有価証券報告書-第1期(令和2年4月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営環境と経営方針
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、大変厳しい状況が継続いたしました。この間、感染対策と経済活動の両立を目途とした様々な政策や呼びかけが繰り返しなされてきましたが、第2波、第3波と感染はさらに拡大し、その影響は長期化・深刻化しております。各種政策の効果でいったんは持ち直したかに見えた実体経済ですが、株式市場のみが先行してバブル期以来の高値水準となるものの、先行きについては依然不透明かつ予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主要な事業領域である都心部における収益不動産関連の事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって需給ともに動向が読みづらい状況が続いておりますが、厳選された商品に対する需要は底堅く、活発な動きを取り戻しつつあります。一方、当社グループの拠点がある米国のロサンゼルスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が国内以上に深刻であり、市場の停滞が継続いたしました。
このような事業環境のもと、当社グループの事業は、第1四半期こそ緊急事態宣言の影響により主要な事業である収益不動産販売事業が大幅な落ち込みとなったものの、7月以降は本格的な営業活動を再開し、7月から12月においては、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができました。またかねてより注力してきた組織力強化が奏功し、商品企画力、販売力の向上に加え、仕入力の向上により、優良物件の仕入を行うことができました。
その他にも、下北沢の保有物件でコワーキングスペースの提供を開始するなど収益不動産としての新たな商品企画を試行したことや、米国ハワイ州での事業を本格的に推進すべくADW Hawaii LLCを新規設立したこと、様々な資金調達手法を検証すべく株式会社ジュピター・ファンディングを設立したこと、相乗的な価値創造を目指してコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業への進出を決定したことなど、今後の新たな事業展開に繋がる布石を打つことができました。
(2) 経営の指標と問題意識
① 2021年12月期 通期連結業績計画について
2021年12月の連結業績計画については、厳選した収益不動産の仕入にさらに注力し、主要な事業である収益不動産販売事業による成長基盤の強化を図ります。一方販売については、投資ソリューションに対する需要の拡大をとらえ、事業法人や機関投資家への販売を増強するとともに、不動産小口化商品やクラウドファンディングでの販売を通じて、個人投資家層の裾野拡大にも努めてまいります。また、金融商品も含めた幅広い新商品・新サービスの開発を国内外において積極的に推進してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大は、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、依然として収束が見えず、今後の経済動向は引き続き注視が必要です。当社グループの属する不動産業界においても、不透明な状況は続きますが、「2020年後半の市場環境が継続する」という前提で、翌連結会計年度(2021年12月期)の連結業績計画を下表のとおりといたします。
また主要事業である収益不動産販売事業は、商品企画の内容やバリューアップ工事の進捗など諸般の状況によって販売時期が前後するという特性があります。近時、商品ラインナップの大型化を戦略的に進めていることに伴い、全体収益における個々の物件収益のウェイトが増しているため、不動産市況等にかかわらず、これまで以上に四半期ごとの収益額の多寡が生じる可能性があります。
(注) 当社グループでは、当連結会計年度の経営目標を「業績計画」として開示しております。「業績計画」は経営として目指すターゲットであり、いわゆる「業績の予想」または「業績の見通し」とは異なるものであります。なお、業績の予想については、その時点におけるグループ全体の確度の高い情報および合理的であると判断される情報を基に、各四半期における進捗の見通しを「フォーキャスト」として適時更新し開示しております。
