有価証券届出書(新規公開時)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、“DX Accelerator”を経営理念として掲げており、2002年の創業以来、一貫して「Technology」と「Consulting」スキルを融合させ、「人材こそが最大の武器」という考えのもと、顧客が描くビジョンを共有・実現し、その先にある新しい社会の姿をともに創造する「クライアントの真の変革パートナー」を志向しております。
当社グループでは、「Cloud」「AI(人工知能)」「Digital Marketing」「RPA(Robotic Process Automation)」「人材プラットフォーム」のコアサービスを提供することで、高度なテクノロジーの活用と競争を勝ち抜くためのスピードが求められるデジタル時代において、各業界の会社のDXを強力に推し進めていくことを通じて、企業価値の最大化を目指してまいります。
(2)当社グループの使命
上記の経営理念を実現するために、当社グループでは以下を会社の使命として掲げております。
「クライアントが描くビジョンを共有し、それを実現する真のパートナーとして、その先にある新しい社会の姿をともに創造する。」
「価値の源泉である社員が、成長し続けるための最高の環境を提供することで、時代が希求するプロフェッショナルを生み出す。」
(3)目標とする経営指標
当社グループでは、持続的な企業価値の増加を図るために、収益性を重視した経営が必要と認識しております。当社グループの売上高は2017年11月期には3,150,782千円、2018年12月期には4,448,570千円、2019年12月期には6,007,475千円、2020年12月期には6,455,942千円とし、売上高CAGR(2017年11月期⇒2020年12月期)は27.0%(注1)となりました。また、2020年12月期の売上総利益は1,924,413千円、売上総利益率は29.8%、EBITDAは1,099,114千円、EBITDAマージンは17.0%とし、高い収益性を保ちながら成長を続けた結果から、当社グループは大手SIerや有力CIer(注2)に対し、高い成長率と収益性を両立してきたものと考えております。今後も当社グループでは、売上高、売上総利益及びEBITDAを重要な経営指標と認識し、DXセグメントの成長やソリューション拡大による売上総利益率の向上に努めてまいります。また、当社は販売費及び一般管理費の各項目を内部管理上、人件費、採用・教育関連費用、販売・広告関連費用、一般管理費の4つに分類をしており、採用・教育費、販売・広告関連費用、全社プロジェクトに係る人件費を成長投資、コーポレート部門人件費及び一般管理費を固定的費用と考えております。今後、売上対比での固定費割合は減少すると想定するとともに、当該減少分を成長投資に充てることで、一定のマージンを維持しつつ売上成長を目指していきたいと考えております。(注3)
(注1) 2017年11月期及び2018年12月期は、日本基準に基づいて作成された(旧)株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングの数値、2019年12月期及び2020年12月期はIFRSに基づいて作成された当社グループの数値となります。そのため、CAGRの算出にあたっては(旧)株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングのJGAAPに基づいて作成された2017年11月期売上と当社グループのIFRSに基づいて作成された2020年12月期売上を比較しております。また2018年12月期は13か月であるものの、本計算においては1年として売上高CAGRの計算をしております。
(注2) クラウドインテグレーター。クラウドに特化したシステムインテグレーター。
(注3) 以下、当社内部基準に基づき分類した販売費及び一般管理費内の項目となります。なお、各項目については当社の内部基準に基づき計上をしているため、財務諸表上の各項目の数値とは必ずしも一致するもではございません。
(千円/対売上収益高比率)
(注)上場関連費用や金銭消費貸借契約変更対応費用及び本社移転に関連する損失の非経常的な費用の内、販売費及び一般管理費として計上した金額
(4)当社グループの強み
当社グループの強みは以下のとおりです。
① 「Technology」及び「Consulting」業界での豊富な経験を持つ経営陣
当社グループの経営陣はDXやHR業界における豊富な経験を持つ取締役及び執行役員等により構成され、各人がTechnologyとConsultingに深い造詣を有しているものと考えております。また常勤取締役・執行役員8名の内、6名が大手外資系コンサルティングファーム出身者で構成されていることもあり、顧客のニーズに応えることにこだわる姿勢が全社員の模範となり、結果としてアウトプットの質を追求する当社グループのカルチャーの創造に寄与していると思料しております。
② 人材の獲得力、育成力及び定着性
当社グループのクラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業の売上成長の源泉は従業員数及び1人当たり売上の拡大にあると考えております。そのため当社グループは優秀な人材の確保を重要な経営課題の一つとしており、採用活動、組織体制等の強化を図ってまいりました。近年では新卒者を中心に積極的な採用活動を実施し、DXセグメントにおいて、2017年4月入社12人、2018年4月入社21人、2019年4月入社31人、2020年4月入社41人、2021年4月入社29人と、新型コロナウイルスによる影響を受けた2021年4月入社を除いて順調に獲得ができております。また、中途人材についても同様に、2017年18人、2018年47人、2019年39人、2020年29人と、DXセグメントにおいて優秀な人材を獲得できております。なお、当社の役職別従業員数の推移は下図のとおりです。
