有価証券報告書-第8期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/24 15:26
【資料】
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【項目】
132項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(単位:千円)
前連結会計年度
(2023年3月31日)
当連結会計年度
(2024年3月31日)
対前期増減
資産(※1)2,969,7983,241,463271,665
負債(※2)779,327696,198△83,128
(有利子負債)66,674-△66,674
純資産(※3)2,190,4702,545,264354,794

主な対前期増減の内容
(※1)営業投資有価証券(△85,236千円)、売掛金(181,710千円)、現金及び預金(△89,595千円)、
敷金及び保証金(277,010千円)
営業投資有価証券の減少はベンチャーキャピタル事業において株式を取得した一方で、営業投資有価証券評価損を計上したためであります。
(※2)未払金(△191,156千円)、未払法人税等(111,761千円)
(※3)利益剰余金(385,999千円)
② 経営成績の状況
(全般的概況)
当連結会計年度におけるスタートアップ業界を取り巻く環境は、金融資本市場の変動に端を発する世界的な株価低迷により、グローバル市場におけるIPO件数及び資金調達金額が前年比で大きく減少したなかで、国内における2022年の資金調達額は、大企業から子会社への出資を除くと前年比で微増(参照:STARTUP DB)となりました。しかしながら、米国をはじめとする主要国において金融市場が引き締めに転じ、米国では大手企業による人員削減や銀行の経営破綻等の景気後退懸念が強まる動きがみられました。国内においても、急激な物価上昇による消費者マインドの悪化が懸念されており、スタートアップ企業においてはIPOの延期やランウェイ(企業がキャッシュ不足に陥るまでの残存期間)を引き延ばすためのコスト抑制等の景気後退を見据えた動きがみられました。
一方で、政府の成長戦略において、産業競争力強化の観点からスタートアップ企業の支援及びスタートアップエコシステム強化の重要性が提唱されております。政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と定め、2022年11月に公表された令和4年度補正予算案において、スタートアップ関連事業に約1兆円の補正予算が閣議決定され、2022年11月末には『スタートアップ育成5か年計画』が公表されました。この『スタートアップ育成5か年計画』においては、5年後の2027年度に、スタートアップへの投資額を10倍超(10兆円規模)とすることを目標に掲げ、日本がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップの集積地になることを目指す方針が打ち出されました。また、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、③オープンイノベーションの推進、の大きな3本柱の取り組みを一体として推進することも併せて公表され、官民を挙げた取り組みが実行されつつあります。
項目ごとの経営成績の状況は以下のとおりです。
(売上高)
タレントエージェンシーサービス及びオープンイノベーションサービスが堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は3,416,101千円(前期比13.9%増)となりました。タレントエージェンシーサービスは、前連結会計年度から一転し、採用ニーズの減少が確認されましたが、この環境下でも採用ニーズを維持した企業や需要の高いポジションの支援強化、新規顧客開拓及び新ブランドとなる子会社の設立といった施策が効果貢献いたしました。また、オープンイノベーションサービスは、「STARTUP DB」の有料会員獲得が堅調に推移したほか、「Public Affairs」において地方公共団体のスタートアップ関連事業支援の取り組みを強化いたしました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は692,760千円(前期比28.0%増)となりました。これは主にタレントエージェンシーサービスにおける求人媒体への支払手数料及びオープンイノベーションサービスにおける外注費です。結果として、売上総利益は2,723,340千円(前期比10.8%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,299,876千円(前期比22.8%増)となりました。これは主に人件費、支払手数料及び地代家賃です。結果として、営業利益は423,463千円(前期比27.6%減)、経常利益は428,398千円(前期比27.0%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、385,999千円(前期比12.7%減)となりました。
各セグメント及びサービス別の経営成績は下記のとおりであります。
(タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業)
・タレントエージェンシー
当連結会計年度においては、マクロ環境の不透明さを背景に、既存顧客スタートアップの採用ニーズの減少を確認いたしました。複数の顧客が採用活動を停止したことを受け、①ミドル・アーリーステージのスタートアップ顧客拡大、②人材育成の強化、③別ブランドの組成の3つの方針を立て注力いたしました。
①につきましては、後のユニコーン企業候補の支援を拡充する方針の下、2023年1月から12月の1年間における顧客開拓数が、前年比2倍以上の122社となりました。新規顧客開拓後には、求人に対する支援進捗を適切にモニタリングし、実績につなげることを徹底しており、顧客満足度を維持しつつ実績を積み上げることができました。顧客開拓につきましては、提携するベンチャーキャピタリストからの支援依頼、起業家・過去支援者等からの紹介等で賄っており、一般的な人材紹介業者で行われている電話営業等の営業活動にコストを一切かけていないことは当社の強みであります。なお、2024年3月時点の累計契約企業数は1,265社となり、その中から実際に人材支援を行い、成功報酬をいただいた累計支援企業数が600社を突破いたしました。
②につきましては、新卒3年目の女性社員をマネージャーに登用するなど、実力に応じて管理職への登用を積極的に推進しつつ、新入社員の育成を進めております。当社の顧客であるスタートアップ企業は、採用基準が高く支援の難易度も高いという特徴があります。また、タレントエージェンシーでスタートアップ支援を行う営業担当「ヒューマンキャピタリスト」は求職者対応だけでなく、求人企業の担当も担うため、同じフェーズの企業がどのような採用戦略を立てているか、どのような人材が活躍しているかといった内部情報とノウハウを必要とします。過去のノウハウを共有しながら組織を拡大する必要があり、生産性が少し下がってもエース社員をマネジメントに抜擢し、OJTを中心とした研修体制を設けて、新入社員を育成しております。現時点で、この手法の効果が出始め、生産性が向上しております。
③につきましては、スタートアップのエグゼクティブ領域特化の子会社であるシングレス株式会社を設立いたしました。高年収人材の支援が順調に推移しており、2024年3月期第4四半期に初めての売上を計上いたしました。人材採用も堅調で、当初の事業計画に対して順調に推移しております。シングレス株式会社の売上につきましては、タレントエージェンシーサービスとして開示しております。
上記重点施策に加えて、上場後に一時的に関係が希薄化したPost-IPOスタートアップの複数社から、取引を再開して人材採用を強化したい旨のオーダーを頂き、非公開求人を含む幹部人材の支援を行うといった活動が進んだ結果、厳しい事業環境の中でも人材紹介サービスが増収となりました。
コンサルティングサービスにつきましては、厳しい事業環境を受け大幅減収を予想しておりましたが、新規案件の獲得が進んだ結果、減収ではあるものの予想値を上回る着地となりました。
この結果、タレントエージェンシーサービスの売上高は2,908,427千円(前期比9.2%増)となりました。
タレントエージェンシー全体の主要な業績評価指標は以下のとおりです。
期間前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
人材紹介取引数(人)651685
人材紹介平均単価(千円)3,4403,824