② 持株会社体制の活用について
当社グループは、2020年4月に持株会社体制に移行いたしました。その狙いは、
・M&A、業務提携、資本提携を積極的に活用する
・リスクを取った“攻め”と、手堅く堅実な“守り”を同時に追求する
・少数精鋭の組織を維持し、柔軟さと迅速さを持ち続ける
・これらを活かすべく、時代を先取りした人事制度・報酬制度を導入する
としています。
しかるに、その直後に新型コロナウイルス感染拡大という世界規模のパンデミックに遭遇したため、この経営環境危機における当社グループの事業推進の在り方そのものの見極めを最優先の経営課題とする必要がありました。したがって、持株会社体制移行の狙いを具現化する施策については、少なくとも当会計期間の前半においては実施いたしておりません。
こうした不透明かつ厳しい状況において、第1四半期の大幅な経常損失を経て、第2・第3四半期は感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができ、既存事業の足場固めをいたしました。またDX(デジタルトランスフォーメーション)等の新しい潮流がコロナ禍の影響で加速していることも実感しております。そこで、上記4点のうち「M&A、業務提携、資本提携を積極的に活用する」ことを優先的に開始するべく、2020年12月に既存子会社の事業目的変更を通じたコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業への進出を決定しております。
引き続き不透明な事業環境は継続するものと考えますので、その状況を見ながら、今後も持株会社体制の活用を継続的に推進してまいります。
③ 収益不動産事業の基盤強化:「REIT準備室」「資産運用事業本部」「開発事業」について
2021年1月に、株式会社エー・ディー・ワークスにおいて、主要事業である収益不動産事業の基盤強化を具現化する組織改正を実施いたしております。
「REIT準備室」を新設、将来的なREIT事業への参入を目指し、それを通じた収益不動産事業の規模拡大を図ります。
「資産運用事業本部」を新設、不動産小口化商品「ARISTO」シリーズの企画・販売事業を投資不動産事業本部から独立させ、主力事業のひとつとして育ててまいります。
「開発事業」をさらに推進するべく、既存機能を投資不動産事業本部内に機能統合し、相乗的な視点で本格的に事業育成を開始いたします。
④ 企業理念について
当社グループの企業理念の根幹にある価値観は、「しなやかに変化し、独創の価値を生み出し提供する」ことにあります。
「しなやかに変化する」とは、
・既存の価値観に固執せず積極果敢に新しい価値観を取り込むこと、
・変化をいとわず変化の中にこそ勝機を見出せること、
・柔軟な軌道修正や大胆な創造的破壊ができ、それらに応じて自らを再定義できること
「独創の価値を生み出し提供する」とは、
・既成概念にとらわれることなく、顧客ニーズの本質を見極め、そこに一歩でも近づける商品サービスの創造と提供を追求し続けること、
・顧客の要望に応えるだけでなく、確信をもってその本質に顧客を導くこと
であります。
当社グループが企業理念に謳うこの「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供する」という価値観は、当社グループの黎明期でこそ“生き残る術”でありましたが、それは“成長を支える人と組織のあり方”へ、そして“未来に受け継ぐべき企業文化”へと着実に進化してまいりました。
そして、この価値観を実践することによって当社グループが果たすべき使命は、事業を通じて人と社会の活力ある発展に貢献することと考えております。
創業以来、130年超の期間において、当初は染物業とその技術の海外輸出をもって、また近年においては収益不動産とそれを取り巻く付加価値の組み合わせの提供によって、当社グループはこの使命を果たし続けてきたと自負しております。そして今、すべての企業が向き合う新型コロナウイルス感染拡大による経営環境危機は、当社グループにとりましてまさに「しなやかに変化する」ことができるかどうかの試金石になるであろうと認識いたしております。
(3) 資本コストについての考え方
加重平均資本コストを引き下げる観点からは、社債に代表される負債性資金の調達が有効と判断しておりますが、一方で、投資適格となりうる格付けの取得には、一定の純資産額、時価総額が前提となるところであり、ガイダンスで示した規模感はその最低目安と当社では想定しております。
