有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/01/21 15:00
【資料】
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【項目】
162項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は「私たちは人々との出会いを大切にし、常に新たなチャレンジと実現化の努力により生きがいと豊かさを提供し、健全な発展を通して社会に貢献する経営を目指します。」を経営理念とし、「医薬品」「健康食品」「化学品」の3つの事業で培ってきた多彩な製造・加工技術を糧にし、環境に配慮した安心・安全な製品・サービスを提供し続けることをミッションに掲げ、事業を展開しております。
(2) 目標とする経営指標
当社は中期的には売上の拡大と併せて、より収益力を高めていくことが必要と考えております。3事業それぞれの顧客ニーズ、市場動向を見据えた新たな取り組み、当社保有設備を活用した付加価値の高い製品拡販、海外展開を事業拡大の施策として売上拡大を目指します。併せて生産効率の向上を図りながら、売上高総利益率、売上高経常利益率の向上を目指す方針であります。
(3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等
現在の国内及び世界経済は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大により経済活動に深刻な影響を及ぼしており、当面厳しい状況が続くと見込まれます。そのような環境の下、当社では以前から取り組んでいた不採算事業の見直しにより、医薬品・健康食品・化学品の主力3事業に注力する体制を整えてまいりました。これら3事業に経営資源を集中し、問題解決型の企業として技術力の向上を続けるとともに、新たな成長エンジンを創出していくべく、以下の施策に取り組んでまいります。
① [医薬品事業] 輸入原薬のシェア拡大
当社の輸入原薬の売上高は年々増加しておりますが、引き続き増加に向け取り組んでまいります。
海外を含めた多くの原薬メーカーと取引があり、製薬会社のニーズに適した調達先を発掘していますが、目的の原薬を取り扱っていても、品質が日本の要求レベルに届かないメーカーもあります。それらのメーカーについては、当社の原薬メーカーとしての知見を活かし、品質管理や薬事対応のサポートを行うことにより、採用率を向上させてまいります。採用実績のある原薬を他社へ横展開することで売上拡大を図っていきます。
② [医薬品事業] 受託加工・開発案件の獲得
自社での原薬合成・受託加工に関しては、生産部門を本社工場へ集約、開発部門を埼玉開発センターに集約し、生産・開発能力の向上を図ると共に、少量から量産まで対応可能な開発・生産体制を整えました。これらの資源を活かし、研究用の少量合成案件や精製・異物除去などの原薬合成以外の受託加工案件も獲得し、取引の拡大につなげてまいります。また、医薬品の添加剤や、食品・化粧品・化学品原料の製造など、原薬以外の化成品で医薬品と同等の環境で製造を必要とするものについても、医薬品製造で培った技術と管理手法を活用し対応してまいります。
③ [健康食品事業] マーケティング力の向上
当社健康食品事業では、錠剤関連など不採算事業の縮小を行い、当社の強みであるゼリータイプの健康食品製造に注力する体制が整いました。一方、事業縮小で減少した売上の回復が急務と考えております。機能性成分(必須の栄養素ではないが、健康維持などの機能的効果が期待される成分)をおいしくする技術に加え、マーケティング力の向上に力を入れ、より訴求力の高い製品を開発することを課題として取り組んでいます。
④ [健康食品事業] 新包装形態Tパウチ・ショットの拡販
新包装形態であるTパウチ・ショット(注)タイプの設備を導入し、製造・製品開発を進めております。 Tパウチ・ショットタイプは飲みきりサイズですがスティックタイプより容量が大きく、スティックタイプでは必要成分を摂取するのに不足していた領域をカバーすることができます。国内でTパウチ充填機を導入しているメーカーはまだ少なく、拡販に向け、充填機メーカー及び包材メーカーと連携して営業活動を展開してまいります。
(注) オリヒロ株式会社と共同印刷株式会社が共同開発した液体パッケージ(容量30g~100g)。開封位置のわかりやすさと、直線カット性による開封のしやすさ、内容物のこぼしにくさが特長の液体・粘体用ミニパウチ「Tパウチ」にマチをつけ、スタンディング型にした製品です。
⑤ [化学品事業] 海外イオン交換樹脂メーカーとの協業による製品開発
当社化学品事業では、強みである液体処理技術を活かすため、製商品の強化は重要なものと考えております。近年、技術力の高い海外イオン交換樹脂メーカーとの関係を深め、次のような製品の共同開発に取り組んでいます。
・既存品の代替
イオン交換樹脂の市場は、イオン交換樹脂メーカーの工場閉鎖や大規模半導体工場の増加などの影響で需給ひっ迫傾向にありますが、既存製品に対し品質や価格、性能で優位性のある代替品の拡販を進めてまいります。
・特殊ニーズへの対応
当社の得意とする純水製造以外の液体処理分野では、案件ごとに異なるニーズへの対応を求められます。排水中の有価金属回収や食品の風味改善など、特殊用途に対応できる製品を共同開発し、案件獲得を進めてまいります。
⑥ [化学品事業] 注力する事業分野
今後需要が増加すると考えている、エネルギー産業や精密機器産業向けのイオン交換樹脂の拡販を強化してまいります。
エネルギー産業では、家庭用燃料電池をはじめとした燃料電池システムに使用されるイオン交換樹脂の拡販を行ってまいります。精密機器産業では、回路の小型化・高集積化によって、極限まで不純物が含まれない薬品が求められてきており、高純度のイオン交換樹脂のニーズが高まっております。
これらの分野では、「オーバースペックで高価格」「長納期化」といった課題を抱えているケースもあり、「必要性能を満たす」「性能に応じた適正価格品」を「より短納期」で供給できる体制を構築してまいります。
⑦ 開発案件立ち上げのスピードアップに向けた連携
各事業での開発案件の立ち上げを迅速に行うため、営業・開発・生産・品質保証の各部門のさらなる連携強化が必要と考えております。
⑧ 従業員の意欲、能力の向上
当社は、従業員の目標設定、業績等の査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、より充実した教育研修の実施により人材を育成していく体制を強化していくことも課題であると考えております。