(注)1.人材紹介取引数は、特定期間における人材紹介数であり、業務委託契約を除いております。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した紹介手数料の一定割合を契約に基づき返金しますが、当該返金対象取引も取引数に含めております。
2.人材紹介平均単価は、特定期間における売上計上対象となった経営管理上の人材紹介売上高(業務委託契約を除く成功報酬型のコンサルティングフィー)のみを上記の人材紹介取引数で除した数値です。
紹介した候補者が入社後一定期間内(早期)に自己都合退職した場合には紹介企業から収受した報酬の一定割合を契約に基づき返金しますが、上記の経営管理上の人材紹介売上高では当該返金額を控除せず、集計しております。
3.成功報酬型以外のコンサルティングサービスは上表には含めておりません。
・オープンイノベーション
オープンイノベーションサービスは、当社グループが運営するデータベース「STARTUP DB」の大手企業向け有料会員サービス、官公庁・自治体におけるスタートアップ関連事業を受託して産学官の連携を支援する「Public Affairs」、日本のスタートアップとグローバルの接点を模索するイベントを開催する「カンファレンス」など、スタートアップ・エコシステムの構築を推進する各種サービスを提供しております。当連結会計年度においては、「STARTUP DB」の有料ユーザー数の増加、カンファレンスの開催規模拡大に伴うスポンサー収入の増加、Public Affairsが地方自治体からのスタートアップ関連事業を受託することで順調に規模を拡大した結果、オープンイノベーションサービスの売上高は507,673千円(前期比51.8%増)となりました。
・社員数の状況
(名)前期末社員数中途入社者数新卒入社者数退職者数期末社員数
2023年3月期115601322166
2024年3月期166522145194

