有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/06 15:00
【資料】
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【項目】
133項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は576,612千円となり、前事業年度末に比べ243,081千円増加しました。これは、主として売上伸長に伴い現金及び預金が214,967千円、売掛金が8,070千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は223,502千円となり、前事業年度末に比べ50,976千円増加しました。これは、主として未払法人税等が54,809千円、未払消費税等が31,307千円増加した一方、未払金が37,915千円減少したことによるものであります。これは、主として2018年3月の本社移転に伴い、本社設備の未払金を2018年3月に計上したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は353,109千円となり、前事業年度末に比べ192,105千円増加しました。これは、主として当期純利益の計上により利益剰余金が192,102千円増加したことによるものであります。
第4期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計は677,124千円となり、前事業年度末に比べ100,511千円増加しました。これは、主として投資有価証券が44,470千円増加し、売上高の増加に伴い現金及び預金が61,206千円増加したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計は164,831千円となり、前事業年度末に比べ58,671千円減少しました。これは、主として未払法人税等が41,424千円、未払消費税等が8,913千円、賞与引当金が7,364千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は512,293千円となり、前事業年度末に比べ159,183千円増加しました。これは、主として四半期純利益の計上により利益剰余金が159,601千円増加したことによるものであります。
②経営成績の状況
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(全般的概況)
当事業年度におけるわが国経済は、堅調な雇用・所得環境を背景に緩やかな回復基調が見られました。スタートアップマーケットにおいても、事業会社におけるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を中心に積極的な投資活動がなされた結果、2018年度の国内スタートアップ企業の資金調達額は2017年度と比べて大きく伸長しました。また、事業会社を中心にスタートアップ企業との連携を目的とした取り組みの活発化に加え、経済産業省主導により「J-Startup」が立ち上げられる等、スタートアップエコシステム形成に向けた土壌整備も整いつつあります。
このような環境のもと、当社は主力であるタレントエージェンシーサービスの業容拡大に向け、ヒューマンキャピタリストの採用及び育成強化や、生産性向上のためのシステム開発への投資等の施策を実行してまいりました。
各項目ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。
(売上高)
当事業年度の売上高は1,045,083千円(前年同期比39.8%増)となりました。これは、主としてタレントエージェンシーサービスにおけるヒューマンキャピタリストの採用強化や生産性向上施策による取引数の増加に加え、採用支援サービスの売上増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は177,432千円(前年同期比27.4%増)となりました。これはタレントエージェンシーサービスの売上高増加による媒体手数料の増加によるものであります。一方で、利用媒体の多角化や媒体以外の流入経路の開拓が進み、売上原価率は前年同期の18.6%から17.0%に改善しております。この結果、売上総利益は867,651千円(前年同期比42.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は596,134千円(前年同期比44.5%増)となりました。これは、主としてタレントエージェンシー部門の採用強化や管理部門の機能強化に伴う業容拡大により、人件費が増加したことに加え、本社移転に伴う地代家賃の増加によるものであります。この結果、営業利益は、271,516千円(前年同期比38.4%増)となり、経常利益は274,010千円(前年同期比39.7%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は、192,102千円(前年同期比51.4%増)となりました。
当社は、成長産業支援事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の経営成績は次のとおりであります。なお、アクセラレーションサービスは、2019年4月よりサービスを開始したため、当事業年度については記載しておりません。
・タレントエージェンシーサービス
タレントエージェンシーサービスはスタートアップ企業向けに人材支援サービスを提供しております。当事業年度においては、更なる業容拡大のため、ヒューマンキャピタリストの採用及び育成強化を主軸として、競争優位であるベンチャーキャピタル/起業家との連携をより一層図るための営業強化、有力スタートアップ企業へのより一層の支援集中を図りました。また、当事業年度より「人材紹介サービス」に加えて毎月定額報酬を収受し、採用支援を実施する「採用支援サービス」を開始しました。
「採用支援サービス」は、有力スタートアップ企業への支援比率が前年同期と比較して大きく伸長した結果、有力スタートアップ企業を中心に受注が順調に推移しました。「人材紹介サービス」においては、有力スタートアップ企業への支援強化に伴い、取引数・平均単価ともに増加上昇し売上高が増加しました。以上により、売上高は1,045,083千円(前年同期比39.8%増)、売上総利益は867,651千円(前年同期比42.6%増)と増収増益となりました。
タレントエージェンシーサービスの業績推移は下表のとおりです。
(単位:千円)
期間売上高
第2期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第3期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
人材紹介サービス747,813988,488
採用支援サービス-55,494
その他-1,100
合計747,8131,045,083

