有価証券報告書-第10期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/31 10:35
【資料】
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【項目】
99項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「Mobile Tech for All~デジタルを簡単に、社会を便利に~」というミッションを掲げ、アプリ開発技術がなくてもノーコード(プログラミング不要)でネイティブアプリを開発、運用できるクラウド型のアプリ運営プラットフォーム「Yappli」を提供しております。ノーコードプラットフォームの歴史は長く、2000年代にはWebサイトをノーコードで開発するプラットフォームが出現、その後台頭し、昨今ではECサイトをノーコードで開発できるプラットフォームが躍進しております。当社は、世界的にも珍しいスマートフォンアプリを開発するプラットフォームを提供しており、その分野においてリーディングカンパニーであると考えております。当社は、このYappliを通じて、全ての企業に対してアプリのテクノロジーを開放してまいりたいと考えております。
(2)経営戦略等
当社は以下の事項を中長期的な経営戦略の方針としております。
① コア事業Yappliのシェア拡大
当社のコア事業であるYappliについては、既存ソリューションの深耕と新ソリューションの拡大を通して、売上高の成長を目指します。当社が提供するYappli for Marketingは、顧客企業の販売促進や消費者のロイヤリティ向上、ECにおける効果的なモバイルインターフェイスの提供や実店舗とオンラインショップのハブとなることで、売上高を成長させるという明確なメリットを顧客企業に提供しております。また、Yappli for Businessは社内や取引先などビジネスユーザー向けの情報配信ポータルとなっており、自社の商品・商材の紙カタログや社内報などの電子化や従業員の研修コンテンツをアプリ上で配信するなどの目的で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)(*1)を推進する様々な企業に業界横断的に導入が進んでおります。今後、さらなる機能開発を通じて、既に顧客ニーズが顕在化しているYappli for MarketingとYappli for Businessのシェア拡大を目指します。同時に既存ソリューションの機能を横展開や応用しながら、アプリの新しい用途を模索することで、新ソリューションの提供と未開拓の市場におけるターゲット業界の拡大を志向しております。
② 挑戦事業 Yappli CRMの強化
当社は2021年10月にノーコードの顧客管理システムYappli CRMをローンチし、ユーザーとのタッチポイントであるアプリに加え、バックエンドのデータ領域へと当社のドメインを拡大いたしました。Yappli CRMは開発不要でアプリと連携することができ、ポイントカードや電子マネーの発行・管理などCRMならではの機能を実装することが可能です。提供価格は初期費用100万円、月額10万円からとなっております。2022年度はこのYappli CRMのプロダクト及びビジネスにおいて基礎の構築を行い、本格的に事業展開を始めました。今年度については、Yappli CRMを第2の柱とするため、エンジニアを中心に社内リソースを昨年度対比3倍にし、アプリだけでないマルチチャネルにリーチできるハブ製品として、単独販売可能なプロダクトへ進化させることを目指します。
③ 新規事業とM&Aを通じた未来事業の模索
Yappli CRMのローンチにより、当社はユーザーとのカスタマータッチポイントであるアプリの領域からバックエンドのカスタマーデータの領域にそのドメインを拡大いたしました。今後は、Web、EC、Email、チャットなどアプリ以外のカスタマータッチポイントにリーチできるハブ製品として開発を進めますが、同時に新規事業とM&Aを通じてプロダクトロードマップの周辺領域を取り込み、アプリ以外のチャネル開拓を継続的に強化することを目指します。M&Aについては、既存プロダクト拡張もしくは顧客基盤の拡充に繋がる案件を中心に検討をします。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社が顧客を獲得して売上を計上するまでのプロセスは以下に記載のとおりとなります。当社では、アプリ運営プラットフォーム事業において、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、各プロセスに関連する重要な経営指標は、契約アプリ数、アプリ当たりの平均月額利用料、月次解約率(直近12カ月平均)であると考えております。
(顧客獲得~売上計上のプロセス)
リード獲得(*2)・・当社マーケティング部門のマーケティング施策による潜在顧客リードの獲得
商談獲得・・・・・・・当社インサイドセールス(*3)による潜在顧客への啓蒙活動や架電による商談の獲得
契約受注獲得・・・・・当社フィールドセールス(*4)の商談の実施による契約受注の獲得
アプリ制作、申請・・・当社ディレクター(*5)、デザイナーによるアプリの制作、アプリストア申請
アップセル、解約防止・当社カスタマーサクセス(*6)による、顧客のアプリ運用の成功支援
(4)経営環境※
