有価証券届出書(新規公開時)

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2021/03/18 15:00
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事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(※1)(以下DX)を通じて経営革新/事業創造を支援する「DIGITAL SOLUTION COMPANY」を標榜し、DXの構想及びそれを実現するシステムの設計・開発・運用をワンストップで支援しております。DXに取り組める準備が整っている企業もあれば、IT化・デジタル化への対応が遅れている企業もあるため、顧客の状況に応じてDXの実現に至るまでの段階的な支援も含め提供しております。
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一般的なシステム開発では、大手システム支援会社が元請けとして顧客と契約する直接取引を行い、具体的な作業は下請けシステム会社が分業で行う多重下請け構造となっておりますが、当社グループは創業から顧客との直接取引にこだわり、当社グループで一貫して構想・設計・開発・運用を行うとともに、単にシステムを開発するだけにとどまらず、顧客の事業の成功・成長に徹底的にコミットした持続的な支援を提供しております。その結果、当社グループの顧客との直接取引は81.5%、既存顧客との取引継続率は73.9%となっております。
当社グループの顧客基盤として累計顧客数は556社となっており、顧客の業界としてはDXの進展により社会的ニーズが更に高まることが予想されるロジスティクス・情報/通信・医療/福祉等の社会インフラや、オンライン上で提供されるサービス/エンターテインメント/広告等が中心となっております。
当社グループの事業は、「デジタルソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載をしておりませんが、各サービスは、「(1)インテグレーションサービス」と「(2)クラウドサービス」で構成されております。
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(注)1.取引継続率は2020年3月期時点で、2020年3月期に取引のあった取引先のうち2019年3月期に取引が発生している取引先の割合です。
2.累計顧客数は2020年3月期時点で、創業以来当社と一度でも取引があった取引先を1社としてカウントしております。
3.上記に記載の売上構成(サービス別、業界別、直接取引/間接取引別)は、2020年3月期に係る未監査の数値に基づいたものです。
(1)インテグレーションサービス
① サービス概要
当社グループの提供する「インテグレーションサービス」は、顧客の様々なDXニーズに対して、戦略的パートナーとしてDXの構想・設計・開発・運用をワンストップで支援しております。
当社グループは支援にあたり、顧客の事業構想や課題と徹底的に向き合うため、顧客の情報システム部門のみならず、経営陣や事業部門とも密にコミュニケーションを図り、顧客の事業とそのニーズ・課題を深く理解して、顧客と一体的にその実現や課題解決を図っております。
また、顧客の事業においてDXはシステムが完成すれば終わりではなく、完成後に適切に運用・改善されてこそその価値・効果が発揮されるため、顧客の事業に伴走すべく、運用・継続開発を重視しております。それにより構想で描いた価値が適切に創出され、更なる取り組みに向かえるという持続的な支援を実現しております。
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② 支援テーマ
支援テーマは顧客により様々ですが、主なものとしては顧客の新規事業/新規サービスとしてオンライン上で新たな収益を創出するシステムや、経営/業務の効率性を高めるシステム等の構築を支援し、経営革新や事業創造により顧客の収益力・競争力の向上に貢献しております。
・事例1「『ヘルス×テック』による新たなオンラインコンテンツサービス」
[顧客の課題]
・在宅時間の有効活用を新たなビジネス機会としたい
・対面サービスをオンライン化してストレスフリーで実現したい
・利用者のわかりやすさを追求したい
[支援内容]
・ヘルステックの新規事業としてのオンラインヨガサービスの立ち上げ
・インストラクターとヨガユーザー双方が活用できるオンラインヘルスプラットフォームを構築(インストラクター登録、コンテンツ登録、ユーザー登録、コンテンツ視聴、課金機能など)
・事例2「フランチャイズ事業の収益拡大」
[顧客の課題]
・デジタルの活用によりビジネスモデルを変革したい
・2,000店舗を超える店舗基盤を成長市場で活かしたい
・従量制ロイヤリティを導入し新たなマネタイズをしたい
[支援内容]
・ハウスクリーニング等のそれぞれ技術を持ったサービス提供事業者が提供可能なサービス内容・経験・エリア・スケジュールを登録しておくことで部屋を管理する企業等のサービス依頼者から案件のオファーが届くBtoB特化型マッチングサイトを構築
・事例3「AIによるデジタル広告の価値毀損問題への取り組み」
[顧客の課題]
・デジタル広告の価値毀損問題(広告主が予期していない不適切なWebサイト等に広告が表示されることにより消費者からのイメージ/評価を著しく失い、広告主のブランド価値が毀損されること)を解決したい
・広告主のブランド価値を守りたい
・掲載する広告データをAI分析したい
[支援内容]
・広告主のブランド価値を守る広告管理システムを構築
・広告を掲載するメディアのテキスト情報と画像情報をAIで分析し、その結果から広告主のブランドを損なわないメディアへの広告掲載を自動的にコントロールすることで、広告主ブランドの安全性を担保し、且つ広告の費用対効果を高めるシステムを実現
