有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/05/19 15:00
【資料】
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【項目】
136項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、当社が果たすべき使命と役割を十分に認識し、「永遠に伸びる会社」、「社員一人ひとりが幸せになれる会社」、「社会に貢献できる会社」を目指して、経営理念として以下の「四つの心」に基づき、確かな技術と先進のソリューションの提供を通して、お客様と社会の発展に貢献することを目指しております。
あわせて、当社は、企業が社会の一員であることを深く認識し、公正かつ透明な企業行動に徹し、国の内外を問わず、人権を尊重し、関係法令及びその精神を遵守するとともに、良識ある市民として真に豊かな社会の実現に尽力することを目指しております。
経営理念 四つの心で
「永遠に伸びる会社」
「社員一人ひとりが幸せになれる会社」
「社会に貢献できる会社」
にしよう
1. 感謝の心
今ある自分に感謝し、働く喜び、生き甲斐を持とう
2. 人格向上の心
仕事を通じて自己啓発し、人格向上を図ろう
3. 生活向上の心
豊かな安定した生活を目指そう
4. 企業の心
デジタル・IT関連などの情報システム技術、サービスの提供を通じて持続可能な社会の実現に
貢献しよう
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社は、創業以来、「情報を通じて、お客様や社会に貢献する」ということを使命に、持続可能な社会の実現性を目指す、公共性・社会性の高いシステム開発を中心に、システムインテグレーターとしてお客様にサービスを提供してきました。
サービスラインとして、「金融事業」、「産業流通事業」、「社会公共事業」、「ITイノベーション事業」を展開しており、当社の強みとしましては全てのサービスラインにおいて、売上の半数以上を長年のシステム開発実績を有する同一の大口顧客である元請システムインテグレーター企業からの継続案件や運用保守案件が占めていることです。これにより、安定的な経営基盤を確立していると認識しております。
強みとなる長年のシステム開発実績を積み重ね、元請システムインテグレーター企業との信用度を向上することで、継続案件及び新規案件の受注及び拡大を図ってまいります。さらに、長年のシステム開発実績をより深化させることで、新規取引先の構築に努めてまいります。
当社は、業務知識、生産技術、品質管理技術、プロジェクトマネジメント力を蓄積し、情報サービス産業界における優位性の確立を目指してまいります。
当社は、中期経営計画における以下の基本戦略を展開してまいります。
① 経営基盤の向上
サービスライン毎に、主力事業ドメインを核としたドメイン別戦略(注1)を計画することにより、中長期的に成長していくビジネス基盤を構築してまいります。取引先企業の旺盛なDX関連システム開発ニーズに対応し、2025年3月期を最終年度とした中期経営計画に於いては、このドメイン別戦略の中でDX関連事業(注2)の成長を倍増計画していくことにより、売上高の拡大と収益力のアップを目指します。
(注)1.当社のドメイン別戦略は、以下のとおりであります。
・主力事業ドメイン:事業維持の主力となる活動領域
・成長事業ドメイン:事業拡大を計画する活動領域
・新規事業ドメイン:新規顧客や新規分野となる活動領域
2.当社のDX関連事業とは、エンドユーザのDX化事業に貢献するものであり、それぞれのドメイン別戦略の要素として売上高を管理しております。
② 教育投資の強化
DX技術に対応するための、教育投資を特に強化していきます。また、AIやIoT、ロボティクス関連、クラウド関連等の新技術は、新デジタル分野として当社に必須の技術であることから、これらの社員教育についても機動的に対応してまいります。
③ システムの品質確保
システム開発においては、オープン化の進展・開発規模の大型化・短納期化、さらにはDXを中心とした顧客要求の高度化等が進み、開発の難易度がますます増大しております。このような環境変化に対応し、独立した第三者的部門として、開発推進本部に設置したプロジェクト管理部を中心に、「プロジェクトの進捗」について全社的最適化の視点から監視するとともに、開発にともなうリスクの低減に努めてまいります。また、当社全部門において、ISO9001の認証を取得しており、「お客様に満足していただけるシステムの品質確保」に努めてまいります。
(3)経営環境
当社が属する情報サービス業界において、DX関連案件の増加や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大をきっかけとした、新たな労働環境(テレワークの導入やクラウド環境の構築)の整備を進める企業が増加しております。2021年9月「デジタル庁」発足により、わが国のデジタル化の遅れを取り戻すDX推進の流れは益々加速しており、中長期的には市場規模の拡大が期待されております。
こうした環境を背景に当社は、協力会社(外注先)を含む社員及びお客様の健康と安全を確保しながら生産性を維持するため、テレワークや時差通勤、リモートによる商談、オンライン会議等を積極的に推進し、事業活動の維持・継続に注力してまいりました。