株主資本コストの概念は、現実的なあり様として、個々の投資家、株主の皆様の中に自らの期待する収益水準が存在し、その期待に基づく個々の投資行動を通じて、総合的に集約された結果が、マーケットバリュー(時価総額)であると理解しております。投資家、株主の皆様の期待収益に対する考え方、価値基準は様々であると推測されることから、資本コストは単一、同一の数値として存在するものではなく、株式を取引する当事者としての、投資家、株主個々の皆様の内的主観に基づく概念であり、投資対象とされる企業は、形成された時価総額を通じて、投資家、株主の皆様の総合的な判断、評価を受けとめる立場にあるものと理解しております。
当社グループが、投資家や株主の皆様のご期待に応えるためには、中長期的な成長の実現が最も重要であると認識し、最善を尽くしております。当社グループは中期経営計画等で将来の成長計画を示し、進捗を都度、明瞭に開示することで、投資家や株主の皆様に、当社への投資に際して期待できる収益の検討材料を提供してまいります。
なお、当社は、「(改訂)コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」(2020年4月1日公表)の序章5の中で、以上の資本コストについての考え方を表明しております。
(4) 対処すべき課題
① 「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革
新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響は甚大であり、企業は未曽有の経営環境危機に取り巻かれていると言っても過言ではありません。これに対し、緻密な情報収集と臨機応変な判断で危機を乗り切ることはもちろん重要でありますが、さらに重要なことは、いわゆる「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革であると認識いたします。すなわち、危機が収束して元に戻るのではなく、この事態を経験して、経済活動や社会システムをはじめ人々の行動原則や生活習慣などに及ぶまで、すべての原理原則に構造的な変化をもたらす可能性があります。当社グループといたしましても、こうした新しい価値観を先取りした事業構造の変革を試み、持続的な成長と社会貢献を果たせる経営戦略構築を目指してまいります。
② 既存事業及び新規事業による収益基盤の強化・確立
当社グループにとりまして、収益不動産ビジネスが収益基盤の柱であることは言うまでもありませんが、その戦略の根幹である収益不動産残高の拡充にさらに注力する必要があります。さらに不動産ビジネス以外の収益の柱を育てるべく、新規事業領域への進出と取組みが必要不可欠です。当社グループが2020年4月1日より持株会社体制に移行したのは、こうした新規事業を具現化するためのM&Aや事業提携、資本提携等を活用しやすくするための事業基盤の整備であり、これを活かした施策に注力します。また国内の収益不動産事業のみならず、米国事業、不動産小口化商品販売事業を通じた顧客基盤も重層化されてきており、富裕層ビジネスへの展開の足掛かりも有効に活用してまいります。
③ 資金調達手段の多様化と資本基盤のさらなる増強
当社グループの経営戦略実現のためには、収益不動産残高の戦略的拡充はもとより、持株会社体制を活用したM&A等の実行、さらには「アフターコロナ」における新たな戦略推進などにおいて、いずれも成長資金の調達が必要不可欠です。当社グループはこれまで4回のライツ・オファリングを実施し、成長資金の調達と資本基盤の増強を同時に実現してまいりました。今後はさらに多様な資金調達手段を積極的に検討し導入してまいります。また当社グループは、収益力だけでなく純資産の増強を重要視しております。これは将来的に、リスクがなくかつ資金使途の自由度が高い社債の発行を目指しているためであります。
④ 市場競争力の高い人材の育成と組織力の強化
経営環境が激しく変化する状況下にあり、持続的な成長と社会貢献を果たして行くためには、市場競争力が高くかつ多様な人材の育成、そして組織力の強化が喫緊の課題です。既存の主力である不動産ビジネスやプロパティ・マネジメントはもとより、M&Aも含めた新規ビジネス、グローバル戦略、顧客マーケティング、経営管理など、多彩な能力を必要とします。同時にそうした人材が力を発揮できる新しい人事制度の導入も検討します。また、「アフターコロナ」は従業員の働き方という原理原則にも、新しい価値観をもたらすと考えられ、そうした中でも高い競争力を発揮できるよう、自由と自律を両立した当社グループ独自の「働き方改革」にも着手いたします。
