有価証券報告書-第13期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/27 11:42
【資料】
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【項目】
96項目
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は創業以来「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」というミッションのもと、人間が本来持っている能力を最大限に引き出す支援をするのが私たちの使命と考えております。
世の中の変化のスピードは早く、個人、組織に求められているのは、学習を通じて変化に適応し、変化をチャンスとしてとらえ、活かすことです。学習は、単なる「勉強」ではなく、人や組織が今までできなかったことをできるようにする手段であると考えております。そのために「学び」という人間にとって必要不可欠なことをテクノロジーによって革新し、人や組織の成長を支援してまいります。
また、「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」というビジョンのもと、これからの時代に求められる「学び」についての各種サービスを展開し、人材育成の新たなスタンダードになるべく事業展開をしていきます。
(2)目標とする経営指標等
当社は、持続的な成長と企業価値向上を目指しており、全社的な主要な経営指標として売上高、営業利益を重視しております。
個人向け資格取得事業(スタディング事業)では、資格取得に興味がある個人が主なターゲット顧客であり、無料講座をお試し頂いた上でコースを購入して頂く販売形態になっております。売上の計上方法については、コースを購入した際の受講料(現金ベース売上高)を、コースの受講期間で按分し、受講期間中に毎月均等額の売上を計上する形になっております。
そのため、事業運営上重視する経営指標としては、会員による受講料の支払い額の総額となる現金ベース売上高及び新規有料登録会員数(ユニーク数)をKPI(Key Performance Indicators)としております。
法人向け教育事業では、企業を取り巻く環境変化により、従来の集合研修を中心にした階層型の社員教育から、より実践的なスキルを効率的に身に着けるオンライン教育の必要性が高まっております。
法人向け事業で展開するエアコースでは「最も社員教育を効率化できるサービス」になるために、学習管理システム(LMS)やコンテンツを強化し、社員教育のデジタルトランスフォーメーションができるプロダクト力を高め、マーケティング、販売力を強化し、パートナーモデルを確立することを目標にしております。
そのため、事業運営上重視する経営指標としては、法人事業における売上高、エアコースの契約企業数及び平均解約率をKPIとしております。
(3)経営環境
当社をとりまく経営環境については、矢野経済研究所「教育産業白書2022年版」によれば、2021年度の教育産業全体の市場規模(15分野の合計)(注1)は前年度比5.0%増の2兆8,399億円(注2)となっております。当該市場は堅調な推移を継続してきましたが、2020年度においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きくマイナス成長に転じたものの、2021年度はコロナ禍が継続する事業環境において、感染防止対策を講じた上で事業運営が概ね継続できたこと、オンラインの併用などによるサービス提供体制が確立し、コロナ過で需要が拡大したサービスの需要の高まりが継続したこと等により、当該市場は拡大となっております。また、サービスの利用者もオンラインシフトに慣れつつあり、コロナ禍で需要が拡大したサービスの需要継続などに加え、休校措置などの活動制限の影響がほとんど見られないことから、多くの市場分野で前年度を上回る成長をしております。2022年度においても、依然としてコロナ禍の収束時期の見通しはつき難いものの、Withコロナに対応した事業展開によって、市場規模は2兆8,882億円と2021年度比で1.7%程度の拡大推移が予測されております。少子高齢化が進む我が国においても、生涯にわたる教育の重要性や企業向けの人材育成のニーズなど、リスキリング(学び直し)の需要は高く、引き続き教育産業は堅調に推移する傾向が予想されています。
個人向け資格取得市場
