訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/06 15:01
【資料】
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【項目】
138項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
当社グループは、事業活動を行う上で、介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、「障害者総合支援法」)、児童福祉法、老人福祉法、高齢者住まい法、地域保健法、食品衛生法、消防法等様々な法規制の適用を受けております。これら法令等を遵守するためにコンプライアンス体制の構築が求められており、当社グループでは施設及び事業所運営における法令順守の徹底、業務上の業務管理体制及び内部牽制機能の強化に努めております。現時点において、当社グループが運営する施設及び事業所での営業停止や指定取消となる事由は発生しておりませんが、今後の事業展開においてこれらの体制が十分に機能しなかった場合、業務管理上の問題が生じ、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、また、何らかの事情により法律に抵触する事態が生じた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの介護事業の中心となる介護付有料老人ホーム事業、住宅型有料老人ホーム事業、サービス付き高齢者向け住宅事業及び認知症対応型共同生活介護事業は、介護保険法の適用を受けるサービスの提供であり、介護保険法の影響を強く受けることとなります。介護保険法に基づく介護サービスを行うためには、事業所としての指定を都道府県知事等から受ける必要があります。指定を受けた事業所は、サービス毎に定められた事業の人員及び設備及び運営に関する基準を満たしている必要があり、その基準に達しないことで、監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの障がい者支援事業の中心となる就労継続支援B型及び共同生活援助は、障害者総合支援法の適用を受けており、法律の改廃や適用基準の変更等により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの保育事業は、認可保育所及び企業主導型保育所等の保育サービスを提供しております。これらのサービスは保育制度の改正等により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業所が受けている指定は次の通りです。
取得所管官庁等許認可等の名称許認可等の内容有効期限(注)主な許認可取消事由
当社グループの各事業所厚生労働省特定施設入居者生活介護事業者の指定介護老人福祉施設事業、介護老人保健施設事業等の介護保険施設事業を行う介護サービス事業者の指定6年間介護保険法第77条
(指定取消し等)
厚生労働省指定地域密着型
サービス事業者の指定
定期巡回・随時対応型訪問介護看護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護等の地域密着型サービスを行う介護サービス事業者の指定6年間介護保険法第77条
(指定取消し等)
国土交通省
厚生労働省
サービス付き高齢者向け住宅事業の登録バリアフリー構造、一定の面積・設備基準を満たした建物に、安否確認(状況把握)、生活相談等のサービスを提供する事業の登録5年間高齢者住まい法第26条(登録の取消し)
都道府県有料老人ホーム設置許可介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームの設置許可なし特になし
厚生労働省指定居宅介護支援事業者の指定ケアプランの作成、介護サービスの連絡・調整等の居宅介護支援事業を行う介護サービス事業者の指定6年間介護保険法第84条
(指定取消し等)
厚生労働省指定居宅サービス事業者の指定訪問介護、訪問看護等の居宅介護サービス事業を行う事業者の指定6年間介護保険法第77条
(指定取消し等)
厚生労働省就労継続支援B型事業者の指定障害者総合支援法に基づく就労継続支援事業者の指定6年間障害者総合支援法第50条(指定の取消し等)
厚生労働省指定特定相談支援事業者及び指定障害児相談支援事業者の指定サービス等利用計画の作成、サービスの連絡・調整等を行う事業者の指定6年間障害者総合支援法第51条の29(指定の取消し等)
厚生労働省共同生活援助事業者の指定障害者総合支援法に基づく共同生活援助(グループホーム)の運営を行う事業者の指定6年間障害者総合支援法第50条(指定取消し等)
厚生労働省認可保育所の認定児童福祉法に基づく認可保育所の認可なし児童福祉法第58条
厚生労働省
内閣府
企業主導型保育事業に係る助成児童福祉法に基づく認可外施設の届出1年間児童福祉法第59条

各種介護サービス費用の大部分の支払いが公的機関より保証されているということで、安定した収入を確保することができます。しかし一方で、介護保険報酬は法律改正の影響を受けるため、介護報酬の引き下げ等の介護事業者に不利な改正が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)指定は事業所単位で取得しており、事業所毎に指定の有効期日は異なりますが、有効期限を一括して記載しております。