(注)1.その他はタレントエージェンシーサービスに付随した人事紹介・採用支援サービス以外の売上高であります。
2.起業支援サービスは少額のため、人材紹介サービスに含めております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
タレントエージェンシーサービス全体のKPI(主要な業績評価指標)として、当社が経営管理上、重視しているものは以下のとおりです。
期間第2期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第3期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
人材紹介取引数(人)317406
人材紹介平均単価(千円)2,3502,459

(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高を上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
第4期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、引き続き企業収益や雇用・所得環境の持ち直しに伴い、総じて緩やかな回復基調が見られました。スタートアップマーケットにおいても、前事業年度と同様、VC/CVCによる投資活動の活発化を背景に、スタートアップ企業による資金調達の大型化が進むなど、引き続きが好環境が継続しております。また、投資活動の活発化を背景に大企業とスタートアップ企業とのオープンイノベーションの取り組みも盛り上がりを見せております。
このような環境のもと、当社はタレントエージェンシーサービスの業容拡大に向け、引き続きヒューマンキャピタリストの採用強化に取り組んだ他、生産性向上のための各種施策を実行してまいりました。また、アクセラレーションサービスを新規に立ち上げ、主として大手企業向けにオープンイノベーションサービスの営業強化を行ってまいりました。この結果、当第3四半期累計期間の売上高は903,805千円、営業利益は246,122千円、経常利益244,968千円、四半期純利益159,601千円となりました。
当社は、成長産業支援事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、各サービス別の経営成績は次のとおりであります。
・タレントエージェンシーサービス
タレントエージェンシーにおいては、前事業年度に引き続きヒューマンキャピタリストの採用強化を行っております。人材紹介サービスにおいては、社内教育や業務効率改善を中心とした生産性向上施策の実行、採用ニーズの強い有力スタートアップ企業への営業強化、経営幹部層求人の支援強化に取り組みました。これらの結果、人材紹介サービスにかかる契約社数及び取引数は堅調に増加しております。加えて、特に採用ニーズの強い企業向けに「採用支援サービス」の営業強化を行っております。以上により、当第3期四半期累計期間における売上高は885,422千円となりました。
タレントエージェンシーサービスの業績推移は下表のとおりです。
(単位:千円)
期間売上高
第4期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
人材紹介サービス778,195
採用支援サービス107,226
合計885,422

(注)1.起業支援サービスは少額のため、人材紹介サービスに含めております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
タレントエージェンシーサービス全体のKPI(主要な業績評価指標)として、当社が経営管理上、重視しているものは以下のとおりです。
期間第4期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
人材紹介取引数(人)341
人材紹介平均単価(千円)2,311

(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高を上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
・アクセラレーションサービス
2019年4月よりアクセラレーションサービスを開始しております。当第3四半期累計期間においては、オープンイノベーションサービスの業容拡大のため、主として大手企業に対する営業強化に取り組みました。その結果、受注は堅調に推移し、売上高は18,383千円となりました
③キャッシュ・フローの状況
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、本社移転に伴う固定資産の取得による支出は生じたものの、税引前当期純利益274,010千円の獲得等により、前事業年度末に比べ214,967千円増加し、当事業年度末には341,749千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は258,708千円(前事業年度は117,104千円の獲得)となりました。これは主として、税引前当期純利益274,010千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は43,857千円(前事業年度は64,138千円の使用)となりました。これは主として、本社移転に伴う有形固定資産の取得による支出31,746千円、投資有価証券の取得による支出10,800千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は116千円(前事業年度は661千円の獲得)となりました。これは、新株予約権の発行による収入によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
第3期事業年度及び第4期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は成長産業支援事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載をしております。
サービスの名称第3期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)第4期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
タレントエージェンシーサービス
(千円)
1,045,083139.8885,422
アクセラレーションサービス
(千円)
--18,383
合計(千円)1,045,083139.8903,805

(注)1.最近2事業年度及び第4期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第2期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第3期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社
メルカリ
--108,27610.4--

2.第2期事業年度及び第4期第3四半期累計期間においては、総販売実績に対する割合が100分の10以上の取引先が存在しないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は、事業規模の拡大に伴う人件費や営業管理システムの機能拡充に伴うシステム投資資金等があります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。