(2021年9月30日時点)
(注)1.各期期末時点の国内クラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業における従業員数(契約社員及びインターンは除く)及び使用人兼務役員でない取締役を兼務するManaging Directorの人数(2016年11月期及び2017年11月期に各1名)を集計しております。
2.()内は該当期以前に当社に新卒にて入社した人員数(第二新卒を含む)
また、当社グループでは、クラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業において、顧客のニーズや課題に対しスピーディな開発につなげることができる二刀流人材の育成に取り組んでおります。具体的には、入社間もない時期から新入社員にエンジニア・コンサルタント双方を経験させ、「システム設計・インフラ設計」「システム開発・テスト」「企画・要件定義」「顧客調整」等のテクノロジー及びコンサルティング双方の基礎となるスキルを固めることにより、他社人材と差別化されたスキルセットの習得を図っております。また、一定期間テクノロジー及びコンサルティング双方の経験を積んだ後、得意分野に強いIT人材となるべく、アーキテクト、コンサルタント、プロジェクトマネージャーといったそれぞれの職種を中心とした業務への関わり方へとシフトさせております。このような育成方針を実践し、多くの社員が顧客のニーズや課題にスピーディに対応するスキルセットを持ち合わせることにより、当社グループは顧客のDX促進に取り組んでおります。
こうした人材育成を通して新卒社員が成長することに伴い、当社グループの各プロジェクトのマネージメントを担えるManagerクラス人材を着実にプールできている状況にあります。
③ 最新のデジタルテクノロジーの実装
顧客に付加価値の高いサービスを提供するにあたって、当社グループでは「市場成長性」「市場規模」及び「サービス提供プレイヤーの多寡」の3点から、取り扱うテクノロジーを選定しております。当社グループでは特に、当該テクノロジーやその関連サービスがアーリーアダプター(新技術・サービスにいち早く目をつけて採用する層)に受け入れられた後、アーリーマジョリティ(アーリーアダプターよりは後に、かつ平均よりも早く新技術・サービスを取り入れる層)に受け入れられるまでに存在するハードル、いわゆるキャズム(新サービスを浸透させるために乗り越えるべき溝・障害)を超えた状態にあるかを慎重に見極めております。当社グループの取り扱うテクノロジーは、キャズムを乗り越えた直後には、高い市場成長性、大きな市場規模、及び限定的なサービス提供プレイヤー数の3つの要件を兼ね備えた魅力的な状態にあると考えております。キャズムを超えたテクノロジーの実装をグループ全体で進められることが当社グループの強みの源泉となっており、これまでも下記の様に定期的に新たなテクノロジーを実装した実績を有しております。
④ 安定的な収益を実現する顧客網及び営業手法
当社グループは、創業来顧客のビジネス変革を多面的に支援してきました。顧客の業種を問わずDXをサポートした結果として、当社グループは特定業界に依存せず、サービス業、小売業、及び官公庁等、業種を超えた顧客網を有しており、その多様性を拡大しております。当社グループの過去4期間における顧客業界別売上構成は下図(注1)のとおりです。また、2020年12月期においては、東証一部上場企業からの売上比率は78%超(注2)となっており、優良企業を中心とした顧客ポートフォリオを有するとともに、各業界のリーディングプレイヤーとも強固な関係を築いているものと考えております。
当社グループはこれらの顧客網を維持・拡大するために、対顧客アクションを「リード獲得」「セールスクロージング」「効果実証」「追加受注・単価拡大」の4つのフェーズに分け、各フェーズについて組織的かつ戦略的な対応を行っております。社内外のネットワークと自社主導のマーケティング双方を用いて、案件のタネとなるリードを幅広く獲得し、その中で採算性や当社グループにとっての知見の蓄積という観点からフォーカスした案件をクロージングさせます。また当社グループが得意とするトップライン向上に寄与する攻めのIT案件は、マーケットのニーズにスピーディに対応することが競争力向上に繋がるため、システムリリース後のエンハンス開発も重要と認識しており、当社グループは案件完了後も、顧客とのコミュニケーションを継続しコンサルティングスキルを発揮することで、追加受注を獲得することを目指して活動しております。
上記の戦略的な取組み等により顧客満足度を高めることで、当社グループと継続的に取引を行うリピート顧客の比率(注3)は、87%(2018年11月期)、80%(2019年12月期)及び94%(2020年12月期)と高水準を維持し、2020年12月期において3年超前に売上を計上した顧客からの売上比率(注4)は全体の67%を占めており、既存顧客からの大口案件受注事例も増えております。
また、リピートのみならず、新規の顧客も増加傾向であり、年間1億円未満売上の顧客数及び当該顧客による売上合計、1億円以上売上の顧客数及び当該顧客による売上合計は以下のとおり推移をしております。
(5)経営環境及び中長期的な経営戦略
企業のDXへの取組みは益々進んでおります。2021年7月にIT専門調査会社IDC Japan株式会社が公表した、「2021年国内CIO調査(n=1,500)」によると、DXについて何らかの取り組みを行っている企業が6割を超えており、うち約3割は実践段階にあります(注5)。DXの取組みは、製造、マーケティング、営業/顧客接点といった社内業務の変革に留まらず、企業のビジネスの可能性も広げつつあります。自社のファクトリーオートメーション製品、ロボット製品に機械学習や深層学習の機能を組み込んだものを開発し、提供するケースも見られます。このような取組みにより、他社製品との差別化を図り、売上拡大を狙おうとする企業は、今後も増えてくるものと考えられます。更にDX実現のために欠かせない「データ」を巡る企業の動きも活発化しております。多くの企業で、データの積極的かつ有効な活用がこれからの競争を勝ち抜くための基本であるとの認識が広がっており、データを収集、活用する手段としてのAIやIoTといった技術の導入が進められていると考えております。