(2)人材の確保について
当社グループが展開する事業は、人材によるサービスの提供によるものが主であり、今後の事業拡大に応じた人材の確保が必要となります。
特に介護・保育事業においては、介護職員及び保育士が慢性的に不足している中、継続的な人材の確保及び優秀な人材の育成が必要であります。
当社グループにおいては、長期的にサービスを提供する人材の確保・定着の推進を図るため、能力・資格・経験等に応じた処遇面の見直しや、福利厚生の充実等により職員定着率の向上に努めておりますが、今後の事業展開及び拡大に際して十分な人員確保が困難となった場合または既存人員の流出等が生じた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業所の新規開設について
当社グループでは事業拡大にあたり、今後も高齢者向け居住施設、保育施設、障がい者支援施設の新規開設を計画的に進めてまいりますが、好立地に物件を確保できない場合や自治体の総量規制等の事業変化や経済的要因により開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)設備稼働率・入居率について
当社グループの収益は、高齢者や園児の利用人数に応じて影響を受けるため、計画した利用人数を獲得できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に介護・保育事業においては、介護職員及び保育士が慢性的に不足する中での人材確保が必要であり、必要な人材の確保ができない場合、人材不足による利用者の受け入れが困難となり稼働率・入居率が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)利用者に対する事件事故対策・安全衛生管理について
当社グループが主力とする介護事業では、サービス利用者が介護を必要とする高齢者が多いことから、サービス提供中の転倒・転落等の不慮の事故によってお客様の生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。障がい者支援事業につきましても利用者の転倒や不慮の事故の可能性があり、また保育事業におきましても施設内での児童の事故の可能性は皆無とは言えません。
各事業の運営する施設内におきましては、利用者である高齢者、障がい者及び児童に対して直接的に長時間サービスを提供しているため虐待や暴力行為が発生する可能性も他業種に比べ高いと考えられます。また、サービス利用者に対して飲食物を提供しており、食中毒や集団感染等の危険度も相対的に高いと考えられます。
当社グループにおきましては、事故防止対策、虐待防止、身体拘束廃止及びリスクマネジメント等について徹底した社員教育を行うとともに、安全・衛生管理等について一層の強化に努めておりますが、万が一、サービス提供時に事故等が発生し、または食中毒や感染症等が拡大し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)個人情報の管理について
当社グループは事業を展開するうえで、顧客及び関係者等の多くの個人情報を取り扱っております。こうした個人情報の取り扱いについては、細心の注意を払い、情報漏洩防止に取り組んでおりますが、万が一、情報が漏洩した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償問題に繋がり、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)風評被害等の影響について
当社グループの事業は、利用者やそのご家族等、その他関係者等による当社施設に対する評判や信用等が施設運営に対して大きな影響を及ぼします。当社グループにおいては、それら関係者との信頼関係の構築について細心の注意を払っておりますが、好ましくない風評が生じる等の状況が発生した場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)地域との関係について
当社グループが提供する介護・保育・障がい者支援事業の性格上、地域のお客様、行政をはじめ関係各機関と長期的な信頼関係が何よりも重要であると考えております。このため、良質かつ安定的なサービスの提供が必要であり、業績が悪い事業所があった場合でも、収益性の観点だけで撤退が困難となった場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。
(9)施設及び事業所の賃借について
当社グループが運営する事業所は、その大部分を賃借しており、施設及び事業所ごとに家主との間で賃貸契約を締結しております。比較的長期間の契約を結ぶことにより、安定かつ継続的な施設運営を確保できる反面、当該契約について途中解約は困難であり、短期間における施設閉鎖や賃料改定も困難であることから、今後、何らかの事情により採算性の悪化等が生じた場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、施設及び事業所の家主である法人、個人が破綻等の状況に陥り、継続的使用が困難となった場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。
(10)有利子負債への依存について