・事例4「事業や経営環境の変化に対応したロジスティクスシステムの構築」
[顧客の課題]
・集荷・配達システムの効率化・情報化の更なる推進したい
・社会ニーズに応える新サービスを随時リリースしたい
・データ分析・活用により継続的な業務改善を行いたい
[支援内容]
事業や経営環境の変化に継続的に対応して各種のシステムを構築/継続開発/運用
a.コールセンターシステム
・集荷や再配達を依頼するために電話した方の情報及び荷物情報を簡単に入力できるシステムを構築
b.集配管理システム
・荷物の集荷及び配達を行うセールスドライバーのモバイル端末に対して「何時・何処に・何を配達・集荷する」と言った作業指示を行うシステムを構築
c.荷物追跡システム
・配送状況を管理するシステムを構築
d.配送業務に関するデータマネジメントシステム
・事業所情報 :各事業所情報を管理するシステム
・仕分け情報 :配送ルートを決定するための情報管理システム
・法人顧客情報:法人顧客情報を管理するシステム
③ 技術上の強み
当社グループは顧客のニーズ・課題・ゴールに合わせて最適解の提案・実現を支援していくため、特定の技術に依存しないことを方針としております。そのうえで、主に以下の技術分野に強みを有しております。
・Web
インターネットを通じてオンライン上で提供されるサービスや企業内部で業務等に利用されるWebブラウザ(※2)上で表示/動作するシステムに関する技術です。当社は日本でインターネットが普及し始めた頃からWebを活用したシステム開発に携わっており、経験/知見を有しております。
・モバイル
スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスを使用するサービス等で活用する技術です。当社は創業当時から顧客のモバイルサービスの構築支援や自社モバイル製品等を提供しており、経験/知見を有しております。
・クラウド
Amazon Web Service(※3)、Google Cloud Platform(※4)、Microsoft Azure(※5)など世界的に主要となっているクラウドプラットフォーム上の各種機能を活用する技術です。これらの活用によりインテグレーションサービスでの早期かつ柔軟性/拡張性の高いシステムの開発が実現可能となっているほか、自社クラウドサービスでも活用しており、経験/知見を有しております。
・AI(人工知能)
人の手では行えないような大量の画像/文字等のデータを目的に沿って学習し、分類/分析/判断し、高度に活用する技術です。顧客のシステム構築で活用しているほか、自社クラウドサービスで活用しており、経験/知見を有しております。
・データマネジメント/データ活用
大量のデータの集計・管理・分析及び処理したデータを高度に活用する技術です。顧客のビジネスの中核を支えるシステムの構築/運用のほか自社クラウドサービスや顧客のインターネット広告システムの構築/運用等で蓄積された経験/知見を有しております。
④ 契約形態
当社グループの顧客との契約形態は、システム開発など成果物に対して対価を得る請負契約と、システムの要件定義等やシステム開発後の運用保守及びクライアント先への常駐による役務提供に対して対価を得る準委任契約が中心となっております。なお、2020年3月期の売上高に占める割合は、請負契約が27.6%、準委任契約が50.3%となっております。
(注)上記に記載の請負契約と準委任契約の割合は、2020年3月期に係る未監査の数値に基づいたものです。
⑤ 顧客支援体制
当社グループの社員は2020年3月期実績でシステムエンジニアが86.8%を占めており、ベトナム子会社であるDIMAGE SHARE VIETNAM Co.,Ltd.と当社社員が一体となって顧客の支援を行っているため、当社グループ内で構想・設計・開発・運用がワンストップで支援できる体制となっております。
⑥ 外注先
顧客に対しては当社グループ内での支援提供することが基本方針ですが、必要に応じて特定の技術や人材の補完のためビジネスパートナーに外注を行い、プロジェクトチームに参画を依頼しております。主な外注先としてはこれまでの当社とのプロジェクト経験が長く、当社の価値観や進め方等を理解頂いている外注先企業約7社が中心となっております。
⑦ 仕入先
Amazon Web Service、Google Cloud Platform、Microsoft Azure等のクラウドプラットフォームサービスの利用が中心となります。
(2)クラウドサービス
① サービス概要
当社グループは、多くの人々がインターネット広告に関心を持ち始め、アドテクノロジー(※6)を使った広告配信が世の中に出始めた10年以上前の黎明期から広告システムの開発に携わっております。日々変化する広告業界の中で積み重ねたアドテクノロジーの知見を基に『admage®』という製品を開発し、インターネット広告に携わる広告代理店やメディア企業に対して提供しております。
また、「広告」と並び企業の販売促進を支える「マーケティング」に近年は領域を広げ、企業の「デジタルマーケティング」の支援に取り組んでおります。中でもデジタルマーケティングの一部であるコンテンツマーケティング(※7)は、企業やブランドが新たな消費者を獲得し、信頼関係を構築するための手段として近年期待されており、当社グループはそれを支援する『caravas』という製品をリリースし、企業のマーケティング部門やマーケティング支援企業に提供しております。
これらの自社クラウド製品はストックビジネスとして当社グループの事業の安定と成長を下支えしております。
② 製品概要
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・『admage®(アドマージ)』
