有価証券報告書-第26期(2024/01/01-2024/12/31)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は以下のMission、Vision及びValueを掲げております。

アイビスはモバイルに精通した技術者集団
イラストは 言語も 民族も 宗教も ジェンダーも関係ない
モバイルペイントアプリで世界のコミュニケーションを創造する

アイビスは世界での Made in Japan のプレゼンスを上げていく

高い技術のエキスパート集団
最新の技術を習得し続け、高度な技術のエキスパート集団で
あるという自覚を持ち、社会の課題を解決する
スピーディな意思決定と実行
スピーディに動作するソフトウェアを開発するのみならず、スピーディに意思決定を行い実行する
継続的なチャレンジ
スピードを緩めることなくチャレンジし続けることにより、新しい価値を創り出す
(2) 経営環境
<モバイル事業>2024年は社会活動や経済活動がさらに回復し、企業の成長や消費の回復が見られる一方で、物価の変動や賃金の伸び悩みなど、依然として課題も残る年となりました。しかし、全体的には経済の安定化に向けた動きが進んでいるといえます。当社の主要サービスである「ibisPaint」を含むモバイル向けアプリ市場規模は、日本だけでなく世界においても年々拡大し、総務省が公表する令和6年版情報通信白書によると、2016年以降も依然として右肩上がりで推移しており、2025年以降も拡大していく予測がされております。また、2024年の広告市場は、引き続き経済の回復とともに成長を見せており、その中でインターネット広告費は他のメディアと比較して高い成長率を記録しています(株式会社電通「2024年 日本の広告費」)。モバイル向けアプリ市場の拡大と相まって、今後も広告市場はさらに成長すると予測されております。
当社のアプリは累計93.7%が海外からのダウンロードですが、同市場においては、発展途上段階や人口増加の国も多数あり、「ibisPaint」にはまだまだ多くの未開拓ユーザーが全世界に存在すると考えております。
当社は市場の大きさを以下に想定しております。
a.ネット広告市場
(注)1.TAM(Total Addressable Market)獲得可能な最大市場規模のこと。
2.当社売上高実績は2024年12月期の数値(以下、同様)。
3.ネット広告市場(国内)におけるTAMの額596億円は、株式会社電通が発表した調査レポート「2023年 日本の広告費」上での2023年の「インターネット広告媒体費」2兆6,870億円のうち、ディスプレイ広告7,701億円・動画広告6,860億円・成果報酬型広告732億円、以上合計1兆5,293億円に、総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書(第Ⅱ部第1章第11節)」上でのスマートフォンの保有割合78.9%、及び経済産業省が発表した調査レポート「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」上での2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 ⦆ ⑤その他」の割合5.0%の乗算結果3.9%を掛けて算出。又、ターゲット市場の額66億円は、2022/3/25~2022/3/28に株式会社クロス・マーケティング経由で実施した日本でのイラストアプリに関するアンケート調査上で、母集団(N=5,154)のうち、デジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をネット広告市場(国内)におけるTAMの額に掛けて算出。
4.ネット広告市場(海外)におけるTAMの額5,106億円は、International Market Analysis Research and Consulting Groupが発表した「In-app Advertising Market Report by Advertising Type, Platform, Application, and Region 2024-2032」25兆6,518億円(USD 163.2billion。円へは2024年12月31日時点のTTB157.18円で換算)に、便宜上、(注)3の2023年の「インターネット広告媒体費」に対する前述の媒体費3種類の割合57.0%、及び乗算結果3.9%を掛けて算出した額5,702億円から国内のTAMの額596億円を差し引いて算出。又、ターゲット市場の額567億円は、前述のデジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をネット広告市場(海外)におけるTAMの額に掛けて算出。
b.アプリ販売市場
(注)5.アプリ販売市場(国内)におけるTAMの額1,038億円は、経済産業省が発表した調査レポート「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」上での2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 ⦆ ⑤その他」1,316億円に、総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書(第Ⅱ部第1章第11節)」上でのスマートフォンの保有割合78.9%を掛けて算出。又、ターゲット市場の額115億円は、(注)3のデジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をアプリ販売市場(国内)におけるTAMの額に掛けて算出。
