有価証券報告書-第7期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/22 11:30
【資料】
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【項目】
78項目

有報資料

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、企業理念として、「健康で豊かな人生をすべての人に」を掲げております。医療分野において社会課題として取りざたされている「医療費の増大(2025年問題)」「医療の地域格差」「生活習慣病の増大」「労働力不足」といった問題にデータとICTの力で解決に取り組むことで、持続可能な国民医療制度の実現を目指してまいります。
(2)経営環境
上記のような社会問題がクローズアップされる中で、政府の最重要政策の1つに「全世代型社会保障への変革(※1)」が取り上げられております。その中でも当社のサービス提供先である健康保険組合を含めた保険者に対しては「病気予防や介護予防についての、保険者のインセンティブ強化」を通じて、予防による「健康寿命の延伸」や「個人のQOL(※2)の向上」を目指すことが掲げられており、これらはデータに基づくエビデンスにより活動評価を行うこととされております。このように、保険者には国家的課題である医療費の適正化に向けて大きな役割が期待されており、その達成のため予防を含めた医療全体に対するデータを活用したエビデンスに基づいた活動の重要性が高まっております。加えて、医療費の適正化に向けて医療ビッグデータの利活用をより促進させる観点から、2017年5月に「改正個人情報保護法」が、2018年5月に「次世代医療基盤法」がそれぞれ施行され、匿名加工医療情報作成事業等の開始に向けた動きが進んでおります。
また、新型コロナウィルス感染症が人類に大きな影響を与えております。当社グループには、短期的には営業活動の鈍化や患者の来院控えが業績に影響を与えると考えております。これらは2021年3月期第1四半期累計期間にもっとも大きな影響を及ぼし、その後回復に向かっていくと仮定しております。
一方で、医療・学術、行政における疫学解析の重要性は高まり、産業、個人の行動様式も変化し、ヘルスビッグデータの果たす役割は多様化することが想定されます。しかしながら、現時点においてその正確な予想は困難な状態となっております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
上記の経営の基本方針及び経営環境を踏まえた中長期的な経営戦略は以下のとおりであります。
Ⅰ.「高付加価値化」と「データ種類の拡充」を通じた医療ビッグデータ事業の取引額の最大化
製薬企業や生損保企業に対して、データ利活用サービスの幅を拡げ、提供できる付加価値を上げていくことを目指しております。現在は、個別の要望事項に対して当該データベースから必要なデータを抽出・分析するサービス「アドホック販売」、汎用的なネットオンライン型のデータ検索・集計パッケージツール「JMDC Data Mart」、及び当社のデータベース自体の一部又は全部へのアクセス権の付与「データベース販売」を行っていますが、今後は医療ビッグデータを顧客が効率的かつ情報管理しやすい形で活用しうる分析環境を提供し、さらに、データベースを前提としたコンサルティングやアプリケーション開発を提供することで、サービスの付加価値を増やし、顧客あたりの取引額を高めていく方針であります。
また、今後さらにデータの量及び種類を拡大していくことも目指しております。例えば、健康保険組合員向けの健康情報プラットフォーム「PepUp」の中で、すでに保有しているレセプトデータや健診データに加えて、活動量やゲノム(遺伝情報)等の情報を管理することにより、これらのインプットが健診データやレセプトデータが示すアウトカムにどのように影響するのかといった因果関係の解析が可能となります。このようにデータは1つ1つ単体で存在するのに比べて、組み合わさることで相乗的な価値を出しうる特性を有しており、その特性を活用することで健康・医療に関する様々な因果をデータで解析し、学術、事業での更なる利活用の機会につなげていく方針であります。
Ⅱ.データ利活用による医療における価値創出
当社グループは、グループとして有するデータ、ICT及び医療現場でのサービス提供の力を医療の高度化及び効率化のために積極的に発揮し、医療費抑制に貢献してまいりたいと考えております。例えば、遠隔医療事業においては、遠隔読影マッチングサービスを通して、多くの画像診断データに日々アクセスしており、ディープラーニング(※3)を中心とするAIテクノロジー(※4)を用いた診断アシストエンジン(※5)を日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォーム「AI-RAD」の開発に取り組んでおります。また、データが非言語であり、国境を越えやすいという利点を活かし、読影ニーズが増加している中国に拠点を新設し、インバウンドでのセカンドオピニオンサービスの展開を推進してまいります。
Ⅲ.社会生活者に対する医療費の健全化につながるソリューションを提供
当社は、保険者支援サービスを提供する取引先の健康保険組合の加入者数が1,000万人を超えることを目指しております。その1,000万人に対して、当社の健康情報プラットフォーム「PepUp」を通してつながることで、医療の個別化やアウトカムベースでの医療を実現し医療業界全体の効率化を図り、医療費抑制に貢献することを目指しております。具体的には、健康保険組合や企業と協力し、従業員個々人の健康状態に応じて高いリスクを持つ対象者を抽出し、その対象者に対してデータを用いた積極的な介入策を立案し、介入後のデータによる効果測定を行うことで、重症化予防活動において投資対効果という考え方を導入してまいります。また介入方法としては、名医紹介サービス「clintal」・重症化予防・保健指導等の医療的介入から、生活習慣病の予防のための健康コンテンツの提供・行動変容を促すポイントプログラムによるインセンティブ付けのような予防的介入まで様々なアプローチを当社グループ外部の事業者とも連携しながら提供していく方針であります。この事業においては、各介入方法の投資対効果を明確化し、向上させ、国家、保険者、企業からの適切な投資を促す中で、現在43兆円(出所:厚生労働省HP、平成30年度)の国民医療費の抑制に貢献することによる収益化を目指してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社では、経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAによる評価を行っております。EBITDAは営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用で算出しております。EBITDAは当社グループ全体の評価の他、各報告セグメント利益に分解しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは企業理念として、「健康で豊かな人生をすべての人に」を掲げており、データとICTの力で、持続可能なヘルスケアシステムの実現を目指しております。そのためのデータの蓄積・匿名化処理と統計解析情報の提供を推進するため、以下の課題を解決してまいります。
a. 母集団の拡大
データベースの母集団を拡大することにより、日本で民間利用可能な最大規模のデータベースとしての圧倒的な地位を堅持する。
b. 健康保険組合向けサービスの拡充
当社の有するデータ解析技術とPepUpを活用し、的確なターゲティングと効果予測に基づく個人アプローチを展開することで、健康保険組合が抱える医療費抑制という課題に対応する。
c. データの利活用のさらなる促進
従来のアドホック形式及びフルDB形式でのデータ提供に加え、解析・コンサルティングサービスを含めたデータ利活用を提案するなど、単なるデータ売りにとどまらない付加価値の高いサービス提供を促進することで顧客の満足度を高める。
《用語説明》
※1 全世代型社会保障への変革
アベノミクスにおける「成長戦略実行計画」(2019年6月21日に閣議決定)での文言。
※2 QOL
Quality Of Lifeの略であり、生活の質ともいわれる。治療や療養生活を送る患者の肉体的、精神的、社会的、経済的、すべてを含めた生活の満足度を示す指標。
※3 ディープラーニング
コンピュータによる機械学習の手法であり、深層学習ともいわれる。
※4 AIテクノロジー
Artificial Intelligence(人工知能)を活用することで学習・推論・判断のはたらきを人工的に実現する技術をいう。
※5 診断アシストエンジン
コンピュータを使用した医療における診断支援を実行する機構をいう。

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