有価証券報告書-第14期(2025/01/01-2025/12/31)

【提出】
2026/03/23 16:30
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121項目

有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針について
当社は、企業理念として次の「Mission」「Vision」「Value」を掲げております。
Mission「ひとを幸せにする」
Vision「私たちは在宅療養に新しい価値の創造を行い、すべての人が安心して暮らせる社会を実現します」
Value「(Be a challenger:努力と挑戦を続け、成長し続けます。)
(Be innovative:新しいことを追求し、新たな価値を創造し続けます。)
(Be sincere:真心をもって誠実にひとに向き合い、信頼に溢れる豊かな人生を築きます。)
(Be positive:物事を自分事として捉え、何事もチャンスと解釈し、前進させます。)
(Be professional:法と秩序を守り、ひとに安心と感動を与えるプロ集団を目指します。)」
(2)経営戦略について
今後の方向性は、「クラウドサービス」の市場シェアの拡大、および「BPaaS」「けあログっと」の拡大により訪問看護市場におけるプラットフォーマーとしての地位の確立を目指します。
また、主力サービスで得られる情報を匿名加工情報(特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報)として活用することでPHR(注)を活用したデータビジネス(地域包括ケア事業)につなげ、当社の事業領域の拡大と企業価値の向上を図ってまいります。
当社の事業領域は、療養治療・観察の慢性期医療と終末期医療分野という、長期的で継続的な医療・介護分野です。現在はiBowを中心に在宅療養の核となる訪問看護ステーションに向けた業務支援システムとBPaaSを提供しております。日本では、医療・介護・健康分野の情報化として、PHRを中心とした医療データの利活用が推進されております。当社においてもこのPHR情報を地域包括ケアシステムの中に取り込み、患者を中心とした関係者が、安全で安心して情報共有ができる仕組みの構築と提供を考えております。
また、2021年より開始している在宅治験支援をはじめ、在宅医療データの活用による第3のサービスの確立が当社のさらなる成長に大きく貢献すると考えております。
(注)パーソナルヘルスレコードの略語であり、個人の健康・医療・介護に関する情報のことを指します。
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(3)経営戦略上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業規模と収益性を測る指標として、売上高および営業利益を重視しております。
また、主力サービス「iBow」においては、サブスクリプション型のサービスを提供しているため、当社がサービスを提供する稼働ステーション数の増大、市場シェアの拡大、月次平均解約率の低減および顧客平均単価の向上を重要な経営指標としております。複合サービスを展開し、市場シェアの拡大、満足度の向上(解約率の低位安定)、顧客単価向上の循環が当社のサステナブルな成長の基礎と考えております。
(4)経営環境について
当社の顧客である訪問看護ステーションは、1992年に老人保健法等の一部改正により新設された老人訪問看護ステーションから指定老人訪問看護が始まり、1994年の健康保険法等の一部改正で創設された訪問看護ステーションから高齢者以外の在宅療養者にも指定訪問看護が提供されることとなり、以降、指定訪問看護事業所は「老人」をとり「訪問看護ステーション」となっております。
2000年の介護保険制度施行後は、訪問看護が介護保険制度の居宅介護サービスのひとつとして位置付けられ、要介護認定者等にも訪問看護を提供することになり、2006年には要支援者に対する訪問看護は予防給付の「介護予防訪問看護」と区分され、介護給付の「訪問看護」とは区別され今日に至っております。
また、2011年には「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が制定され、地域包括ケアシステムの実現に向けて、医療ニーズを伴う要介護者への介護・看護一体的提供の推進が開始されました。
その後2014年に、団塊の世代が75歳以上となり医療・介護需要の急増が予測される「2025年問題」への対応として、訪問看護が目指す姿と、訪問看護事業者・事業所・職員等が取り組むべき事項等をまとめた「訪問看護アクションプラン 2025」を、訪問看護推進連携会議が策定・公表し、地域医療構想や地域包括ケアシステムの構築等、医療・介護提供体制に関する政策が進められ、訪問看護ステーションは、その役割の拡大とともに、着実に増加してまいりました。
さらに2040年には、団塊の世代が90歳以上に、団塊ジュニア世代が65歳以上となり少子高齢・多死時代のピークを迎えます。高齢者、特に85歳以上の人口が急増し、要介護者や医療と介護の両方を必要とする人が大幅に増加すると見込まれており、その結果、在宅で医療的ケアを受ける人が増加し、訪問看護の需要は継続的に拡大すると予想されます。
また、医療機器を使用しながら生活する人や重度障がい児、認知症高齢者等、在宅療養者のニーズは多様化・複雑化しており、訪問看護の役割は一層重要になることが見込まれます。
一方で、地域によっては支援者不足が深刻化しており、訪問看護体制の整備と強化が急務となっています。
こうした状況を踏まえ、訪問看護推進連携会議は、訪問看護サービスの質の向上、地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進を目指す「2040年に向けた訪問看護のビジョン」を2025年に策定・公表し、全世代型の社会保障の構築が進められております。
このような社会情勢の変化において、訪問看護制度は、乳幼児から高齢者まで家族も含めて、医師と連携しながらの疾病や障がいの悪化防止、病院等からの在宅移行支援、在宅療養生活支援(24時間体制で緊急対応も含む。)、エンドオブライフケアの役割を担います。予防・医療・介護機能を合わせもち生活支援を行う看護は地域包括ケアシステムの要となっており、その役割は今後においても一層重要性を増し、需要が拡大するものと考えられます。
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日本国内においては、少子高齢化が進み、就業人員の減少が見込まれるなか、試算通りの看護師等の確保が可能であると楽観視できないものと当社は考えております。一方、需要は伸びていく状況にあるため、当社は当社のシステムやサービスを提供することで、一人一人の訪問看護師等が効率的に業務を進めることができる状況を作り出し、訪問看護師が増えない状況を、一人当たりの訪問件数を増加させることでカバーすることにより、この需給問題の解決になるのではと考えております。
また、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師等の受入れが一般的になり、訪問看護ステーションにおいても就業されるようなことが生じたときには、当社の「iBow」も多言語化への対応等が必要になってくると考えております。
(5)社会ニーズの高まる訪問看護市場の拡大
訪問看護ステーションは、介護保険と医療保険の利用者に訪問看護を提供し、両保険に対する請求に基づき報酬が支払われております。介護給付費と医療費の割合でみると、10,255億円のうち介護給付費が4,528億円(44.2%)、医療費が5,727億円(55.8%)になっており、年々医療費割合が増加し、訪問看護への支払額は、14年間で約4.6倍に拡大しております。
・訪問看護業界における医療費と介護給付費
(単位:億円)
年度20102011201220132014201520162017201820192020202120222023
合 計2,2142,3762,6822,9403,2823,6894,1554,6665,2155,8246,6827,6528,57010,255
医療費7408089561,0861,2561,4851,7422,0232,3552,7273,2543,9294,6335,727
介護
給付費
1,4741,5681,7261,8542,0262,2042,4132,6432,8603,0973,4283,7233,9374,528