6.アプリ販売市場(海外)におけるTAMの額1兆1,787億円は、International Market Analysis Research and Consulting Groupが発表した「In-app Advertising Market Report by Advertising Type, Platform, Application, and Region 2024-2032」25兆6,518億円(USD 163.2 billion。円への換算方法は(注)4と同じ)から、便宜上、(注)3の2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 ⦆ ⑤その他」の割合5.0%を掛けて算出した額1兆2,826億円から国内のTAMの額1,038億円を差し引いて算出。又、ターゲット市場の額1,308億円は、(注)3と同様、デジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をアプリ販売市場(海外)におけるTAMの額に掛けて算出。
<ソリューション事業>2019年3月に経済産業省が公表したIT人材需給に関する調査によると、IT人材の供給数は減っていく一方で、需要数が高まることから需給ギャップが拡がり、2030年には約41万人から79万人のIT人材不足が生じると見られております。2024年においては、コロナ禍からの回復が進み、世界的な経済の安定化が見られる中で、企業のシステム投資需要も引き続き堅調に推移しています。このため、中長期的に市場はさらに拡大していくものと考えております。
また、日本企業において経済産業省が推進する「DX化」というトレンドがあります。特に業務の効率化、働き方改革などでは「スマホ化」の需要は一段と増えております。さらに受託開発に目を向けると、大手企業からのロボティクス案件などもあり、これからも当社の最新技術思考が顧客にアピールできると考えております。PCから「スマホ×DX化」という相乗効果による追い風を受けて、アプリ開発市場は持続的に拡大していくものと考えられます。
(注)7.受託開発市場におけるTAMの額10兆4,177億円は、総務省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」上での2023年の市場規模の内、「受注ソフトウェア」の額より抜粋。又、ターゲット市場の額6兆8,131億円は、経済産業省が発表した「平成30年特定サービス産業実態調査(経済産業省)」上の当社の事業所が存在する都道府県の「受注ソフトウェア開発」の年間売上高(東京都4兆7,585億円、愛知県6,245億円、大阪府1兆4億円)の合計の額6兆3,834億円を「受注ソフトウェア開発」の年間売上高9兆7,661億円で除して算出した割合65.4%をTAMの額に掛けて算出。
8.IT技術者派遣市場におけるTAMの額1兆4,413億円は、厚生労働省が発表した「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」上の情報処理・通信技術者1日当たりの平均派遣料金32,871円を×20日×12ヶ月として算出した額と「労働者派遣事業の令和5年6月1日現在の状況」上の情報処理・通信技術者派遣労働者数182,701人を積算して算出。又、ターゲット市場の額1兆780億円は、前述の一つ目の資料上の当社の事業所が存在する都道府県の年間売上高(南関東3兆8,979億円、東海1兆2,846億円、近畿1兆3,709億円)の合計の額6兆5,534億円を労働者派遣事業に係る総売上高8兆7,646億円で除して算出した割合74.8%をTAMの額に掛けて算出。
(3) 経営戦略
<モバイル事業>モバイル事業は、特にアプリ課金市場においては、ターゲット市場に対して売上規模がまだまだ小さく、当面は世界的なマーケットで売上拡大に注力するステージであると考えております。
① サブスクリプション本格強化
同事業におけるBtoCビジネスにおける収益源としましては、広告非表示機能を含む追加機能や追加素材、追加ストレージ等の利用が可能となるサブスクリプション(定額課金)型のプレミアム会員サービスと、アプリ上の広告が非表示となる売切型アプリの2種類の方法があります。これまでは累計ダウンロード数の増加=広告ビジネスにおける収益を最重視しておりましたが、今後は、サブスク予備軍200万人(注)9に対して、プレミアム会員サービスへの誘導を強化するプロモーション策を実施し、同サービス経由での売上も増加させることにより、同事業内において、市況の影響を直接受けやすい広告ビジネスの売上に過度に依拠しないような収益構造を目指し、リスク分散してまいります。
(注)9.サブスク予備軍とは、無料広告ユーザーのうち、課金率が5%(業界平均3~10%)となる場合のユーザー数と定義。
② プロマーケット開拓本格強化
「ibisPaint」はモバイルペイントアプリのNo.1ブランドだからこそ、PC版も使いたい既存ユーザーが多数存在したため、2022年6月にWindows版をリリースし、随時、機能拡充を行ってまいりました。当初は売切型のみ販売しておりましたが、2024年3月にはサブスクリプション型の提供を開始しております。また、クリエイターの求める機能を引き続き搭載するなど、機能を拡張し続けることで、将来的にプロのクリエイター向けマーケットへの本格的参入も想定しております。1年以内には待望のMac版をリリース予定で、全デバイスで「ibisPaint」ブランドを確立し、新たな収入源を獲得してまいります。
