有価証券報告書-第15期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/31 15:13
【資料】
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【項目】
123項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社グループは、「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念としております。「ALL HAPPY BY DESIGN」は、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、これによって社会に貢献することを意図しております。
当社グループは、インテリア、建築、プロダクトから企業ブランディングの領域まで、デザインを軸に分野横断的に事業を展開しており、オフィス・商業施設・都市全体等のデザインを通じて、企業や社会の課題解決に取り組んでおります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、事業拡大、企業価値向上を目指し、売上高及び売上高経常利益率を経営における重要な指標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、オフィス空間のデザインから事業をスタートし、デザインを基軸に事業領域を拡大してまいりました。現在、デザインの対象領域は商業施設、建物全体のコンセプト開発や環境設計、都市計画における建築デザインにまで広がっており、また、受注する案件も大型化が進んでおります。
このような中、当社グループは、プロジェクト(実施業務)を「レギュラープロジェクト」「プロポーザルプロジェクト」「リーディングプロジェクト」の3つに分類し、これらの相互作用による収益化と価値創造の両立を目指しております。
「レギュラープロジェクト」はクライアントからの依頼により獲得する受注型プロジェクトで、高い評価を得ているオフィスデザイン等、当社グループの業績の基盤を形成しております。「リーディングプロジェクト」は大規模な建築コンペティションや設計競技を通して挑戦するプロジェクトで、新たなデザイン領域を開拓し、当社グループの設計技術及びブランド価値を向上させる取り組みです。「プロポーザルプロジェクト」は、「レギュラープロジェクト」と「リーディングプロジェクト」の中間に位置し、当社グループが自ら企画・提案し、場合によっては先行投資を行うプロジェクトで、受注型とは異なる収益モデルを実現いたします。例えば、「リーディングプロジェクト」による先鋭的デザインが「プロポーザルプロジェクト」として事業化され、さらには「レギュラープロジェクト」として収益基盤を支える事業となる、といった循環を目指しております。
0102010_001.pngこのような成長を支えるため、「(4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき課題」に記載した事項の他、「山下泰樹建築デザイン研究所」の設立による専門性向上と先端技術研究の推進、子会社(セルビア共和国)の設立による3Dデザイン機能の強化、福岡オフィスの新設による西日本エリアの事業対応力の整備等を進めております。また、当社グループでクリエーションと呼称する実験的な企画提案を加速してまいります。クリエーションの1つの事例が横浜市臨港地区の活性化のために当社グループが提案した「臨港パークプロジェクト(仮称)」であり、先進的な木造複合施設の建設やエリアマネジメントの受託を通じて、新しい地域活性化モデルをデザインしてまいります。

<「リーディングプロジェクト」の事例>
0102010_002.jpg0102010_003.jpg
愛知県 幸田町スーパーシティ構想
「The Well City 幸田」
名古屋市 栄地区まちづくりプロジェクト

(4)経営環境及び会社の優先的に対処すべき課題
当社グループの事業領域はオフィスから建築デザインまでと幅広く、特定の市場は存在しておりませんが、長引くコロナ禍は、人と人とのコミュニケーションの在り方、働き方、行動様式等様々な分野に変化と多様化をもたらしており、当社の基盤事業である空間の設計デザインにおいてもその影響を受けております。
例えば、リモートワークの普及をはじめとした働き方の多様化は、ワークプレイス自体の在り方に変化をもたらしており、従来の「全員が集まって仕事をするための場所」から「コミュニケーションを主目的とした場」へその位置づけが変わりつつあります。ワークプレイスに限らず、人が集まる場・生活する空間がどうあるべきかについては、今後の社会の変化における重要なテーマであり、新しい空間デザインを創出してきた当社グループにとっては事業を拡大する好機だと考えております。これらの状況をふまえ、次の3点を優先的に対処すべき課題と認識し、対応を進めてまいります。
① 優秀な人材の確保及び育成
当社グループの事業の根幹は新しい価値の創出であり、これを実現する人材の確保及び育成は今後の事業拡大において不可欠な要素と考えております。また、事業領域の拡張においては、これまでとは異なるスキルを有した人材の確保も必要となります。
人材の確保及び育成には中長期的な視点での人事施策の立案と実現が必要であり、人事組織の充実及び機能強化を通じて従業員のサポート体制並びに採用実施体制を高度化するとともに、先進的な人事制度の構築を進めて事業のエンジンとなる人材の基盤を強化してまいります。
② 業務実施体制の高度化
当社グループの事業は領域・規模ともに拡大しており、ITを活用した効率的な業務実施体制の実現が必須となっております。既に当社グループは3Dデザインの領域において先端的機能を有しておりますが、今後もデジタル化投資を積極的に進め、業務実施体制の効率化・高度化に努めてまいります。
③ 内部管理体制の拡充及びコンプライアンスの徹底
当社グループは、社会的責任を果たしつつ、持続的な成長とこれによる企業価値向上の実現を目指しております。
当社グループの成長には、成長ステージに見合った管理機能とコンプライアンスの精神が深く浸透した企業風土の醸成が必須であると考えております。また、リモートワーク等これまでとは異なる働き方に対しては、それに合致した内部管理の体制が必要となります。
内部監査・人事・法務・経理等、それぞれの分野で高い専門性や豊富な経験を有している人材の採用、ITインフラの整備に加え、従業員に対する継続的な啓蒙及び研修等を実施することで、内部管理体制の一層の強化を図るとともにコンプライアンスの徹底に努めてまいります。