有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/08/20 15:00
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。本項目を含む、本書における当社または当社グループに関連する見通し、計画、目標などの将来に関する記述は、当社が現在入手している情報に基づき、本書提出日現在における予測等を基礎としてなされたものであり、実際の結果は記載内容と大きく異なる可能性があります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「Chain of Happiness ~商品を通じて、世界中を幸せにする~」を経営理念に掲げ、会社経営を行っております。
この経営理念の下、私たちの最大の貢献は、商品を通じて「お客様とその家族」を幸せにすることであると考え、「お客様とその家族」を幸せにすることで生まれる、喜びや笑顔、雇用や利益を通じて「取引先とその家族」、「地域社会」、そして「自社の社員とその家族」を幸せにする連鎖を生み出すことを目指し事業運営を行っております。
また、この幸せの連鎖を生み出すため、以下の7条からなるI-ne’s Credoを会社としての行動信条とし、「消費者のライフスタイルを豊かにする」をコンセプトとした様々なカテゴリーに亘るブランド及び製商品の開発と販売を通じ事業の発展を図っております。
I-ne’s Credo (アイエヌイーの信条)
1.ボス(注1)目線 : それはボスの人生にプラスになるのか?答えがNOならそれを我々がやる理由はない。顧客を知ることに知恵を絞り、半歩先のインサイトをつかめ。「顧客のハピネスとは何か?」そこからはじめよう。その視点こそが顧客感動につながる。
2.Ownership: 気づきや行動はすべて自分事化することからはじめる。自分に関係のない仕事はない。会社全体を自分事化しよう。圧倒的な当事者意識が成長を加速させる。君ができることはもっとある。
3.24/7 Input:「いいアイデアがでない」 それは圧倒的なインプット不足ではないか?情報弱者はビジネスで負ける時代だ。No Input、No Output、No Update.情報こそ創造の源泉。ポジティブに自己否定し、自分改革を楽しめ。
4.Challenge & Commit:一番の近道は大胆に最上理想をイメージする事だ。そこから逆算して、目的・目標・戦略・戦術に全身全霊でコミットしろ。出来ない理由ではなく、出来る方法を考えよ。
5.SPEED FREAK:スピードは価値だ。時代のスピードはどんどん加速し、不確実性はどんどん高まる。パラレルでPDCAをこなし、そして経営に関わるすべての局面で常に最速を目指す。早い行動は早い成果を生み、そして早いネクストアクションがよりよい結果を引き寄せる。
6.Knowledge & Share:なぜ成功したのか、なぜ失敗したのか。徹底的に振り返り、ナレッジ化しI-ne クルーにシェアしよう。失敗は成功への近道だ。大いに失敗しろ。しかし、同じ失敗は怠惰の現れだ。経験で得たナレッジは未来を切り開くための最高の武器であり、私たちの強さそのものである。
7.凡事徹底: 当たり前のことを徹底してやれ。自由はクリエイティブとパフォーマンスを与えてくれる。しかし徹底した自己規律が、自由でいる条件である。“VISION”に向けて日々自分自身をリードできているか?習慣こそが周りを巻き込み社会を巻き込んでいく。
(注1)当社グループは常に顧客志向での商品開発及び会社運営を目指しており、顧客及び最終ユーザーをボスと呼んでおります。ボス(boss)とは、ロングマン現代英英辞典によるとthe person who employs you or who is in charge of you at work(雇用者もしくは業務上の指示者)もしくはinformal someone with an important position in a company or other organization(会社もしくは他の形態の組織における非公式な重要人物)とあり、当社では役員・従業員共に、社内の上司ではなく、お客様(顧客及び最終ユーザー)の意向に沿った活動を強く意識させるためにお客様を会社にとって重要な人物になぞらえ、この呼称を用いています。より具体的には、「世界中のボスにイノベーティブなアイデアとマーケティングで幸せな体験を届ける」をビジョンとして掲げています。マーケティング活動を通じて、トレンドに先行したブランド・商品開発を行い、ボスの満足を得る商品供給のスピードを持って行うよう、マーケティング・ブランド開発・商品供給活動を行っております。
(2)経営環境
総務省情報通信政策研究所「2019年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、当社の主要顧客となる30代のテレビ(リアルタイム)視聴が2013年の2019年対比-34.5時間となっており、テレビ(リアルタイム)視聴時間が減少しています。一方ネット利用は2013年の2019年対比+34.2時間となっており大幅に利用時間が上昇しており、TV離れは更に進んでいくものと予想されます。
このような環境の中、当社は創業以来培ってきたAIを活用した商品開発、D2C(注2)ビジネスモデル及びインターネットマーケティングノウハウやイーコマースを中心としたオンライン及び卸売事業者 、小売店及び量販店運営事業者、自社店舗等を通じたオフラインでの販売実績を基に更なる成長を目指してまいります。
(注2)D2C:自社で企画・製造したサービス・商品を直接ユーザーに届けるビジネス形態のこと。Direct to Consumerの略称
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループの中長期的な経営戦略
①BOTANISTのボタニカルライフスタイルブランドへの進化及び、海外展開
(製品戦略)
・BOTANISTの主力カテゴリーとして「ヘアケア」があげられますが、ボタニカルカテゴリーのパイオニアとしてのブランド資産を元に「スキンケア」等の取扱商品数を拡充し、「植物と共に生きる」をコンセプトとし、ボタニカルライフスタイルブランドとして継続的な売上増加を目指します。