③ 高機能開発本格強化
「ibisPaint」はリリース当初より、モバイル端末用に適合、最適化することを念頭に置いて開発した自社製品ですが、競合他社の製品は、一般的にハードウェアの性能が高いPC端末用に開発された製品が多く、かつ、開発において多大な人件費を継続的に投入しております。当社の製品は、プロのイラストレーター等が使用するパソコンのペイントソフト並みの機能を搭載しているものの、他社との差別化において、継続的な改善と新機能の追加、及びモバイル端末用としてのさらなるUI(ユーザーインターフェース)及びUX(ユーザーエクスペリエンス)の強化は事業戦略上の根幹をなすものであります。加えて、昨今のAI(人工知能)技術の発展や、2025年1月31日付で子会社化した株式会社テクノスピーチの音声合成技術を取り込む等により、さらに付加価値を高めた製品の開発も可能となっていることから、当面は、高機能戦略を踏襲し、ユーザーにとって魅力のある製品を開発し続けることによって、全世界でのシェアの拡大を進めてまいります。
<ソリューション事業>ソリューション事業は、ターゲット市場に対して売上規模が極めて小さく、当面は売上拡大に注力するステージであると考えております。
① SI(システムインテグレーション)体制構築
当社のソリューション事業は、受託開発とIT技術者派遣の2つのサービスを提供しておりますが、受託開発を強化し、高付加価値なSler化を推進してまいります。モバイルDX(デジタルトランスフォーメーション)という追い風に乗って、当社が得意とするスマートフォンやタブレットなどインターネット端末のアプリケーション開発における最新の技術を磨き続け、システム導入におけるコンサルティングや要件定義から、設計、開発、運用までワンストップで新しい顧客へ提供できる体制を積極的に推進してまいります。
② 新たな開発手法等への取り組み
スマートフォンやタブレットなどのアプリ開発は、アジャイルやスクラムなどの最新のアプリケーション開発手法や、AI・Web3.0などを活用した開発生産性の抜本的向上策などの技術進化が著しい分野であります。当社は、高い品質管理マネジメントと利益管理マネジメントの両立を目指して、継続して新しい開発手法等を取り入れてまいります。
③ eラーニング強化
当社においては、全社従業員向けの教育研修として、2018年よりeラーニングサービスを導入・運用しておりましたが、ソリューション事業所属のIT技術者においては、技術革新が著しい昨今において、最新の開発技術・言語・スキルが学べるより専門性が高いeラーニングサービスの追加提供を2023年より導入いたしました。今後は、更に、社外研修を新規提供するなど、更に充実した教育研修制度を構築、実施してまいります。
2025年1月31日付で、株式会社テクノスピーチの全株式取得(子会社化)を完了し、同社の事業はAI歌声合成事業として位置付けることとなりました。本件株式取得により、株式会社テクノスピーチは2025年12月期から当社の連結子会社となり、2025年12月期以降の当社の連結業績に含まれる予定です(連結財務諸表に関する会計基準におけるみなし取得日の規定により、貸借対照表は2025年3月末付で、損益計算書は2025年4月1日から取り込む予定、また2025年12月期通期の当社連結業績に与える影響については現在精査中)。
当社は、株式会社テクノスピーチの現在の主力事業である受託開発については、エンジニア人材の拡充とライセンス(ロイヤリティ)ビジネスを推進することにより、安定的な成長を見込むと共に、今後の主力自社製品となる、人間の歌い方・話し方をリアルに再現するAI音声創作アプリ「VoiSona(ボイソナ)」については、ユーザーのニーズが高いボイスライブラリを優先的に充実されることのより、更なるユーザの拡充ならびに高い売上の成長を見込んでおります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は事業の成長性、収益性を判断する重要な経営指標としまして、売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。また、サービス別ではモバイル事業の主要サービスである「ibisPaint」のDAU(注)、サブスクリプション契約数、及びソリューション事業のITエンジニア数を重要な事業KPIとして位置づけ、増加に向けた企業運営に努めております。なお、各指標の推移は以下のとおりであります。
(注):DAUは「Daily Active Users」の略で一日あたりのアクティブユーザーのこと。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、国際情勢の不安定さによるエネルギー・原材料価格の高騰や継続的な物価上昇、中国経済の減速などが依然として続き、景気の先行きは不透明な状況が続くものと想定しております。そのような中、当社は、前事業年度より、モバイル事業、ソリューション事業共に、売上高を成長させるとともに、利益の額及び率を重視する経営方針に転換いたしております。踏まえて、セグメント毎に対処すべき課題を以下に表記いたします。