(出所:医療費は厚生労働省「国民医療費の概況」(2010年~2023年)、介護給付費は同省「介護給付費等実態統計」(2010~2023年)、合計は当社集計)
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①市場環境および顧客ニーズにタイムリーに対応できる開発体制の強化
当社は創業以来、「世にある物は活用し、世にない物を作りだす」を合言葉に、訪問看護ステーション向け業務支援システム「iBow」を提供してまいりました。今後さらなる市場スケールの拡大に対応するため、開発体制の強化が必要と考えております。そのため開発人材の確保が必須と考えており、継続的な開発人員の採用活動および人材教育を実施し、開発体制の強化に取り組む方針であります。
②内部管理体制の強化による事業基盤強化
当社は、業務運営の効率化やコーポレート・ガバナンス、リスクマネジメントのための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。引き続き経営の公平性や透明性を確保するために内部統制の実効性を高め、内部管理体制の強化に取り組み、事業基盤の整備を強化してまいります。
③システム信頼性の継続的な維持や品質の向上、設備環境の強化
当社は、顧客に安心して当社サービスを利用していただくためには、システム稼働の安定化が重要な課題であると認識しております。セキュリティ・開発・保守管理体制の整備は不可欠であり、今後も引き続き投資を行い、システムの継続的な安定化、品質の向上に取り組む方針であります。
④サステナビリティへの推進
当社の事業そのものがサステナビリティの3つの柱である「環境保護」、「社会開発」、「経済発展」に該当すると考えております。当社が提供するサービスは、紙カルテから電子カルテへ、レセプトの電子化による請求処理事務の効率化によりペーパーレスを促進し、環境保護に貢献しております。また、当社サービスを使用することで訪問看護ステーションの業務効率向上が図れることや、「iBow」に蓄積された膨大な在宅医療データを活用した事業への参入をすることで、社会サービスを改善し社会開発に貢献いたします。そして、訪問看護にかかる複合サービスを展開し、市場シェアの拡大、満足度の向上、顧客単価向上の循環によって、当社の経済発展につなげてまいります。
⑤人的資本戦略
当社は現在、成長段階にあると認識しており、今後の事業拡大には継続的に優秀な人材の確保と既存人材の育成を行う必要があると考えております。訪問看護知識の習得のため、日本訪問看護財団の「訪問看護eラーニング」の受講やDX推進に向けた情報処理推進機構の「ITパスポート試験」の資格取得、その他必要な研修制度を充実させ、人材開発の強化を進めてまいりました。今後も引き続き人的資本の持続的高度化を図るため、働きやすい職場環境の整備および人材開発の強化に取り組んでまいります。

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