の業務に支障をきたすとともに、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が取得している免許・登録等
取得年月平成24年10月1日
許認可等の名称有料職業紹介事業
所管官庁等厚生労働省
許認可等の内容13-ユ-305645
有効期限平成32年9月30日(5年ごとの更新)


⑤ 内部管理体制について
当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図る多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。
しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 情報セキュリティについて
当社は、インターネットメディア事業により付加価値の高いサービスを提供しているため、情報こそが最大の資源であり、情報セキュリティの確保を重要課題の一つとして位置付けております。当社は、サービスを提供するにあたり貴重な情報資源を有しておりますが、情報資源を適切に管理するため情報セキュリティ基本方針を定め、情報セキュリティ責任者は情報セキュリティを定期的に評価し適正化を図り業務を継続的かつ効率的に遂行することに努めております。
しかしながら、当社や委託先の関係者の故意・過失、又は悪意を持った第三者の攻撃などにより、情報資源が外部に流出する可能性があります。情報が流出した場合、当社への信頼や企業イメージが低下し、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 訴訟等について
当社は、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により訴訟等により請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が発生した場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ コンテンツの信頼性について
当社メディアに掲載するコンテンツの制作に関わる関係者には法令順守の徹底に加え、所定のルールに従い掲載前のコンテンツのチェックを入念に実施するなどして編集業務を行うよう努めております。また、各領域における関連法令に抵触することがないよう、加えてコンテンツの信頼性を確保できるよう、専門家と連携を図りながら監修体制を導入しております。しかしながら、何らかの理由により正確性、公平性に欠けたコンテンツが掲載された場合、当社の業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
(5) その他リスクについて
① 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、現在当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することにより、更なる事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながると考えております。
将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
② ストック・オプションによる株式価値希薄化について
当社は、取締役、従業員に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後もストック・オプション制度を活用していくことを予定しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合は、既存株主が保有する株式価値が希薄化する可能性があります。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は799,200株であり、発行済株式数10,727,150株の7.5%に相当しております。
③ 四半期毎の業績の変動について
当社の主要サービスの一つである「キャリアパーク!」は、就職に関するノウハウサイトであるという特徴から、ユーザーの多くが就職活動をしている大学生と転職活動をしている社会人であります。第3四半期以降は企業や就活イベント等への送客が多いため、年間を通じて売上が平準化されずに、四半期決算の業績が変動する可能性があります。なお、平成30年3月期の四半期の売上高及び営業損益は下記のとおりであります。
平成30年3月期
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
売上高(百万円)276396490768
営業利益(百万円)△86△103△158

(注) 1.売上高には消費税等は含まれておりません。
2.第7期の各四半期会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく有限責任監査法人トーマツの四半期レビューは受けておりません。
3.マーケティングパフォーマンスの向上により、キャリア領域に加え、ファイナンス領域が収益化したことにより第4四半期会計期間において営業黒字を達成しました。
④ 継続的な投資及び赤字計上について
当社が提供するインターネットメディア事業は、記事制作を含む開発人員の採用、広告宣伝活動等の先行投資を必要とする事業であります。当社はこれまで、継続的な成長のため、当社メディアの認知度の向上及びユーザー数の拡大に努めてまいりました。会社設立以降、これらの取り組みを積極的に進め継続的な投資を行ってきたこともあり、第4期事業年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)から第7期事業年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)までの経営成績は営業赤字となっております。当社は、これまでに蓄積したメディア開発のノウハウとその収益化を実現するビジネスモデルの横展開を推進すべく、今後も新規のメディア開発に積極的に取り組む方針です。なお、第7期事業年度第4四半期会計期間においては営業黒字化を達成しており、第8期事業年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)においても引き続き、第1四半期会計期間及び第2四半期会計期間において営業黒字を計上しており、今後もユーザー獲得のためのマーケティングコスト投下などを効果的に進めることで、売上拡大及び継続的な黒字計上を想定しております。しかしながら、想定どおりのマーケティング活動の効果が得られない場合等には中期経営計画が達成できない可能性や、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ ベンチャーキャピタル等の持株比率について
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は10,727,150株であり、そのうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)が保有する株式数は 5,727,150株、保有比率は53.4%(議決権比率ベース)であります。
未公開株式に係るベンチャーキャピタル等の保有目的は、当該株式の新規株式公開以降において当該株式を売却し、キャピタルゲインを得ることにあります。よって、当社の株式公開後、当社の株主であるベンチャーキャピタル等が保有する当社株式の全部又は一部を売却することが想定され、その場合、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ M&Aについて
当社は新規事業やサービスの拡大のため、M&Aをその有効な手段のひとつとして位置付けており、今後も必要に応じてM&Aを実施する方針です。
M&Aに際しては、対象企業のビジネス、財務内容及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針であります。しかしながら、これらの調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明する場合や、M&A実施後の事業展開が計画通りに進まない可能性があり、その場合は当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることや、対象企業の投資価値の減損処理が必要になることも考えられ、当社の事業および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 税務上の繰越欠損金について
当社は、税務上の繰越欠損金が発生しております。当社の業績が事業計画書に比して順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑧ 資金使途について
公募増資等による資金調達の使途につきましては、主にキャリア領域をはじめとした既存事業の拡大とメディア開発に充当する予定であります。しかしながら、変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点での計画以外の使途にも使用する可能性があります。また、当初の計画通りに資金を使用した場合においても、計画通りの効果が達成できない可能性があります。
⑨ システムの安定性について
当社の運営するメディアはシステム負荷の高いサービスとなっていることから、システムの安定的な稼動が当社の業務遂行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社では継続的な設備投資を実施するだけではなく、サービスで使用するサーバー設備やネットワークを常時監視し、システム障害の発生を未然に防ぐことに努めております。
しかしながら、アクセスの急増、ソフトウエアの不備、コンピューターウィルスや人的な破壊行為、役職員の過誤、自然災害等の想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の喪失を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合には当社が社会的信用を失うこと等が想定され、当社の業績及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 災害紛争事故に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の事業拠点である日本の首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等が止むを得ず一時的に停止する可能性もあり、係る場合、当社の信頼性やブランドイメージを毀損するだけでなく、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社においては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策検討と準備を推進しておりますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。