(1) 経営環境と経営方針
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、大変厳しい状況が継続いたしました。この間、感染対策と経済活動の両立を目途とした様々な政策や呼びかけが繰り返しなされてきましたが、第2波、第3波と感染はさらに拡大し、その影響は長期化・深刻化しております。各種政策の効果でいったんは持ち直したかに見えた実体経済ですが、株式市場のみが先行してバブル期以来の高値水準となるものの、先行きについては依然不透明かつ予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主要な事業領域である都心部における収益不動産関連の事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって需給ともに動向が読みづらい状況が続いておりますが、厳選された商品に対する需要は底堅く、活発な動きを取り戻しつつあります。一方、当社グループの拠点がある米国のロサンゼルスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が国内以上に深刻であり、市場の停滞が継続いたしました。
このような事業環境のもと、当社グループの事業は、第1四半期こそ緊急事態宣言の影響により主要な事業である収益不動産販売事業が大幅な落ち込みとなったものの、7月以降は本格的な営業活動を再開し、7月から12月においては、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができました。またかねてより注力してきた組織力強化が奏功し、商品企画力、販売力の向上に加え、仕入力の向上により、優良物件の仕入を行うことができました。
その他にも、下北沢の保有物件でコワーキングスペースの提供を開始するなど収益不動産としての新たな商品企画を試行したことや、米国ハワイ州での事業を本格的に推進すべくADW Hawaii LLCを新規設立したこと、様々な資金調達手法を検証すべく株式会社ジュピター・ファンディングを設立したこと、相乗的な価値創造を目指してコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業への進出を決定したことなど、今後の新たな事業展開に繋がる布石を打つことができました。
(2) 経営の指標と問題意識
① 2021年12月期 通期連結業績計画について
2021年12月の連結業績計画については、厳選した収益不動産の仕入にさらに注力し、主要な事業である収益不動産販売事業による成長基盤の強化を図ります。一方販売については、投資ソリューションに対する需要の拡大をとらえ、事業法人や機関投資家への販売を増強するとともに、不動産小口化商品やクラウドファンディングでの販売を通じて、個人投資家層の裾野拡大にも努めてまいります。また、金融商品も含めた幅広い新商品・新サービスの開発を国内外において積極的に推進してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大は、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、依然として収束が見えず、今後の経済動向は引き続き注視が必要です。当社グループの属する不動産業界においても、不透明な状況は続きますが、「2020年後半の市場環境が継続する」という前提で、翌連結会計年度(2021年12月期)の連結業績計画を下表のとおりといたします。
また主要事業である収益不動産販売事業は、商品企画の内容やバリューアップ工事の進捗など諸般の状況によって販売時期が前後するという特性があります。近時、商品ラインナップの大型化を戦略的に進めていることに伴い、全体収益における個々の物件収益のウェイトが増しているため、不動産市況等にかかわらず、これまで以上に四半期ごとの収益額の多寡が生じる可能性があります。
| 2020年12月期(実績) (2020年4月1日~12月31日の9ヵ月間) | 2021年12月期(計画) | |||
| 売上高 | 16,840 | 百万円 | 23,000 | 百万円 |
| EBITDA | 759 | 百万円 | 1,100 | 百万円 |
| 経常利益 | 427 | 百万円 | 600 | 百万円 |
| 税引前利益 | 432 | 百万円 | 600 | 百万円 |
