有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/18 15:00
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「教育と福祉の分野における社会課題を解決し、より良い未来を創造する」を理念として事業を行っています。主に、「質の高い教育の提供」と「働きやすい環境づくり」を通して、よりよい未来の実現を目指しています。
(2)経営戦略等
①教育人材支援事業
国内の教育サービス市場は、少子化による学齢人口の減少、ICTの活用、入試改革等による変革期を迎えています。当社は、今後進行すると予想される教育のデジタル化に向けたサービスを充実させてまいります。Webコミュニケーションツールを活用した「オンライン家庭教師サービス」は地方にも顧客が増加し始めており、地域による教育格差の解消に貢献しております。今後は、学習塾が比較的少ない離島や海外にもサービスの拡大を目指します。
また、教員の過重労働問題が深刻化しています。学校教育の質の向上を図るには教員の負担軽減が急務であり、当社では、学校における教員の働き方改革をサポートすべく、教員及び部活動指導員の紹介事業、並びにICT支援員の派遣事業を拡大してまいります。
②福祉人材支援事業
保育園、学童保育施設、介護施設の人材不足は年々深刻さを増しており、待機児童問題、介護離職問題は、労働力人口の減少の要因のひとつになっています。
当社は、職場と求職者の相性を高めるため、ニーズごとに細分化された求人サイトを構築し、職場と求職者のミスマッチによる離職を防いでいます。登録求職者数のさらなる増加のため、インターネットプラットフォームを軸に、保育分野と介護分野における人材ソリューションサービスを展開します。
③個別指導教室事業
当社の個別指導教室は、設立以来、神奈川県を中心とした「ドミナント戦略」により地域密着型個別指導教室を展開しており、本書提出日現在、直営教室を22校舎展開しております。今後は、後発の利を活かしニュータウン等の人口増加エリアに集中した出店を全国に広げて展開します。
(3)経営環境
①教育人材支援事業
学校業界においては、昨今、教員の長時間労働等の労務問題が課題となっており、年々教員志望者が減少しています。これは、部活動の顧問など本来教員の仕事以外の業務の増加が原因となっています。近年では教員の働き方改革が叫ばれるようになり、部活指導員やICT支援員などを外部に委託する流れが加速しています。このことは、長年教育の分野で人材サービスを展開していた当社にとって好機であるととらえております。
一方、学習塾業界においては、少子化の影響を受け、学習塾の合従連衡の動きが加速しています。中小の学習塾では、映像授業や個別指導への転換など、生き残りを賭けた業態変更が見受けられます。さらに、他の業界にアルバイト人材を奪われたことによる講師不足も深刻で、当社人材サービスへの需要は高まっております。新型コロナウイルス感染症の拡大により、一時的に他の業界から学習塾業界にアルバイト人材が流入していますが、新型コロナウイルス感染症の収束後の人材需要は以前の状況に戻ると予測しています。
②福祉人材支援事業
労働力人口の減少やワークライフバランスを重視するという大きな流れの中で、どの施設においても人材の確保が緊急の課題となっております。このような環境下、当社が提供する各施設の要望に応じたミスマッチの少ない人材サービスの需要はますます高まるものと考えております。
③個別指導教室事業
少子化とともに、大学入試改革など教育制度の変革期を迎えています。このような環境下、私立中学や大学への進学率は高水準で推移し、家計における子ども1人当たりの教育費は増加傾向を示すなど、教育への期待はさらに高まりを見せています。個別指導塾業界は、生徒や保護者の厳しい選別の目に晒されていますが、「質の高い教育の提供」といった創業時から守り続ける理念と、顧客ニーズの変化に対応する柔軟性をもって教室運営にあたります。
(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
①ブランドとサービスの認知度向上
当社では、顧客の獲得および登録者数の増加のため、ブランドとサービスの認知度向上が重要であると認識しています。特に、介護業界や保育業界では慢性的な人材不足に陥っており、保育士や介護職員の奪い合いが激化しています。登録者数を増加させるためにはブランドとサービスの認知度向上を図る必要があり、WEBを中心に広告宣伝・募集活動を全国に拡大してまいります。
個別指導教室事業においては、中学受験層など、少子化においても拡大しているマーケットに対するサービスの種類を増やす必要があります。高校受験や大学受験の塾という当社のイメージを脱却すべく、WEBを中心にプロモーションを展開してまいります。また、当社は教育人材支援事業を社内に有する企業という優位性を生かし、募集費を抑えながらクオリティの高い講師の確保に努めてまいります。
②デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
学校や学習塾業界で急速に進むDXへの対応が急務です。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、ICT支援員をはじめデジタル人材の確保が課題となっており、全国的に不足するデジタル人材の登録数を増やすため、インターネットを中心に広告宣伝・募集活動を強化します。そのため、今後当社ではWEB制作に係わる部署の人員を増強する予定です。
「オンライン家庭教師サービス」では、類似したサービスを提供する競合他社が増加しており、コンテンツやコミュニケーションツールのクオリティを差別化する必要があります。今後は、教材会社や動画コンテンツを制作する会社等との提携も検討してまいります。
福祉人材支援事業においては、当社が提供するサービスのデジタル化を推進し、求職者・クライアントである施設の利便性を高めるとともに営業社員の業務効率向上を図ります。リモート面接、リモート研修、リモート営業(契約)など、従来対面を基本としていたもののオンライン化を進め、より付加価値の高いサービス創造に注力してまいります。
③新規出店
当社では、個別指導教室事業において、企業価値向上のために出店を拡大していく必要があると認識しております。現在は神奈川県を中心として出店していますが、今後全国各地への出店拡大を図るためには、好立地の物件確保が課題となります。出店候補地を検討・調査する人員を増強するとともに、各地の仲介業者との情報ネットワークの構築を図ってまいります。
④株主還元
当社では、財務基盤の安定性を維持しながら投資資金を確保し、新たな事業創出のための投資を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを模索していくことが、財務上の課題であると認識しております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高及び売上高対前年増加額、並びに営業利益及び営業利益対前年増加額であります。また、売上の前提としての生徒数、紹介人数、派遣人数、受託件数についても、当該指標を利用し、目標の達成状況を判断しております。