当社は、新規施設開設時に、自社保有する必要のある物件であった場合、開設資金の多くを金融機関借入等により調達しております。今後において金融情勢の変化により、金利の上昇や、計画通り資金調達ができない場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、第9期第3四半期連結会計期間末における有利子負債残高(リース債務を含む)は4,496,881千円、総資産に対する有利子負債への依存度(リース債務を含む)は65.6%であり、自己資本比率は6.9%となっております。
(11)減損会計について
当社グループでは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。今後、資産の利用状況やキャッシュ・フローの悪化により、事業所の採算性が低下し損失計上が継続した場合には減損損失を認識する必要があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)リース会計基準変更の可能性について
当社グループでは、施設に係る土地や建物への投資負担を軽減させる一つの方法としてセール・アンド・リースバック取引を活用し、財務諸表上はオフバランスとなっております。このようなスキームを活用する際には会計士等専門家の判断を仰ぎ、その段階で適正と考えられる方式を採用しておりますが、会計基準の変更等、オンバランス処理をとることとなった場合には、総資産の増加により自己資本比率等が現状より低下する可能性があります。
(13)競合について
介護保険制度の開始以降、介護サービス利用者は増加傾向にあり、今後も少子高齢化の進展に伴い利用者は増加基調が続いていくものと予想されております。当社グループは他社の実施するサービスとの差別化により利用者の長期にわたる継続利用の実現に努めておりますが、今後、新規参入により一層の競争激化が生じた場合には当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。障がい者支援事業においても、近年競争環境が激化する兆しがあり、今後の他社の事業の拡大や新規参入等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、保育事業については、現時点では需要過多のため競合他社のリスクは低いと考えられますが、将来的に保育市場が急速に縮小し競争激化が生じた場合には当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)少子化について
当社グループの保育事業では、主に0歳児から5歳児を対象としたサービスを提供しております。保育園の魅力向上を努めておりますが、今後少子化が急速に進行し、保育市場が著しく縮小する場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。
(15)自然災害について
当社グループは、本社のある北海道を中心として施設及び事業所を設置し事業を展開しておりますが、当社グループが事業を展開する地域において大規模な地震や台風等による自然災害が発生した場合には、正常な事業活動が困難となる恐れがあり、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)特定個人への依存について
当社は取締役会、役職者会議及びエリア会議等による役員や幹部社員間の情報共有のみならず、業務のモジュール化による標準化・マニュアル化等、当社の代表取締役である金子洋文に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかし、当社の代表取締役である金子洋文は、当社グループの創業者として経営方針や事業戦略を牽引する重要な役割を担っており、当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの業績や将来の成長性に影響を及ぼす可能性があります。
(17)資金使途について
当社グループは東京証券取引所マザーズの上場に伴う公募増資資金に関しましては、新規事業所の開発を含む設備投資等に充当する予定でおります。しかしながら、新規事業の発足や経営環境の変化により、投資効果が期待通りの成果を上げられない場合や、より投資効果が見込める使途等が生じた場合には、現時点の資金使途計画以外の使途に充当する可能性があります。なお、資金使途を変更する決議を行った場合には、適時開示を行う方針であります。
(18)配当政策について
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、内部留保の充実を図り、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、業績の推移・財務状況、事業計画等を総合的に勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(19)利益剰余金のマイナスについて
当社グループの当連結会計年度末の利益剰余金は、過去の子会社化とその後ののれんの減損、合併による抱合せ株式消滅差損等により、△687,896千円となっております。当社グループは、利益を確実に計上していくことにより、利益剰余金のマイナスを早期に解消することを経営の優先課題として認識しておりますが、事業の進捗が何らかの理由により進まない場合、解消までに時間を要する可能性があります。