訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/09/17 16:45
【資料】
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【項目】
98項目

事業内容

当社グループは、本書提出日現在、当社、連結子会社20社(国内5社、海外15社)及び関連会社等6社(国内4社、海外2社)により構成されています。当社グループは、メモリ及び関連製品の研究開発、製造、販売、その他サービスを行う、世界で最大級(注)のフラッシュメモリ専業プレイヤーです。
(注)出典:Omdia, NAND Memory Market Tracker 2020年4月。本調査結果は当社のために作成されたものではなく、また、Omdiaは本調査結果の正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。
当社グループの報告セグメントは「メモリ事業」単一でありますが、売上収益を製品の用途に応じたアプリケーション別に、「SSD & ストレージ」、「スマートデバイス」及び「その他」に区分しております。「SSD & ストレージ」には主にPC、データセンター、エンタープライズ向けSSD製品及びメモリ製品が含まれております。「スマートデバイス」にはスマートフォン、タブレット、テレビ等の民生機器、車載、産業機器等の用途で使用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品が含まれております。「その他」にはSDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるWestern Digitalグループ向けの売上等が含まれております。
当社グループ各社の報告セグメントにおける位置付けと製品分野別の事業内容は以下のとおりです。
(本書提出日現在)

報告セグメント当社及び関係会社の位置付け
研究開発製造販売その他サービス
メモリ事業キオクシア㈱、キオクシアシステムズ㈱、キオクシアアメリカ社、Microtops Design Corporation、キオクシア韓国社、キオクシアイスラエル社、キオクシアテクノロジーUK社、Solid State Storage Technology Corporation、Solid State Storage Technology (Guangzhou) Corporation、Solid State Storage Technology PTE. LTDキオクシア㈱、キオクシアアドバンスドパッケージ㈱、キオクシア岩手㈱、フラッシュアライアンス㈲、フラッシュフォワード合同会社、フラッシュパートナーズ㈲、Solid State Storage Technology Corporationキオクシア㈱、キオクシアアメリカ社、キオクシアヨーロッパ社、キオクシアアジア社、キオクシア中国社、キオクシアシンガポール社、キオクシア台湾社、キオクシア韓国社、フラッシュアライアンス㈲、フラッシュフォワード合同会社、フラッシュパートナーズ㈲、キオクシアシステムズ㈱、Microtops Design Corporation、キオクシアイスラエル社、キオクシアテクノロジーUK社、Solid State Storage Technology Corporation、Solid State Storage Technology (Guangzhou) Corporation、Solid State Storage Technology PTE. LTD、Solid State Storage Technology USA Corporationキオクシア半導体台湾社、ディー・ティー・ファインエレクトロ二クス㈱、キオクシア岩手㈱、キオクシアエトワール㈱、NSM Initiatives LLC、SD-3C LLC

