有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/12/26 15:00
【資料】
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【項目】
81項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念のもと、地域に存在する情報を隅々までいきわたらせ、生活の中で生まれる問題を地域の人・お店同士で補い合える仕組みを提供するため、地元情報のプラットフォーム「ジモティー」を運営しております。
(2)経営戦略等
当社は、「ジモティー」の機能拡充による利便性の向上、各種プロモーションの実施による知名度向上並びにサイト安全性の向上を迅速に行っていくことで、サービス利用者の増加を図ってまいりました。その結果、令和元年12月期第3四半期において、月間平均1,000万MAU(注1)を獲得しており、多くの方に利用されるサービスに成長したと考えております。
中長期的な方向性としては、自動配信による収益を当社の基盤、マーケティング支援による収益を成長事業として捉えており、法人向け施策の実施に注力してまいります。
平成30年12月期において「ジモティー」の機能課金を利用した有料掲載者数(注2)は約1.6万者でありましたが、中小企業庁「2019年版中小企業白書」によれば、日本国内には2016年末時点において中小企業基本法第2条第1項の規定に基づく「中小企業者」が358万者存在しており、機能課金の開拓余地は大きいと考えております。
また、令和元年9月における月間平均課金単価(注3)は約2千円となっており、今後の課金単価向上余地があると考えております。
「ジモティー」には、地元情報がエリア・カテゴリ別に掲載されており、チャット機能・フォロー機能等の提供によるコミュニティ特性を有しているため、地域に根差した経営を行う中小企業と親和性が高いサービスであると考えております。そのため、法人をターゲットとしたプロモーション、距離検索機能等のプロダクト強化、魅力的なオプション機能の拡充及び適切価格改定により、法人ユーザー、課金率及び課金単価向上の取り組みを推進し、機能課金収益の強化を図ってまいります。
当社は、これまで培ってきたインターネットメディア運営のノウハウを基に、「ジモティー」が健全に機能する新たな社会インフラとしての存在になることを目指してまいります。
(注1)MAU:「Monthly Active Users」の略で、1か月に1回以上「ジモティー」を利用したユーザーの数となります。
(注2)有料掲載者数:法人・個人を問わず、1年間に1回以上「ジモティー」の機能課金を利用したユーザー数となります。
(注3)平均課金単価:機能課金を利用する1ユーザーあたりの平均金額となります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、現時点では経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその数値目標を定めておりませんが、企業価値を測る指標として、売上高及び営業利益の前年比増による成長性を重視しております。今後、業界動向及び当社の業績の推移等を勘案し、早期に経営指標及び数値目標を決定する予定です。また、売上高を構成する指標として、PV数及び投稿数を重視しております。
(4)経営環境
内閣府の世論調査によると、地域での付き合いは年々希薄化しており、町村において地域で親しい付き合いをしている人の割合は、2018年で21.1%まで低下しております(国土交通省(平成29年度)「国土交通白書本文」)。
一方で、76.9%の人が地域での相互協力を必要としており(国立社会保障・人口問題研究所(2017年)「生活と支え合いに関する調査」)、地域情報の共有や、地域でのつながりを得ることができるサービスが求められております。
このような環境において、当社では「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念のもと、地域に存在する情報を隅々までいきわたらせ、生活の中で生まれる問題を地域の人・お店同士で補い合える仕組みを提供するため、地元情報のプラットフォーム「ジモティー」を運営しております。
(5)対処すべき課題
① サービスの継続的な成長
当社はクラシファイドサイト「ジモティー」の運営を主たる事業としており、プロモーション等により認知度向上に向けた取り組みを積極的に行い、当該サイトのPV数及び投稿数を増加させることにより、収益基盤を構築してまいりました。
今後においても、更なるPV数及び投稿数の増加と継続率向上を図ることが課題であるため、SEO(検索エンジンの最適化)等を講じた集客力の強化、サービスの機能拡充による利便性向上、カスタマーサポート体制の強化による安全性の向上に努めてまいります。
② 収益基盤の強化
当社は、これまで自動配信売上を増加させることにより収益基盤を構築してまいりましたが、今後の中長期的な成長を実現するために、さらなる収益基盤の強化が課題であると認識しております。この課題に対応するためには、「ジモティー」におけるマーケティング支援売上の増加が重要であると考えております。
そのため、今後において当社は、プロモーション等による法人向け施策の実施及び新たなマネタイズ施策の実施により、収益基盤の強化に努めてまいります。
③ サービスの健全性の維持及び向上
当社が運営する「ジモティー」は、インターネットを通じて提供されているものであり、システムを安定的に稼働させることが重要な課題であると認識しております。今後においても、ユーザー数、PV数及び投稿数の増加、サービスの機能拡充、セキュリティの向上等に適時に対応し、技術革新等の事業環境の変化にも柔軟に対応できるシステム開発体制を構築することで、システムの安定稼動や高度なセキュリティが担保されたサービス運営に努めてまいります。
また、投稿内容の健全性の維持及び向上を図るため、カスタマーサポート体制の一層の強化が課題であると認識しております。当社では、24時間365日の全投稿チェックによる監視体制の構築、適切なサポート人員配置、ユーザーの本人確認の強化、違反ユーザーに対する注意喚起や利用停止措置等を実施しておりますが、今後においても、サービスの成長に合わせて必要な投資を行い、体制の強化に努めてまいります。
なお、ユーザー数、投稿数の増加に伴い、必要となるカスタマーサポート人員数も増加しますが、アウトソーシングを活用することにより、健全性の維持及び向上を図るための体制を構築しております。
④ 組織力、内部管理体制の強化
a.優秀な人材の確保及び育成
当社では、専門的知識を有した優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しております。事業規模に応じた少人数での効率的な運営を意識し、高度な知識・経験のある人材の確保に積極的に取り組んでまいります。また、人材育成のために各種研修等の教育・研修制度も充実させてまいります。
b.内部管理体制の強化
当社が継続的に成長し続けるためには、内部管理体制の強化が必要不可欠な課題であると認識しております。そのため、今後においても、内部統制システムの運用を徹底し、事業運営上のリスクの把握と管理を適切に行える体制構築に努めてまいります。
c.情報管理体制の強化
当社では、個人情報等の機密情報につきまして、ネットワークの管理、社内規程の制定及び遵守、全従業員を対象とした社内研修の徹底、内部監査によるチェック等により、情報管理体制を構築しております。今後においても、コンプライアンスを重視し、情報管理体制の強化に努めてまいります。