有価証券報告書-第20期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/09/29 16:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
105項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「イノベーション( i )を3乗(Cube)する」という思いを社名に冠し、「ITをもっと身近に」をミッションとして、最良のテクノロジーと最高のエンジニアリングを用いることで創り出すサービスがそれぞれの企業活動に革新をもたらし、人々の生活をより豊かな方向へと導いていくイノベーションの連鎖を生み出すサービスの創造に挑戦し続けております。また、「笑顔をつくるソリューションカンパニー」というビジョンを掲げ、笑顔の多い、よりよい社会を実現するために、未来にふさわしい新たな価値づくりに貢献することを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
CLOMOの導入社数(CLOMOを導入している企業や、学校や官公庁などの公的機関の組織数)、ライセンス継続率を指標としております。
(3) 経営環境と経営戦略
当社の主軸事業であるCLOMO事業は、モバイル端末管理市場に属しており、B to BのSaaS事業を提供しております。今後のマーケット動向としては、法人のスマートフォン導入加速と、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)からのスマートフォンへの変更、PHSのサービス終了に伴う医療機関でのスマートフォンの導入により、モバイル端末の出荷数の増加が見込まれております。スマートフォン・タブレット等のモバイル利用の普及に伴い、モバイル端末の管理や、モバイル端末を利用しての業務効率化のニーズが増加すると期待されています。
さらに、当社のビジネスモデルであるサブスクリプションビジネス(ソフトウェアの購入ではなく、利用期間に応じて料金を支払う契約形態のビジネス)は、従来のプロダクト販売型ビジネスとは違い、物の所有から必要に応じて利用することへの大きな変革を生み出し、多額の設備投資や煩雑な事務処理を少額の利用料と簡易的な事務処理へ変化させることにより、そのニーズは世界的に広まっております。
また、昨今の働き方改革や長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延防止のため、業務のデジタル化やテレワーク環境が整備され、多くの企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していることを背景に、セキュリティ機能をクラウドから提供する当社サービスに対する問い合わせは引き続き増加しております。
このような状況から、モバイル端末管理市場は、IoTの普及に伴うセキュリティ対策の強化やPC管理市場への進出により、拡大する可能性があります。

このような環境下で、当社は、携帯電話販売会社である株式会社NTTドコモとの協業を中心として大きく顧客数を伸ばしております。今後については、CLOMO事業の拡大に経営資源を集中することが重要と判断し、以下の5点の特徴及び強みを活かし企業価値の向上を図ってまいります。
① 統合的な一貫体制(競争力の源泉)
当社は、ソフトウェア開発・ライセンス販売・サービスの運用・プラットフォームの管理・カスタマーサポートの全ての業務を自社でコントロールし、統合的な一貫体制が構築されております。したがって、サービスの運用やカスタマーサポートで得た知見や顧客の要望を、新たなソフトウェアの開発や既存のソフトウェアの改善に速やかに生かすことが可能であり、それが当社の競争力の源泉となっております。
現在の主軸サービスであるCLOMO事業はもちろん、IoTなどの新たな技術対応や新サービスの提供も、この確立された体制により、効率的に収益性の高いサービスを提供することが可能であると考えております。

※1 ライセンス数の増加、高付加価値商品への転換による売上増
※2 機能追加による売上増
② 独立的で制限のない販売戦略
当社は、携帯電話販売会社のいずれとも資本提携並びにOEM化(相手先ブランド名での提供)を行わず、多くの携帯電話販売会社やIT流通商社との広範囲な連携による販売協力体制が構築されており、独立的で制限のない販売戦略を展開しております。
③ 低コストの収益構造
当社のCLOMOサービスは、クラウドを利用したSaaS事業であるため、クラウド上のソフトウェア管理だけで多くの顧客の対応が可能であり、ビジネス規模の拡大によるスケールメリットを享受することができます。
④ サブスクリプションビジネスによる収益の安定性
