有価証券報告書-第8期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/17 12:17
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【項目】
134項目
(3)戦略
当社グループは、金融領域のみならず非金融領域へも事業領域を拡大していくなかで、様々な対象顧客向けに高付加価値サービスを広く提供しております。そのような中で、当社においてもサイバーセキュリティ、気候変動、人材採用戦略等の観点から想定されるリスク及び機会に対処する必要があることはもちろん、当社がサービスを提供することで各顧客によるESGの取り組みを支援することもまた重要であると考えております。このような考えに基づき、2024年3月1日には、経済産業大臣からDX認定事業者の認定を受け、その取り組みを加速していくこととしております。
① サイバーセキュリティ
金融機関を主要な顧客とする現況から、サイバーセキュリティにおけるシステミックリスクの対策は極めて重要だと考えています。堅牢なサーバを含む強固なインフラの構築、そして金融上のシステミックリスクを未然に防ぐために金融機関等コンピューターシステムの安全対策基準(FISC安対)(注1)に対応したシステム開発、内部監査室におけるシステム監査の定期または臨時の実施に加えて、シンプレクス株式会社の開発・提供するソリューションに関して内部統制に係る評価報告書「SOC1Type2報告書」及び「SOC2(Security)Type2報告書」(注2)を取得し、顧客からの受託業務に関する透明性・安全性について監査法人が保証する報告書を顧客に提供しております。
また、情報セキュリティ基本方針を制定し、創業以来、一貫して高い情報セキュリティ意識で事業に取り組み、その知見と実績を積み上げているほか、社内システムにおいては、ソフトウェア及びハードウェアにおいて堅牢なセキュリティを採用し、機密情報の漏洩等の防止を徹底しています。
ソリューション別にはISMS(ISO27001)情報セキュリティマネジメントシステム(注3)の認証を受けており、全社員を対象に毎月テーマ別の情報セキュリティ研修及び年に一度のテストを実施する等、常に社員のセキュリティへの意識と知識の向上を図っております。
さらに、企業間取引における秘密保持はもちろんのこと、顧客が取り扱う個人情報の機密が保たれることは重要と考えられることから、個人情報保護方針を制定し、個人情報の厳格な管理の下に堅牢な製品、サービスの開発・提供を行っております。
(注)1.公益財団法人金融情報システムセンターにおいて、わが国の金融機関等が、事業展開を行ううえで金
融情報システムを活用するに際し、開発や導入、運用等において必要と考えられる安全対策を基準として示したもの
(注)2.米国公認会計士協会(AICPA)が定める受託会社(Service Organization)における受託業務(顧客へ
の提供サービス等)に係る内部統制を評価・報告する枠組みであるSOC(System and Organization Controls)に関し、第三者の立場から客観的に評価して保証意見を表明する報告書。当社グループにおいては下記の対象サービスについて保証意見の表明をいただいております。
・シンプレクス株式会社のソリューションに係るシステムインテグレーションサービス/運用保守サ
ービス/共同利用型(ASP)サービス
(注)3.情報セキュリティに関する機密性、完全性及び可用性とPDCAサイクルを繰り返すことによるマネジメ
ントシステムが組織に備わっていることについて第三者の審査を受け、認証を受ける制度。当社グループにおいては下記の登録範囲において認証を取得しております。
①FX(外国為替証拠金取引)システムにおけるソフトウェア開発、保守、運用業務及びサービス基盤
の提供
②仮想通貨システムにおけるソフトウェア開発、保守、運用業務及びサービス基盤の提供
③金融機関向けのクラウドシステム開発、保守、運用業務及びサービス基盤の提供
② 気候変動リスク
気候変動に伴って当社グループの事業活動に影響があるリスク及び機会を下表のとおり特定し、2100年までに世界の平均気温が4℃前後上昇することを想定したシナリオと2℃前後上昇することを想定したシナリオの2つをメインシナリオとして分析しております。
2℃上昇シナリオにおいては、気候変動に関する取り組みに対する政策や法規制の変化や、市場における社会的信頼への重要性の増加等の社会移行に係るリスク及び機会を想定しており、4℃上昇シナリオにおいては、自然災害を始めとする急性的に発生し得る物理リスク及び機会とそれらの事象が引き起こす慢性的なリスク及び機会を想定しています。
今後は特定したリスク及び機会が当社グループに与える財務影響についての定量評価を進めるとともに、対応策を検討し、速やかに開示します。
リスク及び機会タイプ影響項目シナリオ当社グループへの影響
リスク移行リスク規制リスク炭素税の導入2℃・当社グループの二酸化炭素排出量に対
する炭素税が新たに賦課されることにより、費用負担が増加する
市場リスク顧客行動の変化2℃・顧客が環境負荷の低いデータセンター