クラウドサービスの主力製品である『admage®』は、インターネット広告事業に特化したクラウド型システムのパッケージ製品です。
アドサーバー(※8)、アドネットワーク(※9)、アプリ効果測定、アフィリエイト(※10)、リワード(※11)に加え、レポート閲覧から請求管理まで、すべての業務をサポートしたインターネット広告の総合広告配信システムです。広告代理店、メディア企業向けに小規模企業から大規模企業まで幅広い導入実績があり、累計導入社数は437社となり、高い取引シェアを有しています。
クラウド製品でありながら、顧客の要望にあったカスタマイズ開発が可能であり、カスタマイズ開発後の運用・保守も行っております。
(注)累計導入社数は2020年3月期時点で、創業以来一度でも導入があった取引先の数
・『caravas(カラバス)』
『caravas』は、多くの企業が取り組むコンテンツマーケティングにおいて、重要でありながら手が回らない、Webメディアへの集客後のユーザーに対して、成果への誘導を支援するAI搭載クラウド型システムです。
コンテンツマーケティングではコンテンツの制作とメディアへの集客に終始してしまい、本来の目的である収益への貢献に繋げることができていない企業が散見されています。
『caravas』はユーザーが閲覧しているコンテンツの内容をAIが把握・分析して関連するコンテンツを自動的にレコメンド(※12)することや、ユーザーのメディア上での行動を踏まえた上で、ユーザーの好みそうなコンテンツをレコメンドすることが可能です。これによりコンテンツへの接触数・接触時間が大幅に向上し、メディア及びメディアを運営する企業及びブランドへの信頼が醸成されやすくなるとともに、メディアの目的である成果に誘導することが可能になります。
また、コンテンツマーケティングの成果を簡単に把握できるように、制作したコンテンツがどれだけコンバージョン(※13)に貢献しているかをひと目でわかる分析機能を備えており、メディアやコンテンツの継続的な改善が可能です。
加えて、機能として搭載されているヒートマップ(※14)を使うことで、設置した『caravas』のレコメンド枠がユーザーに利用されているか、もっとユーザーに利用してもらいやすい位置はどこか、といった分析が視覚的に可能です。
③ 開発/運用体制
当社及びベトナム子会社のDIMAGE SHARE VIETNAM Co.,Ltd.で行っております。
④ 仕入先
Amazon Web Service等のクラウドサーバーの利用が中心となります。
(用語解説)
※1 デジタルトランスフォーメーション
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。(経済産業省2018年12月発表「DX推進ガイドライン」)
※2 Webブラウザ
インターネット上のウェブサイト等を閲覧するときに利用するソフトウェア
※3 Amazon Web Service
Amazon.comにより提供されているクラウドコンピューティングサービス
※4 Google Cloud Platform
Googleが提供しているクラウドコンピューティングサービス
※5 Microsoft Azure
マイクロソフトの管理するデータセンターを通して提供されるクラウドコンピューティングサービス
※6 アドテクノロジー
広告配信の効率を上げるためのシステムのこと。AD(Advertising/広告)とTech(Technology/技術)を組み合わせた造語であり、広告配信を高度にシステム化したもの全般を指します。
※7 コンテンツマーケティング
ユーザーにとって価値あるコンテンツの制作・発信をとおして見込み顧客のニーズを育成、購買を経て、最終的にはファンとして定着させることをめざす一連のマーケティング手法。
※8 アドサーバー
広告配信専用のWebサーバーのこと。アドサーバーは、多くの場合、Webページのコンテンツを配信するWebサーバーとは別個に用意される。広告の掲載状況を計測して制御できるようになっており、表示回数やクリック数などに応じて露出を調整したり、成果を分析したり、といったことが可能となる。
※9 アドネットワーク
インターネット広告のうち、広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、その多数のWebサイト上で広告を配信するタイプの広告配信手法。または、そこで形成されたネットワークのこと。
※10 アフィリエイト
インターネット広告の配信方式の一種で、Webサイトやメールマガジンなどの媒体に記載された広告を通じて商品の照会や購入に繋がった場合に、その媒体の運営者に一定の報酬が発生する仕組みのこと。または、その仕組みを利用した広告掲載システムのこと。
※11 リワード
広告で何らかの成果が得られた場合に、クリックしたユーザーに対して報酬の一部分を還元するタイプの広告のこと。
※12 レコメンド
利用者の好みにあったものをシステムが自動的に推薦する手法。
※13 コンバージョン
Webサイト上で獲得できる最終的な成果のことを指す。ECサイトでは商品購入、情報提供サイトやコミュニティサイトでは会員登録やSNSのフォローなどがコンバージョンに当たる。
※14 ヒートマップ
データを可視化するために、行列型の数字データの強弱を色で視覚化する方法。

[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
当社のビジネスフローは顧客との直接取引を基本とし、当社及び子会社のディマージシェアベトナムにより顧客を支援しております。
必要に応じて外部のビジネスパートナーやクラウドプラットフォームを活用しております。
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