こうした環境において、当社グループが属する市場は更なる成長が予想されております。国内DX市場は、IT投資全体の拡大及びIT投資内でのDX投資比率の上昇により継続的に拡大する事が予想されており、その規模は2021年の110億ドルから2025年には265億ドルに、年率24.7%での成長が見込まれております(注6)。ITサービス支出に占めるDX関連支出の割合は、2020年の実績で米国の27%及びグローバル全体の26%に比して日本は16%と相対的に低位に留まっており、今後の拡大余地を裏付けております(注7)。加えて、RPAは国内企業が重視する主要テクノロジーの1つであり(注8)、その市場規模は2019年度の530億円から2023年度には1,520億円に拡大する事が予想されております(注9)。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、人と人の物理的な接触なく業務を遂行する必要性が世間に浸透し、結果としてデジタル化への意識が高まる契機となりました。
このような経営環境を踏まえ、当社グループが属しているDX業界は今後も引き続き伸長していくものと考えており、特にDXセグメントにおけるクラウド・インテグレーションやAIオートメーションに関する取組みは、新型コロナウイルスの感染拡大により世の中のデジタル化への意識が高まったことを踏まえ、企業においてより活発になるものと考えております。また当社グループが注力してきた「攻めのIT」において培った当社グループの強みは、データを積極的に活用して売上拡大を狙おうとする企業が増える今後のDX業界において、ますます顧客から必要とされるものと認識しております。
当社グループは、それらの環境も踏まえ、顧客と共存し、DXを推進してまいります。特に需要が旺盛かつ当社グループの強みを発揮しやすいDXセグメントの収益基盤をより拡大していくことを想定しております。具体的な成長に関する取組みについては以下のとおりであります。
① 需要が旺盛なDXセグメントにおける、更なる人材獲得・育成の強化、及び既存顧客からのリピート売上をベースとしながらの大口案件創出。
② AI・IoT・セキュリティ等の新技術を用いたソリューションの拡大。
③ サブスクリプションやレベニューシェア、ライセンス等による収益モデルの強化。
④ 「BTCエージェント」を活用した当社案件への優先的なフリーランス人材の配置。
中期経営計画としては、上記の取組みの中でも、まずは①のDXセグメントにおける売上成長を着実に成功させた上で、数年後に②や③の取組みの成果により新たなビジネスを創出することを掲げております。
加えて、当社グループは今後も継続的な成長を可能とするために、主要KPIとして、「従業員数」、「従業員一人当たりの売上高」を注視しております。これらKPIの向上にあたり、当社グループは中長期戦略として、Codebaseによるデータ蓄積・開発自動化、ソリューションの他社への横展開・パッケージ化、安定収入源ともなるクラウドリセールビジネスの提供といったこれまで培ってきた経験を活かすこと、ノウハウの知財化・サービス化、及びAI、IoT、新技術等の展開ソリューションを更に拡充させること、同一顧客での多様なビジネス領域のRemodel、Shift、Transformの実績積み上げ(スイッチングコストの向上)等顧客へのクロスセル、アップセルに取り組んでまいります。
(6)対処すべき課題
当社グループが優先的に対処すべき課題は以下の項目と認識しております。
① 優秀な人材の確保
当社グループは、今後の事業拡大には、優秀な人材の確保が経営上の重要な課題であると認識しております。2020年12月期の離職率は9.8%(注10)と低水準と考えておりますが、引き続き、優秀な人材確保のためには、厳しい採用環境の中で他社との差別化、及び優秀な人材のリテンションを図る必要があると認識しており、成長に関する取組みとして掲げているDXセグメントにおける収益基盤強化を実現するためにも、優秀な人材の確保を継続することが必要不可欠と認識しております。このため、「人材こそが最大の武器」というミッションを掲げ、採用戦略を強化するとともに、既存の従業員が当社グループで働くことに誇りを持ち、成長を実感できる環境・制度を提供してまいります。
② 企業認知度の向上、新規顧客の獲得
上述のとおり、当社グループのサービスは今後も拡大の余地があることから、当社グループのサービスの認知度を向上させ、新規顧客を獲得することが今後の成長において必要不可欠であると認識しております。従来、積極的なPR活動に加え、広告宣伝、大手企業との提携によって認知度向上に向けた取組みを実施しておりましたが、今後、これらの活動をより一層推進してまいります。
③ 開発体制の強化
当社グループにおいては、ニアショア開発拠点として札幌オフィスを、オフショア開発拠点としてベトナムに連結子会社を有しておりますが、これらの陣容を拡大するとともに、リモート開発と安定した品質提供を両立するための仕組みを構築し、DXセグメントの収益基盤拡大を実現可能な体制を整備してまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社グループは、顧客のニーズに的確に対応し、成長を重ね、企業価値の更なる向上のため、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化が必要と認識しております。透明性の高い組織経営を行うため、取締役会や監査役会による、内部管理体制の監督を強化し、法令遵守を徹底してまいります。