※以下に記載の統計データは、過去のデータ及び一時点における予測値であり、将来の結果を示唆または保証するものではありません。統計データに関する予測は、高い不確実性を伴うものであり、大きく変動する可能性があります。また、出典元の予測機関は、予測値の達成を保証するものではありません。
近年の情報通信技術の進化によって、インターネットの利用は社会全体に浸透し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が進みつつあります。企業においてもDXを後押しする傾向にあり、㈱富士キメラ総研公表の「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」(2022年3月)によれば、この市場規模は2030年度には5.0兆円に到達すると予測されております。
一方、日本は他国と比較すると人口に対するIT技術者の割合が0.97%(世界35位)と低く(ヒューマンリソシア株式会社「2021版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.4」(2021年9月)より)、このようなデジタル化を下支えするIT人材の供給は年々不足が拡大していく(経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)- IT人材需給に関する調査 –」(みずほ情報総研委託)(2019年3月)より)と予測されております。さらに日本では、欧米と比較すると、IT企業に就職するIT人材の割合が高く(経済産業省「ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」(2018年9月)より)、非IT企業は益々エンジニアリソースの不足を強いられる傾向にあると推察されます。
上記の背景の中、エンジニアを必要とせずクラウド上からソフトウェアを利用することができるSaaSの国内市場は2026年度では2021年度比80.0%増の1兆6,681億円(株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年版」(2022年7月)より)に拡大することが見込まれております。また、総務省公表の「我が国のICT現状に関する調査研究(2018年3月)」によると、2017年の日本のSaaS導入率は41%に対して米国の導入率は79%であり、国内のSaaS市場は米国と比較するとまだまだ拡大する余地があることが推察されます。
当社の事業ドメインである、スマートフォンアプリの市場環境に関しては以下のとおりとなります。
総務省公表の「令和3年版 情報通信白書」(2021年7月)によれば、携帯通信端末は従来型のフィーチャーフォンからスマートフォンに変化しており、スマートフォンの普及は2007年に米国でiPhoneが初めて発売されてから、わずか10年足らずで、加速的に普及してまいりました。2020年の世界のスマートフォン市場規模は3,389億ドル、出荷台数は12.9億台に対し、2023年には市場規模4,038億ドル、出荷台数は15.3億台にまで拡大すると推計されております。
我が国におけるスマートフォン個人保有率についても、2011年は14.6%(総務省「令和元年通信利用動向調査の結果」(2020年5月)より)であったものの、2021年では74.3%まで上昇しており、特に20~40代では90%を超える高い利用率であります(総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」(2022年5月)より)。スマートフォンが普及したことによって、日常の様々な場面でアプリが使われるようになり、アプリのダウンロード数は2017年に1,781億ダウンロード(data.ai「アプリ市場予測2017-2022年版」(2018年5月)より)であったものの、2022年には2,550億ダウンロードへと増加いたしました(data.ai「モバイル市場年鑑2023」(2023年1月)より)。
また、経済産業省公表の「令和3年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」(2022年8月)によれば、物販のBtoC-EC市場規模は2021年で13兆2,865億円であり、このうちスマートフォン経由の市場規模は6兆9,421億円であります。市場規模に占めるスマートフォン経由の割合は52.2%で、2015年の27.4%と比較すると24.8ポイントの増加となり、今後もBtoC-EC市場規模及びスマートフォン経由比率ともに増加することが見込まれております。
さらに、ニールセンデジタル株式会社「ニールセンモバイルネットビュー2020」(2020年3月)によると、2019年の国内のスマートフォン経由でのオンライン滞在時間の内訳は全体の92%がアプリ経由で行われている事が発表されております。
上記のとおり、国内のDXが加速する一方、IT人材の不足は拡大することが予見される背景のもと、国内のSaaS市場は益々拡大し、あわせてスマートフォンアプリの必要性も継続的に拡大することが予見されております。このような市場環境の中、ノーコードでネイティブなアプリを簡単に開発、運用できる当社のYappliの重要性は益々高まっていくと考えております。
(5)市場規模
