有価証券報告書-第9期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/29 15:32
【資料】
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【項目】
108項目
文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
「『個人』がもっと自由に、自らを表現し、活躍できる社会を目指す」という思いから当社は始まりました。
「個の時代」と言われて久しい時世ながら、「努力しても報われない」「働く意義が見出せない」と多くの同僚が嘆いているのを見てきました。「目の前の仕事に夢中になり、クライアントやユーザーの為に自由な発想で価値提供をできる場所を作る」という想いから創業し、「個」が自由な発想で、活躍できる環境を生み出し続ける為に、当社は存在しております。
また、「“できっこない”に挑み続ける」ことをビジョンに掲げ、インフルエンサーセールスやオンライン広告、ファンコミュニティビジネスに限定することなく、テクノロジーの力を最大限に活かして、公序良俗に反することなく“できっこない“に立ち向かい、挑戦し続ける企業・組織・人を目指します。
当社は、「三方よし」を実現するエコシステムの構築に尽力しており、クライアント(広告主)、ユーザー(ファン)、そしてインフルエンサー(アイコン)をそれぞれ繋ぎ、双方の関係値を最大限にすることが当社の重要な役割だと認識し、日々活動をしております。
また、当社のビジョン達成のために活動の指針となるValueを以下のとおり設定しております。
6つのValue
① Enjoy&Fun:心、踊ってる?
自分自身/一緒に仕事をしている人/ユーザーなど、THECOOに関わっているみんなが楽しい・嬉しい・ワクワクするような、心が躍る仕事をしよう。
② Professional:できるを力に
一人ひとりの「できる」を力にTHECOOはブーストしていく。キミだからできることがTHECOOの大きな価値になる。
③ Learn:学び続けよう
将来なりたい自分をお手本に、いま自分にとって必要とされていることを学び続けていこう。
④ Collaboration:コラボで導く、コラボでやり抜く
「自分だけでは解決できない」、「もっといいものにしたい」と思ったら、本当の信頼関係が生まれる。
⑤ Belief:任せていこう、任されていこう
いつも積極的に仕事を任せ、任される関係があってこそ、本当の信頼関係が生まれる。
⑥ Essential(Disruptive):当たり前から外れよう
「いままでそうだったから」「昔からこうやってきたから」――当たり前とされているやり方や考え方は、今も本当に正しい?一度疑ってみよう。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社の中長期的な経営戦略は、コア事業である法人セールス事業に加え、成長事業としてFanicon事業を中心に据え、エンターテインメント市場において、アイコンとファンにとってなくてはならないプラットフォームとしての地位を国内、そして国外(特にアジア地域)において築きあげ、「パッションエコノミー」(注)の世界を創造することです。そのために、スポーツなどのより広いカテゴリーにおいてアイコン獲得を進めるだけでなく、魅力的なプラットフォームであり続けるために積極的に開発を進め、また、カスタマーサクセス機能をより強化してマネタイズの機会を創出してまいります。加えて、エンターテインメントビジネスに必要な商材やサービスをプラットフォーム内外で整備するために、当社の法人クライアント向けに、法人セールス事業とのシナジーを目指し、新しい事業の創出を進めてまいります。
(注)「パッションエコノミー」とは、米国の著名なベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロヴィッツのパートナーである、Li Jin氏が2019年に執筆した記事において提唱した、「SNSの普及で発信力を持った個人が、自分の個性や情熱に興味を持ってくれるオーディエンスを独自に構築できる新しいデジタルプラットフォームによって作り出される経済圏」を意味する。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
Fanicon事業においては、ストック型の収益モデルとなっており、主な収益はファン(ユーザー)からの月額課金によるサブスクリプション売上と購入されたポイントの消費によるサブスクリプション外売上から構成されております。ファン(ユーザー)数については、「Fanicon」の売上構成要素のひとつではありますが、アイコン自身が行うコミュニティ開設の告知活動に影響される傾向があり、当社がファン(ユーザー)のコミュニティ加入に直接的に関わる機会が少ないため、アイコン数を経営上の目標の達成状況を判断するための重要な経営指標と位置付けております。加えて、「Fanicon」のもうひとつの売上構成要素である、ARPU(Average Revenue Per Userの略称であり、1ファンあたりの平均売上金額を指します)は主要な経営指標と位置付けております。