<モバイル事業>モバイル事業については、前事業年度までの8年にわたる海外プロモーション投資の効果により、「ibisPaint」のブランド力が世界レベルで格段に向上した結果、口コミのみでヘビーユーザーが獲得できる土壌が整ったこと、及び全世界での「ibisPaint」のアクティブユーザー数における対直接競合シェアが高い占有率を継続していること(当事業年度では86.5%(前年同期比3.0%増)※)、以上2点を考慮して、当事業年度から広告宣伝投資(広告宣伝費)を約1/2とするオーガニック成長(グロース)へ転換し、概ね奏功しているものと判断いたしました。従って、2025年12月期もこの戦略を踏襲することとし、広告宣伝投資(広告宣伝費)を前年同期比△17.6%といたしました。同事業における対処すべき主な課題としましては、以下の3点が挙げられます。
※アクティブユーザーシェアのデータは2024年の数値。data.ai by Sensor Tower調べ。比較対象は当社が全世界で直接競合するものとして考えている5アプリ。
①アプリ広告売上縮小軽減策
自社開発のモバイルペイントアプリ「ibisPaint」において当事業年度下期から顕在化しているアプリ広告売上の不振について、現時点、一部施策において実装段階で予期せぬ不具合が生じたことが主な原因と考えておりますが、マクロ環境では説明できないモバイル広告市況特有の悪化などその他の原因も考えられる余地もあるため、引き続き調査分析を継続して原因を追究し、同売上の縮小を最小限に食い止めるための対策を講じてまいります。
②マーケティング強化策
引き続き、「ibisPaint」について、ユーザーのニーズ、トレンドの変化などに今迄以上にスピーディに対応し、AIやディープラーニングなど最先端且つ高度な技術を最大限活用することによって、顧客の更なる拡大及び深耕を図り、引き続き、サブスクリプションの本格強化とプロマーケット開拓の本格強化の両方を目指してまいります。
③開発人材の確保及び育成
急速な技術革新への対応と、海外マーケッターや海外サポートなども含めたあらゆる職種での人材の質及び量の向上が同事業の拡大には不可欠であり、このような環境や変化に対応し、適切にニーズにあったサービスを提供できる体制を構築していくことが重要であると認識しております。特に同事業におけるモバイルアプリ開発エンジニアについては、高度なプログラミングの知識はもちろんのこと、画像処理技術を調査・研究・実装するための論理的思考力及び科学的リテラシーが求められます。そのために、引き続き、高い専門性を有する優秀な理系出身者人材の確保と育成は、同事業発展のための根幹と考え、必要な戦力となる社員の採用を行い、育成していくことを、高成長の源泉としてまいります。そして、セグメント利益の額・率の更なる向上を目指してまいります。
<ソリューション事業>ソリューション事業については、高採算な案件受注の強化を継続しつつ、引き続きSI体制の構築を目指す方針を掲げております。同事業における対処すべき主な課題としましては、以下の2点が挙げられます。
①営業強化策
引き続き、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのアプリケーション開発支援について、システムコンサルティングからクラウドサーバ運用・保守まで高付加価値なSI体制を提供する体制を構築しながら、多彩な業種業態の法人との直取引による拡大と深耕を図ることで顧客満足度の更なる向上を目指してまいります。
②開発人材の確保、育成及び維持
ソリューション事業においても、あらゆる顧客の開発ニーズに応えられるハイスキルな技術力を有する豊かな経験が求められます。これらの優秀な人材の確保、育成及び維持は、同事業発展のための根幹と考え、引き続き、適時必要な戦力となる社員の採用を行い、育成・維持していくことを、安定成長の源泉としてまいります。そして、最新の技術を駆使して受託案件の開発生産性を更に向上させるなどして、セグメント利益の額・率の更なる向上を目指してまいります。
<グループ全社>当社は、当事業年度第2四半期より、成長戦略の一環としましてM&Aの調査を開始いたしました。そして、その結果、2025年1月31日にAI音声合成技術関連事業を営む株式会社テクノスピーチを完全子会社化し、グループ経営に舵を切ることとなりました。グループ全社における対処すべき主な課題としましては、以下の2点が挙げられます。
①グループ経営の推進
当社グループの一社となった株式会社テクノスピーチについて、予定通りの年数以下で着実に投資回収できるよう、当社の持つモバイル開発技術力・グローバルマーケティング力・事業企画力に加え、以下のような高いシナジー効果を創出・維持し、グループの成長を中長期的にブーストさせてまいります。
・サブカルチャー志向のクリエイター層の支持
・キャラクター表現に不可欠なイラスト
・音声とイラストが融合する新たな創作文化の発展
②グループ内部管理体制の構築及び運用
株式会社テクノスピーチは2025年12月期から当社の連結子会社となり、当該事業年度以降の当社の連結業績に含まれる予定です(連結財務諸表に関する会計基準におけるみなし取得日の規定により、貸借対照表は2025年3月末付で、損益計算書は2025年4月1日から取り込む予定)。従って、今後は、当社グループの一社となった株式会社テクノスピーチを含めた、有効性が高く、且つ効率の良いグループ内部管理体制の構築及び運用を行ってまいります。
(1) 経営方針
当社は以下のMission、Vision及びValueを掲げております。