当社のCLOMOサービスは、継続的な売上が見込めるサブスクリプションビジネスであり、かつ半数以上の契約は年間契約であるため、当事業年度に獲得した新規注文のうち、当事業年度中に収益認識されるものは一部であり、残りは契約期間によって月次で按分され、翌事業年度以降の収益となります。また、CLOMO MDM継続率は95.4%(注)となります。
(注)継続率は、当事業年度に発生した各月の解約数を前年同月末のライセンス数から控除したライセンス数について、前年同月末ライセンス数で除して算出しております。
なお、主軸サービスの動向を開示する目的から、継続率の算定方法について、CLOMOサービスの全ライセンス数を用いる方法から、CLOMO MDM(主軸サービス)のみのライセンス数を用いる方法へ変更しており、変更後の前事業年度の継続率は97.8%となっております。

当社サービスは、毎月の新たな受注により積み上げ式のストックビジネスであるため、受注が解約を超過していれば、上記の図のとおりライセンス数が増加していきます。
(一般的なサブスクリプションビジネスのイメージ図)
⑤ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による経営環境と経営戦略への影響につきましては、以下のような影響がありましたが、中期的にはテレワークなどの新たな働き方が加速し、CLOMO事業へのニーズ拡大が想定されております。また当社社内でも、ウィズコロナ時代の新たな働き方を模索するべくテレワークを継続しております。
a 緊急事態宣言に伴う販売代理店の対面営業自粛による影響
日本政府による緊急事態宣言の発出以後は、複数の販売代理店で対面営業自粛の動きがありましたが、当社及び販売代理店では、営業活動にWeb会議システムを用いたリモート営業を取り入れる等、対面営業からの切り替えが進められており、営業活動への影響は軽微なものとなっております。また、当社は販売代理店向けにリモート拡大を図っております。リモートによる営業や勉強会は、移動時間が発生せず、立地や距離の制約が無いことから、これまで以上の参加者となっており、マーケットの更なる掘り起こしに繋がっております。
b 経済の停滞・後退に伴う当社サービスの拡販機会に関する影響
外食をはじめとしたサービス業やアパレル業等の、実店舗の運営を伴う一部の業種に属する企業向けの営業活動については、アップセル・クロスセルの機会を中心に商談が一部延期される等の影響があったものの、全体的にはテレワークの需要拡大により、拡販の機会は増加しております。特に中堅規模の企業等の、これまで訴求が充分ではなかった企業に対して訴求できる機会が増加しており、当社サービスの拡販と価格安定に繋がっております。
c 製品開発や運用及びカスタマーサクセス業務のフルリモート化
製品開発や運用及びカスタマーサクセス業務をフルリモート化(オフィスに出社せず自宅等から業務)しております。また、新入社員への教育もすべてリモートで行っており、今後は人材採用においても、エンジニアやカスタマーサクセスを中心に、拠点(福岡・東京・大阪)での就業を条件とせず、優秀な人材の獲得にも繋げていきます。
d 基幹システムのテレワーク対応促進
経理や人事等の管理系業務について、クラウド等を活用することにより、テレワークへの対応を進めております。書類の押印や荷物の受取り、発送等の業務を除いて、テレワークでの管理系業務の実施を実現しております。
e テレワークに適応するための手当の新設と安全衛生の確保のための取り組み
各社員に自宅での業務を指示することについて、増加すると見込まれる光熱費や通信費等の負担を軽減するために、在宅勤務手当を支給しております。また、当社はコアタイムのあるフレックスタイム制をとっておりましたが、就業場所が自宅となったことにより、業績評価の観点として時間より成果を重視すべきと考え、前事業年度よりコアタイムを廃止しております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束が見込みづらい状況から、テレワークの長期化・定常化に向けて、社員の健康維持や連絡体制の整備など、様々な制度の新設や見直し、事業継続・安定化のための施策を実施しております。
(4) 当社の対処すべき課題
① 売上の拡大
当社が属するEMM(MDM)の市場は、スマートフォンのビジネス利用の増加により成長を遂げており、当社も導入社数・ライセンス数の増加により、収益基盤が拡大しております。一方で海外からの参入も含め、国内市場においては競合他社も増えてきております。これまでは、国内の大企業が主な取引先でしたが、今後は中小企業や公共法人・自治体・学校や、これまでとは違った業種・業態への展開により国内シェアを拡大し収益を確保するとともに、海外も視野に入れた積極的な事業展開を実施してまいります。