⑤ SDGsへの取組み
昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、社会課題に向けた取組状況の開示や、目指すべき目標等の当社グループの経営目標への取入れ等により、経営環境や経営戦略を踏まえ、SDGsを当社グループの経営に取り込んでいくことが重要であると認識をしております。
具体的には人材プラットフォームサービスを活用した多様な働き方の推進やDXによる産業と技術革新基盤の構築等、当社グループのサービス提供により目標達成に貢献するとともに、顧客企業が手掛けるSDGs案件についてもビジネスパートナーとして積極的に取り組んでまいります。
⑥ 新規産業への進出
当社グループのビジネスモデルは、特定の産業に依存せず、DXが進んでいない新たな産業においても適用可能なサービスであると考えております。そのため、各産業に対するDX需要を見極め、既存事業・サービスの実績から得た知見を取り入れた新規事業を創出し、当社グループのサービス活用の場を拡大してまいります。
⑦ 地方への事業進出
当社グループにおいては、国内でのシェア拡大を目指すために、首都圏の主要企業のみならず、その他地域におけるサービス提供が重要であると認識しております。2020年1月に西日本オフィス(大阪府大阪市北区)を設立しており、今後も一層のシェア拡大を目指してまいります。
(注)1.2017年11月期から2020年12月期の各期の売上を、顧客が所属する業界でマッピングして集計
2.官公庁・教育・公共サービス業界を除くクラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業の売上を対象としており、東証一部上場企業の連結子会社からの売上についても東証一部上場企業からの売上として算出
3.クラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業売上のうち、それぞれ前年度までに売上を計上した顧客からの売上が売上全体に占める比率
4.2020年12月期のクラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業売上のうち、2017年11月期以前に売上を計上した顧客からの売上が売上全体に占める比率
5.「分からない」という回答を除いて集計
6.IDC「Worldwide Digital Transformation Spending Guide」(2021年10月)
7.IDC「Worldwide Digital Transformation Spending Guide」(2021年10月)
8.一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書~ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2020年度調査)」(2021年3月)における「重視すべきテクノロジー等」に対する回答。重視すべきテクノロジーの1位から3位に挙げられた項目の合計割合において、RPAは全27項目中第3位で計25.6%
9.矢野経済研究所「RPA市場に関する調査(2020年)」(2020年12月7日発表)における「RPA関連サービス」と「RPAツール」の市場規模の合計値、事業者売上高ベース
10.DXセグメントにおいて、2020年12月期初に在籍していた従業員の内、2020年12月期中に離職した割合(国内正社員のみを対象)
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、“DX Accelerator”を経営理念として掲げており、2002年の創業以来、一貫して「Technology」と「Consulting」スキルを融合させ、「人材こそが最大の武器」という考えのもと、顧客が描くビジョンを共有・実現し、その先にある新しい社会の姿をともに創造する「クライアントの真の変革パートナー」を志向しております。
当社グループでは、「Cloud」「AI(人工知能)」「Digital Marketing」「RPA(Robotic Process Automation)」「人材プラットフォーム」のコアサービスを提供することで、高度なテクノロジーの活用と競争を勝ち抜くためのスピードが求められるデジタル時代において、各業界の会社のDXを強力に推し進めていくことを通じて、企業価値の最大化を目指してまいります。
(2)当社グループの使命
上記の経営理念を実現するために、当社グループでは以下を会社の使命として掲げております。
「クライアントが描くビジョンを共有し、それを実現する真のパートナーとして、その先にある新しい社会の姿をともに創造する。」
「価値の源泉である社員が、成長し続けるための最高の環境を提供することで、時代が希求するプロフェッショナルを生み出す。」
(3)目標とする経営指標
当社グループでは、持続的な企業価値の増加を図るために、収益性を重視した経営が必要と認識しております。当社グループの売上高は2017年11月期には3,150,782千円、2018年12月期には4,448,570千円、2019年12月期には6,007,475千円、2020年12月期には6,455,942千円とし、売上高CAGR(2017年11月期⇒2020年12月期)は27.0%(注1)となりました。また、2020年12月期の売上総利益は1,924,413千円、売上総利益率は29.8%、EBITDAは1,099,114千円、EBITDAマージンは17.0%とし、高い収益性を保ちながら成長を続けた結果から、当社グループは大手SIerや有力CIer(注2)に対し、高い成長率と収益性を両立してきたものと考えております。今後も当社グループでは、売上高、売上総利益及びEBITDAを重要な経営指標と認識し、DXセグメントの成長やソリューション拡大による売上総利益率の向上に努めてまいります。また、当社は販売費及び一般管理費の各項目を内部管理上、人件費、採用・教育関連費用、販売・広告関連費用、一般管理費の4つに分類をしており、採用・教育費、販売・広告関連費用、全社プロジェクトに係る人件費を成長投資、コーポレート部門人件費及び一般管理費を固定的費用と考えております。今後、売上対比での固定費割合は減少すると想定するとともに、当該減少分を成長投資に充てることで、一定のマージンを維持しつつ売上成長を目指していきたいと考えております。(注3)