また、法人セールス事業においては、事業全体の安定成長を目指すことから、重要な経営指標としては、法人セールス事業部全体の売上高及び売上総利益額と捉えております。
(4)経営環境・市場の拡大について
当社の主要なビジネスであるFanicon事業では、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」を提供し、アーティストや俳優、インフルエンサー、スポーツ選手など幅広いジャンルのアイコンが、熱量の高いコアなファンとオンライン上の安心できる空間で交流できるサービスを提供しております。
Fanicon事業の市場環境としては、株式会社矢野経済研究所の調査「ファンコミュニティビジネス2022」によると、月額課金型オンラインコミュニティプラットフォームサービス市場規模(会員費取扱高ベース)は、2020年度は24,800百万円(実績)、2021年度は41,500百万円(見込)(前期比167.3%)、2022年度は58,000百万円(前期比139.8%)と予測されております。新型コロナウイルスの影響を受け、オフラインでの活動を制限されたアーティストやクリエイター等が、新たな活動の場としてオンラインによる活動を求める機会が増加したことや、プラットフォーム上で全て一元管理できるサービスが増加し、コミュニティ開設者が芸能活動や創作活動に専念できるようになったことにより、年々市場が大きく成長しております。
Fanicon事業においては、スマホアプリである「Fanicon」を、アイコンとそのファンの方々に提供しております。「Fanicon」は、ライブ配信機能、グループチャット機能、限定投稿機能、スクラッチ(オンラインくじ)機能等、アイコンとファンとの双方向のコミュニケーションを促進する機能を有し、従来のファンクラブが有していた機能として、グッズ、チケット販売などの機能も併設した完全会員制、完全有料制のワンストップファンコミュニティプラットフォームとなっています。当プラットフォームは、ファンがいる方であればファン数の大小に左右されることなく誰でも(Fanicon利用規約の遵守が前提条件)「Fanicon」を開設することができ、多数の機能の中から、自分のファン層にあった機能だけを選択してファンコミュニティを運営することができます。なお、「Fanicon」を利用中のアイコンであれば無料で利用可能な配信スタジオ「BLACKBOX³」は、大型の4面LEDパネルと最新の音楽配信機材をそろえ、アイコンとファンのコミュニケーションをデジタル・リアルの両面からサポートしております。
コミュニティごとにその規模や特色は異なりますが、有名無名を問わず、アイコンの世界観をファンとともに分かち合う場を提供することはファン拡大につながるものであり、当社の成長のためにはアイコンに対する収益化のサポートだけでなく、アイコンの活躍の場を広げていくことが重要であると考えております。
また、当社のもう一つの主要ビジネスであるインフルエンサーセールス事業は、クライアント企業に対し、影響力のあるインフルエンサーを起用したマーケティング施策を支援する事業です。株式会社電通の「2022年日本の広告費」によると、2022年のインターネット広告市場は3兆912億円、前年比114.3%と引き続き高い成長率で推移し、総広告費に占める媒体構成比は前年比3.7ポイント増の43.5%に達しており、当社としては今後も同市場は堅調に推移すると予想しております。また、サイバー・バズ/デジタルインファクト調べによる「国内インフルエンサーマーケティングの市場規模推計・予測 2020年-2027年」によると、2023年の国内インフルエンサーマーケティング市場は前年比120.5%の741億円が推計されており、2020年は332億円だったことから、ここ数年で大幅に市場規模が拡大しております。このような環境のもと、インフルエンサーのソーシャルメディア上の影響力も強まる傾向にあり、一方でクライアント企業においても、インフルエンサーを活用したマーケティング手法のニーズが今後も高まっていく状況が想定されるため、当社の提供するサービスに対する需要も、堅調に推移するものと考えております。加えて、当社がこれまで接した営業先やクライアント企業において、社内にノウハウや人材が不足していることが原因でインターネット広告の効果検証が実施されていない実態が散見されており、インターネット広告の運用並びに社内体制の構築等をコンサルティング会社に依頼したいという要望を多数受けております。以上から、法人セールス事業は堅調に推移するものと考えております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① サービスの強化と認知度向上
当社が今後も高い成長率を持続していくためには、Fanicon事業においては、ファンコミュニティアプリ「Fanicon」の認知度を向上させ、ファンにとって魅力ある新規アイコンの獲得を継続していくことが必要不可欠であると考えております。
コミュニティを開設したアイコンや入会したファン自身による評判により「Fanicon」の認知が広がっております。それに加えて当社がFanicon事業で築いた芸能事務所やレーベル、テレビ局、制作会社などとの人脈、さらには法人セールス事業で築いたネットワークを活かして、ジャンルやカテゴリー、年代を問わず、多くの方々に「Fanicon」を楽しんでいただけるように、更なる認知度向上に努めてまいります。