アイビスはモバイルに精通した技術者集団
イラストは 言語も 民族も 宗教も ジェンダーも関係ない
モバイルペイントアプリで世界のコミュニケーションを創造する

アイビスは世界での Made in Japan のプレゼンスを上げていく

高い技術のエキスパート集団
最新の技術を習得し続け、高度な技術のエキスパート集団で
あるという自覚を持ち、社会の課題を解決する
スピーディな意思決定と実行
スピーディに動作するソフトウェアを開発するのみならず、スピーディに意思決定を行い実行する
継続的なチャレンジ
スピードを緩めることなくチャレンジし続けることにより、新しい価値を創り出す
(2) 経営環境
<モバイル事業>2024年は社会活動や経済活動がさらに回復し、企業の成長や消費の回復が見られる一方で、物価の変動や賃金の伸び悩みなど、依然として課題も残る年となりました。しかし、全体的には経済の安定化に向けた動きが進んでいるといえます。当社の主要サービスである「ibisPaint」を含むモバイル向けアプリ市場規模は、日本だけでなく世界においても年々拡大し、総務省が公表する令和6年版情報通信白書によると、2016年以降も依然として右肩上がりで推移しており、2025年以降も拡大していく予測がされております。また、2024年の広告市場は、引き続き経済の回復とともに成長を見せており、その中でインターネット広告費は他のメディアと比較して高い成長率を記録しています(株式会社電通「2024年 日本の広告費」)。モバイル向けアプリ市場の拡大と相まって、今後も広告市場はさらに成長すると予測されております。
当社のアプリは累計93.7%が海外からのダウンロードですが、同市場においては、発展途上段階や人口増加の国も多数あり、「ibisPaint」にはまだまだ多くの未開拓ユーザーが全世界に存在すると考えております。
当社は市場の大きさを以下に想定しております。
a.ネット広告市場
TAM(注)1 | ターゲット市場 | 当社売上高実績(注)2 | |
国内(注)3 | 596億円 | 66億円 | 3.9億円 |
国外(注)4 | 5,106億円 | 567億円 | 12.6億円 |
(注)1.TAM(Total Addressable Market)獲得可能な最大市場規模のこと。
2.当社売上高実績は2024年12月期の数値(以下、同様)。
3.ネット広告市場(国内)におけるTAMの額596億円は、株式会社電通が発表した調査レポート「2023年 日本の広告費」上での2023年の「インターネット広告媒体費」2兆6,870億円のうち、ディスプレイ広告7,701億円・動画広告6,860億円・成果報酬型広告732億円、以上合計1兆5,293億円に、総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書(第Ⅱ部第1章第11節)」上でのスマートフォンの保有割合78.9%、及び経済産業省が発表した調査レポート「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」上での2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 ⦆ ⑤その他」の割合5.0%の乗算結果3.9%を掛けて算出。又、ターゲット市場の額66億円は、2022/3/25~2022/3/28に株式会社クロス・マーケティング経由で実施した日本でのイラストアプリに関するアンケート調査上で、母集団(N=5,154)のうち、デジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をネット広告市場(国内)におけるTAMの額に掛けて算出。
4.ネット広告市場(海外)におけるTAMの額5,106億円は、International Market Analysis Research and Consulting Groupが発表した「In-app Advertising Market Report by Advertising Type, Platform, Application, and Region 2024-2032」25兆6,518億円(USD 163.2billion。円へは2024年12月31日時点のTTB157.18円で換算)に、便宜上、(注)3の2023年の「インターネット広告媒体費」に対する前述の媒体費3種類の割合57.0%、及び乗算結果3.9%を掛けて算出した額5,702億円から国内のTAMの額596億円を差し引いて算出。又、ターゲット市場の額567億円は、前述のデジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をネット広告市場(海外)におけるTAMの額に掛けて算出。
b.アプリ販売市場
TAM | ターゲット市場 | 当社売上高実績 | |
国内(注)5 | 1,038億円 | 115億円 | 2.8億円 |
国外(注)6 | 1兆1,787億円 | 1,308億円 | 6.6億円 |
(注)5.アプリ販売市場(国内)におけるTAMの額1,038億円は、経済産業省が発表した調査レポート「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」上での2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 ⦆ ⑤その他」1,316億円に、総務省が発表した「令和6年版 情報通信白書(第Ⅱ部第1章第11節)」上でのスマートフォンの保有割合78.9%を掛けて算出。又、ターゲット市場の額115億円は、(注)3のデジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をアプリ販売市場(国内)におけるTAMの額に掛けて算出。