(注1) 2017年11月期及び2018年12月期は、日本基準に基づいて作成された(旧)株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングの数値、2019年12月期及び2020年12月期はIFRSに基づいて作成された当社グループの数値となります。そのため、CAGRの算出にあたっては(旧)株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティングのJGAAPに基づいて作成された2017年11月期売上と当社グループのIFRSに基づいて作成された2020年12月期売上を比較しております。また2018年12月期は13か月であるものの、本計算においては1年として売上高CAGRの計算をしております。
(注2) クラウドインテグレーター。クラウドに特化したシステムインテグレーター。
(注3) 以下、当社内部基準に基づき分類した販売費及び一般管理費内の項目となります。なお、各項目については当社の内部基準に基づき計上をしているため、財務諸表上の各項目の数値とは必ずしも一致するもではございません。
(千円/対売上収益高比率)
2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期3Q累計 | ||||
売上収益 | 6,007,475 | 100% | 6,455,942 | 100% | 5,464,759 | 100% |
人件費 | 235,148 | 3.9% | 514,780 | 8.0% | 442,744 | 8.1% |
採用・教育関連費用 | 130,341 | 2.2% | 145,952 | 2.3% | 105,074 | 1.9% |
販売・広告関連費用 | 34,388 | 0.6% | 23,667 | 0.4% | 10,623 | 0.2% |
一般管理費 (一時費用調整前) | 240,400 | 4.0% | 329,563 | 5.1% | 176,096 | 3.2% |
販売費及び一般管理費 | 640,278 | 10.7% | 1,013,963 | 15.7% | 734,539 | 13.4% |
一時費用(注) | 19,068 | 0.3% | 22,770 | 0.4% | 11,889 | 0.2% |
一般管理費(一時費用調整後) | 221,332 | 3.7% | 306,793 | 4.8% | 164,207 | 3.0% |
販売費及び一般管理費 (一時費用調整後) | 621,210 | 10.3% | 991,193 | 15.4% | 722,649 | 13.2% |
(注)上場関連費用や金銭消費貸借契約変更対応費用及び本社移転に関連する損失の非経常的な費用の内、販売費及び一般管理費として計上した金額
(4)当社グループの強み
当社グループの強みは以下のとおりです。
① 「Technology」及び「Consulting」業界での豊富な経験を持つ経営陣
当社グループの経営陣はDXやHR業界における豊富な経験を持つ取締役及び執行役員等により構成され、各人がTechnologyとConsultingに深い造詣を有しているものと考えております。また常勤取締役・執行役員8名の内、6名が大手外資系コンサルティングファーム出身者で構成されていることもあり、顧客のニーズに応えることにこだわる姿勢が全社員の模範となり、結果としてアウトプットの質を追求する当社グループのカルチャーの創造に寄与していると思料しております。
② 人材の獲得力、育成力及び定着性
当社グループのクラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業の売上成長の源泉は従業員数及び1人当たり売上の拡大にあると考えております。そのため当社グループは優秀な人材の確保を重要な経営課題の一つとしており、採用活動、組織体制等の強化を図ってまいりました。近年では新卒者を中心に積極的な採用活動を実施し、DXセグメントにおいて、2017年4月入社12人、2018年4月入社21人、2019年4月入社31人、2020年4月入社41人、2021年4月入社29人と、新型コロナウイルスによる影響を受けた2021年4月入社を除いて順調に獲得ができております。また、中途人材についても同様に、2017年18人、2018年47人、2019年39人、2020年29人と、DXセグメントにおいて優秀な人材を獲得できております。なお、当社の役職別従業員数の推移は下図のとおりです。
(2021年9月30日時点)
2016年11月期 | 2017年11月期 | 2018年11月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 第3四半期末 | |
Managing Director | 8名 | 9名 | 9名 | 10名 | 10名 | 12名 |
Senior Manager | 9名 | 14名 | 20名 | 20名 | 25名 | 22名 |
Manager | 9名 | 11名 | 17名 | 20名 | 32名 | 42(5)名 |
Senior Consultant | 17名 | 22(1)名 | 31(1)名 | 43(2)名 | 45(7)名 | 42(5)名 |