今後も引き続き、お客様とのパートナーシップの強化による事業領域の拡大及び顧客満足度の向上に努め、さらにサービスラインであります、金融事業・産業流通事業・社会公共事業・ITイノベーション事業において、DX関連システム事業を中心とした新デジタル分野及び、クラウドコンピューティングへの取り組みに注力し、これらに必要な教育投資を強化するとともに、協力会社とのさらなる連携強化に努めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、前述の経営方針、経営戦略、経営環境のもと、継続的な事業収益の拡大による成長と、より強固な経営基盤を構築するため以下の事項を対処すべき重要課題と捉え、その対応に引続き取り組んでまいります。
① 優秀な人材の確保
当社が属する情報サービス業界は、技術革新が急速に進んでいるため、常に最新技術への対応が求められております。これに応えられる優秀な人材を確保することが、今後の重要な課題であります。
当社では、優秀な人材を確保するために採用選考基準を明確化し、新卒採用、キャリア採用を問わず積極的な採用活動を行っております。
② 人材育成
人材教育投資を当社の成長戦略の最重要課題と位置付け、人材教育予算を拡充してまいります。
官民あげてのDX化・IT化の流れに遅れないように、技術スキルの向上を図るために、人材教育予算を拡充してまいります。ますます重要性を増しているクラウド化技術の習得、AIやロボティクス等DX関連技術の習得のための教育プログラム(OFF-JT教育)の充実を図ってまいります。当社の教育は、現場教育(OJT教育)が基本でありますが、新技術についてはOJTとOFF-JTが連動できるような形で進めてまいります。
③ 既存事業分野のさらなる強化
当社が属する情報サービス業界におきましては、顧客ニーズの高度化・多様化、オフショア活用の拡大やサービスの低価格化等により、ますます競争が激しくなる中、継続的な事業の拡大は一段と厳しい状況となっております。このような状況の中で継続的に安定した収益を確保していくためには、高度な専門性で付加価値を創造し、競合他社との差別化を図っていく必要があるとの理解のもと、これまで培ってきた業務知識・技術を基に、主力のサービスラインであります金融事業から、2022年4月にITイノベーション事業を分離独立させてシステムのDX化に備えております。
この事業は、元請システムインテグレーター企業の「DX事業拡大の取組」案件に参画しており、デジタル技術(AIやデータ利活用等)を活用したデジタルソリューションサービス事業の拡大に取り組んでおります。
④ DX関連事業の拡大
当社が属する情報サービス業界におきましては、コロナ禍による働き方改革(業務効率化、テレワークの導入)等を背景にした、先端技術の普及やDX関連技術の進展等により、FinTech(金融サービスのITイノベーション)、IoT、AI、ビッグデータ、RPA(ロボットによる業務自動化)等のITを利用した生産性向上や省人化・自動化による労働力不足等への対応等、今後ますますDX関連サービスへの需要が高まることが予測されます。このような状況の中で、当社は、以下に注力しDX関連事業の拡大を図ってまいります。
<ユーザのDXを含めた業務改革の取組みを支援するビジネス>・各ユーザよりさまざまな事業領域のDX案件(オープン化、モダナイゼーション(注))への参画要請に対応
・データ利活用等、DX領域での日立製作所グループとの協業
<マネジメント力と開発力のある人材群の構築>・ITイノベーション事業本部を設立し、事業領域にとらわれないDX案件獲得、技術・ノウハウの共有を
促進
・クラウド環境における技術検証・研究開発の促進
・技術者を育成(リスキリング(研修・講習・教育))
・2022年新設の営業本部主体にサービスラインの枠を超えたDX案件獲得活動の推進
・主要取引先のDX案件開発企画等上流フェーズへの提案活動を推進し案件を早期獲得
⑤ 品質向上と生産性向上
お客様のシステム開発に対する要求事項の高度化が進む中、お客様に満足していただけるシステムの品質 確保が重要な課題と認識し、継続的な取り組みを行っております。
具体的には、品質管理部による「品質保証検査」をより一層徹底するとともに、当社標準品質目標値の継続的な整備を行い、組織的な品質向上・生産性向上に取り組んでおります。
⑥ 人と組織力の強化
人材が当社の最大の財産であるという認識のもと、基礎技術スキルや先端技術スキルをはじめ、ヒューマ ンスキルの向上によるプロジェクトマネジメント力の向上等、常に研修等の充実を図り優秀な人材の育成を積極的に推進しております。
IT技術進化の流れに対応し、今後のDX関連システム事業の強化を図るために、より高度な先端技術スキル・プロジェクトマネジメント力の向上に注力し、人材を活かす組織の基盤を作ってまいります。お客様のシステム開発に対する要求事項の高度化が進む中、お客様に満足していただけるシステムの品質確保が重要な課題と認識し、継続的な取り組みを行っております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な目標等
当社は、成長性と収益性を重視しておりますので、重要な経営目標は以下と捉えております。
・成長性:売上高成長率(対前期増加率)
対前期増加率 5.0% を目標として設けております。
・収益性:売上高営業利益率
売上高営業利益率 10% を重要な目標としております。
(注)モダナイゼーションとは、現行のIT資産を新技術に対応する形に更新することで、ソフトウェアやハードウェアのシステム基盤の最適化、近代化を行う手法をいいます。