6.アプリ販売市場(海外)におけるTAMの額1兆1,787億円は、International Market Analysis Research and Consulting Groupが発表した「In-app Advertising Market Report by Advertising Type, Platform, Application, and Region 2024-2032」25兆6,518億円(USD 163.2 billion。円への換算方法は(注)4と同じ)から、便宜上、(注)3の2023年の「デジタル系分野のBtoC-EC市場規模 ⦆ ⑤その他」の割合5.0%を掛けて算出した額1兆2,826億円から国内のTAMの額1,038億円を差し引いて算出。又、ターゲット市場の額1,308億円は、(注)3と同様、デジタルイラストを描く顕在層・潜在層の割合11.1%をアプリ販売市場(海外)におけるTAMの額に掛けて算出。
<ソリューション事業>2019年3月に経済産業省が公表したIT人材需給に関する調査によると、IT人材の供給数は減っていく一方で、需要数が高まることから需給ギャップが拡がり、2030年には約41万人から79万人のIT人材不足が生じると見られております。2024年においては、コロナ禍からの回復が進み、世界的な経済の安定化が見られる中で、企業のシステム投資需要も引き続き堅調に推移しています。このため、中長期的に市場はさらに拡大していくものと考えております。
また、日本企業において経済産業省が推進する「DX化」というトレンドがあります。特に業務の効率化、働き方改革などでは「スマホ化」の需要は一段と増えております。さらに受託開発に目を向けると、大手企業からのロボティクス案件などもあり、これからも当社の最新技術思考が顧客にアピールできると考えております。PCから「スマホ×DX化」という相乗効果による追い風を受けて、アプリ開発市場は持続的に拡大していくものと考えられます。
TAM | ターゲット市場 | 当社売上高実績 | |
受託開発(注)7 | 10兆4,177億円 | 6兆8,131億円 | 5.2億円 |
IT技術者派遣(注)8 | 1兆4,413億円 | 1兆780億円 | 14.8億円 |
(注)7.受託開発市場におけるTAMの額10兆4,177億円は、総務省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」上での2023年の市場規模の内、「受注ソフトウェア」の額より抜粋。又、ターゲット市場の額6兆8,131億円は、経済産業省が発表した「平成30年特定サービス産業実態調査(経済産業省)」上の当社の事業所が存在する都道府県の「受注ソフトウェア開発」の年間売上高(東京都4兆7,585億円、愛知県6,245億円、大阪府1兆4億円)の合計の額6兆3,834億円を「受注ソフトウェア開発」の年間売上高9兆7,661億円で除して算出した割合65.4%をTAMの額に掛けて算出。
8.IT技術者派遣市場におけるTAMの額1兆4,413億円は、厚生労働省が発表した「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」上の情報処理・通信技術者1日当たりの平均派遣料金32,871円を×20日×12ヶ月として算出した額と「労働者派遣事業の令和5年6月1日現在の状況」上の情報処理・通信技術者派遣労働者数182,701人を積算して算出。又、ターゲット市場の額1兆780億円は、前述の一つ目の資料上の当社の事業所が存在する都道府県の年間売上高(南関東3兆8,979億円、東海1兆2,846億円、近畿1兆3,709億円)の合計の額6兆5,534億円を労働者派遣事業に係る総売上高8兆7,646億円で除して算出した割合74.8%をTAMの額に掛けて算出。
(3) 経営戦略
<モバイル事業>モバイル事業は、特にアプリ課金市場においては、ターゲット市場に対して売上規模がまだまだ小さく、当面は世界的なマーケットで売上拡大に注力するステージであると考えております。
① サブスクリプション本格強化
同事業におけるBtoCビジネスにおける収益源としましては、広告非表示機能を含む追加機能や追加素材、追加ストレージ等の利用が可能となるサブスクリプション(定額課金)型のプレミアム会員サービスと、アプリ上の広告が非表示となる売切型アプリの2種類の方法があります。これまでは累計ダウンロード数の増加=広告ビジネスにおける収益を最重視しておりましたが、今後は、サブスク予備軍200万人(注)9に対して、プレミアム会員サービスへの誘導を強化するプロモーション策を実施し、同サービス経由での売上も増加させることにより、同事業内において、市況の影響を直接受けやすい広告ビジネスの売上に過度に依拠しないような収益構造を目指し、リスク分散してまいります。
(注)9.サブスク予備軍とは、無料広告ユーザーのうち、課金率が5%(業界平均3~10%)となる場合のユーザー数と定義。
② プロマーケット開拓本格強化