Consultant | 12名 | 19(5)名 | 19(5)名 | 37(12)名 | 44(17)名 | 63(26)名 |
Analyst他 | 37(17)名 | 34(21)名 | 63(40)名 | 83(57)名 | 101(79)名 | 101(85)名 |
合計 | 92名 | 109名 | 159名 | 213名 | 257名 | 282名 |
(注)1.各期期末時点の国内クラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業における従業員数(契約社員及びインターンは除く)及び使用人兼務役員でない取締役を兼務するManaging Directorの人数(2016年11月期及び2017年11月期に各1名)を集計しております。
2.()内は該当期以前に当社に新卒にて入社した人員数(第二新卒を含む)
また、当社グループでは、クラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業において、顧客のニーズや課題に対しスピーディな開発につなげることができる二刀流人材の育成に取り組んでおります。具体的には、入社間もない時期から新入社員にエンジニア・コンサルタント双方を経験させ、「システム設計・インフラ設計」「システム開発・テスト」「企画・要件定義」「顧客調整」等のテクノロジー及びコンサルティング双方の基礎となるスキルを固めることにより、他社人材と差別化されたスキルセットの習得を図っております。また、一定期間テクノロジー及びコンサルティング双方の経験を積んだ後、得意分野に強いIT人材となるべく、アーキテクト、コンサルタント、プロジェクトマネージャーといったそれぞれの職種を中心とした業務への関わり方へとシフトさせております。このような育成方針を実践し、多くの社員が顧客のニーズや課題にスピーディに対応するスキルセットを持ち合わせることにより、当社グループは顧客のDX促進に取り組んでおります。
こうした人材育成を通して新卒社員が成長することに伴い、当社グループの各プロジェクトのマネージメントを担えるManagerクラス人材を着実にプールできている状況にあります。
③ 最新のデジタルテクノロジーの実装
顧客に付加価値の高いサービスを提供するにあたって、当社グループでは「市場成長性」「市場規模」及び「サービス提供プレイヤーの多寡」の3点から、取り扱うテクノロジーを選定しております。当社グループでは特に、当該テクノロジーやその関連サービスがアーリーアダプター(新技術・サービスにいち早く目をつけて採用する層)に受け入れられた後、アーリーマジョリティ(アーリーアダプターよりは後に、かつ平均よりも早く新技術・サービスを取り入れる層)に受け入れられるまでに存在するハードル、いわゆるキャズム(新サービスを浸透させるために乗り越えるべき溝・障害)を超えた状態にあるかを慎重に見極めております。当社グループの取り扱うテクノロジーは、キャズムを乗り越えた直後には、高い市場成長性、大きな市場規模、及び限定的なサービス提供プレイヤー数の3つの要件を兼ね備えた魅力的な状態にあると考えております。キャズムを超えたテクノロジーの実装をグループ全体で進められることが当社グループの強みの源泉となっており、これまでも下記の様に定期的に新たなテクノロジーを実装した実績を有しております。
サービス名 | 実装年 | サービスの内容 |
オンプレミス独自アーキテクチャ | 2007 | 開発業務を効率化する当社独自の作業プラットフォーム |
デジタルマーケティングCoE | 2015 | CoE:Center of Excellenceの略。重要テーマのノウハウを一部メンバーに集中的に蓄積し迅速に実案件に繋げることを目的として組成したチーム |
RPA CoE | 2016 | 同上 |
クラウドCoE | 2017 | 同上 |
Codebase | 2018 | AIを搭載しバグ検知機能等も備えた、より高度化された当社グループ独自の作業プラットフォーム |
APN Advanced Consulting Partner | 2018 | APN:AWS Partner Networkの略 |
AI CoE | 2019 | CoE:Center of Excellenceの略。重要テーマのノウハウを一部メンバーに集中的に蓄積し迅速に実案件に繋げることを目的として組成したチーム |
Microsoft Partner Gold Cloud Platform | 2021 | Microsoft Azureを利用したサービスの設計・構築に関して専門的な知見と実績を有するパートナー企業を認定する制度 |
セキュリティCoE | 2021 | CoE:Center of Excellenceの略。重要テーマのノウハウを一部メンバーに集中的に蓄積し迅速に実案件に繋げることを目的として組成したチーム |
④ 安定的な収益を実現する顧客網及び営業手法
当社グループは、創業来顧客のビジネス変革を多面的に支援してきました。顧客の業種を問わずDXをサポートした結果として、当社グループは特定業界に依存せず、サービス業、小売業、及び官公庁等、業種を超えた顧客網を有しており、その多様性を拡大しております。当社グループの過去4期間における顧客業界別売上構成は下図(注1)のとおりです。また、2020年12月期においては、東証一部上場企業からの売上比率は78%超(注2)となっており、優良企業を中心とした顧客ポートフォリオを有するとともに、各業界のリーディングプレイヤーとも強固な関係を築いているものと考えております。
