有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/02 15:01
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、以下の経営理念のもと、長年培ってきた開発力・技術力を基盤として、優れた品質の製品を安定供給することにより、顧客満足度の向上を図るとともに、取引先・協力会社・地域社会・投資家の皆様方及び従業員からの信頼と期待に応えられる企業を目指しております。
[経営理念]
Safety & Medical Healthcareを通して科学技術の向上を図り人類に貢献する。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等を、売上高及び営業利益としております。将来的には、運転資本の圧縮と合わせ営業キャッシュ・フローの拡大を図り、その範囲内で成長のための投資を実現することで、資本効率を着実に向上させていく所存です。常に付加価値の高い製品・サービスを提供できるよう努めるとともに、営業利益の絶対額を高めるべく事業規模を拡大していくことで、企業価値の最大化を図ってまいります。
(3)経営戦略等
当社グループは、第38期連結会計年度を初年度とする中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)をスタートしております。中期経営計画では、縫製自動機事業において、大手エアバッグメーカー向けに当社グループ製の縫製自動機の販売を拡大していくこと、縫製品事業においては、血圧計腕帯のほか、カーシートカバー及びエアバッグの事業拡大を重点課題とし、将来の成長に向けた計画としております。当該計画を達成し、当社グループの今後の更なる成長と発展のため、「(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載した事項の対応が経営戦略上、重要であると認識しております。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
我が国経済の先行きについては、企業収益や雇用状況の改善により、緩やかな回復基調となったものの、世界経済においては米中貿易摩擦の激化や、欧州の政治情勢等に起因する景気減速懸念により先行き不透明感が高まりました。
このような状況の中、縫製にまつわる業界においては人手不足を背景に縫製機器の自動化への需要が高まっております。工程の自動化技術が日々進化していく中で、裁断から縫製までの工程を揃える技術と特許を生かした当社グループ製品は顧客の生産力向上に貢献できるものと考えております。
当社グループは事業環境の変化に柔軟に対応し、事業基盤を一層拡大していくため、以下の課題に取り組んでまいります。
①研究開発力の強化
当社グループ各事業の持続的発展のためには、技術競争力に裏打ちされた様々な研究開発が必須であります。当社グループが縫製品の自動化に携わること30年以上、様々な顧客(メーカー等)のニーズに対応するべく、3D縫製用の双腕ロボットによる縫製自動機、エアバッグ用2ヘッド自動縫製ステーション及びエアバッグ用新型リニア式レーザー等の高い水準の技術及び知識の蓄積を行ってきました。これまで培った技術競争力を活かすとともに、新たに設置したMATSUYA INNOVATION CENTER(MIC)が中心となって自動化、省力化のための縫製技術を備えた製品開発を推し進め、さらには次世代技術(AI搭載の縫製自動機等)の研究開発も進めてまいります。
②生産体制・生産能力の強化
当社グループの属する市場は日々変化しております。こうした市場環境の変化に柔軟に対応した製品を常に供給できるよう、開発パートナーの開拓と協力関係の強化や、積極的な採用活動と社内教育体制の強化などを行い、生産体制の構築・強化を進めてまいります。また、製造工程における新たな縫製自動機などの導入も順次検討し、更なる生産能力の強化を図ってまいります。
③品質の向上
当社グループが掲げている経営理念「Safety & Medical Healthcareを通して科学技術の向上を図り人類に貢献する。」のもと、当社グループによって生産された製品は最終ユーザーである個人の人命に係わる製品が多くあります。
現在ISO9001及びIATF16949を取得し、品質の管理・徹底を継続的に図っておりますが、今後は更なる製品品質の向上と顧客満足度の向上を保証する品質管理体制の強化を継続するとともに、当社グループ各部門の連携をより強化することで、当社グループ全体の品質レベルを向上してまいります。
④新しい販路及び取引先の拡大
当社グループは、これまで特定の取引先との取引の依存度が高い状態にありましたが、当該状況を解消すべく取引先の増加に取り組んでまいりました。その結果、一定の成果を得るに至りましたが、更なる基盤の構築に向けて新規案件・新規顧客を獲得していくことが課題と認識しております。そのため、当社グループでは、既存取引先との取引拡大に加え、人材採用・育成体制の整備等により営業体制の強化を進め、新しい販路の開拓等、様々な取引先増加に向けた施策を実行してまいります。
⑤営業力の強化
日々変化する市場環境に対応するために、適切な判断と迅速な行動を兼ね備えた営業力の強化が必要であると考えております。今後、海外市場で大きな需要が見込まれることから、優秀な人材の継続的な採用活動を行うとともに、社内教育・育成を進め、海外での営業力の強化にも努めてまいります。
⑥収益力の強化
収益力の強化のためには、各種コストの低減が重要課題の一つであると認識しており、最適な調達体制・生産体制を構築する必要があります。そのために、生産技術力の向上による生産効率の良い生産体制を構築し、各種コストの低減に取り組んでまいります。
⑦人材確保・育成
現在、当社グループの保有する生産技術を次の世代に確実に継承するだけでなく、今後の当社グループの事業の中核を担う人材の確保と育成が急務であると考えております。それに合わせて、従業員の実績を適切に評価できる人事評価体制を整備し、経営環境の変化に対応できる人材育成体制の構築に取り組んでまいります。
⑧財務基盤の強化
当社グループは、事業の拡大に伴う設備投資資金を、主として金融機関からの借入により調達してきたことから、有利子負債が増加傾向にあります。このため、経営基盤の強化を図るべく、財務体質の改善が急務であると認識しておりますが、有利子負債の圧縮と自己資本比率の向上に努めることで、より健全性の高い企業経営を目指してまいります。
⑨内部管理体制の強化
当社グループは、企業価値向上のためにはコンプライアンスの徹底が必要不可欠であると考えております。
このため、会社法、金融商品取引法及びその他法令を遵守するコンプライアンス体制を継続して強化していくとともに、内部牽制が機能する管理体制を構築することで、株主や取引先など、全てのステークホルダーの信頼に応える組織を目指してまいります。
また、これらの管理体制を継続的に維持するため、毎年全役職員を対象にコンプライアンス研修を実施してまいります。