当社のスタディング事業が主な事業領域とするのは、矢野経済研究所が定義する教育産業のうち「資格取得学校市場」です。同研究所「教育産業白書2022年版」によれば、資格取得学校市場の2021年度の市場規模は、依然としてコロナ禍の影響が続いているものの、資格試験の中止などはなく、オンラインの併用等による感染防止対策を講じた上での事業運営により、業績を回復させた企業が多くみられ、前年度比2.2%増の1,870億円と拡大しております。Web会議が一般化したことで、スクール通学型を展開する企業もオンライン講座に参入し、通学圏外の受講者も取り込むことが可能になっており、市場拡大の一要因となっています。
2022年度の予測につきましては、依然としてコロナ禍の影響が残っているものの、教室運営・受講体制がコロナ禍前の状況に戻ってきていることに加えて、Web会議方式講座が一定の支持を得るようになっていることから、コロナ禍前の2019年度を上回る需要傾向が予想され、引き続き堅調な需要も続いていくことから、市場全体としては前年度比0.5%増の1,880億円と予測されています。
コロナ禍での受講スタイルの変化として、当社が提供するスタディングのように、学習におけるオンライン化は加速して一般化してきており、当社の強みであるオンラインに特化した講座は着実にその存在感を増してきております。また、オンライン講座の「質」が重要視され、いかに講座内容自体の質を高めていくかが今後の大きな課題となっています。当社では、膨大な受講者の学習履歴データを蓄積しており、それらのデータをAI(機械学習)で活用することで、受講者ごとに学習を個別最適化する機能などを拡張しており、受講者はより効率的な学習が可能となります。このように学習のオンライン化の一般化は、当社の主力事業であるスタディング事業の市場シェア拡大と成長を加速させる絶好の機会と捉えております。成長を優先した事業展開をすすめるため、テレビCMの活用や合格者の合格体験談のWebサイトでの公開等を通じ「資格合格パートナー」として「資格を取るならスタディング」という、資格取得における第一想起のサービスになるよう努めてまいります。
法人向け社員教育市場
当社の法人向け教育事業の主力サービスとなる社員教育クラウド(エアコース)が主な事業領域とするのは、矢野経済研究所が定義する教育産業のうち「eラーニング・映像教育市場(B2B向けネットワーク・ラーニング)」であり、同研究所「教育産業白書2022年版」によれば、2021年度の市場規模は前年比12.6%増の971億円となっています。増加の主な要因としては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、企業での集合研修や対面での教育などが制限され、あわせて在宅勤務などが日常的に併用されることとなったことから、オンライン及びリモートで実施できるeラーニング関連サービスの需要が急激に高まってきており、2021年度においてもその需要は高く保たれていることがあげられます。また企業の人材育成ニーズの活性化により、eラーニングや動画を使った教育関連サービスへの投資増もあって好調に推移しております。
従来、社員教育の主軸とされてきた集合研修の市場は「企業向け研修サービス市場」に分類されますが、2021年度の市場規模は2020年度比8.1%増の5,210億円と、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大によるマイナス影響を受ける形で企業業績が悪化、研修予算の削減圧力が高まり、マイナス成長に転じたものの、2021年度はオンラインによる研修実施体制の整備が進展し、集合研修の代替策としての役割を果たすとともに、これまで研修サービスが未受講であった潜在需要を掘り起こし、プラスの成長を確保するに至りました。2022年度においても、オンライン主体での研修サービスが新たな需要を創出しながら、引き続き拡大が見込める状況にあり、コロナ禍前もしくはそれ以上の水準までマーケットが回復している分野も散見され、2022年度の市場全体として、前年度比2.1%増の5,320億円と予測されております。
各企業のテレワークの推進等により、集合研修の代替・補完手段としてeラーニングを活用する動きが見られており、オンラインを活用した研修など、コロナ禍に対応した研修サービスへの移行が加速しております。また企業におけるテレワーク化、デジタル化によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透、リスキリング(学び直し)の意識が高まってきております。
このように、今後も企業向けの社員研修や集合研修は、よりeラーニングへシフトしていくことが予想され、当社の法人向け教育事業には追い風となると考えております。当社では、この状況は成長に向けた絶好の機会と捉え、主に大企業向けのシステム開発やサービス開発を積極的にすすめるとともに、企業向け受け放題の研修コンテンツである標準コースを、2021年12月末の405コースから2022年12月末には648コースまで一気に拡充するなど、企業ニーズを捉えた施策を積極的に推進しています。今後もeラーニングでの企業研修におけるトップシェアを獲得すべく、事業を拡大する方針です。