「ibisPaint」はモバイルペイントアプリのNo.1ブランドだからこそ、PC版も使いたい既存ユーザーが多数存在したため、2022年6月にWindows版をリリースし、随時、機能拡充を行ってまいりました。当初は売切型のみ販売しておりましたが、2024年3月にはサブスクリプション型の提供を開始しております。また、クリエイターの求める機能を引き続き搭載するなど、機能を拡張し続けることで、将来的にプロのクリエイター向けマーケットへの本格的参入も想定しております。1年以内には待望のMac版をリリース予定で、全デバイスで「ibisPaint」ブランドを確立し、新たな収入源を獲得してまいります。
③ 高機能開発本格強化
「ibisPaint」はリリース当初より、モバイル端末用に適合、最適化することを念頭に置いて開発した自社製品ですが、競合他社の製品は、一般的にハードウェアの性能が高いPC端末用に開発された製品が多く、かつ、開発において多大な人件費を継続的に投入しております。当社の製品は、プロのイラストレーター等が使用するパソコンのペイントソフト並みの機能を搭載しているものの、他社との差別化において、継続的な改善と新機能の追加、及びモバイル端末用としてのさらなるUI(ユーザーインターフェース)及びUX(ユーザーエクスペリエンス)の強化は事業戦略上の根幹をなすものであります。加えて、昨今のAI(人工知能)技術の発展や、2025年1月31日付で子会社化した株式会社テクノスピーチの音声合成技術を取り込む等により、さらに付加価値を高めた製品の開発も可能となっていることから、当面は、高機能戦略を踏襲し、ユーザーにとって魅力のある製品を開発し続けることによって、全世界でのシェアの拡大を進めてまいります。
<ソリューション事業>ソリューション事業は、ターゲット市場に対して売上規模が極めて小さく、当面は売上拡大に注力するステージであると考えております。
① SI(システムインテグレーション)体制構築
当社のソリューション事業は、受託開発とIT技術者派遣の2つのサービスを提供しておりますが、受託開発を強化し、高付加価値なSler化を推進してまいります。モバイルDX(デジタルトランスフォーメーション)という追い風に乗って、当社が得意とするスマートフォンやタブレットなどインターネット端末のアプリケーション開発における最新の技術を磨き続け、システム導入におけるコンサルティングや要件定義から、設計、開発、運用までワンストップで新しい顧客へ提供できる体制を積極的に推進してまいります。
② 新たな開発手法等への取り組み
スマートフォンやタブレットなどのアプリ開発は、アジャイルやスクラムなどの最新のアプリケーション開発手法や、AI・Web3.0などを活用した開発生産性の抜本的向上策などの技術進化が著しい分野であります。当社は、高い品質管理マネジメントと利益管理マネジメントの両立を目指して、継続して新しい開発手法等を取り入れてまいります。
③ eラーニング強化
当社においては、全社従業員向けの教育研修として、2018年よりeラーニングサービスを導入・運用しておりましたが、ソリューション事業所属のIT技術者においては、技術革新が著しい昨今において、最新の開発技術・言語・スキルが学べるより専門性が高いeラーニングサービスの追加提供を2023年より導入いたしました。今後は、更に、社外研修を新規提供するなど、更に充実した教育研修制度を構築、実施してまいります。
当社は、株式会社テクノスピーチの現在の主力事業である受託開発については、エンジニア人材の拡充とライセンス(ロイヤリティ)ビジネスを推進することにより、安定的な成長を見込むと共に、今後の主力自社製品となる、人間の歌い方・話し方をリアルに再現するAI音声創作アプリ「VoiSona(ボイソナ)」については、ユーザーのニーズが高いボイスライブラリを優先的に充実されることのより、更なるユーザの拡充ならびに高い売上の成長を見込んでおります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は事業の成長性、収益性を判断する重要な経営指標としまして、売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。また、サービス別ではモバイル事業の主要サービスである「ibisPaint」のDAU(注)、サブスクリプション契約数、及びソリューション事業のITエンジニア数を重要な事業KPIとして位置づけ、増加に向けた企業運営に努めております。なお、各指標の推移は以下のとおりであります。
2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | ||
DAU | (千人) | 6,210 | 5,781 | 5,880 |
サブスクリプション契約数 | (人) | 66,257 | 119,380 | 232,053 |
ITエンジニア数 | (人) | 181 | 240 | 240 |
(注):DAUは「Daily Active Users」の略で一日あたりのアクティブユーザーのこと。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、国際情勢の不安定さによるエネルギー・原材料価格の高騰や継続的な物価上昇、中国経済の減速などが依然として続き、景気の先行きは不透明な状況が続くものと想定しております。そのような中、当社は、前事業年度より、モバイル事業、ソリューション事業共に、売上高を成長させるとともに、利益の額及び率を重視する経営方針に転換いたしております。踏まえて、セグメント毎に対処すべき課題を以下に表記いたします。
