有価証券報告書-第79期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
(1) 会社経営の基本方針
当社は、「信頼と誠実」を社是とし、「安全」、「堅牢」、「融通性」という基本コンセプトを守りながら、お客様の安全・安心を第一に、質実堅牢な製品づくりで「お客様の声」に応え続けていくことを経営方針としております。具体的には、次の全社活動方針を掲げて、製品品質の維持・向上を重点課題として取り組んでおります。
① 原価低減と生産性向上に向けた活動の推進
② 特色ある製品や仕組み、サービスの創造
③ 安定した製品品質と故障の削減
④ 労働災害ゼロ活動の推進
⑤ 情報システム、データの利活用推進
(2) 経営上の目標を達成するための客観的な指標等
当社では、持続的な成長と収益性の向上を図ることで企業価値を高めていくことが経営上の重要課題であると認識しており、売上高総利益率及び売上高営業利益率を主要な指標と位置付けております。
(3) 経営環境
一般社団法人日本エレベーター協会刊行「ElevatorJournalNo.55 2025.8」によると、2024年度の国内におけるエレベーター(ホームエレベーターを除く。)の新規設置台数は、建設業における2024年問題の影響等により、前年度比4.5%減の19,563台、建物用途別では、当社の主な顧客である工場・倉庫向けエレベーターは同比7.6%減の2,222台、当社の主要製品である荷物用エレベーターは同比8.2%減の1,236台となりました。保守台数については、累積設置台数の増加に伴って、同比2.0%増の687,078台となりました。工場・倉庫向けの荷物用エレベーターについては、eコマース市場の拡大等を背景とした物流施設に対する投資意欲は、引き続き底堅く推移すると見込んでおり、保守・修理に対する需要の継続的な増加と合わせて、当社のビジネス機会にプラスとなるものと判断しております。
船舶用エレベーターについては、造船市況の影響を受けますが、海運市況の改善などから新造船への需要は回復してきております。また、環境負荷が低いアンモニアや水素を燃料とする次世代船などへのニーズもあり、船舶用エレベーターに対する潜在的な需要は大きいものと判断しております。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
エレベーター業界の大手各社がグローバルな生産・販売体制を敷いてインド・東南アジアを中心に積極的な海外展開を図っている状況のなか、当社といたしましては、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業並びに国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高める方針としております。今後は経営環境等を踏まえ、次の「事業戦略」を展開して持続的な成長と企業価値の向上の実現を目指してまいります。
① 荷物用エレベーターの販路拡大に努めます。
荷物用エレベーターの販売における主要な取引先は物流施設・倉庫関連ですが、顧客ニーズの多様化を受けて、製造業の工場やデータセンター・都市再開発案件など、周辺領域からの受注が増加しております。荷物用エレベーターの販路拡大は、その後の保守・修理や入替といったリピート需要の増加にもつながることから、さらなる営業強化に努めてまいります。
② 船舶用エレベーターの販売拡大を図ります。
造船業は、日本政府の総合経済対策における重点戦略の一つとして、今後積極的な支援が期待されるとともに、環境対策や世界的な物流量の回復に伴って新造船への投資需要が高まることが見込まれることから、荷物用エレベーターの実績・ノウハウを活かした新製品の開発や設計部門の増強などの施策を講じて、船舶用エレベーターの拡販を図ってまいります。
③ 自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働を確保するための「予防保全」を積極的に提案し、保守・修理売上高の拡大に努めます。
近年、社会インフラの老朽化・脆弱性に対する危機意識の高まりを受けて、当社のお取引先からもエレベーターの稼働停止に伴う業務停滞リスクを回避するためのメンテナンスニーズが増加しております。当社の保守契約エレベーターの点検・稼働状況などの最新情報をデータベース化したうえで、計画的な修理対応を積極的にご提案することにより、故障・不具合による稼働停止を未然に防止するとともに、保守・修理売上のさらなる増加を図ってまいります。
④ 生産・技術力の高度化とデジタル活用により、コスト競争力の強化を図ります。
既存事業の収益力向上には、売上の拡大とともに、コスト競争力のさらなる強化が重要と考えております。当社は、2025年12月に製品開発拠点等の建設用地として取得した土地・建物(仮称:福浦第2工場)を活用して、生産体制の最適化を図るとともに、製品品質の向上とコストダウンを両立するための研究開発を加速してまいります。また、本社工場内のテストタワーに加えて、当該敷地に「第2テストタワー」の建設(2029年3月期末に竣工予定)を計画していきます。併せて、最新のデジタル技術を積極的に取り入れて、デジタル基盤の強化、保守サービスの高度化、顧客接点のデジタル化などを推進してまいります。
⑤ 荷物用エレベーターの横展開を目指した新規事業への種まきを積極的に推進します。
当社の主力製品である中・大型荷物用エレベーターで培ってきた技術力と販売力を活かして、高機能・超大型など、当社ならではの高付加価値製品の販売を強化するとともに、新たな領域として人荷用エレベーターなどの開発・販売にも着手してまいります。また、物流施設や工場の自動化の進展を見据え、次世代エレベーター機能や、搬送ロボットなどとの連携を視野に入れた製品・技術の開発も検討してまいります。
⑥ 持続的な企業価値向上に資する人材の確保・育成に努めます。
持続的な企業価値向上において、人材は最大の資産であると考え、人材の確保・育成に向けて、積極的な投資を行ってまいります。人材の確保については、既存事業を支える人材とともに、DX・AIなどの成長領域に必要となる専門性の高い人材の確保に努めていきます。併せて、これまで培ってきた技術力・専門性の継承を進めつつ、将来のマネジメントを担う次世代リーダーの育成に向けた、中長期視点での人材育成体系の構築など、人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では「事業戦略」の推進に注力するとともに、次の経営課題に対処してまいります。
① 資材等の安定的な調達と販売価格見直しによるコストアップの吸収
国内外の複数の調達先との取引関係を強化して、安定的な資材調達ができる体制を確保してまいります。輸入資材を含む資材価格の上昇、外注費や運搬費、従業員人件費の上昇等を、企業努力により吸収することができない場合には、販売価格の見直しを検討してまいります。
② (仮称)福浦第2工場の活用
2025年12月に取得した仮称:福浦第2工場を活用して、工場の生産機能の最適化を進めるとともに、本社工場周辺に点在している倉庫を整理・集約することで、生産の効率化を図ってまいります。
③ リニューアル需要(保全修理・入替)案件への対応強化
インフラ・各種施設の老朽化に対するリスク管理意識が高まる中で、当社の保守契約先に対して計画的な「保全修理」の提案を、引き続き積極的に行うことにより、自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働の確保に取り組んでまいります。また、中長期的に潜在需要が見込まれる入替案件の受注にも取り組んでまいります。
④ 人材の確保・育成
持続的な企業価値向上において人材は最大の資産であり、優秀な人材の確保とその育成に取組んでまいります。具体的には、ベースアップ(4年連続)等により、従業員の待遇改善を図るとともに、技術研修部(2024年4月設置)において従業員の基礎教育研修に力を入れています。また、2025年3月期に続き、2026年3月期も教育・採用担当者の増員を行うなど、新卒・中途の積極的な採用を更に進めております。