当社グループはこれらの顧客網を維持・拡大するために、対顧客アクションを「リード獲得」「セールスクロージング」「効果実証」「追加受注・単価拡大」の4つのフェーズに分け、各フェーズについて組織的かつ戦略的な対応を行っております。社内外のネットワークと自社主導のマーケティング双方を用いて、案件のタネとなるリードを幅広く獲得し、その中で採算性や当社グループにとっての知見の蓄積という観点からフォーカスした案件をクロージングさせます。また当社グループが得意とするトップライン向上に寄与する攻めのIT案件は、マーケットのニーズにスピーディに対応することが競争力向上に繋がるため、システムリリース後のエンハンス開発も重要と認識しており、当社グループは案件完了後も、顧客とのコミュニケーションを継続しコンサルティングスキルを発揮することで、追加受注を獲得することを目指して活動しております。
上記の戦略的な取組み等により顧客満足度を高めることで、当社グループと継続的に取引を行うリピート顧客の比率(注3)は、87%(2018年11月期)、80%(2019年12月期)及び94%(2020年12月期)と高水準を維持し、2020年12月期において3年超前に売上を計上した顧客からの売上比率(注4)は全体の67%を占めており、既存顧客からの大口案件受注事例も増えております。
また、リピートのみならず、新規の顧客も増加傾向であり、年間1億円未満売上の顧客数及び当該顧客による売上合計、1億円以上売上の顧客数及び当該顧客による売上合計は以下のとおり推移をしております。
2017年11月期 | 2018年11月期 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | |
1億円未満売上の顧客数(社) | 56 | 69 | 88 | 107 |
1億円未満売上顧客による売上合計額(億円) | 9 | 12 | 18 | 16 |
1億円以上売上の顧客数(社) | 4 | 9 | 12 | 14 |
1億円以上売上顧客による売上合計額(億円) | 17 | 22 | 33 | 38 |
(5)経営環境及び中長期的な経営戦略
企業のDXへの取組みは益々進んでおります。2021年7月にIT専門調査会社IDC Japan株式会社が公表した、「2021年国内CIO調査(n=1,500)」によると、DXについて何らかの取り組みを行っている企業が6割を超えており、うち約3割は実践段階にあります(注5)。DXの取組みは、製造、マーケティング、営業/顧客接点といった社内業務の変革に留まらず、企業のビジネスの可能性も広げつつあります。自社のファクトリーオートメーション製品、ロボット製品に機械学習や深層学習の機能を組み込んだものを開発し、提供するケースも見られます。このような取組みにより、他社製品との差別化を図り、売上拡大を狙おうとする企業は、今後も増えてくるものと考えられます。更にDX実現のために欠かせない「データ」を巡る企業の動きも活発化しております。多くの企業で、データの積極的かつ有効な活用がこれからの競争を勝ち抜くための基本であるとの認識が広がっており、データを収集、活用する手段としてのAIやIoTといった技術の導入が進められていると考えております。
こうした環境において、当社グループが属する市場は更なる成長が予想されております。国内DX市場は、IT投資全体の拡大及びIT投資内でのDX投資比率の上昇により継続的に拡大する事が予想されており、その規模は2021年の110億ドルから2025年には265億ドルに、年率24.7%での成長が見込まれております(注6)。ITサービス支出に占めるDX関連支出の割合は、2020年の実績で米国の27%及びグローバル全体の26%に比して日本は16%と相対的に低位に留まっており、今後の拡大余地を裏付けております(注7)。加えて、RPAは国内企業が重視する主要テクノロジーの1つであり(注8)、その市場規模は2019年度の530億円から2023年度には1,520億円に拡大する事が予想されております(注9)。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、人と人の物理的な接触なく業務を遂行する必要性が世間に浸透し、結果としてデジタル化への意識が高まる契機となりました。
このような経営環境を踏まえ、当社グループが属しているDX業界は今後も引き続き伸長していくものと考えており、特にDXセグメントにおけるクラウド・インテグレーションやAIオートメーションに関する取組みは、新型コロナウイルスの感染拡大により世の中のデジタル化への意識が高まったことを踏まえ、企業においてより活発になるものと考えております。また当社グループが注力してきた「攻めのIT」において培った当社グループの強みは、データを積極的に活用して売上拡大を狙おうとする企業が増える今後のDX業界において、ますます顧客から必要とされるものと認識しております。
当社グループは、それらの環境も踏まえ、顧客と共存し、DXを推進してまいります。特に需要が旺盛かつ当社グループの強みを発揮しやすいDXセグメントの収益基盤をより拡大していくことを想定しております。具体的な成長に関する取組みについては以下のとおりであります。
① 需要が旺盛なDXセグメントにおける、更なる人材獲得・育成の強化、及び既存顧客からのリピート売上をベースとしながらの大口案件創出。
② AI・IoT・セキュリティ等の新技術を用いたソリューションの拡大。
③ サブスクリプションやレベニューシェア、ライセンス等による収益モデルの強化。
④ 「BTCエージェント」を活用した当社案件への優先的なフリーランス人材の配置。
中期経営計画としては、上記の取組みの中でも、まずは①のDXセグメントにおける売上成長を着実に成功させた上で、数年後に②や③の取組みの成果により新たなビジネスを創出することを掲げております。
加えて、当社グループは今後も継続的な成長を可能とするために、主要KPIとして、「従業員数」、「従業員一人当たりの売上高」を注視しております。これらKPIの向上にあたり、当社グループは中長期戦略として、Codebaseによるデータ蓄積・開発自動化、ソリューションの他社への横展開・パッケージ化、安定収入源ともなるクラウドリセールビジネスの提供といったこれまで培ってきた経験を活かすこと、ノウハウの知財化・サービス化、及びAI、IoT、新技術等の展開ソリューションを更に拡充させること、同一顧客での多様なビジネス領域のRemodel、Shift、Transformの実績積み上げ(スイッチングコストの向上)等顧客へのクロスセル、アップセルに取り組んでまいります。