一方で、当社の技術開発力をベースにした高機能化・周辺機能の追加・複数種類の端末の管理機能拡充などにより、アップセルとクロスセルを高め、顧客単位の売上増加・コスト減少に取り組んでいく必要があると考えております。加えて顧客の信頼を厚くするためのサポート体制の充実(顧客定着・リピートオーダー・解約率の減少)、新規事業の展開が重要な経営課題と認識しております。
また、B to Bのクラウドを利用したSaaS事業でもあるため、顧客の予期せぬ急増や、一度に多量のライセンスを受注した場合においても、当社は新規で物理的なサーバー機器を調達、構築する必要がないことから円滑に対応でき、当社に大きな負担はありません。導入までのサポートを大きな負荷無く短期間で済ませることで、成長の一層の加速に取り組んでまいります。
② 組織人員体制(開発体制)
エンドユーザーの増加、特に大企業の増加に比例して、その要望や品質に対する要求レベルは年々高くなっており、質・量ともに開発体制を改善していくことは、エンドユーザーのニーズに応えていく上で必要不可欠な課題と考えております。近年のITエンジニアの採用環境については、売り手市場が継続しており厳しい状況となっております。この様な状況への対応として、エンジニアが成長し充実した仕事・生活ができる実感をもてるような環境を作り、それを対外的にアピールする機会を増やすことで、エンジニアにとって魅力的な職場としての認知を広めていきたいと考えております。また、エンジニアの成長機会を増やすため、社内勉強会の開催や、オンライン上で開催される社外勉強会への登壇、国内外の企業やコミュニティで開催するエンジニア向け年次カンファレンスを中心に積極的に参加してまいります。
③ 研究開発
毎期、事業の発展充実のため、積極的に研究開発活動に取り組んでおり、ライセンス数やアップセル・クロスセルの増加、解約率の低減のためにエンドユーザーのニーズを具現化することを進めております。自社の業務プロセス改善や業務の迅速化・効率化を目的とした研究開発も進めており、自社利用でノウハウを蓄積し、新サービス提供へ繋げる想定です。さらに、テスト自動化、スケーラビリティの確保やアプリケーション動作の高速化を目的としたアーキテクチャ刷新のための基盤技術の調査などを研究開発の対象としております。
④ 品質保証体制の強化
当社のエンドユーザーに提供するサービスを構成するソフトウェアについては、様々な施策を実施してきた結果、エンドユーザー満足度の向上によるユーザーの定着が進んできております。この取り組みは常に改善し、継続していかなければならないため、そのための仕組みづくりが課題と認識しております。この方向性を継続し、ソフトウェアエンジニアリングにおける改善をさらに進めることが課題と認識しております。品質改善に対するブレを少なくするため、ソフトウェアエンジニアへの研修などにより定期的な知識共有を進めます。検証体制においては、可能な限り製品検証体制の自動化を進め、人が実施すべき重要な部分については、特に改善活動を行う時間を確保するとともに、品質の精度を高めます。また、検証時間の短縮により、リリースサイクルが短縮されることにもなります。当社はサービス品質向上のため、さまざまな改善活動に積極的に取り組むことを考えております。
⑤ カスタマーサクセスの体制構築
当社では、これまでの問題解決型の「カスタマーサポート」から一歩進めて、当社のサービスを通じてエンドユーザーが実現したい目的や効果を実現する「カスタマーサクセス」を達成するための活動に注力しております。これは、エンドユーザーとの定期的な面談を通して製品利用状況を精緻に把握し、適切な利用法を提案することでエンドユーザーによるモバイル端末導入の効果を高めてもらう新しい取り組みです。エンドユーザーの成功に寄り添うことで、製品に対する心理的なロイヤルティが向上し、製品の継続利用やライセンスの追加、関連製品の購入などに繋がります。
既存のエンドユーザーの解約を防止するとともに、ARPU(Average Revenue per User:1ユーザー当たり平均売上金額)を増加することで、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)をさらに向上すべく、本活動を強化してまいります。
⑥ 従業員の意欲、能力の向上
当社は、従業員の目標設定、評価方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、急速なIT技術の進歩やグローバル化にあわせて、この変革のスピードに対応できるような人材を育成していく体制を整えることが急務であると考えております。引き続きそれらを見据え、勉強会や研修の充実などにより従業員一人一人の上昇志向と能力の向上を図ってまいります。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。