有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/08/20 15:01
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

当社における経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項については、本書提出日現在において判断したものとなります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「伝えたいことを、知りたい人に。」を経営ビジョンに掲げ、創業以来のポリシーである「クリエイターファースト、個人ファースト」の姿勢を大切にしながら、メールマガジン配信プラットフォーム「まぐまぐ!」やWebメディア「MAG2 NEWS」など様々なサービスを開発・運営しております。21世紀に入って以降AI(人工知能)技術の進歩は目覚ましく、多くの分野で人間の能力を凌駕する未来がいよいよ現実味を帯びてきております。これを踏まえて当社は、私たち一人一人の人生に代替不可能な個性が求められるという観点から、これからの10年こそ個人の時代の幕開けになると考えております。当社は現代の時代の変化をポジティブにとらえ、インターネットはもちろんAIのテクノロジーも用いて、個人・法人を問わず誰もが気軽に利用できる、真に自由な情報発信プラットフォーマーとしての地位を確立することで、企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
企業価値を継続的に拡大することが重要であると考えていることから、「売上高」および「営業利益」を重要な経営指標としております。理由としましては、上場後の株主を含む様々なステークホルダーの意思決定に重要な影響を与える指標であること、また、当社は借入を実施していないことから営業利益以下の勘定科目はほとんど発生しないことからも経営意思決定を図っていく上では、「売上高」「営業利益」を当社の重要な経営指標としております。
(3) 経営戦略等
当社を取り巻く経営環境としては、電子コンテンツ市場およびインターネット広告市場が堅調に拡大しており、今後もこの傾向は継続すると考えられます。
このような背景のもと、今後当社では、主軸であるプラットフォーム事業の機能強化や新規サービスの開発を計画しております。これらとメディア広告事業とのシナジー効果により更なる業容拡大を目指す方針であります。
プラットフォーム事業においては、2020年4月にリリースしたライブ配信サービス「まぐまぐ!Live」の機能拡充やユーザビリティの向上を目的とした開発保守、新規クリエイター獲得のための営業活動の促進、クリエイターへのサポート体制を充実させることで、新規クリエイターおよび課金読者数の増加を図ってまいります。
メディア広告事業においては、既存4メディア「MAG2 NEWS」、「MONEY VOICE」、「TRiP EDiTOR」、「by them」の更なるコンテンツ拡充により、ブランドの認知強化や新規読者層の取り込み、リピート訪問率向上を実現することで、広告価値が高いオーガニック検索流入(注)を含む全体閲覧数の増加を図ってまいります。
(注) 検索エンジンの検索結果に表示されたもののうち、広告表示を除いた通常の検索結果からのアクセス。
(4) 経営環境および対処すべき課題
当社の展開する「プラットフォーム事業」および「メディア広告事業」は、ともにIT分野において技術の進化、顧客嗜好・媒体の変化、競合他社が多く競争が激しい事業領域であります。そのような事業環境の中で、当社が長期的かつ持続的に成長を見込み、経営戦略を確実に遂行していくために対処すべき課題は以下のとおりです。
① 優秀な人材の確保および育成
継続的な成長の基盤である人材は、当社にとって最も重要な経営資源と認識しております。当社が属するITサービス産業では、現状人材の獲得競争が激化しており、人件費および採用費も高騰しております。このような状況の中、優秀な人材を継続的に雇用しつつ定着させることが当社の発展において重要であります。人的基盤を強化するために、より採用体制の強化を進めてまいります。また、多様なワークスタイルの支援を通じた働き方・働きやすさの追求や適正な事業ドメインに沿った人員配置、適正な評価がなされる企業風土の構築を推し進めることにより定着化に努めてまいります。
② 技術力の向上
当社の事業である「プラットフォーム事業」および「メディア広告事業」が属するITサービス産業では、技術革新やイノベーションが起こりやすく変化の激しい分野であります。したがって、当社が持続的に成長を続けていくためには、さらなる技術力の向上が必要であると認識しております。そのため当社では、人材育成と人材採用を継続的に実施し、優秀な人材の確保と定着に積極的に取組んでおります。高度な技術力を持つ技術者を採用することで、全体的な技術力の向上に努めてまいります。
③ 認知度の向上、ブランドの確立
当社が市場での浸透度を高めていくためには、一層の認知度の向上、信頼感の醸成が必要となってまいります。顧客に安定的にサービス提供のできるプラットフォーマーとして信頼していただけるよう、サービスのたゆまぬ向上、既存顧客の満足度向上、パブリシティ強化を通じ当社ブランドの確立および普及に努めてまいります。
④ 営業力の強化
プラットフォーム事業において、メルマガクリエイターの獲得が重要であると考えております。当社の知名度を向上させ、事業部担当者がピックアップした著名人にアプローチをかけるなどの方法により、様々な分野のメルマガクリエイターを獲得できるように努めてまいります。
メディア広告事業においては、人材の採用促進と営業ツールを効果的に活用することでリード獲得の強化を図ってまいります。また、大手広告代理店との連携およびメディア自体の総合力を強化し、大型案件の受注増加を目指してまいります。
⑤ システム基盤の強化
当社は、収益の基盤となるサービスをインターネット上で展開していることから、システム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、システムを安定的に稼働させるための人員の確保およびサーバーの拡充に努めてまいります。
⑥ 情報管理体制の強化
当社では、プラットフォーム事業においてメールマガジン配信サービス「まぐまぐ!」を運営しており、メルマガクリエイターおよびメルマガ読者の個人情報を多く取扱っております。情報管理体制の整備を引き続き推進していくとともに、情報の取扱いに関する社内規程の適切な運用、役職員の機密情報リテラシーの向上、役職員による機密情報の取扱いに関する内部監査等を通じ、情報管理体制の向上を行ってまいります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社は、今後もより一層の企業価値の向上および成長を図ってまいります。そのため企業規模の拡大に応じた内部管理体制の構築を図るために、コーポレート・ガバナンスを重視し、リスクマネジメントの強化、ならびに金融商品取引法における内部統制報告制度の適用等も踏まえた内部統制の継続的な改善および強化を推進してまいります。また、当社の事業に関連する法規制や社会的要請等の環境変化にも対応すべく、内部管理体制の整備および改善に努めてまいります。
⑧ 新型コロナウイルスへの対応
新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の生活や経済活動に多大な影響を与えております。当社といたしましては、事業活動や業績への影響を極力抑えるべく、全事業部において2020年3月2日よりリモートワークの導入や社内外問わずWeb会議の積極的な活用等の感染防止対策を迅速かつ継続的に実施しております。また、当社は2020年6月10日開催のコンプライアンス委員会にてBCP(事業継続計画)を策定しており、今後の状況に応じて、BCPに基づく適切な対応を取るものといたします。