(注) 当社グループでは、当連結会計年度の経営目標を「業績計画」として開示しております。「業績計画」は経営として目指すターゲットであり、いわゆる「業績の予想」または「業績の見通し」とは異なるものであります。なお、業績の予想については、その時点におけるグループ全体の確度の高い情報および合理的であると判断される情報を基に、各四半期における進捗の見通しを「フォーキャスト」として適時更新し開示しております。
② 持株会社体制の活用について
当社グループは、2020年4月に持株会社体制に移行いたしました。その狙いは、
・M&A、業務提携、資本提携を積極的に活用する
・リスクを取った“攻め”と、手堅く堅実な“守り”を同時に追求する
・少数精鋭の組織を維持し、柔軟さと迅速さを持ち続ける
・これらを活かすべく、時代を先取りした人事制度・報酬制度を導入する
としています。
しかるに、その直後に新型コロナウイルス感染拡大という世界規模のパンデミックに遭遇したため、この経営環境危機における当社グループの事業推進の在り方そのものの見極めを最優先の経営課題とする必要がありました。したがって、持株会社体制移行の狙いを具現化する施策については、少なくとも当会計期間の前半においては実施いたしておりません。
こうした不透明かつ厳しい状況において、第1四半期の大幅な経常損失を経て、第2・第3四半期は感染拡大以前の水準に匹敵する成果を上げることができ、既存事業の足場固めをいたしました。またDX(デジタルトランスフォーメーション)等の新しい潮流がコロナ禍の影響で加速していることも実感しております。そこで、上記4点のうち「M&A、業務提携、資本提携を積極的に活用する」ことを優先的に開始するべく、2020年12月に既存子会社の事業目的変更を通じたコーポレート・ベンチャー・キャピタル事業への進出を決定しております。
引き続き不透明な事業環境は継続するものと考えますので、その状況を見ながら、今後も持株会社体制の活用を継続的に推進してまいります。
③ 収益不動産事業の基盤強化:「REIT準備室」「資産運用事業本部」「開発事業」について
2021年1月に、株式会社エー・ディー・ワークスにおいて、主要事業である収益不動産事業の基盤強化を具現化する組織改正を実施いたしております。
「REIT準備室」を新設、将来的なREIT事業への参入を目指し、それを通じた収益不動産事業の規模拡大を図ります。
「資産運用事業本部」を新設、不動産小口化商品「ARISTO」シリーズの企画・販売事業を投資不動産事業本部から独立させ、主力事業のひとつとして育ててまいります。
「開発事業」をさらに推進するべく、既存機能を投資不動産事業本部内に機能統合し、相乗的な視点で本格的に事業育成を開始いたします。
④ 企業理念について
当社グループの企業理念の根幹にある価値観は、「しなやかに変化し、独創の価値を生み出し提供する」ことにあります。
「しなやかに変化する」とは、
・既存の価値観に固執せず積極果敢に新しい価値観を取り込むこと、
・変化をいとわず変化の中にこそ勝機を見出せること、
・柔軟な軌道修正や大胆な創造的破壊ができ、それらに応じて自らを再定義できること
「独創の価値を生み出し提供する」とは、
・既成概念にとらわれることなく、顧客ニーズの本質を見極め、そこに一歩でも近づける商品サービスの創造と提供を追求し続けること、
・顧客の要望に応えるだけでなく、確信をもってその本質に顧客を導くこと
であります。
当社グループが企業理念に謳うこの「しなやかに変化しながら、独創の価値を生み出し提供する」という価値観は、当社グループの黎明期でこそ“生き残る術”でありましたが、それは“成長を支える人と組織のあり方”へ、そして“未来に受け継ぐべき企業文化”へと着実に進化してまいりました。
そして、この価値観を実践することによって当社グループが果たすべき使命は、事業を通じて人と社会の活力ある発展に貢献することと考えております。
創業以来、130年超の期間において、当初は染物業とその技術の海外輸出をもって、また近年においては収益不動産とそれを取り巻く付加価値の組み合わせの提供によって、当社グループはこの使命を果たし続けてきたと自負しております。そして今、すべての企業が向き合う新型コロナウイルス感染拡大による経営環境危機は、当社グループにとりましてまさに「しなやかに変化する」ことができるかどうかの試金石になるであろうと認識いたしております。
(3) 資本コストについての考え方
加重平均資本コストを引き下げる観点からは、社債に代表される負債性資金の調達が有効と判断しておりますが、一方で、投資適格となりうる格付けの取得には、一定の純資産額、時価総額が前提となるところであり、ガイダンスで示した規模感はその最低目安と当社では想定しております。