メモリ事業ではメモリ製品を製造・販売しています。フラッシュメモリとは、当社グループが1987年に世界で初めて開発し世界標準となった不揮発性半導体メモリ(注1)であり、大容量のデータ保存を可能にする記憶用デバイスです。スマートフォンで写真・動画などを保存するために使われる他、身近な電子機器やデータセンター等においても、欠かすことのできないコアデバイス(基幹部品)となっています。当社グループはフラッシュメモリの微細化(注2)による大容量化、及びコスト競争力の強化を推進しています。
近年、フラッシュメモリ市場においては、データセンター、エンタープライズ及び家庭用ゲーム機向けSSDの需要が拡大しており、これまで以上に大容量化、信頼性の向上、低消費電力化が求められています。当社グループはこうした市場ニーズを背景に、微細化と多値化(注3)により大容量化を進めてきましたが、極度の微細化には電子同士が干渉しエラーが起きやすくなるという課題がありました。そこで当社グループではメモリセルを積み上げることで干渉を防ぐ積層化技術(注4)により、大容量化と信頼性の向上、低消費電力化を実現したBiCS FLASH™を開発しました。BiCS FLASH™は2017年3月期から48層積層プロセスを用いた製品の本格量産を開始し、2019年3月期は64層積層プロセスを用いた製品の本格量産を行っています。加えて、更なる技術開発を進め、本書提出日現在は96層積層プロセスを用いたBiCS FLASH™を量産しています。また、112層積層プロセス等、更なる大容量化、高速化に向けた次世代の半導体メモリの開発も進めています。
フラッシュメモリチップは、当社グループの四日市工場及び北上工場において製造しています。半導体は材料となるシリコンウエハー上に微細な集積回路を作りこむため工程は数百に及び、製造プロセスの効率化は至上命題です。キオクシア株式会社四日市工場では生産ラインの自動化を徹底するとともに、5つの製造棟を棟間搬送で連結する統合生産体制の確立により、生産効率の向上と生産コストの低減に取り組んでいます。
また、今後も続くと想定される3次元フラッシュメモリの需要に継続的に対応するため、BiCS FLASH™の増産に向けた四日市工場第6製造棟を建設し、加えて、岩手県北上市において新製造棟を建設致しました。新製造棟では人工知能(AI)を活用した生産システムの導入などにより生産性を更に向上させます。今後も大容量化に向けた技術開発、生産体制の拡大、コントローラ(ICチップ/ファームウェア)開発等の強化により、技術力とコスト競争力の両面における長期的な優位性の確保に努めてまいります。
なお、当社グループは、Western Digitalグループとの間で製造合弁契約を締結し、キオクシア株式会社とWestern Digitalグループが共同出資する製造合弁会社3社を設立しています。合弁契約に基づき、製造合弁会社3社が当社グループ及びWestern Digitalグループからの資金借り入れ又は製造合弁会社3社によるリース契約により生産設備を調達し、当社グループの四日市工場及び北上工場に設置、キオクシア株式会社が製造合弁会社3社から製造委託を受け、無償貸与された生産設備にて生産をしております。キオクシア株式会社は、製造合弁会社3社に加工済みのウエハーを販売し、更に製造合弁会社3社から当社グループ及びWestern Digitalグループに50%ずつの割合で販売しております。また、当社は、製造合弁会社3社各社の議決権の50.1%を所有しており、IFRSに基づく共同事業体として、その資産、負債、収益及び費用の50%を連結財務諸表に計上しています。
SSD & ストレージの主要製品であるSSD(Solid State Drive)は、半導体メモリ(フラッシュメモリ)を記憶素子とするストレージプロダクツです。HDDに比べて読み出し性能、衝撃・振動等の耐環境性、静寂性に優れ、待機時の消費電力が低いことも特徴の一つです。クラウドサービスの普及に伴うデータセンター向けの需要や、エンタープライズ向けストレージ機器への組み込み容量の増加等により、今後も市場全体での成長が見込まれています。当社グループはクライアント製品においてPCIe®製品を他社に先駆けて上市し、クライアントOEM市場とSAS(注5)対応エンタープライズSSDにおいて優位性を確立しているものと認識しています。また、自社製フラッシュメモリを活用し、一般汎用品から高付加価値品まで幅広いラインナップを展開しています。
スマートデバイスにおいては、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、テレビ等の民生機器、車載、産業機器など、幅広いアプリケーションで利用される制御機能付きの組み込み式メモリ製品群に注力しています。特にスマートフォン向けメモリ製品の市場は依然として規模が大きく、成長しているアプリケーションであり、当社グループにとって重要なマーケットとなっております。
また、その他には、SDメモリカード、USBメモリ等のリテール向け製品及び製造合弁会社3社経由で計上されるWestern Digitalグループ向けの売上収益等が含まれます。
今後も製品ラインアップの強化とサポート体制の強化により、市場でのプレゼンス向上を目指します。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
アプリケーション別当社グループ売上収益比率(2020年3月期)(注6)
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(注)1.不揮発性半導体メモリとは、電源を切っても記憶が消えないメモリです。
2.微細化とは、メモリチップの中の回路線幅を狭くすることでメモリセル(1ビットの情報を保持するために必要な回路構成)の面積を縮小する技術です。
3.多値化とは、1つのメモリセルの中に複数の情報を保持する技術です。
4.積層化技術とは、メモリセルを多層構造にする技術です。
5.SASとは、データセンター、エンタープライズ用途に使用されるSSD(及びHDD)のインターフェースの規格で、従来のSATAよりデータ転送速度、拡張性の高さに優れています。
6.アプリケーション別当社グループ売上収益比率(2020年3月期)の円グラフは、「その他」に含まれている非メモリ製品を分子、分母から共に除いた売上収益をベースとし、算出されたアプリケーション別の百分率を示しております。
(事業系統図)
○印は連結子会社、※印は関連会社等です。
0201010_003.png(注) キオクシアシステムズ㈱の他、キオクシアアメリカ社及びキオクシア韓国社において研究開発活動を行っています。また、Microtops Design Corporationにおいてはコントローラに係る研究開発活動、キオクシアイスラエル社とキオクシアテクノロジーUK社においてはSSDソフトウェア・SSD製品に係る研究開発活動を行っています。