(6)対処すべき課題
当社グループが優先的に対処すべき課題は以下の項目と認識しております。
① 優秀な人材の確保
当社グループは、今後の事業拡大には、優秀な人材の確保が経営上の重要な課題であると認識しております。2020年12月期の離職率は9.8%(注10)と低水準と考えておりますが、引き続き、優秀な人材確保のためには、厳しい採用環境の中で他社との差別化、及び優秀な人材のリテンションを図る必要があると認識しており、成長に関する取組みとして掲げているDXセグメントにおける収益基盤強化を実現するためにも、優秀な人材の確保を継続することが必要不可欠と認識しております。このため、「人材こそが最大の武器」というミッションを掲げ、採用戦略を強化するとともに、既存の従業員が当社グループで働くことに誇りを持ち、成長を実感できる環境・制度を提供してまいります。
② 企業認知度の向上、新規顧客の獲得
上述のとおり、当社グループのサービスは今後も拡大の余地があることから、当社グループのサービスの認知度を向上させ、新規顧客を獲得することが今後の成長において必要不可欠であると認識しております。従来、積極的なPR活動に加え、広告宣伝、大手企業との提携によって認知度向上に向けた取組みを実施しておりましたが、今後、これらの活動をより一層推進してまいります。
③ 開発体制の強化
当社グループにおいては、ニアショア開発拠点として札幌オフィスを、オフショア開発拠点としてベトナムに連結子会社を有しておりますが、これらの陣容を拡大するとともに、リモート開発と安定した品質提供を両立するための仕組みを構築し、DXセグメントの収益基盤拡大を実現可能な体制を整備してまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社グループは、顧客のニーズに的確に対応し、成長を重ね、企業価値の更なる向上のため、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化が必要と認識しております。透明性の高い組織経営を行うため、取締役会や監査役会による、内部管理体制の監督を強化し、法令遵守を徹底してまいります。
⑤ SDGsへの取組み
昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、社会課題に向けた取組状況の開示や、目指すべき目標等の当社グループの経営目標への取入れ等により、経営環境や経営戦略を踏まえ、SDGsを当社グループの経営に取り込んでいくことが重要であると認識をしております。
具体的には人材プラットフォームサービスを活用した多様な働き方の推進やDXによる産業と技術革新基盤の構築等、当社グループのサービス提供により目標達成に貢献するとともに、顧客企業が手掛けるSDGs案件についてもビジネスパートナーとして積極的に取り組んでまいります。
⑥ 新規産業への進出
当社グループのビジネスモデルは、特定の産業に依存せず、DXが進んでいない新たな産業においても適用可能なサービスであると考えております。そのため、各産業に対するDX需要を見極め、既存事業・サービスの実績から得た知見を取り入れた新規事業を創出し、当社グループのサービス活用の場を拡大してまいります。
⑦ 地方への事業進出
当社グループにおいては、国内でのシェア拡大を目指すために、首都圏の主要企業のみならず、その他地域におけるサービス提供が重要であると認識しております。2020年1月に西日本オフィス(大阪府大阪市北区)を設立しており、今後も一層のシェア拡大を目指してまいります。
(注)1.2017年11月期から2020年12月期の各期の売上を、顧客が所属する業界でマッピングして集計
2.官公庁・教育・公共サービス業界を除くクラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業の売上を対象としており、東証一部上場企業の連結子会社からの売上についても東証一部上場企業からの売上として算出
3.クラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業売上のうち、それぞれ前年度までに売上を計上した顧客からの売上が売上全体に占める比率
4.2020年12月期のクラウド・インテグレーション事業及びAIオートメーション事業売上のうち、2017年11月期以前に売上を計上した顧客からの売上が売上全体に占める比率
5.「分からない」という回答を除いて集計
6.IDC「Worldwide Digital Transformation Spending Guide」(2021年10月)
7.IDC「Worldwide Digital Transformation Spending Guide」(2021年10月)
8.一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書~ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2020年度調査)」(2021年3月)における「重視すべきテクノロジー等」に対する回答。重視すべきテクノロジーの1位から3位に挙げられた項目の合計割合において、RPAは全27項目中第3位で計25.6%
9.矢野経済研究所「RPA市場に関する調査(2020年)」(2020年12月7日発表)における「RPA関連サービス」と「RPAツール」の市場規模の合計値、事業者売上高ベース
10.DXセグメントにおいて、2020年12月期初に在籍していた従業員の内、2020年12月期中に離職した割合(国内正社員のみを対象)