株主資本コストの概念は、現実的なあり様として、個々の投資家、株主の皆様の中に自らの期待する収益水準が存在し、その期待に基づく個々の投資行動を通じて、総合的に集約された結果が、マーケットバリュー(時価総額)であると理解しております。投資家、株主の皆様の期待収益に対する考え方、価値基準は様々であると推測されることから、資本コストは単一、同一の数値として存在するものではなく、株式を取引する当事者としての、投資家、株主個々の皆様の内的主観に基づく概念であり、投資対象とされる企業は、形成された時価総額を通じて、投資家、株主の皆様の総合的な判断、評価を受けとめる立場にあるものと理解しております。
当社グループが、投資家や株主の皆様のご期待に応えるためには、中長期的な成長の実現が最も重要であると認識し、最善を尽くしております。当社グループは中期経営計画等で将来の成長計画を示し、進捗を都度、明瞭に開示することで、投資家や株主の皆様に、当社への投資に際して期待できる収益の検討材料を提供してまいります。
なお、当社は、「(改訂)コーポレートガバナンス・コードに対する当社ガイドライン(方針及び取組み)」(2020年4月1日公表)の序章5の中で、以上の資本コストについての考え方を表明しております。
(4) 対処すべき課題
① 「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革
新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響は甚大であり、企業は未曽有の経営環境危機に取り巻かれていると言っても過言ではありません。これに対し、緻密な情報収集と臨機応変な判断で危機を乗り切ることはもちろん重要でありますが、さらに重要なことは、いわゆる「アフターコロナ」に向けた事業構造の変革であると認識いたします。すなわち、危機が収束して元に戻るのではなく、この事態を経験して、経済活動や社会システムをはじめ人々の行動原則や生活習慣などに及ぶまで、すべての原理原則に構造的な変化をもたらす可能性があります。当社グループといたしましても、こうした新しい価値観を先取りした事業構造の変革を試み、持続的な成長と社会貢献を果たせる経営戦略構築を目指してまいります。
② 既存事業及び新規事業による収益基盤の強化・確立
当社グループにとりまして、収益不動産ビジネスが収益基盤の柱であることは言うまでもありませんが、その戦略の根幹である収益不動産残高の拡充にさらに注力する必要があります。さらに不動産ビジネス以外の収益の柱を育てるべく、新規事業領域への進出と取組みが必要不可欠です。当社グループが2020年4月1日より持株会社体制に移行したのは、こうした新規事業を具現化するためのM&Aや事業提携、資本提携等を活用しやすくするための事業基盤の整備であり、これを活かした施策に注力します。また国内の収益不動産事業のみならず、米国事業、不動産小口化商品販売事業を通じた顧客基盤も重層化されてきており、富裕層ビジネスへの展開の足掛かりも有効に活用してまいります。
③ 資金調達手段の多様化と資本基盤のさらなる増強
当社グループの経営戦略実現のためには、収益不動産残高の戦略的拡充はもとより、持株会社体制を活用したM&A等の実行、さらには「アフターコロナ」における新たな戦略推進などにおいて、いずれも成長資金の調達が必要不可欠です。当社グループはこれまで4回のライツ・オファリングを実施し、成長資金の調達と資本基盤の増強を同時に実現してまいりました。今後はさらに多様な資金調達手段を積極的に検討し導入してまいります。また当社グループは、収益力だけでなく純資産の増強を重要視しております。これは将来的に、リスクがなくかつ資金使途の自由度が高い社債の発行を目指しているためであります。
④ 市場競争力の高い人材の育成と組織力の強化
経営環境が激しく変化する状況下にあり、持続的な成長と社会貢献を果たして行くためには、市場競争力が高くかつ多様な人材の育成、そして組織力の強化が喫緊の課題です。既存の主力である不動産ビジネスやプロパティ・マネジメントはもとより、M&Aも含めた新規ビジネス、グローバル戦略、顧客マーケティング、経営管理など、多彩な能力を必要とします。同時にそうした人材が力を発揮できる新しい人事制度の導入も検討します。また、「アフターコロナ」は従業員の働き方という原理原則にも、新しい価値観をもたらすと考えられ、そうした中でも高い競争力を発揮できるよう、自由と自律を両立した当社グループ独自の「働き方改革」にも着手いたします。