有価証券報告書-第22期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針
当社グループは「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションのもと、人生の大半を過ごすことになる「働く」という時間において、ただ生活の糧を得るためだけではなく、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる社会を実現することを目指し、仕事の効率化や新しく創造的な働き方を実現する製品やサービスの開発・提供に取り組んでおります。
(2)経営環境及び経営戦略
少子高齢化が進む日本社会において、社会福祉を支え国際競争力を上げるにあたり労働生産性の向上が最大の焦点となっています。特に日本の労働人口の69.7%を占める中小企業(注1)において労働生産性は長期で伸び悩んでおり、低労働生産性の根本原因となっております。労働生産性向上にはIT投資(DX)が重要でありますが、リテラシーや予算の問題が大きく投資が進んでおらず、80%以上の中小企業(注2)がDXに取り組めていないのが現状であります。
また、現在ビジネスチャットの普及率は23.7%(注3)と低く、今後も大きく普及が広まるものと考えられます。こうした環境を踏まえると、当社のChatworkの認知度拡大に伴い当サービスへの需要はこれまでよりも早いスピードで拡大していくものと期待しております。
このような経営環境のもと中長期での成長を目的として2026年度を最終年度とする中期経営計画を策定しております。中期経営計画では、2026年までに中小企業No.1 BPaaSカンパニーのポジションを確立し、長期的には中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化していくことを目標としております。2024~2026年では、中小企業No.1 BPaaSカンパニーの目標に向けてグループ全体の成長を加速させると共に、利益を生み出せる体制の構築を進めてまいります。
中期経営計画の財務目標は、2024~2026年連結売上CAGR30%以上の成長、2026年EBITDAマージン10~15%とし、最終年度である2026年度では連結売上高150億円、EBITDA15~22.5億円を目指してまいります。目標の達成に向けてビジネスチャットの売上成長を継続しつつ、次の成長の柱であるBPaaSの売上急拡大、新規事業の立ち上げを実現してまいります。
① コミュニケーションプラットフォーム戦略
主力サービスであるビジネスチャット「Chatwork」は強みである社内外がシームレスにつながるオープンプラットフォーム性と無料からはじめられるフリーミアムの特性によるネットワーク効果を活かしたPLG戦略を軸にユーザーの獲得を進めてまいります。ユーザー数の極大化とアクティブ率を向上させることで、中小企業領域において他に類を見ない高価値なプラットフォームの確立を目指します。
② BPaaS戦略
顧客の業務効率と生産性向上をサポートするため、経理業務や労務業務等のノンコア業務について、ソフトウェアの提供にとどまらずそれらの業務のビジネスプロセスそのものをサービスとして提供するBPaaSを展開し、Techと人をハイブリッドした高い生産性のオペレーションを確立させ、経営における幅広い領域での本質的なDXの実現を目指します。
③ インキュベーション戦略
R&Dを進め、グループのアセットやポジショニングを活かし、ターゲットの拡張も意識した事業展開を推進することで、非連続成長の柱となる付加価値を創造することを目指します。
(注1)中小企業庁「中小企業白書」2025年度版
(注2)独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業の DX 推進に関する調査」2025年12月調査
(注3)当社依頼による第三者機関調べ。2025年4月調査
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは上記「(2)経営環境及び経営戦略」に記載の通り、中長期で成長を加速させると共に、利益を生み出せる体制の構築を進めております。経営指標としましては経営計画の財務目標となる売上高およびEBITDAを重要と考えております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループとして捉えている対処すべき主要課題は以下のとおりです。
① 顧客基盤の拡大とエンゲージメントの向上 当社グループのビジネスの根幹は、国内最大級の利用者数を有する「Chatwork」の顧客基盤にあります。中小企業のDXの入り口として、圧倒的なシェアを確立することが競争優位の源泉となります。このため、プロダクト主導の成長戦略(PLG:Product-Led Growth)を推進し、口コミやネットワーク効果を通じた効率的なユーザー獲得を加速させます。また、セキュリティを担保した上でのID登録の簡素化やユーザーインターフェースの改善を継続的に実施し、登録ID数及びアクティブユーザー数の最大化に努めてまいります。
② クロスセルの推進とBPaaS事業の拡大 当社グループは、国内最大級の利用者数を有する「Chatwork」の広範な顧客接点を基盤に、グループが保有する多様な商材のクロスセルを推進しております。その中でも特に、中長期的な成長の中核を担う主事業としてBPaaS事業を位置づけており、経理・労務・総務・採用等のノンコア業務を代行する「タクシタ」や「MINAGINE 労務アウトソーシング」等への展開を加速させてまいります。これらの取り組みを通じて、顧客一社当たりの平均単価(ARPU)の向上及び顧客獲得単価(CAC)の低減を実現し、顧客のLTV(Life Time Value)の最大化を図ってまいります。
③人とテクノロジーの融合による生産性の向上 BPaaS事業の拡大においては、労働集約的な側面を排除し、高い収益性を確保することが課題となります。当社グループは、オペレーターによる業務遂行に加え、生成AIやSaaS等のテクノロジーを徹底的に活用することで、業務プロセスの効率化・自動化を推進いたします。オペレーションの型化やAIエージェントの開発を進め、「人」と「テクノロジー」をハイブリッドに組み合わせることで、サービス品質の維持・向上と利益率の改善を両立させてまいります。
④ セキュリティ、内部管理体制の継続的な向上 当社グループが提供するサービスは、多数の企業の機密情報や個人情報を取り扱っており、社会的なインフラとしての側面を有しております。そのため、サイバー攻撃やシステム障害のリスクに対し、専任の組織による監視体制を整備し、脆弱性診断等の技術的な対策に加え、個人情報管理体制の整備やアクセス制限等のシステム統制といった内部管理体制の強化も推進しております。また、BPaaS業務の拡大に伴い、内部脅威対策製品の導入等、情報の持ち出しに対する監視を実施しております。今後も、堅牢なセキュリティ体制の構築とシステムの安定稼働に継続して投資を行ってまいります。
⑤優秀な人材の確保と育成 SaaS及びBPaaSの両輪で事業を成長させるためには、高度なプロダクト開発を担うエンジニアやデザイナー、顧客の業務課題を解決する専門性の高いオペレーション人材、及び業務の効率化、自動化を強力に推進するAI人材の確保が不可欠です。そのため、既存人材の能力及び技術の向上のための教育・研修体制を充実させてまいります。また、サステナビリティの重要課題として掲げる「楽しく創造的に活躍できる人材の創出」に向けた組織文化の浸透を図ることで、優秀な人材の採用と定着、育成に努めてまいります。
⑥M&A・組織再編の推進とグループ・ガバナンスの強化 「ビジネス版スーパーアプリ」の実現に向け、自社開発のみならず、当社グループとのシナジーが見込める企業のM&Aや資本業務提携を主戦略の1つと位置付け、推進してまいります。特にBPaaS領域においては、専門的なノウハウを持つ企業のグループインを進めており、買収後の組織統合(PMI)や機動的な組織再編を迅速かつ円滑に進めることで、早期のシナジー創出を目指します。 一方で、事業領域の拡大に伴い、グループ全体での管理体制の構築が急務となっております。そのため、各グループ会社の独立性を尊重しつつも、グループ全体での内部統制体制の強化等を継続して検討・推進いたします。攻めのM&Aと守りのガバナンスを両立させることで、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図り、顧客からの信頼を獲得できるよう努めてまいります。