を選択するようになる一方で、既存の環境負荷の高いデータセンターを使用し続けることによって売上機会が喪失する
・環境負荷の低いデータセンターに移転
するなど対策費用の負担が増加する
評判リスク環境負荷の高い業種に対する非難2℃・ブロックチェーンのマイニングに係る
電力消費量が膨大であることにより、暗号資産取引等に関連するプラットフォームの需要が減少し、売上が減少する
ステイクホルダーの懸念又はステイクホルダーからの否定的なフィードバックの増加2℃・気候変動への取組みが不十分なことによ
り、ブランドイメージに長期的な毀損等の影響を受け、顧客又は株主からの信用低下につながり、企業価値が低下する
物理リスク急性リスク甚大な被害をもたらしうる台風や洪水などの異常気象の頻度上昇4℃・データセンターの稼働停止により事業機
会が喪失する
機会製品・
サービス
低排出量サービスの開発及び/又は拡張に伴う資金調達2℃・サステナビリティボンドの発行により有
利な資金調達が実現し、資金調達コストが軽減する
気候適応、レジリエンス及び保険リスクに関するソリューション開発4℃・災害や気温の変化等による外出抑制の結
果、事業継続の必要性からリモートワークの活用が進み、ICTインフラ需要が高まることによって当社が提供するリモート-ワークAIソリューションサービスの売上機会が拡大する
4℃・気候変動の進展による保険商品の多様化
に伴い、当社が提供している保険ソリューションの販売及び新規のシステム開発の機会拡大によって売上機会が拡大する
2℃・DX推進による気候変動対応システム(天
候デリバティブ等)のインテグレーションやコンサルティングの受注による売上機会が拡大する
市場積極的な気候変動リスクへの対応2℃・社会的な信頼性・イメージの向上によ
り、社員採用活動における他社とのアドバンテージが向上し、採用活動費が低下する
・顧客又は株主からの信頼上昇により株価
が上昇する
レジリエンス社員の就業環境の向上等2℃・ICTを活用した働き方改革、DXによる事業
の効率化改革等により事業の継続性、事業環境等が向上することで、従業員満足度が向上し、離職率が低下する

③ 人的資本に関する戦略
a.人材の採用
当社グループの事業において中心的な経営資源は人材であり、顧客企業からの要求に応えるためにビジネスとテクノロジー双方に精通した優秀な人材を確保・定着させることを最重要戦略としております。特に当社グループでは、新卒の優秀な人材を採用し、様々なスキルを習得させる人材の育成に力を入れており、中途採用においても、高水準の報酬を用意することに加え、質の良い社内環境を確立することが競合他社との競争に勝つためには必要と考えております(第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ④採用育成の強化を併せて参照ください。)。
b.人材の育成
新卒採用内定者については、全てのビジネスにおいて、持続的成長の実現のために最も重要なキーファクターのひとつとして位置付けられている「テクノロジーの基礎」及び「金融の基礎」について学ぶ内定者研修を実施しており、未経験からでも学習を重ねることで、研修終了時にはこれらの基礎を身につけることを主眼としております。
また、新卒採用者については、入社後は4月から7月までの4ヵ月間に渡り、新入社員研修を実施しており、様々な専門性をもった一流のビジネスパーソンによって編成されるプロジェクトチームの一員として参画するための最終準備として、「テクノロジー×ビジネス」の基礎スキル/基本動作の習得を目指しております。この新人研修の段階において、全ての新入社員は、原則として基本情報技術者試験、外務員資格試験等の各種試験に合格しなければならないこととしています。これらの研修に関しては、部門横断組織であるコンピテンシーリードが企画、立案しております。
新卒採用者が現場に配属される初年度は、ユニット・リーダーと呼ばれる先輩社員と新入社員2名が3人1組でユニットを組み、先輩社員の伴走のもとで、早期段階での「テクノロジー×ビジネス」の高付加価値人材として成長していく第一歩を踏み出すこととしています。新卒社員の直属の先輩となるリーダーは、毎年、経営陣が自ら選出しており、優秀な先輩の仕事ぶりを間近で学ぶことで、より飛躍的な成長の実現を企図しております。
このほか、コンピテンシーリードにおいては、第一線の社員による当社顧客のビジネス展望やマーケット動向、プロジェクトマネジメント及び最新テクノロジーに関するプラクティス紹介や知見の共有等の成果報告、発表を部門横断で共有できる社内研修会(「Simplex Biz Day(Week)」及び「Simplex Tech Day」)を企画・実施しており、社員は自らの意思で興味のあるセッションに参加し、自らの能力の向上を図ることが可能となっております。また、社員の資格取得等の自己研鑽を支援するため、Amazon Web Service(AWS)関連資格取得をはじめ業務に関連する資格取得費用及び書籍購入費の補助、Eラーニングツール「Udemy business」の導入、大学院への進学及び留学等を理由とする休職を可能とする制度、自身が所属する部署と異なる社内の部署に短期で留学する社内短期留学制度などを実施しております。この社内短期留学制度は、自身が所属するプロジェクト/部署から業務理解、人脈形成などのために一時的に別プロジェクトに在籍することを目的とした制度であり、当社グループの業務内容の多角化や広域化により自らが所属するプロジェクト以外の業務を知る機会が減っている中で、創造的なコラボレーションが生まれることを期待し、社員のキャリア形成に資するために実施しております。