注1 15分野とは学習塾・予備校、家庭教師派遣、幼児向け通信教育、学生向け通信教育、社会人向け通信教育、幼児向け英会話教材、資格取得学校、資格・検定試験、語学スクール・教室、幼児受験教育、知育主体型教育、幼児体育指導、企業向け研修サービス、eラーニング、学習参考書・問題集を指します。
注2 事業者の売上高ベース
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 高成長を継続することによる業界におけるリーダーシップの確立
当社では、教育や学習におけるデジタルシフトが急速に進行している現在の状況は、当社にとって大きなビジネスチャンスが到来していると捉えており、このような環境下で持続的な成長を実現し、業界におけるリーダーシップの地位を確立するため、当社事業の更なる強化が必須であると考えております。
主力の個人向け資格取得事業(スタディング事業)の基本戦略としては、資格取得市場において「合格者No.1」を目指し、戦略的に以下のテーマを強化する方針です。
1.ブランドの確立と集客力の強化を行うため、テレビCM、Web広告、SNS等を組み合わせたマーケティング施策を実行します。
2.AI、学習システム強化による学習の個別最適化を行い、一人ひとりに合わせた学習サービスを実現します。
3.講座コンテンツを拡充・改善するとともに、Q&A(質問回答)サービス、コーチングサービスを含めたサポート力の強化を行います。これらの施策によって、講座の継続率・合格率を高め合格者を増やすことで、評判・安心感を高め、さらに受講者が増加するという好循環により高成長を目指します。
法人向け教育事業の基本戦略としては、企業向けの「SaaS型 eラーニングNo.1」を目指し、戦略的に以下のテーマを強化する方針です。
1.営業体制を強化し受注力を強化するとともに、Web広告やパートナーチャネルを強化して売上を増やします。
2.IT系のコースを拡充するとともに、法人向けスタディング販売を強化することで、リスキリング需要を取り込みます。
3.大企業向けのシステム機能拡充により、競争力を強化しつつ、リスキリングやDX推進企業の人材育成需要を取り込めるシステム機能に投資することで、より高い成長を目指します。
② 収益源の多様化
当社の売上高は、現在はスタディング事業が大半を占めております。スタディング事業は順調に伸長しており、また今後も資格取得市場がWeb講座にシフトする構造変化に伴い、当社サービスの優位性を明確にした差別化戦略を実行していくことで十分な成長余力があると考えております。一方で、中長期の経営戦略として考えると、スタディング事業における資格ごとの減衰や季節要因等のリスクを低減する必要があります。そのため、2018年12月期に法人事業部を立ち上げ、法人向け教育事業を本格的に開始し、順調に拡大してきております。法人向け教育事業では、大企業にニーズの高い社員教育クラウドサービスの開発による販売強化を軸に、動画制作サービスやスタディング事業との連携も推進してまいります。さらに、社員教育クラウドサービスの競争力を高めた上で、将来的には日本国内だけではなく、現地法人の利用実績を基にした改善や競争力の強化をした上で世界中に事業展開をしていきたいと考えております。
また、スタディング事業、法人向け教育事業を強化し自社による展開(オーガニック成長)を推進するとともに、新たな収益源の確保に向け、事業提携、資本提携(出資)、M&A等の方法も検討してまいります。これら提携等から生まれるシナジーを通じ、より一層の企業価値向上を目指してまいります。
③ 技術革新への投資
当社は「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習方法を提供する」というビジョンの実現のため、AI(機械学習)や、IT技術を駆使した教育サービスを展開してまいります。そのため、最新の技術を取り込んだサービスの機能強化、機械学習を使い個別最適化した学習方法の提案など、人や組織がより効率的に学習できるようなサービスや機能の開発に投資を行い、競争優位性を高めることで長期的な成長を目指します。
④ 優秀な人材の確保及び育成
「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」というミッションに共鳴する優秀な人材を適時採用するとともに、持続的な成長を支える人材の育成を強化していく方針です。また、当社の事業領域において市場リーダーシップを構築していくため、新しい顧客価値を創造できる次世代を担うリーダーの育成にも注力してまいります。

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