当連結会計年度においては、不安定な外部環境を背景に採用を抑制する時期がありましたが、内定していた新卒社員の入社や、下期の採用活動強化により、新卒・中途合わせて73名の入社(雇用形態変更を含む)となり、前期と同じ入社数で着地いたしました。一方で、退職者数が想定を少し上回り、45名の退社となりました。主力社員の退職は防止できておりますが、スタートアップやVCへの挑戦を表明する社員の割合が高く、当社の「起業家やスタートアップと深くかかわることで他社の魅力を感じる」環境要因が大きく影響しているものと捉えております。しかしながら、退職者数の増加は重要な経営課題と捉えており、人事ポリシーの制定・独自のエンゲージメント指数であるKokorozashi指数の開発・運用により、社員が中長期に活躍してもらうための仕組みづくりに着手いたしました。このように、人材の確保の面では当初計画から未達となったことで、人件費が増加したものの想定を下回り、利益を押し上げる要因となりました。
・本社移転に伴う費用計上
当社グループは、2023年11月7日開催の取締役会において、本社を移転することを決議いたしました。これに伴い、移転後利用見込のない有形固定資産について耐用年数の見積りの変更を行っています。また、不動産賃貸借契約に基づく原状回復費用について、敷金のうち回収が最終的に見込めないと認められる金額及び償却期間の変更を行っています。これにより、従来の方法に比べて当連結会計年度の販売費及び一般管理費は67,190千円増加いたしました。
以上の結果、セグメント売上高は3,416,101千円(前期比13.9%増)、セグメント利益は567,260千円(前期比4.3%減)となり、当初予想を上回る結果となりました。
(ベンチャーキャピタル事業)
当セグメントには、子会社であるフォースタートアップスキャピタル合同会社、及び同社を通じて組成したフォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が含まれております。ベンチャーキャピタル事業では、当社のタレントエージェンシーサービスの人材支援先に対して、成長産業支援をより強固にするためのスタートアップ投資を行うファンドを運営しております。投資対象は、国内のスタートアップ、ベンチャー企業のうちミドル・レイターステージ及び起業支援案件かつ人材支援取引先となります。
当連結会計年度につきましては、フォースタートアップス1号投資事業有限責任組合が保有する非上場株式について、超過収益力を反映した実質価額が取得価額に比べて著しく低下したため、営業投資有価証券評価損として136,343千円を売上原価に計上いたしました。また、前連結会計年度に引き続き発生している管理費用を含めて、セグメント損失は143,796千円(前期は7,511千円の損失)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
対前期増減
営業活動によるキャッシュ・フロー△35,076179,478214,555
投資活動によるキャッシュ・フロー△90,708△293,889△203,180
財務活動によるキャッシュ・フロー153,29424,814△128,479
現金及び現金同等物の期末残高1,745,2701,655,674△89,595

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は1,655,674千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は179,478千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益397,313千円、減価償却費55,709千円、売上債権の増加額181,710千円、未払金の減少額190,666千円、営業投資有価証券の減少額85,236千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は293,889千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出304,155千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は24,814千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出66,674千円、非支配株主からの払込みによる収入68,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入23,488千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。また、受注から役務提供完了までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称前連結会計年度
(自2022年4月1日
至2023年3月31日)
当連結会計年度
(自2023年4月1日
至2024年3月31日)
前年
同期比
(%)
タレントエージェンシー&オープンイノベーション事業
タレントエージェンシーサービス(千円)2,664,2462,908,4279.2
オープンイノベーションサービス(千円)334,397507,67351.8
小計(千円)2,998,6443,416,10113.9
ベンチャーキャピタル事業(千円)---
合計(千円)2,998,6443,416,10113.9

(注)主な相手別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に含めて記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
当社グループの資金需要は、人員規模拡大に伴う、人件費や採用費をはじめとする人材関連投資等が中心であります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金及び金融機関からの借入及び必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達を中心に考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。なお、当社グループでは売上高及び営業利益を重要な指標としております。

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