当社はYappliを通じて国内のアプリ開発市場を代替してきましたが、新製品Yappli CRMの導入によりデジタルマーケティング領域をより深く開拓することが可能になったため、国内ソフトウェア市場におけるCX/デジタルマーケティング領域の市場規模約6.5千億円が当社のSAM(*7)にあたると考えております。当社が将来捕捉する可能性のあるTAM(*8)については、今後さらなるプロダクトの拡充により国内ソフトウェア市場全体も視野に入れられると考え、約2.5兆円の市場規模を選定しております。
(6)競合環境
当社はYappliの開発に創業前から累計10年以上の歳月を注ぎ、サービスの機能拡充、UI/UX(*9)の向上、顧客満足度向上、特許取得などに努め、日本を代表する企業との契約や低い解約率を維持するなどYappliの優位性を確保してまいりました。昨今、スマートフォンアプリの市場拡大により、複数の企業が類似するサービスを提供しておりますが、主に中小企業向けの機能に留まっており、中~大企業に向けて提供する企業は業界にも当社のみであると考えております。従って、当社の主な競合は、スクラッチでネイティブアプリの開発を行うシステムインテグレーターとなります。システムインテグレーターとは提供するサービスの特性上、明確な差別化(プログラミング不要で開発・運用・分析を一手に担えるプラットフォーム、個別のカスタマイズは行わない代わりにYappli上で活用できる機能を継続的に拡充、サクセス支援、自動OSアップデート、毎月継続型の料金体系など)を実現しており、市場においてユニークな立ち位置を築いていると考えております。
(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が属するアプリ業界での国内外の競争が激化する中にあって、安定した収益を確保し続けるために、対処すべき課題として以下の点に取り組んでおります。
① サービス、プロダクトの強化
当社は、Yappli及びYappli CRMについて、技術開発が競争力の根幹であるという認識の下、システムの自動化・安定性・拡張性等の強化に取り組んでまいります。そのためには、優秀な人材の確保と人材の継続的な育成、付加価値の高い企業との提携、M&Aの実施などに取り組み、サービスの強化に努めてまいりたいと考えております。
② 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社は、事業拡大のため、開発や広告宣伝活動等の成長投資を積極的に進めており、当事業年度は営業損失を計上しております。
今後は売上高と利益の成長を両立するバランス型の成長を目指す為、成長投資及びその他の費用に関しては意味のある改善に取り組み、収益性の向上に努めてまいります。
(*1)DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、「デジタルの変革」を指し、ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることを言います。
(*2)リードとは、マーケティング施策により獲得した潜在顧客の連絡先のことを言います。
(*3)インサイドセールスとは、SaaS業界において潜在顧客へのサービスの啓蒙活動や商談設定に従事する部隊を言います。
(*4)フィールドセールスとは、SaaS業界において潜在顧客との商談を実施して契約の受注を獲得する部隊を言います。
(*5)ディレクターとは、当社においては、アプリの制作や申請について顧客と協議をし要件の定義をおこない、アプリストア申請が完了するまでのディレクションを行う部隊を言います。
(*6)カスタマーサクセスとは、SaaS業界において契約後の顧客のサービス活用に関するナレッジを共有するなどをして、顧客のサービス導入の目的を達成する(カスタマーサクセス)支援を行う部隊を言います。
(*7)SAMとは、Serviceable Available Marketの略称で、当社サービスが現在獲得できる可能性がある市場規模のことを言います。当社は、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年版」(2022年7月)掲載のソフトウェア「CX/デジタルマーケティング」カテゴリー 市場規模の2026年度の予測値をSAMとして採用しております。外部資料やそれに基づく推計は、高い不確実性を伴うものであり、大きく変動する可能性があります。また、出典元の調査機関は、数値の正確性を保証するものではありません。
(*8)TAMとは、Total Addressable Marketの略称で当社が将来的に獲得できる可能性がある最大の市場規模を指します。当社が本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。当社が将来捕捉する可能性のあるTAMは、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年版」(2022年7月)掲載のソフトウェア市場規模の2026年度の予測値を採用しております。外部資料やそれに基づく推計は、高い不確実性を伴うものであり、大きく変動する可能性があります。また、出典元の予測機関は、予測値の達成を保証するものではありません。
(*9)UIとはUser Interfaceの略称でユーザーが電子端末を操作する際の入力や表示方法などの仕組みを言います。また、UXとは、User Experienceの略称でサービスなどによって得られるユーザー体験を言います。

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