c.人材の評価
年齢・性別・国籍は一切関係なく、完全実力主義のもと評価を実施しておりますが 、各人の置かれた状況を合理的に配慮し、年次を問わず「仕事の成果・質」で評価を決定しております。具体的には、年に1度、評価会議の場で全正社員の翌年度の理論年俸(基本年収)を決定します。各年度の仕事で関わった上位者全員から評価を受けるため、特定の上司の主観に偏ることなくフェアに評価されるスタイルとなっております。評価に際しては、プロジェクトの難易度や過去の経験値を含めて、その人の持つ「再現性のある実力」を評価して理論年俸を決定する(再現性)、成長幅の限度を定めずに実力を見極め、個々人の成長を正当に評価する一方で、単年度の実績が芳しくなかったことを理由に、成長の機会が提供されなくなることはない(Up or Stay)、出産や介護等、ライフステージが変化する社員に対しても、成果に対して正当な評価をする(Pay for Value)という観点から行っております。以上のように、当社グループでは、創業以来、「最高のプレイヤーに最高の報酬を、そして次なる最大のチャンスを」という考え方を大切にし、自己成長を希望する各人にとって魅力的な就業環境を提供しております。
d.社外の教育活動への貢献
当社グループが培ってきた金融フロンティア領域におけるシステム開発の知見及び顧客企業におけるDXコンサルティングに関する知見をもって、関連する学術分野の発展に寄与することを企図し、株式会社シンプレクス・インスティテュートとともに金融戦略・経営財務プログラム修士課程(MBA)を設置している国立大学法人一橋大学に対する寄附及び寄附講義(情報化戦略とその実践、リスク管理と金融教育)並びに国立大学法人京都大学に対する寄附の提供をしております。
④ 社内環境整備方針
当社グループでは、働く人の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで、働く人やその家族の心身の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指して「健康経営宣言」を行っております。
同宣言に基づく具体的な取組みとしては、定期健康診断の受診はもとより、再検査となった場合の費用支援、ストレスチェック(年2回)の結果によるメンタルヘルスケアの実施、産業医(精神科・内科)/公認心理師の配置、入院/療養等に利用できる特別有給休暇制度の創設、所得補償保険・団体生命保険への加入、各拠点にリラクゼーションルームを設置/あん摩マッサージ指圧師によるマッサージの提供、社内カフェテリアでの夕食又は残業食事代の支給、心身の健康管理/ハラスメント/働きがいに着目した「エンゲージメント・サーベイ」の3か月ごとの実施等を行っております。
また、「自己実現」を応援できる会社として、法令遵守のもと可能な限り柔軟性を持ち、目標にチャレンジできる「働きがいのある」職場環境づくりの一環として、働き方を選択することができるコミットメントスタイル制度の導入、出社/リモート/モバイルのいずれでも執務ができる環境の整備、柔軟かつ効率的な勤務体系の導入(フレックスタイム制、裁量労働制)、連続労働時間の抑制の導入(勤務間インターバル制度)、情報発信の充実による社内コミュニケーションの活性化(経営陣が直接従業員に対して経営の状況や課題を説明する全体会議を年2回実施、経営陣により選定された各部門をリードする社員が主催する全社月次会を実施、Slackコミュニケーションツールの導入)等を行っております。
さらに、出産や育児・介護をしながら生き生きと仕事を続けられるよう、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づく法定の制度はもちろん、同法が定める期間以上に育児休業を延長できる制度(子どもが最長2歳4ヵ月に達するまで)、育児休業の申出期間の短縮措置、ベビーシッター割引券の配布等を実施しています。
このような出産、育児に限らず、多様な人材を受け入れ、継続的に価値を発揮できる状態(Diversity and Inclusion(D&I))を目指すため、社員有志の主導により、多様な人材・働き方の拡充を推進するプロジェクト(社内プロジェクト呼称:Gerbera)を立ち上げ、定期的に会合を開き、成果の共有を図っているほか、健康経営の取組みが実効性をもって推進されるよう、組織から独立した総合相談窓口を健康経営委員長の下に設置して社員の意見をくみ上げていく体制を整えております。
以上のような取り組みから、2023年3月には、経済産業省から「健康経営優良法人2023」の認定を、2023年9月には、厚生労働省からシンプレクス株式会社が「子育てサポート企業」として「くるみん」の認定を取得しました。

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