<モバイル事業>モバイル事業については、前事業年度までの8年にわたる海外プロモーション投資の効果により、「ibisPaint」のブランド力が世界レベルで格段に向上した結果、口コミのみでヘビーユーザーが獲得できる土壌が整ったこと、及び全世界での「ibisPaint」のアクティブユーザー数における対直接競合シェアが高い占有率を継続していること(当事業年度では86.5%(前年同期比3.0%増)※)、以上2点を考慮して、当事業年度から広告宣伝投資(広告宣伝費)を約1/2とするオーガニック成長(グロース)へ転換し、概ね奏功しているものと判断いたしました。従って、2025年12月期もこの戦略を踏襲することとし、広告宣伝投資(広告宣伝費)を前年同期比△17.6%といたしました。同事業における対処すべき主な課題としましては、以下の3点が挙げられます。
※アクティブユーザーシェアのデータは2024年の数値。data.ai by Sensor Tower調べ。比較対象は当社が全世界で直接競合するものとして考えている5アプリ。
①アプリ広告売上縮小軽減策
自社開発のモバイルペイントアプリ「ibisPaint」において当事業年度下期から顕在化しているアプリ広告売上の不振について、現時点、一部施策において実装段階で予期せぬ不具合が生じたことが主な原因と考えておりますが、マクロ環境では説明できないモバイル広告市況特有の悪化などその他の原因も考えられる余地もあるため、引き続き調査分析を継続して原因を追究し、同売上の縮小を最小限に食い止めるための対策を講じてまいります。
②マーケティング強化策
引き続き、「ibisPaint」について、ユーザーのニーズ、トレンドの変化などに今迄以上にスピーディに対応し、AIやディープラーニングなど最先端且つ高度な技術を最大限活用することによって、顧客の更なる拡大及び深耕を図り、引き続き、サブスクリプションの本格強化とプロマーケット開拓の本格強化の両方を目指してまいります。
③開発人材の確保及び育成
急速な技術革新への対応と、海外マーケッターや海外サポートなども含めたあらゆる職種での人材の質及び量の向上が同事業の拡大には不可欠であり、このような環境や変化に対応し、適切にニーズにあったサービスを提供できる体制を構築していくことが重要であると認識しております。特に同事業におけるモバイルアプリ開発エンジニアについては、高度なプログラミングの知識はもちろんのこと、画像処理技術を調査・研究・実装するための論理的思考力及び科学的リテラシーが求められます。そのために、引き続き、高い専門性を有する優秀な理系出身者人材の確保と育成は、同事業発展のための根幹と考え、必要な戦力となる社員の採用を行い、育成していくことを、高成長の源泉としてまいります。そして、セグメント利益の額・率の更なる向上を目指してまいります。
<ソリューション事業>ソリューション事業については、高採算な案件受注の強化を継続しつつ、引き続きSI体制の構築を目指す方針を掲げております。同事業における対処すべき主な課題としましては、以下の2点が挙げられます。
①営業強化策
引き続き、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのアプリケーション開発支援について、システムコンサルティングからクラウドサーバ運用・保守まで高付加価値なSI体制を提供する体制を構築しながら、多彩な業種業態の法人との直取引による拡大と深耕を図ることで顧客満足度の更なる向上を目指してまいります。
②開発人材の確保、育成及び維持
ソリューション事業においても、あらゆる顧客の開発ニーズに応えられるハイスキルな技術力を有する豊かな経験が求められます。これらの優秀な人材の確保、育成及び維持は、同事業発展のための根幹と考え、引き続き、適時必要な戦力となる社員の採用を行い、育成・維持していくことを、安定成長の源泉としてまいります。そして、最新の技術を駆使して受託案件の開発生産性を更に向上させるなどして、セグメント利益の額・率の更なる向上を目指してまいります。
<グループ全社>当社は、当事業年度第2四半期より、成長戦略の一環としましてM&Aの調査を開始いたしました。そして、その結果、2025年1月31日にAI音声合成技術関連事業を営む株式会社テクノスピーチを完全子会社化し、グループ経営に舵を切ることとなりました。グループ全社における対処すべき主な課題としましては、以下の2点が挙げられます。
①グループ経営の推進
当社グループの一社となった株式会社テクノスピーチについて、予定通りの年数以下で着実に投資回収できるよう、当社の持つモバイル開発技術力・グローバルマーケティング力・事業企画力に加え、以下のような高いシナジー効果を創出・維持し、グループの成長を中長期的にブーストさせてまいります。
・サブカルチャー志向のクリエイター層の支持
・キャラクター表現に不可欠なイラスト
・音声とイラストが融合する新たな創作文化の発展
②グループ内部管理体制の構築及び運用
株式会社テクノスピーチは2025年12月期から当社の連結子会社となり、当該事業年度以降の当社の連結業績に含まれる予定です(連結財務諸表に関する会計基準におけるみなし取得日の規定により、貸借対照表は2025年3月末付で、損益計算書は2025年4月1日から取り込む予定)。従って、今後は、当社グループの一社となった株式会社テクノスピーチを含めた、有効性が高く、且つ効率の良いグループ内部管理体制の構築及び運用を行ってまいります。