法人セールス事業においては、インフルエンサーセールス事業をさらに強化し、当社のインフルエンサーセールス事業の強みであるサービスのクオリティを高く維持しながら、成長し、変化する市場にてクライアントのニーズを満たし続けることが必要であると考えております。
② 機能とユーザビリティ向上のための開発体制の構築
アプリ開発の技術革新のスピードは非常に早く、消費者の嗜好も日々変化し、また新たなサービスや競合他社が次々と現れます。当社では、競合優位性の確保及び事業の拡大を図るため、「Fanicon」において新機能の追加開発、ユーザビリティの向上のために投資を継続して行っております。当該開発に際しては、システム開発や優秀な人材の拡充が必要となるため、迅速な開発が行える体制整備や優秀な人材の確保を行ってまいります。この趣旨から2022年12月期では新たにCTO職を新設すると共に、各部署に所属していた開発部門を統合し独立させました。
③ 情報管理体制の強化
当社は、インフルエンサーの個人情報に加え、「Fanicon」を利用する多数の会員の個人情報を取り扱っており、その数はサービスの拡大に比例して増加しております。そのため、今後個人情報の管理体制をより一層厳格に行うことを重要な課題として認識しており、対策として、プライバシーマークを取得し、情報の取扱いに関する社内規程を定めております。情報セキュリティに関する社内教育・研修を定期的に実施し、引き続き従業員の情報管理意識を高めてまいります。
④ 組織体制の整備
当社の継続的な成長には、事業拡大に応じて優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備、人事制度の構築を行ってまいります。2022年8月には、オフィスを移転し、従業員が安全かつ快適に出社できる環境かつ個々のライフワークに合わせテレワークも併用できる職場環境を実現いたしました。
⑤ 内部管理体制の強化
当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、当社としては、コーポレート部門の整備を推進し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことで、経営の公正性・透明性を確保し、リスク管理の徹底や業務の効率化を図ってまいります。
⑥ グローバルな事業展開
「Fanicon」は海外在住のファンの入会が増加しており、現在アプリ内でのコミュニケーションは日本語だけでなく多言語での対応が可能となっております。また、現在ワールドワイドなエンタメビジネスで大きな影響力を持つ韓国市場でシェアを獲得すべく、韓国アイコンのコミュニティもいくつか開設しております。今後は更に多くのアイコンとファンに、国境を超えて「Fanicon」を楽しんでいただけるように、現地法人設立の検討、採用、パートナー企業の選定等も重要な経営課題として認識しております。
法人セールス事業は、近年、国外のクライアントからのニーズも高まりつつあり、特に中国及び米国のクライアントとの取引が大きく拡大しております。特定の国に偏るリスクに留意しながら、将来的にアジア圏で現地法人を設立することを引き続き検討しております。また、国内に限らず国外でもクリエイターの起用ができるようなネットワークの構築と、ボーダレスでの支援が可能な社内体制を構築してまいります。
⑦ 財務上の課題
Fanicon事業においては、現状投資フェーズと捉えており、全社では2022年12月期においても営業損失を計上しております。そのため、利益剰余金がマイナスとなっており、全社での黒字化が課題と認識しております。一方で資金繰りに関しては、Fanicon事業において前受金収入の割合が大きいことから、現時点において財務上の課題は認識しておりません。
⑧ 利益及びキャッシュ・フローの創出(収益化)
当社は、事業拡大を目指し、人材獲得等への先行投資を積極的に進めており、継続して営業損失を計上しております。当社の収益は、利益創出を継続している法人セールス事業の収益と、Fanicon事業においては、ユーザーが利用期間に応じて利用料金を支払うサブスクリプション方式等による継続的な収益によっております。今後は成長投資を引き続き積極的に進めて売上高の拡大を目指す一方で、オペレーション改善や収支管理に取り組み、収益性の改善に努めてまいります。
⑨ 新型コロナウイルス感染症による対応について
当社は新型コロナウイルス感染症による対応として、緊急事態宣言下にて従業員のテレワークを推進し、予定通りに業務を進行してまいりました。同感染症の第5類移行が見えてきた現在におきましては、オフィスへの出社を中心とした就業体制に戻しつつ、有休の療養休暇を従業員本人のみならず家族の看護のためにも利用できるようにするなど、労働生産性と従業員が安心して働ける環境作りを両立させています。当社における新型コロナウイルス感染症による影響は限定的であると考えておりますが、今後新型コロナウイルス感染症が再び拡大し、事態が長期化、深刻化した場合、想定通りに進行しない可能性があるものと認識しております。

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