(海外戦略)
・中国での売上拡大を戦略の中心とし、中国でのオフライン販売に進出する方針としています。
②SALONIAの美容家電ブランドへの進化及び、海外展開
(製品戦略)
・主力カテゴリーとして、SALONIAブランドの核となるヘアアイロンやドライヤー等の「ヘアケア家電」に徹底的にこだわるとともに、美顔器や脱毛器などの「美容家電」にカテゴリーを広げ、手に取りやすい価格ながら、こだわりの品質で「BEAUTY is simple 続けられるキレイを。」をコンセプトとして継続的な売上増加を目指します。
(海外戦略)
・中国での売上拡大を戦略の中心とし、中国でのオフライン販売に進出する方針としています。
③独自のブランド開発モデルを基盤とする新規ブランド及び、商品の成功、当社グループの「IPTOS」モデルによる商品開発・ブランド開発について
当社グループは効率的で持続可能なブランド開発モデルとして「IPTOS」モデルを推進しております。「IPTOS」とは当社グループの造語であり、I:Idea、P:Plan、T:Test、O:Online/Offline、S:Scaleの意を示しております。各ステージでのアクションは主に以下の通りとなります。
I:Idea (アイデア)
当社グループが独自に開発したAIインサイトスコープシステム 「KIYOKO」(注3)の活用やマーケティング担当者のキャッチした情報からのマーケットニーズの分析を行い、商品企画に繋がるアイデアを醸成していきます。
(注3)当社独自のトレンドキャッチシステム
P:Plan (企画)
“I:Idea” のステージで醸成されたアイデアを基に複数の商品企画を社内で立案しコンセプトテストを行った上で、商品企画を決定しマーケティング計画を立案し開発・生産に入ります。
T:Test (テスト)
“P:Plan” のステージで生産開始をした商品について、自社サイト及びインターネットモールを通じた小口販売を行い、消費者の反応を確認し次のステージへ進めるかどうかを決定します。
O:Online/Offline (販売開始)
“T:Test” のステージで反応が確認された商品については、インターネットモールを通じた販売を本格化させるとともに、一部の小売店で店頭販売を行うよう卸売業者に配荷を行います。その販売と併せてインターネット上の広告を積極的に展開し、認知度の向上・販売実績の形成を図ります。
S:Scale (販売規模の拡大)
“O:Online/Offline” のステージで販売実績も上がり、認知度も向上したと判断出来る商品について、卸売事業者を通じた小売店及び量販店運営事業者への卸売販売を本格展開し日本国内全域への販売を開始するとともに、引き続きインターネット上の広告を積極的に展開し、更なる認知度の向上も図っていきます。
このIPTOSモデルを通じて、市場の潜在的な消費のトレンドを早期に発見し、商品へと具現化させる活動を継続することで市場のニーズを先取りした商品を迅速なスピードでリリースすることを目指しております。また、商品の本格リリースまでに複数の段階を経ることで、可能性の低い企画について早期に撤退の判断を下すことが出来るようにしており、市場のニーズとのアンマッチによる損失を最小限に止める体制を目指しております。
④規律あるブランド管理及びアライアンスの実行
当社グループはトレンドを捉え、新たなニーズを生み出す新カテゴリーのブランド・商品開発を行うIPTOSモデルを実施しております。その中で生まれたブランドや商品には、厳密な撤退基準を設け、リスクを管理する「規律あるブランド管理」を行っております。また、他社やインフルエンサー等とのアライアンスを行い、IPTOSモデルを活用した新カテゴリーのブランド・商品開発に取り組んで参ります。
(4) 目標とする経営指標
当社グループは、事業拡大及び企業価値向上を示す指標として、売上高成長率及び営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。
(5) 対処すべき経営課題
①カスタマーサービスの向上
当社グループは、カスタマーサービスの向上について、国内だけではなく海外においても企業ブランド、事業ブランド、及び商品ブランドを高める上で課題と考えております。国内においては、カスタマー部署の教育や、増員などをおこない、カスタマーサービス品質向上に努めてまいります。また、海外においては、現地法人や海外提携パートナーと連携し、グローバルで高品質なカスタマーサービスが提供できる体制を構築してまいります。
②優秀な人材の採用と育成
グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、採用の強化及び従業員が高いモチベーションをもって働ける環境や仕組みの整備・運用を進めてまいります。今後も優秀な人材の採用と更なる育成に投資を行っていく方針です。
当社グループでは、役員及び従業員のモチベーションを向上させることを目的に、インセンティブとして新株予約権の付与を行っております。また、代表取締役である大西洋平は、保有する株式の一部に対して当社グループの役職員等を受益候補者とする譲渡予約権設定契約を締結しており、貢献度に基づいた評価委員会の決定に基づき上場日から一定の期間後に予め定めた価格で取得することができる制度を設けています。
③ブランドポートフォリオの確立
当社グループは、今後の継続的な企業成長を実現するために、特定のブランドに依存しない売上高構成が重要と考えております。BOTANISTブランドにおいては、第13期連結会計年度(2019年12月)は売上高11,727百万円(売上高構成比:55.3%)となっており、売上高におけるブランド依存度が高くなっております。また、SALONIAブランドにおいては、第13期連結会計年度(2019年12月)は売上高5,526百万円(売上高構成比:26.1%)となっており、BOTANISTブランドとあわせて、当社グループの売上高の大半の割合を占めております。今後、引き続きBOTANIST及びSALONIA以外のブランドに対しても継続的かつ積極的な投資を行ってまいります。